Ultralist’s Interview II | JIRO(GLAY)

ちょうど“新しい何かを使ってみたい”と思ったタイミングでAmerican Ultra IIが届きました

プレミアムな素材、精巧なクラフトマンシップ、最先鋭のデザインが特徴の新シリーズAmerican Ultra IIが10月16日に発売。多彩なラインナップの中で、American Ultra II Jazz Bassをすでに手にしているのが、デビュー30周年を迎えたGLAYのベーシストJIRO。彼は以前からAmerican Professional IIシリーズを愛用しているが、American Ultra IIもレコーディングで使用し始めているという。ピックアップのアクティヴ/パッシヴモードの切り替えが可能なS-1スイッチ、アクティヴ3バンドEQなども目を引くこのベースの魅力について語ってもらった。


このバンドで勉強してもっとスキルアップさせたいと思った

──楽器を始めたきっかけを教えてください。

JIRO 中学1年の頃です。友だちの家に行ったらエレキギターがあったんですよね。興味を示したら当時の日本のバンドの映像を見せられて、“お前ギターやれ”みたいな感じでバンドに誘われました。

──ベースを始めたきっかけは?

JIRO ギターを始めてからは好き過ぎて、学校から帰ってきたらひたすら弾く毎日だったんですけど、友人の家に使っていないベースがあって、それを譲り受けて弾くようにもなりました。それが高校1年の時ですね。

──ベースに本格的に夢中になったのは、いつでしたか?

JIRO GLAYに入ってからです。GLAYは音楽的にもビジョン的にもしっかりしていたので、“このバンドで勉強してもっとスキルアップさせたいな”と思ったのが、僕のベースの向上心につながったのかなと思います。

──GLAYに加入した頃は、どういうプレイスタイルを目指していましたか?

JIRO GLAYに加入する前にやっていたバンドのリーダーから“ルート弾きはやめてくれ。ベースで派手にしてくれ”と要求されていたんです(笑)。だからGLAYに入ってからもフレーズが派手で、ギタリストの二人にも負けない個性を出すところからスタートしたんですけど、デビューしてから“ベースってそういうものじゃないんだな”と気づいて、“もっとスタンダードなベースでいいのかもしれないな”と思うようになりました。個性を自ら削ぎ落していく作業に入るようになって、“余計なことを弾かないことこそがベースの役割だ”というようなところまで行っていましたね。そういう時期を経て、現在のプロデューサーの亀田誠治さんと出会ったんです。亀田さんは、どんなポップな楽曲でもベースで表情をつけていくタイプで、そこで“ベースで躍動感を出す”ということに対して徐々に再び向き合うようになっていきました。

──フェンダーを初めて手にしたのはいつでしたか?

JIRO 1998年の海外レコーディングの時に、ニューヨークの楽器屋さんで1962年製のJazz Bassを購入したんです。当時は全然使いこなせなかったですね。いろいろ試していた頃だったんですけど、結局、もともと使っていたベースに戻っていく感じでした。でも、数年前にフェンダーさんの企画で対談をする機会があって、それからAmerican Professional IIをライヴで使ってみたら、めちゃくちゃ良くて。そこから今に至るまで、メインのベースとして君臨し続けています。

──フェンダーの製品全体に対しては、どのようなイメージがありますか?

JIRO 使ったら間違いないんです。僕は変形ベースが好きだったので、フェンダーに行き着くまでに時間がかかってしまったんですけど、使ったら間違いないだろうなとも思っていました。それはどのミュージシャンも感じていることだと思います。


“JIROじゃないとだめだ”と言われるようなベースにこだわりたい

──American Ultra II Jazz Bassの印象をお聞かせください。

JIRO American Professional IIがあまりにも気に入り過ぎて、サブでもう1本購入したんです。“それでいい”と思っていたんですけど、パリオリンピックの閉会式のロサンゼルスオリンピックへの引き継ぎで、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが今までに見たことがないベースを使っていたんですよね。“僕も新しい何かを使ってみたい”と思ったちょうどそのタイミングで、今回のこのAmerican Ultra IIが届きました(笑)。使ってみたら、めちゃくちゃいいですね。すでにレコーディングで使っていて、プロデューサーの亀田さんからも“いいベースだねえ”というお褒めの言葉をいただきました。

──お気に入りのポイントは?

JIRO アクティヴとパッシヴの切り替えができるので使ってみたら、アクティヴにした時のベースをちょっと持ち上げたサウンドが、ものすごく僕好みでした。レコーディングでもそのセッティングで弾いたんですよ。低音の締まりがしっかりとしながら、フレーズも埋もれないというか。サステインの伸びも気持ちいいです。ネックの滑り具合も最高ですし、ジョイント部分の形状はハイポジションが弾きやすいですね。今まで4点留めのベースしか使ったことがなかったんですけど、5点留めはプレイの幅が広がります。

──アクティヴ3バンドEQのトーンコントロールはいかがですか?

JIRO ロー、ミドル、ハイの調整ができるので幅広い音が作れます。EQのコントロールでさまざまな音色に変化させられるので、家でのプリプロでベースラインを作る時にちょっとローを足すと、R&Bみたいな感じも気持ちいいです。制作に関しても幅が広がる1本ですね。バラードから激しいロックまで対応できるだろうなと感じています。歌もののバンドで弾いている人には絶対にオススメできます。

──ボディカラーに関してはいかがですか?

JIRO かなりステージ映えするんじゃないかなと思っています。あと、アルミニウムのピックガードのベースは初めてです。

──サウンドから外見に至るまで、ライヴで頼りになるベースでしょうか?

JIRO そうですね。チューニングもすごく安定しています。僕はライヴでイヤモニをしているので、アクティヴのセッティングにしておくと、“ちょっとローが欲しいな”という時のコントロールもできると思うので、今後のライヴで使うのが楽しみです。

──GLAYは今年デビュー30周年ですね。

JIRO そうなんです。“GLAY聴いてました”というお言葉をいただく機会がすごく増えて、“30年ってそういうことだなあ”って感じますね。

──メンバーの皆さんはずっと仲がいいですよね。

JIRO 仲がいいです。TAKUROとTERUはリハーサルで毎日会っているのに、誘い合ってご飯に行っていますから。“昨日も一緒にご飯に行ってなかった?”って思うんですけど(笑)。“4人でご飯行かない?”ってTERUが突然言って、“何かあるの?”って聞いたら、“いや。特に何もないけど、なかなか予約がとれないお店の予約が取れたから”っていうこともありました(笑)。

──(笑)。最新アルバム『Back To The Pops』はどのような作品になったと感じていますか?

JIRO “どこを切ってもGLAYらしい”って言われるような作品になったと思います。重いテーマの曲ではなくて、ポップなGLAYを感じていただけるアルバムですね。

──11月からスタートするアリーナツアーでは『Back To The Pops』からもたくさん披露されると思いますが、American Ultra II Jazz Bassで弾きたい曲はありますか?

JIRO どの曲も合うと思います。『Back To The Pops』のレコーディングでは、ほとんどの曲でAmerican Professional IIを使ったので、American Ultra IIで弾いても気持ちいいでしょうね。

──来年の2月22日には、東京ドームでの〈The Millennium Eve 2025〉も開催されます。25年ぶりのLUNA SEAとの2マンですね。

JIRO はい。先輩たちと一緒に楽しい時間を作れたらなあと思っています。Jさんは、フェンダーさんからシグネイチャーモデルを出しているじゃないですか? 僕のこの記事を見たら、おそらく反応すると思います(笑)。

──デビュー30周年を経て見据えている目標は何かありますか?

JIRO 少しでも上手くなりたいですし、プレイの幅も広げていきたいです。でも、僕はGLAYのベーシストですから、“JIROじゃないとだめだ”って言われるようなベースにはこだわりたいですね。

──ここ数年、若手ベーシストからの刺激も受けているそうですね。

JIRO はい。多田くん(多田尚人)はR&Bやモータウンとかに詳しくて。あと、変拍子バキバキのインストバンドのLITEのメンバーの井澤くん(井澤惇)とも親しくさせてもらっています。僕が持っている62年製のJazz Bassを多田くんが弾きたいと言って、井澤くんも誘って家で飲んだことがあったんです。家には他にもいろいろなベースがあるので、2人が弾いているのを眺めていたんですけど、“すげーな!”って思いました。そこで思ったんですよね。自分が得意な分野は8ビートの躍動感なんだと。弾けないことのほうがまだまだ多いですけど、自分には自分の培ってきたものがあるんですよね。

──自宅でベースに関する動画を見ながら弾いてみることも増えているようですね。

JIRO そうなんです。そういう時間は大事ですね。“この年齢になってもベースって楽しいな!”って思えたのは、すごく良かったです。例えば多田くんのYouTube動画を見た時も、“俺、これはまったく弾けない”から始まって、そのあとに“ちょっとできる”になって。でも、その翌日にはまたできなくなっていて(笑)。そういう繰り返しでだんだん自分のものにしていくのは、学生時代みたいで楽しいです。もともと上手いプレイヤーも、そうでもないプレイヤーも、モチベーションを持って取り組めば何歳になっても成長できると思うんです。それが楽器の魅力ですね。


JIRO
北海道出身のロックバンド、GLAYのベーシスト。TAKURO(Gt)とTERU(Vo)を中心に1988年に結成。1989年にHISASHI(Gt)、1992年にJIRO(Ba)が加入し現在の体制となり、1994年にメジャーデビュー。30周年を迎える2024〜25年にかけては「GLAY EXPO」というテーマを掲げ、さまざまな活動を展開。2024年2月には伝説的ロックバンド「QUEEN」との札幌ドームでの対バンライヴを果たし、3月に北海道出身のバンド怒髪天との対バンライヴ、5月には30周年記念シングルをリリース、6月8日(土)、9日(日)に5年ぶりにベルーナドーム(旧:西武ドーム)にてライヴを開催するなど精力的に活動中。
https://www.glay.co.jp/

Related posts