Voice of Modern | ミヤ(MUCC)-前編-
フェンダーが新しいことをやろうとしている感じがしてすごく魅力的でした
MADE IN JAPAN MODERN SERIESのユーザーであるMUCCのギタリスト、ミヤにインタビューを敢行。前編では、今年からの新たな試みだという配信ライヴでのサウンドメイクについて、また、ギター選びにおけるこだわりを『MADE IN JAPAN MODERN SERIES』の魅力とともに語ってもらった。
― まずは、最近の音楽活動についてお聞かせください。コロナの影響も大きいのではないかと思うのですが…。
ミヤ そうですね、こういう状況なので。ただ、演奏をお客さんに見せるということは止めたくないので、無観客の配信ライヴをしています。それから、僕と事務所で一緒に作った配信専用スタジオで、トーク&セッションみたいなこともやったり。そっちはお客さんが笑いながら楽しめるような形にしていて、この前も僕のバースデー(7月26日)に、MUCCでお笑い要素が強い配信をしました。そういう風に配信でやれることは、とりあえずいろいろやってみようという感じですね。
― 配信の手応えというか、可能性はどうですか?
ミヤ もちろん“ライヴをやりたい”という気持ちは変わらないのですが、配信じゃないとできないこともいっぱいあるということがわかりました。例えばカメラアングルにしても、普段のライヴやライヴDVD/Blu-rayを見ている時とは違うものを見てもらえたりだとか。あとは音ですね。配信ということで、リアルすぎてしまうデメリットを逆にメリットに変えて、臨場感のあるサウンドで、かつ今まで聴いたことがないような音のバランスを考えて作っています。会場の生音では聴けないような、スピーカーから出ていない音を直接イヤホンやヘッドホンで聴ける。わかりやすく言うと、普段埋もれてしまっているコーラスの音が聴こえやすくなっているとか、マイナスに感じるような部分をプラスに持っていく手法をいろいろと実験しています。
― 確かにライヴハウスの爆音の中で聴くのとは違って、細かい音まで聴いてもらえるというのは、ある意味良いかもしれないですね。
ミヤ 楽しみ方として新しいですよね。もちろん最初はお客さんも、やる側としても戸惑いはあったんですけど、それも慣れてくるというか。例えばPAエンジニアは普段、会場の空気とスピーカーを通した音のバランスで全体の音を作っているわけで、そのバランスのまま配信しちゃうと全然違うものになってしまうんです。ライヴでもなければレコーディングでもない、配信ライヴ用のミキシングっていうのかな。そういうものが必要ということが最近わかって、それを突き詰めているのが今は楽しいですね。
― 配信用にギタープレイも変わってくるのでは?
ミヤ ギターとベースに関しては、ラインやアンプシミュレーターが最近充実してきているので、ドラムよりもハードルは低いと思います。アンプで爆音を鳴らせないとしても、(音の出し方の)選択肢はたくさんあるし。
― こういう状況だからこそ、ギタリストとして新しい試みができている?
ミヤ そうですね。この前やってみて思ったんですけど、お客さんのコメントをリアルタイムで見ながら演奏するのって、けっこう面白いんですよ。それこそ、生のライヴでは絶対にできないことじゃないですか。それも新しい形ですよね。チケット代は無料だけど、お客さんがギフトっていう“投げ銭”をしてくれて、そのシステムもある意味フラットでいいなって。
― マイナスな面ばかりではないと。
ミヤ はい。抵抗ある人もいるだろうけど、僕はそう思います。
― なるほど。今回のインタビューでは1年間使っていただいたMADE IN JAPAN MODERN SERIESについてお話を聞いていこうと思うのですが、その前に、あらためてミヤさんがギターに求めているものは何ですか?
ミヤ ルックス。そこは絶対に譲れないところですね。MADE IN JAPAN MODERN SERIESもこのルックスじゃなかったら、出会っていなかったかもしれない。ルックスと自分がイメージしているサウンドって、絶対に“イコール”なんです。ルックスで買ってハズしたギターは10本中1本くらいの確率で、あまりハズすことがない。最近、Instagramとかで海外のまだ日本に入ってきていないギターを探して、直接英語で頑張ってメールして買うんですよ。Instagram上でしか見られないから、完全にルックスで買っているんだけど、それも今のところハズレだったことはないです。
― じゃあ、このMADE IN JAPAN MODERN SERIESもルックスからOKだったと。
ミヤ そうですね。フェンダーが新しいギターを出したという時に、このルックスはだいぶアプローチを変えてきたというか、何か新しいことをやろうとしているなという感じがしてすごく魅力的でしたね。StratocasterとTelecaster、Jazzmasterの3パターンがあって、Telecasterが僕の中で一番好きなシェイプで、まさにドンピシャでした。どんな音がするのかすごく気になって、実際に弾かせていただいて、ライヴでも使うことになりました。
― とは言え、ギターサウンドにもいろいろとこだわりがあると思います。
ミヤ 僕はいろいろなギターを使うので、その時の自分の肌に一番合っている楽器を使うことがこだわりなのかなと思います。“このギタリストは絶対にコレしか使わない!”みたいな、そこがカッコいいアーティストもたくさんいますけど、僕の場合はMUCCっていうバンドがアルバムごとにすごく変化していくバンドなので、そのアルバムの世界観をもとに、衣装を変えるように楽器も変えていいと思っていますし、それがサウンドとイコールになっている部分もあります。本当に時期によって使う楽器が違うので、ずーっと同じギターを使っていることはほとんどないですね。だから、コロコロ変わることがこだわり。逆に、変わらないことに対して怖さを感じるというか。変わらないと進化していない気がするんです。
› 後編に続く
MADE IN JAPAN MODERN TELECASTER® HH
MODERNシリーズは演奏の技術レベルが著しく向上している現代のプレーヤーに最高峰のプレイアビリティとトーンを提供するために開発された日本製シリーズ。TELECASTER® HHには、チューニングの安定性を提供するロッキングチューナー、ブリッジには6連タイプのブロックサドルを搭載。各弦の弦高、オクターブチューニングやブラス製ブロックサドルからは倍音成分を含んだトーンが得られます。
PROFILE
MUCC
97年に結成。メンバーは、逹瑯(Vo)、ミヤ(Gt)、YUKKE(Ba)、SATOち(Dr)。2003年、シングル「我、在ルベキ場所」でメジャーデビュー。2006年には初の日本武道館単独公演を行う。2008年には北米やヨーロッパ、日本を縦断する大規模なイベントRockstar Taste Of Chaos 2008に参加。2012年6月、結成15周年を記念して幕張メッセにてワンマンライヴを開催。最新アルバム『惡』はオリコンウィークリーチャート6位を獲得。2020年12月27日には日本武道館にてライヴを行う。
› Website:https://55-69.com