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SCANDAL WORLD TOUR 2022 “MIRROR”

ガールズロックバンドのSCANDALが、全国ツアー〈SCANDAL WORLD TOUR 2022 “MIRROR”〉の国内ファイナル公演を中野サンプラザにて開催。その模様をレポート。

有機的に絡み合うタイトなアンサンブルが観客の気持ちを鷲掴みに

ターニングポイントを印象づけるように、新しいシグネイチャーモデルを8月に発売することを発表した6月11日、SCANDALは10thアルバム『MIRROR』のリリースツアーの国内ファイナル公演を中野サンプラザで迎えた。メンバー4人がこれまでのイメージを打ち壊すことを恐れずに取り組んだ挑戦と、その結果と言える成長が聴きどころだったとも言える『MIRROR』を引っ提げ全国を廻ったツアーもまた、彼女たちの挑戦と成長を印象づけるものになった。単純に盛り上がることだけを求めないライヴは、更に見応えあるものとなり、そこにこそバンドの成長が感じられる。そんなライヴが観客から大歓迎されたことは、この日、HARUNA(Vo, Gt)が言った「みんなで育てた『MIRROR』というアルバムを持って、海外(北米およびヨーロッパツアー)に行ってきます」という言葉からもうかがえた。

ステージの前に下ろされた紗幕が観客の期待をかき立てる中、ミラーボールの光を映し出したその紗幕がRINA(Dr, Vo)が叩くシンバルのカウントとともに文字通り切って落とされる。そして、銀色のフード付きケープ姿の4人が深い霧の中、アルバム表題曲の「MIRROR」を演奏するという幻想的かつ壮大なオープニングがいきなり観客の気持ちを鷲掴みに!

観客が度肝を抜かれたことは、MAMI(Gt, Vo)が奏でるMami Stratocaster®のリーバービーな音色に包まれながら、固唾を呑むようにステージの4人を見守っている観客の様子からも明らかだ。そこから一転、ケープを脱ぎ、「騒げ!」とHARUNAが声を上げ、つなげた「Flashback No.5」からバンドの演奏はいきなりフルスロットルのエネルギッシュなものに急展開。そして、「東京ファイナル! まだまだ行ける!?」(HARUNA)と畳み掛けた「EVERYBODY SAY YEAH!」のダンサブルな演奏に応え、観客が一斉にジャンプを始めると、「めちゃめちゃ熱い夜になりそうだね!」とHARUNAが快哉を叫んだ。

「サンプラザがこんなにぎゅうぎゅうになるなんてすごいね。こんなご時世にソールドアウトするって、どれだけ大変なことか!」

3月に始まった10thアルバム『MIRROR』のリリースツアー〈SCANDAL WORLD TOUR 2022 “MIRROR”〉がこの日、ついにファイナルを迎えることと、そのファイナルがソールドアウトしたことを観客に伝えたHARUNAは、「楽しみにしてくれた気持ちに、その何倍ものハッピーを返せるように私たちも楽しくやっていきたいと思います。最近SCANDALを知った人も、ずっと前から応援してくれてる人も、全員が楽しめる1日にしたいです!」と宣言。

その言葉通り、この日、4人が披露した全22曲からなるセットリストは、SCANDALが持つ多面的な魅力を曲ごとに表現するものだったと思うのだが、その中でHARUNA、MAMI、TOMOMI(Ba, Vo)は複数のギター/ベースを、そしてRINAは生ドラムとドラムパッドを使い分け、さらに曲によってはシーケンスでさまざまな楽器の音色を鳴らしながら、曲が持つポテンシャルを存分にアピールしていった。

その意味で言うなら、見どころはやはり前述した「MIRROR」やRINAがドラムパッドを叩きながらメインヴォーカルを担当したダンスナンバー「彼女はWave」をはじめとする『MIRROR』の収録曲となるだろう。2時間に及ぶ熱演の中で、4人は『MIRROR』の全10曲を演奏したのだが、「ここからはニューアルバムの曲をたくさんお届けしたいと思います」(HARUNA)と『MIRROR』からの、しかもミッド~スローナンバーばかりを披露した中盤のセットリストは、同アルバムにおけるチャレンジを今一度ライヴというシチュエーションで印象づける挑戦的なものだったと思う。

ピアノとホーンをシーケンスで鳴らしながら、TOMOMIがメインヴォーカルを務めた「愛の正体」はゴスペル風のコーラスを加え、ソウルフルな魅力をアピール。心地良いグルーヴに体を揺らした観客のハンドクラップが4人の演奏に熱を加えたのだから、観客にハンドクラップを求めたRINAはまさにファインプレイ。MAMIがアコースティックギターを弾きながらメインヴォーカルを担当した「アイボリー」は、HARUNAとTOMOMIが重ねたハーモーニに加え、TOMOMIがTomomi Precision Bass®で奏でたフォーキーな曲調に相応しい温もりある音色も聴きどころだった。

続く「蒼の鳴る夜の隙間で」では、切ない歌の裏で鳴るHaruna Telecaster®の歪ませたリズムプレイに絡むMAMIのAmerican Professional Telecaster®︎ Deluxeの揺れ系の音色のフレーズという、空間を意識したアンサンブルを披露。そして、HARUNAの弾き語りにバンドが寄り添うように演奏したバラードの「愛にならなかったのさ」は、感情を込めながらリラックスしたHARUNAの歌もさることながら、Mami Stratocasterに持ち替えたMAMIのチョーキングで泣かせるようなギターソロの、アルバム音源以上に艶やかな音色に耳を傾けずにいられなかった。

もう1曲、『MIRROR』からバラードの「プリズム」を披露。楽曲をじっくり聴かせ、観客を魅了することがテーマだったのでは、と改めて思わせた中盤を締め括ったのが、アンセミックな「eternal」。1曲目の「MIRROR」同様にスモークを使って幻想的な光景を演出しながら、音のインパクトに頼らずにアピールした曲のスケールと、有機的に絡み合うタイトなアンサンブルが、今一度観客の気持ちを鷲掴みに。この日のハイライトの一つだったと思うのだが、「もっとみんなの笑顔を見たい!」(HARUNA)と4人は、さらに畳み掛けるように「夜明けの流星群」から「瞬間センチメンタル」「A.M.D.K.J.」「Image」とアップテンポのロックナンバーをつなげ、フィジカルな反応で応える観客を存分に楽しませていった。

そんな後半戦では、HARUNAがHaruna Telecasterから持ち替えたMade in Japan Troublemaker Telecaster®️(Arctic White)の太いクランチサウンドと、TOMOMIが弾いたPrecision Bass®️ (DELUXE ACTIVE P BASS SPECIAL)のソリッドな音色が存在感をアピール。

その勢いのまま駆け抜けていくのかと思いきや、本編最後を締め括ったのは、ハンドマイクで歌うHARUNAに加え、American Professional Telecaster Deluxeに持ち替えたMAMI、Tomomi Precision Bassに持ち替えたTOMOMIも軽やかにステップを踏んだファンキーな「one more time」。HARUNAの「Clap your hands!」という掛け声に応え、手を叩きながら体を揺らす楽しそうな観客の姿を見ながら、MAMIがカッティングを奏でる。中音域が印象的でふくよかな音色が意外にパワフルに聴こえたことと、曲の終盤、短くディレイを掛けたカッティングが耳に残ったことを忘れずに記しておきたい。

「いろいろな世代のお客さんが一緒に楽しむことができるなんて、すごいことだと思いました。『one more time』でみんながクラップしたり、飛び跳ねたりしているところを見ながら、奇跡的なことをやっているって単純に嬉しかった。これからも胸を張ってSCANDALのファンだと言ってください。それに恥じない自分たちでい続けます!」

そう誓ったHARUNAは、「(今回のツアーを通して)もうすでにいいグルーヴになっている」と、これから行う北米、そしてヨーロッパツアーの自信を口にした。

「次は夏フェスで会いましょう!」(HARUNA)

ツアー中、日替わりだったというアンコールにこの日4人が選んだのは、「DOLL」「LOVE SURVIVE」「SCANDAL BABY」という、歴が長いファンほど嬉しかったに違いないロックナンバーだ。そんなアンコールでは、それまでのファンシーな衣装をTシャツとカラーパンツに着替えたカジュアルな4人の姿から、本ツアーの締め括りを観客と一緒に楽しんで演奏したいという思いもあったのでは、と想像した。ステージでダメ押しの熱演を繰り広げる4人と、それに精一杯応える観客が大きな一体感を作り出し、この日のツアーファイナルは大団円を迎えたのだった。

【SET LIST】

1.MIRROR
2.Flashback No.5
3.EVERYBODY SAY YEAH!
4.夕暮れ、溶ける
5.彼女はWave
6.STANDARD
7.テイクミーアウト
8.愛の正体
9.アイボリー
10.蒼の鳴る夜の隙間で
11.HARUKAZE
12.愛にならなかったのさ
13.プリズム
14.eternal
15.夜明けの流星群
16.瞬間センチメンタル
17.A.M.D.K.J.
18.Image
19.one more time

ENCORE

1.DOLL
2.LOVE SURVIVE
3.SCANDAL BABY


SCANDAL : https://www.scandal-4.com/

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