Billyrrom – nova!nova!nova! vol.2
「FENDER NEXT™ 2024」の日本代表に選ばれた話題の6人組、Billyrromが9月25日、代官山UNITで開催されたイベント〈nova!nova!nova! vol.2〉に出演し、Fender Player IIシリーズを使ったパフォーマンスを披露した。計3組が出演したイベントのトリを飾るにふさわしい盛り上がりを作り出したライブパフォーマンスを、Player IIシリーズから放たれるサウンドに注目しながらレポートする。
Player II を持ち、6人が一丸となって渾身の演奏を繰り広げる
この日、Billyrromがトリを務めた〈nova!nova!nova! vol.2〉は、全国のライヴハウスを熱くする新星たちによるライブイベント。開催2回目となる今回は、First Love is Never Returned、新東京、Billyrromの3組が集い、東京から札幌、福岡、仙台と回りながら4公演を行う。
この日、トップバッターを務めたFirst Love is Never Returnedは、他の追随を許さない“恋する歌声”を武器にR&Bをバックボーンとする全方位型ポップミュージックを届ける札幌の5人組。彼らから受け取ったバトンをBillyrromにつなげた新東京は、メンバー4人の個性と、上品かつ鋭角なセンスとユーモアが交じり合う都会的で、ジャジーなテイストもある新時代J-POPを鳴らす4人組ギターレスバンド。そして、“トーキョー・トランジション・ソウル”を掲げるBillyrromは、ソウル、ファンク、ロックをルーツに次世代ポップミュージックを奏でる東京の6人組。結成は順に2023年、2021年、2020年と3組とも新星という表現がふさわしい若いバンドたちだ。
自分たちが台風の目になって、同世代のバンドとともに新しいカルチャーを作りたいと考えているBillyrromにとって、まさに理想の顔合わせとなったわけだが、1曲目の「DUNE」からバンドが持つスケールに加え、肝っ玉の大きさを見せつけたBillyrromのパフォーマンスからは、この日のトリを見事務め上げることはもちろんだが、前述した台風の目になるんだという気概さえも感じられたように思えた。
その「DUNE」は、Rin(Gt)が存分に歪ませた音色で奏でるリフとMol(Vo, Gt)が響かせる力強い歌声がBillyrromの新境地を印象づけるロックナンバー。両手を広げ、大きなアクションでスタンディングのフロアにアピールするMolの姿は、自信に満ち溢れている。どしっとした重厚な演奏を支えているのは、Shunsuke(Dr)とTaiseiwatabiki(Ba)のリズム隊。Taiseiwatabikiが大胆なグリッサンドを交えながら、Player II Precision Bassで無骨に刻むビートが腰に来る。ロウを強調した音色が心地いい。この日、ファンキーなロックンロールからソウルフルなバラードまでという振り幅を見せつけながら、Billyrromが披露したのはアンコールも含め計8曲。
Taiseiwatabikiのみならず、Rin、MolもPlayer IIをプレイした「Once Upon a Night」は、Billyrrom流のシティポップナンバーだ。Molが歌いながらコードをかき鳴らすPlayer II Telecasterのハイが立ったエッジーな音色がインパクト大。Birch Greenの落ち着いたルックスとは裏腹に出音のでかさとクランチな歪みは、Molのストロークによるものなのか、このテレキャスの特性なのか。一方、Coral Redのボディが目にも鮮やかなPlayer II Stratocasterを手にしたRinはウォームな音色でバッキングを奏でながら、鋭いリードフレーズを閃かせたり、ソロでは歪みの立ち上がりの良さを効果的に使ったりと、Player II Stratocasterが持つポテンシャルを存分にプレイに生かしている印象だ。
Taiseiwatabikiがベースプレイに加えるスラップの音色がワイルドに響く。
「楽しいです! 気持ちがいい。パンパンですね。こんなに来てくれるとは思わなくて。いや、ちょっとは思っていたけど、さすがに目の当たりにすると、気持ちが高ぶりますね! 今日9月25日の午前0時。僕たちの1stアルバム『WiND』がリリースされました。そんな日にライヴができて、みんなと会えることが嬉しいです。初めてBillyrromを見にきてくれた人もたくさんいると思うんだけど、今日のライヴでちょっとでもどんなバンドなのか知ってもらえたら嬉しいです。ここにいる全員で最高に楽しい時間にしましょう!」(Mol)
Yuta Hara(DJ,MPC)がサンプラーでパーカッションの音を加えたラテンファンクな「Time is Over」では、「最高のライヴにするにはみんなの力が必要です!」とMolが観客にクラップを求めつつ、メンバー全員で手を打ち鳴らしながら、その盛り上がりに観客を巻き込んでいく。そして、再びMolとRinがPlayer IIを手にした「SERENADE for Brahma」はバラードとも言える曲調ながら、Yuta Haraが加えたサウンドエフェクトとLeno(Kb,Syn)のオルガンがサイケデリックなムードを演出。その中で一音一音のサステインを活かしながら、ビートをダビーに響かせたTaiseiwatabikiのプレイは、ボディのカラー(Hialeah Yellow)がヴィンテージっぽいこのPlayer II Precision Bassの汎用性の高さを物語っていたとも言えるだろう。そして、Rinはアーミングも駆使しながらエモーショナルなソロを閃かせる。
本編の最後を飾ったのは、ファンキーな「Magnet」。引き続きPlayer II Stratocasterを持ち、音色を歪ませながら軽やかなカッティングをかき鳴らしたRinはギターソロを2回披露。ストラトのポテンシャルを試すように、それぞれミッドロウ、ハイと際立たせる音域を変えるアイディアが心憎い。
そして“Are you ready!?”とMolがフロアを煽ってからの曲の終盤は、Molも再びPlayer II Telecasterを持ち、6人が一丸となって渾身の演奏を繰り広げながら、大きな盛り上がりの中、エンディングを迎えた。ステージの6人が放つすさまじい熱気に圧倒され、Billyrromがライヴハウスシーンでめきめきと頭角を現してきた理由を、遅ればせながら筆者は知ったのだった。
「(アンコールは)せっかくだからアルバムから1曲やります。これは自分たちの裸に近い曲。大事に歌います」
Molがそんなふうに語ってからアンコールに披露したのは、ソウルフルなバラードの「Sun shower」。その終盤、シューゲイザー風になる演奏を聴きながら、ライヴバンドとしてのBillyrromのこれからがますます楽しみになったという人は少なくなかったはずだ。
All Photo by Nobuyuki Seki
【SET LIST】
1.DUNE
2.Defunk
3.Once Upon a Night
4.Time is Over
5.SERENADE for Brahma
6.Narrator
7.Magnet
ENCORE
1.Sun shower
Billyrrom:https://billyrrom.com/