
MYSTERY SHOPPER | 森 大翔
独自の音を求めるアーティストにとって切っても切り離せない関係の楽器店。本企画「FENDER MYSTERY SHOPPER」では、アーティストが各地の楽器店を訪れフェンダー製品をチェックする。今回は2003年生まれ、北海道・知床 羅臼町出身の若きギタリスト&シンガーソングライター、森 大翔がイシバシ楽器 渋谷店を訪問。イギリス・ロンドンで行われた、16歳以下のギタリストによるエレキギターの世界大会〈Young Guitarist of the Year 2019 powered by Ernie Ball〉で世界一に輝き、ギター演奏はもちろん、歌、作詞、作曲、アレンジでも才能を発揮している彼にとって、楽器店とはどのような場所なのか? 現在使用しているPlayer IIシリーズについても語る。
新しい何かに触れると幅が広がるのも楽器の面白さだと思います
東京でも有数の繁華街であり、近年は海外からの観光客も集まる渋谷。その中心エリアとも言うべきセンター街を通り抜けた辺りにあるのが、イシバシ楽器 渋谷店だ。周囲にあるライヴハウスやCDショップなどに行くことも多い楽器愛好家に、この店舗は長年にわたって愛されている。扱っている製品はギター、ベース、電子楽器、DJ機器、アンプ、エフェクター、アクセサリー類など幅広い。店舗が営業している2階へ向かう前、建物1階の前に立った時点ですでに笑顔を輝かせていた森大翔。エントランスの上に掲げられたStratocasterの大きな看板が彼を出迎えていた。
店内に入った彼がさっそく向かったのはギター売り場。


「ものすごい数のギターがありますね。渋谷でライヴをする時に弦をここに買いに来たりしています。実は3日くらい前にも来ました(笑)。最近はエフェクターをよく見にきてるんですけど、店員さんがたくさんお話を聞いてくれたんですよ。閉店を知らせる音楽が鳴っている中でも、“こういう音が欲しいんです”ってお伝えしたら、とても親切に対応してくださったのが嬉しかったです」と語った直後に関心を示したのは、Jazzmasterと12弦仕様のStratocaster。
「Jazzmasterを弾いたことはまだないんです。12弦のStratocasterも気になりますね。今はオクターバーで12弦っぽい音を出せる時代になっていますけど、実際に12弦を弾いてみたいです。スティーヴィー・レイ・ヴォーンが12弦のアコギを弾いている動画を見て、めっちゃ刺激を受けました」と語る声は、ギターへのピュアな愛情で溢れていた。
最近の彼の愛機の一つがPlayer II Stratocaster(Coral Red)。Player IIの各モデルが並んでいるコーナーを眺め、自身が使っているのと同色、同仕様のStratocasterを見つけると大喜びしていた。

「今までにいろいろなギターを弾いてきましたけど、一番楽器を鳴らしている実感があるのがPlayer II Stratocasterです。“木を鳴らしてる”っていう感覚が一番伝わるんですよね。僕はもともと2ハムのギターでメタルを速弾きしていたので、シングルコイルのトラディショナルなギターは、あまり弾いてこなかったんです。自分で曲を作るようになって、ライヴで演奏するようになった中、“ギターの良い音を伝えたい、ギターの魅力を伝えたい”というのもテーマになりました。そういう僕にぴったりなのが、このPlayer II Stratocasterです。これからも愛用していきたいと思っています」
2024年に発売されたPlayer IIは、イシバシ楽器 渋谷店でも大人気。店内を案内してくれた販売スタッフ・Hさんは、次のように語った。「カラーバリエーションが豊富なので、カラーを気に入って選んでいるお客さまがたくさんいらっしゃるという印象です。SSH、SSSとか、ピックアップの配列のバリエーションもあるので、求めているサウンドに応じて選んでいる方も多いですね。他のシリーズだとSSSのギターをご購入されるお客さまが多いですけど、Player IIはハムバッカーが搭載されているギターもすぐ売れるので、評判が良いようです。Made in Japan シリーズでは少ないMustangとかに関心を持たれるお客さまも結構いらっしゃいます」という説明を聞いて深く頷いた森。Coral Redカラーも自身のStratocasterのお気に入りポイントなのだという。
この店舗に時々通っている彼だが、楽器店に足を運ぶようになったのは、そんなに昔のことではない。「地元が北海道の羅臼で、楽器屋さんが近くに一つもなかったんです。ギター歴4年くらいまではずっとそこで育ったので、もともとは楽器屋さんに行く習慣がなかったんですよね。最初のギターはサンタさんを通じて手に入れました(笑)。2本目のギターは、地元から車で2時間半くらいの北見の楽器屋さんで買いました。あと、楽器屋さんの思い出と言えば札幌ですね。ライヴを見るために羅臼から札幌に行くことがよくあって、その頃の僕はメタルに没頭していたので、試奏でめちゃめちゃ弾き倒すキッズでした」と思い出を語りつつ、実際にさまざまな楽器に触れられる楽しさを噛み締めていた。
「これからの楽器の未来はどうなっていくと思いますか?」という森からの質問を受けて、しばらく考えてから答えたHさん。「最近のギターの傾向として感じるのは、Jazzmasterを弾くアーティストさんも多くなってきているということです。StratocasterやTelecasterはこれからもスタンダードであり続けると思うんですけど、Jazzmasterからギターを始める人も増えていくのかもしれないなと感じています」
知識がないまま足を運ぶのを不安に思うのは自然なことだが、音楽をますます好きになれるきっかけをみつけられるのが楽器店だ。
「怖い印象もあるのかもしれないですけど、“楽器が欲しい”というなんとなくの気持ちで来ていただいても大丈夫です。新学期のシーズンになると中学校、高校の学生さんも多いんです。“これから始めるので”というお客さまもよくいらっしゃいます。初歩的なことからいろいろお伝えできますので、安心してお店にいらっしゃってください」というメッセージを送ってくれたHさん。
「ギターは間違いなく最高の楽器です。僕はいつもそう感じています。ぜひたくさんの人に始めていただきたいですね」と、森もギターを含めたさまざまな楽器の楽しさが幅広い人々に伝わることを願っていた。弾いてみたい楽器があるならば、ぜひ気軽に近所の楽器店に行ってみてほしい。素敵な出会いがあなたを待っているはずだ。

森 大翔
2003年6月生まれの21歳。北海道・知床 羅臼町出身。小学6年の頃、従兄弟からの影響でギターを始める。インターネットでさまざまなギタリストから影響を受け培ったギターテクニックと、大自然で育まれた感性から生み出される楽曲を武器に、16歳の時にイギリス・ロンドンで行われた〈Young Guitarist of the Year 2019 powered by Ernie Ball〉に出場し、英国・米国など100人を対象とする審査を勝ち抜き優勝、世界一に輝く。卓越圧巻のギター演奏と無垢な歌声、そして独創的なセンスで作詞・作曲・アレンジまでサウンドをセルフプロデュースする新世代の才能。2021年9月、デジタルシングル「日日」でデビューし、2023年5月には1stアルバム『69 Jewel Beetle』をリリース。その非凡な才能は開花されたばかりでまだ底知れない。2025年6月6日(金)渋谷WWW Xにて〈森 大翔LIVE「A day of YAMATO 69/25」〉を開催。
https://www.yamato-mori.com/
◼︎リリース情報
「通過点」2025.3.5 Digital Release
※日本赤十字社 令和7年「はたちの献血」キャンペーン
音源: https://a-sketch-inc.lnk.to/Yamato_Mori_Tsukaten
MV:https://youtu.be/Sikr3qQprGc
イシバシ楽器 渋谷店
イシバシ楽器 渋谷店は、日本の音楽シーンの中心とも言える国内最大級の音楽タウン・渋谷に位置する楽器専門店。ギターとベースを中心に、エフェクター、アンプ、シンセサイザー、電子ドラムなど、多彩な楽器を豊富に取り揃え、初心者からプロのミュージシャンまで幅広いニーズに対応。特にギターコーナーは圧巻の品揃えで、国内外のブランドからヴィンテージギターまで、こだわりの一本を見つけることが可能。専門知識を持つスタッフが常駐し、楽器選びの相談やメンテナンスなど、サポートも充実。渋谷というアクセス抜群のロケーションで、気軽に試奏や買い物が楽しめるのも魅力である。イシバシ楽器 渋谷店は、音楽の街・渋谷で、新たな楽器との出会いを楽しめる機会を提供している。
https://www.ishibashi.co.jp/store/shibuya.html