Fender Workshop -Highway Series- at FENDER SHOP in MIKI GAKKI AMERICAMURA

2023年10月に発売されたフェンダーの新商品、Highwayシリーズのワークショップが、今年で5周年を迎えるFENDER SHOP in MIKI GAKKI AMERICAMURAにて開催された。ゲストにTUBEのギタリストで日本屈指のプレイヤーである春畑道哉、春畑のライヴツアーや数多くのアーティストのギタープレイをサポートしている遠山哲朗、 MCにFM802のDJ大抜卓人を迎え、トーク&ライヴセッションが開催された。

Highwayシリーズの魅力を詰め込んだスペシャルセッション

春畑と遠山によるセッションが間近で聴ける貴重なイベントとあって、会場いっぱいの観客が待ちわびる中、2人が登場し大きな拍手で迎えられた。この前日には、春畑のライブツアー〈MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND at Billboard Live 2024 SPRING HAS COME season3〉がBillboard Live OSAKAで行われたばかり。前日よりもさらに近い距離の観客席を前に「この距離はビルボードより近すぎますね」と春畑が驚くと、またとないスペシャルな機会を実感した観客からは笑顔がこぼれた。


春畑はHighway Series Dreadnoughtのスプルースモデルを、遠山はマホガニーモデルを手に、まずは 「Straight to My Heart」からライヴセッションがスタート。メロディアスなアコースティックサウンドで観客を乗せ、「Native Dance」では春畑のきらびやかなリードと、遠山の歯切れのいいバッキングの融合に会場は一気にヒートアップし大歓声が起こる。


2人がすぐに注目したのがボディの材質と音の違いについて。春畑は「スプルースは明るい音がして、マホガニーは太めの音がする。全然違う。Dreadnoughtモデルはダイナミクスがすごくて、柔らかく弾いても小さい音から大きな音まで自然に出る」と実感すると、遠山も「アコギとエレキのどちらから持ち替えても違和感がない。この二つはただの色違いではなく、音が全然違う。マホガニーは音が柔らかくて、スプルースはシャキッとした春さん(春畑)らしい音」と紹介。春畑は「僕はメロディを弾くことが多いから、音がパキッと出るほうがいい」と頷いた。

春畑は今回のツアーでもHighwayシリーズを使用。そのギターがツアーロゴとオフィシャルグッズのモチーフになったほどだが、このギターとの出会いに関して春畑は「最近はアコギがマイブームなんだけど、このシリーズの存在はSNSで見て知ったんです。フェンダーさんにチェックしに行って、エレキのアンプに通したら自然なアコギの音ですぐに持って帰りました」と意外な経緯を打ち明けると、遠山も「このツアーで春さんは、最初は新しく買った別のギターを使っていたけど途中からHighwayになっていた」と認めていた。


この新たなモデルに反応したのは春畑だけではなかったようで、「布袋寅泰さんとコブクロの小渕健太郎さんが僕のライヴに来てくれた時に、2人ともギターマニアだから“春ちゃん、何あの新しいアコギ。 Acoustasonicなの?”と聞かれて。だから得意げに“HighwayシリーズはAcoustasonicよりもっとアコースティックになっている。アンプから音を出しているんです”と言うとめっちゃ食いついていました(笑)」と舞台裏の出来事を語った。

さらに春畑は「家でもベッドの横に置いていて、寝転がって弾くのがいい。寝る直前まで弾いて、そのまま眠りにつく。また起きたら弾き始める。大きさがちょうどいい」と話すと、遠山も「コンター加工がボディにフィットする。だから立って弾いた時も肘が通常のアコギのように引っかかることがなく、リードギタースタイルの人でもラクに弾ける」と太鼓判を押した。

途中、Highway Series Parlorモデルにも持ち替えた春畑は「かわいい。スケールがDreadnoughtよりも短いんだね」と感想を添えると、遠山も「ボディが小さいと抱えやすい。小柄な方にもいいかも」と同意。 MC大抜からの「プロユースでも使える?」との問いに、2人とも「使えます」と声を揃えて答えた。

春畑は実際にレコーディングでもHighwayシリーズを使用しており「この前に出たTUBEのシングルのカップリング『Remember Me -TUBE×GACKT -』のサビ中のバッキングで、ハーモニクス部分のグロッケンのような役割をしているのがHighwayです」と明かした。


注目されたのが、ボディに搭載されているコントロールノブとピックアップシステムだ。遠山は手にしているマホガニータイプのボリュームとコンターノブのフルの時と、絞った時の両方の音色を披露しながら「春さんの伴奏の時はミドルやローがうるさくならないようにして、僕のソロになったら音色を変えている。僕は春さんのライヴでバッキングを弾くことが多いので、これは存在感のコントロールがすごくしやすい」と説明すると、春畑も「歌のバックの時もローとミドルを少し抜いたら良い」と遠山の感覚に共感。わかりやすい音の違いに観客も声を上げて反応していた。

ピックアップについて遠山は「よくできている。マグネティックピックアップの音が、限りなく生っぽく収められている」と説明。MCの大抜も「フィッシュマン社のFluence Acousticピックアップがネック付近にそのままジョイントされていて、ネックの鳴りとボディの音を全部拾ってくれるすごいシステム。加えてボディのノブでここまで音が変わるのは面白い」と新しいサウンドと特徴を実感していた。

弾きやすさも話題に上がり、春畑は「ハウリングも少ないし、ボディ裏で弦高が変えられるのがすごい。これは指が痛くならない」と弾きやすさに言及すると、遠山は「ジョイントの角度が変わると、弦とフレットの距離が変わるから弾きやすい。ネックを外さないで調整できるのはすごいし、アコギは弦を押さえるのがつらいというイメージを持っている人が多いと思うが、そのイメージがなくなる」と評価した。

エフェクターやアンプにつないだ時の音も気になるところ。この日の春畑は「ソロの時など、メロディの音がしっかり伸びてほしい時やブースター代わりにも使っている」というフェンダーのThe Bends Compressorで試しに音を歪ませてみたり、Engager Boost(ブースター)と’68 Custom Deluxe Reverbを組み合わせて新たなアコースティックサウンドの可能性を確かめていた。

遠山も春畑と同じブースターを使用しており「ミドルが気に入っていて、コントロールしやすく重宝しています。バッキング時にブースターがついていると音がこもって春さんの邪魔をしてしまうので、春さんの“来いや”という時だけブースターを踏みます(笑)。僕の場合、出る、出ないの差をつける時に使っていますね」と説明した。

どのようなプレイヤーに合っているか問われると、遠山は「まさにMIYAVIさんとか、パーカッシブなプレイスタイルの人が新しいスタイルを生み出せると思う」と答え、春畑は「女性でも小さい子でも弾けるし、いろいろなプレイスタイルに合う。おうちからスタジアムまでどんな会場でも使える」とミュージックシーンを切り開くHighwayシリーズの新たな可能性に期待を寄せた。

終始、温かな雰囲気の中おこなわれたワークショップ。ラストに2月28日にリリースされたばかりの TUBEとGACKTによるコラボ楽曲「サヨナラのかわりに」、 スティーヴィー・ワンダーの「Isn’t She Lovely(可愛いアイシャ)」を披露。Highwayシリーズの魅力を詰め込んだスペシャルなセッションに、観客から大歓声が送られた。

Highway Series

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