Fender Flagship Tokyo Special Event with Char

今年“ROCK(69)イヤー”を迎えた日本を代表するギタリストCharが、新たなシグネイチャーモデル「Char Stratocaster Burgundy」の発売記念イベント〈Fender Flagship Tokyo Special Event with Char〉を開催。超満員となった本イベントの模様をレポートする。

お供にフェンダーのギター、悪くないぜ

12月4日に発売されたCharのシグネイチャーモデル「Char Stratocaster Burgundy」を記念して開催されたこの日のイベント。しかも今年はStratocasterの70周年イヤーでもあり、Charのファンはもちろん、ロックギターファンでFender Flagship Tokyoは超満員となった。

定刻の18時半。歓声とともに登場したCharは、発売されたばかりのChar Stratocaster Burgundyを抱え、ギターをつま弾きながら満員のオーディエンスに、2月11日に開催されるライヴ〈A Tribute to Jeff Beck by Char with HOTEI and Tak Matsumoto featuring The Jeff Beck Band -Rhonda Smith, Anika Nilles, Jimmy Hall & Gary Husband-〉などの近況について語り始める。


少しだけ脱線すると…、この日もCharは楽屋でフェンダーのアコギをずっと弾いていた。今年何度かCharと一緒になることがあったが、ギターを弾ける環境の時は常にギターを弾いていた。Charほどギターを弾くことに魅了されているギタリストはいないように思う。

挨拶のあとはChar Stratocaster Burgundyでメジャーコード、マイナーコードなどを弾き、「不思議だよね。音楽に詳しくない奴もギターを弾かない奴も、この和音を聴けばどういう気持ちかわかる。これは人間の持っている特性だよね」とオーディエンスに語りかける。


MCがCharに「オーディエンスの最前右の女性の方をコードで表現してください!」と無茶なリクエストをする。そのオーディエンスをしばし見つめて、ワンコードでその女性を表現するChar。不思議と的を得ている気がする。MCが「その隣の男性オーディエンスを音にすると?」とさらに無茶振りをすると、「男性には興味ない!」と演奏を止めて会場を笑わせた。オーディエンスとのウォーミングアップが終了したところで、MCがChar Stratocaster Burgundyに関してのインタビューを開始。まずは、このシグネイチャーモデルの原型になった59年製のストラトについて。

「銀座にあったスモーキースタジオに、まーちゃん(加部正義)の友達がバーガンディとピンクのストラトを“買わない?”と言って持ってきたんだ。なので出会いは銀座です(笑)。2本で50万円だったんだけど、バーガンディだけ25万円で買ったんだよね。バーガンディを選んだのは、単純にこんな色を見たことがなかったから珍しいなと思って」

それ以来、長年愛用しているこの59年製のバーガンディのストラトは、2018年にCustom Shop製で数量限定発売されたが、それから6年、ロックギターファンが待ちに待った日本製での販売だ。今回の販売の経緯について「ストラトの70周年記念もあったんだろうけど、フェンダーの日本のスタッフから“2018年のUS製とは違うアプローチで、最高のストラトを日本製で作りたい”と言われて、“好きにしたらええやん!”って(笑)」と笑わせた。


とは言え、Charのこだわりが詰まったギター。再現が難しいバーガンディミストの色味、そしてマッチングヘッドは大のお気に入りだ。

「ギターの音に関してはギタリストが作っていくものだから、俺がとやかく言うことではないけど、若くてピチピチの音がするよね。新品のストラトってこの音だよねって。あとは弾く人が育てていけばいい」

そう言いつつ、ピックアップを切り替えてリア、センター、フロント、ハーフトーンの音を聴かせる。チョーキングをしたりトレモロを使って、Char Stratocaster Burgundyのサウンドと特徴を次々と披露してくれた。

その音に耳をそばだてるオーディエンスの熱心さにCharも心打たれたようで、“何か質問があれば答えるよ!”と急遽Q&Aコーナーがスタート。オーストラリアからこの日のために来たというファンからは「もしストラトがなかったら、ロックは、音楽は違うものになっていたと思いますか?」と聞かれ、Char Stratocaster Burgundyでの演奏を交えながらストラトの存在意味を熱く語るなどQ&Aコーナーも大盛り上がり。

その後、Char Stratocaster Burgundyによる演奏タイム。即興、替え歌、CM曲のカヴァーなどを披露してオーディエンスを魅了すると、再びMCがインタビュー。この日のイベントの感想を聞かれたCharは「今日Fender Flagship Tokyoに来た時に、20代ぐらいの若い人がChar Stratocaster Burgundyを試奏してみたいと言っているところに出くわしたんだよ。その人がすごく素敵な笑顔でさ、それだけで満足してそのまま帰ろうかと思ったぐらいだよ」と教えてくれた。


締めは、ギターを始めたばかりのビギナーやこれからギターを始めようと思っている人へのメッセージ。急にCharが「この中でギターを始めて2年以内の人、手を挙げて!」と呼びかける。数名が手を挙げ、そのうちの1人にChar Stratocaster Burgundyを持っていって弾かせる。その演奏を聴き、嬉しそうに「次期うちのバンド候補だな!」と感想を語るChar。最後にChar Stratocaster Burgundyを弾きながらこんなメッセージを送ってくれた。

「腹筋! 背筋! スクワット! だって、音はその人の身体から出てくるものだから。あと、ギターってどこでも弾けるのもいい。ピアノはそうはいかない。俺にもギターを始めた日があって、そこから長い年月が流れたけど一度も飽きたことがないんだよ。それこそいろんな音が出せる。でも最後はジャーンってデカい音を出したくなる。そしたらバンドを組んだらいい。バンドは面白いよ。バンドは小社会だと思う。上手いけど嫌な奴がいたりさ(笑)。あと、慣れてきたら作曲家になってほしい。そうしたらいろんな景色が見えてくるから。そのお供にフェンダーのギター、悪くないぜ」


Char
1955年6月16日東京生まれ。本名・竹中尚人 (たけなか ひさと)。ZICCA REDORDS 主宰。8歳でギターをはじめ、10代からバックギタリストのキャリアを重ねる。1976年『Navy Blue』でデビュー以降、『Smoky』『気絶するほど悩ましい』『闘牛士』等を発表。Johnny, Louis & Char 結成翌年、1979年に日比谷大野外音楽堂にてフリーコンサート「Free Spirit」を行う。1988年 江戸屋設立以降、ソロと並行して、Psychedelix、BAHO での活動を行う。2009年にはWEB通販主体レーベル「ZICCA RECORDS」を設立し、TRADROCK シリーズを発表。2015年5月、還暦アニヴァーサリーアルバム『ROCK 十』を発表。2016年、ギターマガジン誌による、プロギタリストを中心とした音楽関係者へのアンケート投票「ニッポンの偉大なギタリスト100」にて1位に選ばれる。2018年、Fender Custom Shop にて日本人初のプロファイルドモデルを発表、オリジナル楽器ブランドZICCA AX にて、様々なオリジナル楽器アイテムを展開中。2020年、ギターマガジン誌投票「ニッポンの偉大なギター名盤」にて、1stアルバム「Char」が一位に選ばれる。2021年9月、16年ぶりのオリジナルアルバム「Fret to Fret」を発表。12月にはデビュー45周年武道館公演を開催。2022年4月、同公演の映像作品を発売。2023年7月、最新アルバム『SOLILOQUY』を発売。2024年11月25日より自身の69(ROCK)イヤーを記念した全国ツアー”69 SPIRITS” Tour 2024を全国8箇所で開催予定。2025年2月11日(火・祝)に有明アリーナでCharがホストとなり、ジェフ・ベック・バンドのメンバーに加え、布袋寅泰さんと松本孝弘さんも参加される一夜限りのコンサート、「A Tribute to Jeff Beck by Char with HOTEI and Tak Matsumoto featuring The Jeff Beck Band -Rhonda Smith, Anika Nilles, Jimmy Hall & Gary Husband-」が開催予定。
https://www.zicca.net/

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