THE ONE. FOR MICHIYA HARUHATA(TUBE).

無骨で、木にマイクがついて、棒が刺さっている。そのストレートな音がすごく気持ち良いんです

アーティストが日頃より愛用しているフェンダーギターと、新たに発表されたAmerican Professionalシリーズのギターをまったく同じ環境で演奏し、見た目、弾き心地、トーンなどの違いを語ってもらう“THE ONE. FOR ALL.”。当企画の肝は、新モデルがどんなものなのか事前にまったく知らされないまま初対面を果たすということ。だからこそリアルな反応を見ることができる。今回は、2025年にデビュー40周年を迎えたTUBEのギタリスト、春畑道哉が登場。愛用ギターについて語ったあと、いよいよ新モデルとご対面。その反応やいかに?


最近はTelecasterにハマっている

──まずは、春畑さんが最近お気に入りのフェンダーの1本を紹介してください。

春畑道哉(以下:春畑) これは結構最近改造してもらったTelecasterで、2025年から2026年にかけて行ったTUBEのツアーでも、40公演ずっと一緒に廻っていたんです。ピックアップを交換して、Bigsbyアームも取り付けてもらいました。オールディーズっぽい曲にも合うし、めっちゃロックなリフにも合う。昔からStratocasterばかり使っていたんですけど、最近はTelecasterにハマっていて、すごく気に入っている1本です。

──春畑さんと言えばStratocasterのイメージが強いですが、Telecasterに惹かれるようになった理由は?

春畑 テレも昔から持ってはいたんですけど、だんだん素朴なサウンドが気持ち良くなってきたのかな。ストラトみたいに器用なことはいっぱいできないんですよ。無骨で、木にマイクがついて、棒が刺さっているみたいな(笑)。でも、そのストレートな音がすごく気持ち良いんです。

──この1本も、かなりカスタマイズされていますね。

春畑 もともとはだいぶ昔に手に入れたFender Custom Shopのものなんですけど、最初は白いピックガードだったし、今とは全然違うルックスでした。僕、変な趣味があって、ピックガードを着せ替えたり、ネックを付け替えたり、いろいろいじりたくなるんですよ(笑)。これだったらこのピックアップが合いそうだなとか、こんな見た目にしたらカッコ良いだろうなとか。

──このテレのカスタマイズで、特にこだわった部分は?

春畑 大きいのはBigsbyアームとワイドレンジハムバッカーですね。テレキャスのフロントのシングルピックアップの音も大好きなんですけど、TUBEにはハードな曲も多いので。あのツアーは40年を振り返るような、いろんな時代の曲を演奏するツアーだったから、この1本で幅広く対応できるようにしたかったんです。

──Bigsbyアームは、ストラトのアームとは感覚が違いますか?

春畑 全然違いますね。ストラトのシンクロナイズドトレモロだったら音程を大きく下げられるけど、Bigsbyは半音ぐらいの変化でいい。その感じが良いんですよ。コードをジャーンと鳴らして、ちょっとビブラートをかけるだけで、ものすごく雰囲気が出る。楽器によって生まれてくるリフも違うし、このギターならではのイメージが湧いてきますね。

──ピックアップの変更も、サウンドに大きく影響していますか?

春畑 そうですね。テレキャス特有のジャリジャリした感じは残しつつ、ノーマルのピックアップより低音がしっかり出る。だからライヴでも、最新曲から古い曲まで、ほぼこれ1本で弾けたんです。あと22フレットにしてもらったので、これはもう出来上がっていますね。

──春畑さんにとって、理想のTelecasterが完成したわけですね。

春畑 ひとつの理想ですね。


改造が思い浮かばないほどの完成度

──そんな春畑さんに、今日はフェンダーの新作Telecaster(American Professional Telecaster)を、事前情報なしで初めて試奏していただこうと思います。

春畑 (ケースを開けて)おぉ! カッコ良い! あ、22フレットまである。ハイポジションも弾きやすいようにネックジョイントの角が削ってあるんですね。良いバランスだなあ。

──実際に弾いてみてください!

春畑 (試奏しながら)良い音ですね。おぉ、手元のスイッチングで音がすごく変わる! これ、何のスイッチなの?

──ピックアップの配列が変わって、ハムバッカーのような太い音も出せるんです。全部で4種類のサウンドが楽しめます。

春畑 すごい! ノーマルなテレキャスのルックスなのに、いろんなサウンドが出る。しかも良い太さの音! これはすごい!

──改めて、第一印象はいかがですか?

春畑 自分ではこういうナチュラルな仕上げのものを持っていないので、まじまじと見たら“あ、カッコよ!”って思いました。もっと塗装を剥がしたようなギターは持っているんですけど、これは綺麗ですね。それに、ハイポジションまで本当に弾きやすい。

──サウンドについては、先ほど“良い太さ”とおっしゃっていましたね。

春畑 そう。音のバランスがすごく整っているんですよ。テレキャスらしいバキーンとした音も出るし、バンドのアンサンブルにもすごく馴染みそう。すぐバンドに持っていってもハマると思います。

──演奏時のギターとしてのバランスも良いですか?

春畑 すごく良いです。僕のテレキャスは改造したことで重くなってしまって、ちょっとバランスが悪いんですよ。でも、これは体にぴったり収まる感じがする。音も弾き心地も、すごくバランスが良いですね。

──しかも、エフェクターを使わずに多彩な音色が出せる。

春畑 そうなんですよ! アンプ直なのに、こんなにバリエーションがある。これは使える! どうなってるの? 配列を変えるだけ? 俺のテレキャスにもこれやってもらえないかな(笑)。

──さっき、もう完成形だとおっしゃっていたのに(笑)。

春畑 全然(笑)。これは取り入れたい!

──この新作は、どんな音楽やプレイヤーに向いていると思いますか?

春畑 本当にどんなスタイルにも合うと思います。めっちゃロックでもいいし、一人でカントリーのフレーズをいっぱい研究する人にも最高。オールドのテレキャスより本当に弾きやすいんですよ。フェンダーらしいサウンドはちゃんと出るのに、演奏しやすくなっている。すごいと思います。

──初心者にもおすすめできそうですね。

春畑 もちろん。でも僕はいつも、ギターを持ったらバンドをやってほしいって言っているんです。一番楽しいですからね。家で練習するのもいいけど、ぜひバンドの中でいろんな音を試してほしいです。

──ご自身のカスタマイズしたTelecasterと比べると、どんな違いがありますか?

春畑 僕のはだいぶ独特なギターになってしまったけど、これはすごく実践的ですね。どこにでも連れていけるというか。ロックはもちろん、ジャジーなセッションにも全然持っていける。これだけ弾きやすくて音のバリエーションもあれば、何でもできそう。不可能なことが何もないというか、どこにでも一緒に行けるギターですね。

──ちなみに、このモデルはアメリカ製で価格は30万円ほどです。

春畑 へえ! 今のご時世では安いんじゃないかな。僕が高校生の頃は、アルバイト代で10万円出すのも大変でしたけど、今は何もかも物価が上がって、ギターもすごい値段になっていますからね。その中で、このクオリティで30万円というのは安いと思います。

──長く使える1本だと考えれば、なおさらですね。

春畑 そうですよね。やっぱり安く感じてしまう。すごいなあ。

──最後に、今回のTelecasterを総評していただけますか?

春畑 めっちゃ気に入りました。最高です。何十年も前に完成されていたギターなのに、これ以上どこを良くするんだろうって思うじゃないですか。でも、弾いてみると“あ、また良くなった!”って。どんどん進化しているんですね。びっくりします。

──カスタマイズ好きの春畑さんですから、これもどこか改造したくなるんじゃないですか(笑)?

春畑 いや、これは本当に、もうこのままで22フレットあって、こんなに弾きやすくて、バランスも良くて、音のバリエーションも豊富でしょ。改造が思い浮かばないっすよ(笑)。

左:ご本人私物 | 右:American Professional Telecaster(Natural)


春畑道哉(TUBE)
1966年11月5日、東京都生まれ。1985年、TUBEのギタリストとしてシングル『ベストセラー・サマー』でデビュー。数々の夏のヒット曲を送り出してきたバンドのメロディメイカーとして、多くの楽曲の作曲を手掛ける。1987年からはTUBEと並行してソロ活動もスタートし、Jリーグのオフィシャルテーマソング「J’S THEME(Jのテーマ)」をはじめ、ギターインストゥルメンタルの名曲を数多く生み出してきた。2002年には日本人として初めて米国フェンダー社と専属契約を結ぶ。2025年にデビュー40周年を迎えたTUBEは、約11ヶ月にわたる全40公演の全国ツアー〈TUBE LIVE AROUND 2025-2026 Keep On Sailin’〉を2026年5月に完走した。
https://www.sonymusic.co.jp/artist/Tube/

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