Fender Flagship Tokyo Special Event with Souichiro Yamauchi

フェンダーの世界初の旗艦店として、連日多くの人々が訪れているFender Flagship Tokyo。フジファブリックのヴォーカル&ギターである山内総一郎が、新しいシグネイチャーモデル「Souichiro Yamauchi Stratocaster®︎ Custom」と数量限定モデル「Limited Souichiro Yamauchi Stratocaster®︎ Custom」が発売された10月25日にトークイベントを開催。その模様をレポートする。

新たなシグネイチャーモデルと、山内自身の誕生日を祝う多幸感あふれるイベント

このイベントが開催された10月25日は、山内総一郎の3本目となるシグネイチャーモデルが発売される日であると同時に、山内自身の誕生日でもあるというスペシャルな日であった。

19時の定刻通りにイベントはスタート。新曲「プラネタリア」をBGMにして山内が登場すると、満員のオーディエンスから大きな拍手が起きた。集まったオーディエンスに優しい笑顔でお礼の言葉を述べる山内。MCが、今日は山内の誕生日であることを告げるとさらに大きな拍手と“おめでとう!”の言葉が会場のあちらこちらから上がった。それを機にMCが“みんなでハッピーバースデーを歌いませんか?”と提案すると、会場からはさらに大きな拍手が起こる。それを見た山内は“じゃあ僕が伴奏します!”と応え、ステージに置いてあるSouichiro Yamauchi Stratocaster Customを抱え「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」を弾き始める。山内の伴奏で会場のみんなで「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」を歌い、山内の誕生日を祝った。


そんな多幸感溢れるオープニングに続き、さっそくギタートークへ。ギターを始めたきっかけを聞かれると、中2の時、家にあった父親のアコギを弾いてみたいと思い、父親にGコードを教えてもらって弾き、それからギターにのめり込んだという話を披露してくれた。

意外だが、山内は音楽には苦手意識さえあったそう。父親の助けがあっとは言え、最初に弾いた時から音を出せたことで、一気に音楽、ギターに恋に落ちたそうだ。当然のようにエレキが弾きたくなった山内は、地元・大阪の楽器屋さんに行ってみた…。そこで目にしたのが、たくさんあるギターの中で群を抜いてカッコ良かった青のStratocaster。それを父親に買ってもらって以来、ずっとフェンダーを愛用している(人生で初めて買ったその青いストラトは現在もライヴで弾いている)。


初めてフェンダーを手にしてから30年近い時間が流れたが、山内は今、フェンダーというブランドに対してどのような想いを抱いているのだろうか?

「最初に青のストラトを手にした時から、ギターが僕の身体に馴染んでくれたんです。ギターを弾くまで音楽が苦手だった僕にさえ、フェンダーのギターは寄り添ってくれて、新しい仲間ができた感じだったし、僕の新たな可能性の扉を開いてくれました。それは今も変わらないです。僕以外のフェンダーアーティスト、例えばOKAMOTO’SのハマくんやラルクのkenさんやCharさん…。やっている音楽は違いますが本当に素晴らしい仲間ですし、フェンダーのギターを通して出会った仲間が新しい可能性を開いてくれます。最初に出会ったメーカーさんで自分のモデルが作れるなんて幸せだし、その発売イベントにこんなにたくさんの方が来てくれて本当に幸せです」

そう語り優しい笑顔がこぼれると、会場からは再び大きな拍手が起こった。

フジファブリックは来年20周年を迎える。きっと素敵な企画がたくさん待っているのだろう。山内は「こういう質問をされると、まだ言っちゃいけない情報もつい言っちゃうんですよね」と言って笑わせた。「でも、年内にはいくつか20周年に向けての情報が出せると思います。よろしくお願いします」と、来年も素敵な1年になる予感を充分に感じさせてくれた。

そして、トークはいよいよこの日に発売されたSouichiro Yamauchi Stratocaster Customへ。MCからこだわりのポイントを聞かれると、開口一番、満面の笑みで「今回はこだわりのポイントが多すぎて!」と答え、理想のギターが完成したことを予感させる。こだわりのポイントの前に、開発に至る経緯を話してくれた。

「そもそも15周年の時にTelecaster® Thinlineをベースにしたシグネイチャーモデル(SOUICHIRO YAMAUCHI TELECASTER “MAROON”)を作らせてもらいました。僕はずっとストラトを愛用していますが、実はレコーディングではけっこうTelecasterも弾いていて、ストラトシェイプでテレキャスのサウンドや機能を搭載する理想のギターを作ってみたいと思っちゃったんですね。僕が大好きなストラトと、フェンダーのもう一つの傑作、Telecasterを一緒にする術はないか?とフェンダーチームと一緒に作ったのが、このSouichiro Yamauchi Stratocaster Customなんです」


山内いわく、今までにないギターを空想していたら理想のギターが完成したということだ。改めて、この日のトークで話してくれたSouichiro Yamauchi Stratocaster Customのこだわりのポイントを要約すると以下になる。

●ギターを弾く上でネックは命。そのネックは山内が愛用する54年製のTelecasterを採寸し、そこにさら安定してグリップできる工夫がしてある。

●ボディ材はアッシュだが、ボディを軽くするため、さらに山内が倍音が好きなのもありホロウボディにした。

●ホロウボディにした結果、アンプを通さなくても大きな音が出るし、ボディで鳴っている音をテレキャスのピックアップが拾うことで想像以上に太い音が出る。

●テレキャスの太くて枯れた独特のサウンドの要はブリッジにある。ということでテレキャスのブリッジを搭載。ストラトボディにテレキャスのブリッジは激レア。

●リアピックアップにCustom Wired Vintage Style Single Coil Teleを搭載。このピックアップを載せたテレキャスは「若者のすべて」でも弾いていて、山内の長年のお気に入り。


結果、理想かつ今までにないクリエイティヴなギターが完成した。同時発売されたリミテッドモデル「Limited Souichiro Yamauchi Stratocaster Custom」は、木材や塗装がさらにグレードアップされた究極の1本。付属されるハードケースのクッション部分は、山内が学生の頃に乗っていた阪急電鉄のシートを再現したというマニアックなこだわりも披露された。

トーク後はSouichiro Yamauchi Stratocaster Customでの演奏を披露。ギターに呼ばれるようにクリエイティヴな演奏を披露し、オーディエンスたちを魅了。会場は大きな拍手に包まれた。ちなみに、ニューシングル「プラネタリア」ではSouichiro Yamauchi Stratocaster Customを全開で弾いているので、その音色を知る参考にしていただきたい。


演奏後、この日のイベントの感想を口にする山内からは何度も“感謝”という言葉が発せられた。

「こんなにたくさんの方に集まってくれたことに感謝です。そして、自分のシグネイチャーモデルを販売させてらえることにも感謝です。こうしてたくさんの方が集まってくれた空間で演奏すると、さらに良い音が出せたと思います。このギターのボディは白ですが、それは真っ白なキャンバスみたいなもので、ここにみんなも自分の色をつけてくれたら本当に嬉しいです」と格別な笑顔を見せる。トークの締めは、これからギターを始める人へのメッセージだ。

「音楽をやっていたから素敵な友達と出会えました。ギターが好きだったから今ここにいます。ギターって、一人の人生を変えてくれます。ポジティヴにそれを信じてギターに向き合えば、その想いにギターも応えてくれると思います」

それは中学生の時にギターを手にし、真摯にギターに向き合い続けてきた山内自身に向けての言葉でもあるように思えた。最後にもう一度、会場のみんなで「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」を歌って山内の誕生日をお祝いし、イベントはクローズした。

Souichiro Yamauchi Stratocaster®︎ Customについてのインタビューはこちら
前編:https://fendernews.jp/special-interview-souichiroyamauchi/
後編:https://fendernews.jp/special-interview-souichiroyamauchi-2/

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