Special Interview | J -前編-

昨年、LUNA SEA結成30周年という節目にフェンダーと世界的なエンドース契約を結び、自身のシグネイチャーモデルとなるJ SIGNATURE PRECISION BASS HEAVY RELIC BLACK GOLDを作り上げたベーシストのJ。主なスペックはそのままに、本人お気に入りのカラーが施されたCustombuiltシリーズ「J SIGNATURE PRECISION BASS HEAVY RELIC CHAMPAGNE GOLD」が登場する。すでにレコーディングやライヴなどの主力として、この2本のベースを使い分けているというJ。インタビュー前編ではそれぞれのこだわりについて話を聞いた。

自分のシグネイチャーモデルを作るなら持った時に誰もがワクワクできるものにしたい

─ 2020年、Jさんのリクエストを投入して作られたMasterbuiltモデル、J SIGNATURE PRECISION BASS HEAVY RELIC BLACK GOLDは現在、ほぼすべてのステージやレコーディングのメインになっているそうですね。最初に手にした時のインプレッションについて、改めて聞かせてもらえますか?

J もともと僕はフェンダーのカスタムビルダー、グレッグ・フェスラーが作るベースが大好きで個人的に集めていたんです。フェンダーとエンドースメント契約を結ぶ事になり、念願叶って彼とコラボレーションをすることが決まった時に、その彼の作品の好きな部分をヒントにしつつ“僕のベーススタイルに合うようなモデルを作ってもらいたい”というところから、J SIGNATURE PRECISION BASSは始まりました。BLACK GOLDというカラーリングも、ボディやネックの材質もリバースヘッドも、僕らしさをギュウギュウに詰め込んだ1本。それが届いた日のことを未だに覚えていますね。僕がグレッグにオーダーした時のメッセージが、まるで倍返しで帰ってきたような感覚。“弾きこなせるものなら、弾きこなしてみろ”という心意気が伝わってきました(笑)。実際に鳴らした時には、“Precision Bassってこんな音がするんだ!”と思いました。自分の中のプレベの概念というものを、根底から覆されたような感覚でした。

─ そこまでの衝撃があったのですね。

J それを携え、自分のソロライヴやレコーディング、LUNA SEAの現場で使い始めたわけですが、バンドのアンサンブルの要であるベースサウンドが変わるということは、“バンドの顔つき”が変わるくらい大きな変化なんです。今の自分が、ベストだと思っている場所へと導いてくれるような感覚で。もはや自分にとって欠かせない楽器となりました。弾いた時の音の立ち上がりや粒立ちというものは、楽器によってそれぞれ違うので、当然それによって弾くフレーズも変わってきますよね。新しい解釈が加わるというか、自分の中でフレーズが更新されていく感じがあります。

─ ソロバンドやLUNA SEAのメンバーからも、J SIGNATURE PRECISION BASSのサウンドは絶賛されたとお聞きしました。

J みんなびっくりしていましたね。“こんな凄いサウンドのベースがあるんだね”って。プレベという伝統的な楽器であるにも関わらず、決して単なるヴィンテージライクなサウンドではないというか、プレベのテイストはもちろん残しながら現代の曲にもしっかりマッチするというか。そういう楽器が存在していることに驚いていました。

─ そして今回、前作「BLACK GOLD」と主なスペックはそのままに、新たなカラーをまとったCustombuiltシリーズ「J SIGNATURE PRECISION BASS HEAVY RELIC CHAMPAGNE GOLD」が登場します。こちらのこだわりを教えてもらえますか?

J BLACK GOLDは世界に1本しかなくて、何かトラブルがあった時のことを考えると不安だったので、“バックアップとして同じものが手に入るといいな”というところから始まりました。だた、よくよく考えてみると、BLACK GOLDとまったく同じ楽器なんてこの世に存在するわけがないんですよね。それぞれの楽器には固体差というものがあるわけですから。そこの縛りが外れてからは、同じスペックで同じ木材を使っていても、塗装を変えたりすることで自分のオリジナリティをさらに押し進めようという方向性にシフトし、それで形になったのが今回のCHAMPAGNE GOLDですね。

─ 実際に出来上がったものを見ての感想は?

J これはもう芸術品だなと。そのくらいの美しい仕上がりで、グレッグ本気出してきたなと思いました。ウェザークラック(外気に曝されたことや環境の変化によって引き起こされる塗装のヒビ割れ)を、ここまでキレイに表現してくれるとは。“ヒビ割れ”を“キレイ”と表現するのが正しいかどうかわからないけど(笑)。

─ 「CHAMPAGNE GOLD」という名前は、Jさんのソロ名義での1stアルバム『PYROMANIA』に収録された「CHAMPAGNE GOLD SUPER MARKET」からインスパイアされたものだとか。

J 70年代の、ロックがグラマラスだった時代が僕はとても好きで。このカラーリングは、そこからもヒントをたくさんもらっています。やっぱり自分のシグネイチャーモデルを作るなら、持った時に誰もがワクワクできるものにしたいですから。

─ ボディ材はアッシュで指板材がメイプル、リバースヘッドを採用するなどスペック的にはBLACK GOLDと同じですが、先ほどJさんがおっしゃったように、やはりサウンドに違いはありますか?

J ローの感じが違うし、トーンがこちらのほうが甘い感じがします。でも、まったく違うベースというわけではもちろんないんですよ。そのへんの絶妙な差が面白くて。しかも、弾けば弾くほど体に馴染んでくる。ベーステックも、同じことを感じていたようで“どんどん音が良くなっているよね”と言われて、どこまで成長していくのか本当に怖いくらいです(笑)。今は楽曲によって、BLACK GOLDとCHAMPAGNE GOLDを使い分けていますね。

─ 「J SIGNATURE PRECISION BASS HEAVY RELIC CHAMPAGNE GOLD」の購入を検討している人に、何かメッセージはありますか?

J まずはぜひ、実物を触ってみてほしいですね。サウンドの素晴らしさと、特にこのウェザークラックは一見の価値ありです。1本1本、微妙に違うし、また使い込んでいくことでさらに経年変化が生まれて、自分だけの“たった1本のCHAMPAGNE GOLD”になっていく。その過程も含めて、楽しんでもらえたら嬉しいです。

後編に続く


製品名:J Signature Pression Bass® Heavy Relic® Champagne Gold
希望小売価格:833,800円(税込)
販売開始日:2021年7月2日(金)

J

92年、LUNA SEA のベーシストとしてメジャーデビュー。97年、LUNA SEAの一時活動休止を機に、ソロ名義でバンド活動をスタートし、1stアルバム『PYROMANIA』を発表。その後、LUNA SEA終幕を経て2001年にソロ活動を再開すると、海外から多数のアーティストを招き開催したライヴイベント〈FIRE WIRE〉、史上初、アリーナをオールスタンディングにして開催した日本武道館公演、数多くのゲストバンドを一同に迎えての5日間連続ライヴ〈SHIBUYA-AX 5DAYS〉等、独自のスタイルでライヴを展開。2017年にはソロデビュー20周年を迎え、ベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.』をリリース。現在は2010年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。
http://www.j-wumf.com

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