
音羽-otoha- Special one man live 2025 HELL0w0RLD!
次世代アーティスト育成プログラム「Fender Next」2025年度選出アーティストであり、ジャンルにとらわれず多彩な楽曲を紡ぐシンガーソングライターの音羽-otoha-(以下:音羽)。ギタリストとしての実力も折り紙付きの音羽が、2025年8月11日(月・祝)Zepp DiverCityにて単独公演〈Special one man live 2025 HELL0w0RLD!〉を開催した。今回は、フェンダーギターが活躍した場面を中心にレポート。
American Ultra Telecasterによる息をのむようなプレイでフロアに緊張感をもたらす
《「ハローハロー調子はどう?」》と、音羽-otoha-がAmerican Ultra Telecaster(Arctic Pearl)をかき鳴らしながら語りかけるように歌った「アズライト」で、ライヴがスタート。芯のある歌声と硬質できらびやかなギターサウンドにより、ファンの心をつかむ。続く「電光石火」では、壮大なアンサンブルの中でTelecasterの豪快な音色が存在感を放っていた。
“皆さん、楽しんでますか? 私が一番楽しんでるんですけどね(笑)”と無邪気な笑顔を見せつつ、ソールドアウトを達成した喜びを噛みしめた音羽。今回の〈HELL0w0RLD!〉という公演名は、プログラミング初学者が最初に画面出力する定番の文字列「Hello world」に由来しているという。“私は音楽を一つのプログラムだと思っていて。あなたのどんな感情にも24時間応えられるプログラムのような音楽を作り続けてきたつもりだし、これからもきっと作っていくんだろうなと思います”と語り、“今日は皆さんに全力で伝えて帰るので、皆さんも全力で応答してください!”と宣言して、アコースティックギターを手に「pineapple tart」「ヒューマノイドラブ」を歌い上げた。
さらに“ここからノンストップで行きます! 忘れられない一日にしましょう”と煽り、ハンドマイクで「六秒間」を力強く艶やかに歌唱する。間奏では2024 Collection Made in Japan Hybrid II Stratocaster HSS(Forest Blue)を手にし、アームを駆使しながらテクニカルなプレイを展開。高音域が明瞭なシャープな音色を響かせる。Hybrid II Stratocaster HSSの立ち上がりの速さによって、音羽のプレイのニュアンスが余すことなく観客に届いていた。「狂信者のパレード-the Parade of Battlers」「闇夜のダンサー-Dancer in the Dark Night」では、パンチのあるサウンドで勢いを加速。激しくバッキングした際にも音の粒立ちが良く、ギターソロではクリアな音で繊細なプレイをサポートしたHybrid II Stratocaster HSS。その魅力を存分に活かす音羽の演奏も圧巻だった。

再びAmerican Ultra Telecasterに持ち替えた音羽は、ネックベンドやピックスクラッチを行い、息をのむようなプレイがフロアに緊張感をもたらす。観客のクラップに呼応するようにギタープレイの熱も高まっていき、会場に歓声がこだました。さらにサポートメンバーとのセッションタイムに突入すると、情熱的なプレイで圧倒。その後は突如フロアに降り、観客の目の前でギターを演奏する。狭い通路でも巧みなプレイを展開する音羽の技量と、それを見事に支えるAmerican Ultra Telecasterのプレイアビリティの高さが伺える場面だった。
ステージに戻った音羽は、8月27日リリースのEP『platinum anthem』収録曲「Returner」を披露。パッション溢れる演奏に観客は拳を突き上げて盛り上がる。さらに、トークボックスの演奏で魅せた「IYAIYA」、津軽三味線の演奏をステージで初披露した「ほな、さいなら!」と、さまざまな楽器を操りマルチな才能を見せていく。「かざぐるま」では、American Ultra Telecasterがこれまでの楽曲で展開した武骨なサウンドとは一味違う澄んだ音色を響かせ、ポテンシャルの高さを感じさせた。
ライヴが終盤に差し掛かると、音羽はインタビューでも語っていたギターや曲作りを始めた中学時代のことを振り返る。そして“私は見ての通り音楽以外は不器用な人間だったんですけど、逃げ道である音楽に没頭して、逃げて逃げて逃げてきたら、気づいたらここに立っていました。過去の自分に教えてあげたらどんな顔をして驚くんだろうなって思います”と感慨深げに語る。さらに、今やりたいことがある人や、これから好きなことを見つけるであろうファンに向けて“私の音楽があなたの心に残って、少しでも何か動き出せたり、どうしようもない環境から逃げられたりできたらいいなと思います”と伝え「鮮やかなグレー」を披露。荒々しさと温かさを併せ持ったAmerican Ultra Telecasterのサウンドが、エモーショナルに響いていく。
“次の曲は、「孤独から孤独へ」をテーマに作った曲です。今、私はこうやって温かい味方のみんなに囲まれて、たくさんの人が見守ってくれていて、そこに敵意なんて1ミリもなくて、こんな自分をすごく幸せに感じていて。でも、もしかしたらあなたはあなたの中の触れられない奥深くで孤独を感じているかもしれない。それは、今こんなふうに立っている私も同じです。私は自分が弱くて脆いことがわかっているから、曲を書いて、人前で叫んで、誰かに届くように伝え続けています。だから、あなたが歌って応えてくれたら、それ以外に何も要りません。どうか最後に歌って応答してくれたら嬉しいです”と述べ、「no man’s world」を演奏。会場の心を一つにして、本編を締めくくった。
アンコールの「駆落」では、音羽が1階席後方から登場。少しでもファンの近くに行きたいという想いを胸にフロアを歩き回り、歌を届けていく。その後、2026年2月21日に神奈川・KT Zepp Yokohamaにてワンマンライヴを開催することを告知して“今日が終わっても、早速明日から音楽や音楽じゃない何かを作り始めることだろうと思います。楽しみは尽きません。もしかしたら、明日からダルいなと思うことがやってくるとしても、生きていたら楽しみはいつか絶対あるし、なければ私が作り続けます。明日からも一緒に生きていきましょう!”と、American Ultra Telecasterを力強くかき鳴らしながら「大生解」を歌い上げる。ストローク時の歯切れの良いサウンドやソロの際のクリアな音など、American Ultra Telecasterは1曲の中でさまざまな表情を見せ、凛とした歌や楽曲に込められたメッセージを引き立てる。最後に音羽はファンに向けて深々とお辞儀をし、ステージをあとにした。

Photo by ヨシモリユウナ
【SET LIST】
1. アズライト
2. 電光石火
3. pineapple tart
4. ヒューマノイドラブ
5. 六秒間
6. 狂信者のパレード-the Parade of Battlers
7. 闇夜のダンサー-Dancer in the Dark Night
8. Returner
9. IYAIYA
10. ほな、さいなら!
11. かざぐるま
12. 鮮やかなグレー
13. no man’s world
ENCORE
1. 駆落
2. 大生解
音羽-otoha-:https://otohaofficial.com/