LUNA SEA 復活祭 -A NEW VOICE-

LUNA SEAの結成30周年記念ツアー終了後に、声帯にできた静脈瘤の除去手術を行うことを明らかにしたRYUICHI(Vo)。その後、ついにLUNA SEAのヴォーカリストとしてカムバックを果たしたのが、8月26日、27日に日本武道館で開催された〈復活祭 -A NEW VOICE-〉だ。初日は“Silky Voice”、2日目は“Naked Voice”と銘打ち、それぞれ異なるセットリストをもとにライヴが行われた。今回は2日目“Naked Voice”のレポートをFender ArtistであるINORANとJを中心にお届けする。

幅広い音楽性でありながらレア曲でも魅了した、記憶に残る復活祭

ライヴはSUGIZO(Gt, Violin)の切れ味ある激しいリフのスピードナンバー「a Vision」からスタート。INORAN(Gt)とのギターの絡みも、LUNA SEAスタイルを感じさせる絶妙に構築されたギターアンサンブル。そして、アタックの強いドラミングの真矢(Dr)と攻撃的で厚みのあるベースのJ(Ba)で生み出される、うねるようなグルーヴは圧巻だ。そして、RYUICHIのパワフルな歌声。前日の“Silky Voice”とはまた異なり、力強い歌声こそ彼の持ち味であり、新しく生まれ変わった“A NEW VOICE”の誕生である。

INORANの鋭く突き刺すようなギターからスタートする「TONIGHT」は、BlackのINORAN Jazzmaster®︎ #1 LTD, Masterbuilt by Dennis Galuszka(以下省略)でプレイ。トレブリーかつエッジの立ったギターサウンドが印象的であり、突き抜けるような高音が魅力的だった。ここでワウを駆使するSUGIZO、そして、Jは前曲同様、フェンダーのJ Signature Precision Bass®︎ Heavy Relic®︎ Black Gold, Masterbuilt By Greg Fessler(以下省略)を奏でる。このモデルのカラーは唯一無二のブラックゴールド。J の理想のトーンにチューニングされたハンドワウンドのピックアップの組み合わせによって、ふくよかなミッドレンジを生み出す。続く「Sweetest Coma Again」では、混沌としたダークサイドチューンの中、パワフルでゴツゴツとしたベースサウンドでバンドを支え続ける。パワー感あるサウンドからタイトなサウンドまでバリエーション豊かなベースである。2部構成のライヴでの1部では、このベースをメインに使用していた。

INORANの新しいギターとして登場したのは「The End of the Dream」でのハムバッカー搭載のカスタムショップ製Jazzmasterである。ハムバッキングらしい太いミッドレンジを持ったサウンドが特徴的で、Desert Sandのカラーリングが、黒い衣装とのコントラストも美しく映えるモデルだ。JazzmasterはINORANの代名詞となっているギター。この新しいモデルは1部ラストの「HURT」でも登場。オクターブ奏法でのリフなど、ミッドローが際立ったヌケの良いドライブサウンドだった。この叙情的な曲でシャウトするRYUICHI。彼の真骨頂とも言えるダイナミクス溢れるシャウトは、完全復活したことがわかる瞬間でもあった。

20分の休憩後、メロウでポップな「LUCA」から2部がスタート。ミディアムテンポの大陸的なビートを刻む真矢のドラムと、Jはシグネイチャーベースの第2弾、J Signature Precision Bass Heavy Relic Champagne Goldでスタッカート気味なプレイでビート感を支える。INORANはLake Placid BlueのINORAN Jazzmaster #3 LTDで、柔らかくコード感の広がりを出すアルペジオプレイを聴かせる。SUGIZOはオブリをメインにソロではロングトーンを活かしたサスティンのあるサウンドで魅了。こんな穏やかに2部が始まっていいのかと思っていたら、やはり縦ノリの攻撃的ナンバー「JESUS」へ。そして、疾走感ある名曲「END OF SORROW」と続く。この曲でINORANは再度BlackのINORAN Jazzmaster #1 LTDを持ち、アルペジオで哀愁の世界観を作り出す。

ベースのシンコペーション、アップピッキングの強さとハリが強烈なJのプレイ。2部でメインに使っているChampagne Goldは、主なスペックはBlack Goldそのままに、本人お気に入りのカラーが施されたモデル。Champagne Goldのカラーリングは、Jのソロ楽曲「CHAMPAGNE GOLD SUPER MARKET」から、グラマラスだった70 年代ロックからヒントをもらって製作されたもの。ウェザークラック(外気に曝されたことや環境の変化によって引き起こされる塗装のヒビ割れ)を正確かつ絶妙に表現しているモデルで、ステージでの照明によってラメが反射し、より美しさを醸し出していた。

後半は超スピーディな「IN FUTURE」へ。パンキッシュかつパワーメタルのような攻撃的なサウンドでライヴを盛り上げていく。ここから畳み掛けるようにキラーチューン「Déjàvu」へ。ドライブ感溢れるギターサウンドと、メランコリックなメロディとの対比が美しい。第2部ラストは代表曲の「ROSIER」。この曲はシンコペーションが多く、疾走感とドライブ感が人気の楽曲。迫りくるようなスピード感とメロディと歌詞に高揚し、陶酔していく。

アンコールはバラードの「I for You」からスタート。SUGIZOは骨太のディストーションサウンドで、INORANはOlympic WhiteのINORAN Jazzmaster #2 LTDで浮遊感のあるクリーンサウンドのアルペジオを奏でる。今回、このギターはこの曲だけの登場だったが、中音域の芯をしっかりと持ったレンジの広いサウンドが特徴的だった。歌い上げるRYUICHIの太い声、心に響くよう切なく歌う姿が印象的だった。

アンコールラストは名バラード「UP TO YOU」。真矢はシンプルながら大きなグルーヴの中リズムを生み出し、JはJ Signature Precision Bass Heavy Relic Champagne Goldでドラムを支える裏方プレイに徹する。SUGIZOはディストーションサウンドでコード感に厚みを出し、INORANはOcean TurquoiseのAmerican Acoustasonic®︎ Jazzmasterでアコースティックかつソリッドなアルペジオプレイで魅せる。そしてRYUICHIは、一つひとつの言葉を伝えようと丁寧かつ熱情をもって歌い尽くした。

“Silky Voice”というタイトルどおり、ミディアムナンバーを軸に濃密な世界を作り上げた初日から一転、攻撃的な剥き出しの“Naked Voice”の世界観で魅せたライヴ。叙情的な楽曲から疾走感あふれる曲、攻撃的なパワーロックなど、幅広い音楽性でありながらレア曲でも観客を魅了した、記憶に残る復活祭だった。

Photo by Keiko Tanabe & Masato Yokoyama

【SET LIST】
第1部
1. a Vision
2. TONIGHT
3. Sweetest Coma Again
4. The End of the Dream
5. 宇宙(そら)の詩(うた)~Higher and Higher~
6. 闇火
7. CIVILIZE
8. HURT
第2部
1. LUCA
2. JESUS
3. END OF SORROW
4. SANDY TIME
5. IN FUTURE
6. Déjàvu
7. ROSIER

ENCORE
1. I for You
2. WISH
3. UP TO YOU


LUNA SEA:https://www.lunasea.jp/

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