Rei 10th Anniversary Live 2025 “BLU CROSSROAD”

今年でデビュー10周年を迎えるシンガーソングライター/ギタリストのReiが、そのアニバーサリーライヴ〈Rei 10th Anniversary Live 2025 “BLU CROSSROAD”〉を2月9日、東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催した。この日は自身初となるフェンダーのシグネイチャーモデル、Rei Stratocaster R246の発売日。ステージではもちろん、本モデルが全編にわたって大活躍をしていた。ここではそのライヴの模様をお伝えする。

その存在感をまざまざと見せつけたRei Stratocaster R246

定刻となり、Reiの記念すべき1stミニアルバム『BLU』に収録された、ブルージーで雄大なインスト曲「POMELO」が会場に鳴り響くなか、本日のサポートメンバーである伊藤大地(Dr)、真船勝博(Ba)、TAIHEI(Key)、そして今回が初の共演となる小田朋美(Cho, Syn)がステージに登場。セッティングを済ませ、伊藤のカウントとともにファンキーなバンドサウンドが奏でられる。そして、満を持してReiがステージ袖から姿を現すと、客席からは待ちわびた歓声と拍手が一斉に響き渡る。まずはReiの名刺的な楽曲とも言える「My Name is Rei」から、この日のライヴはスタートした。


Reiが手にしているのは、もちろんRei Stratocaster R246(以下:R246)。ミニアルバム『BLU』のジャケットカラーであるブルーをできる限り忠実に再現したという、わずかに黒が差し込まれた鮮やかかつ奥行きのある“Rei Blu”のボディが、2階席にいてもひときわ目を惹く。もちろんサウンドも特徴的で、TAIHEIの弾くクラヴィネットや真船が繰り出すベースとユニゾンしながら進んでいくメインリフも、音の粒立ちが鮮明で、細かいニュアンスまでくっきりと伝わってくる。また、歯切れの良いカッティングから楽曲後半の伸びやかなソロ、そしてハイポジションでの雄叫びのようなチョーキングまで、その存在感をまざまざと見せつけていた。

続く「Heaven」は最新EP『XINGS』にも収録された2024年のシングル曲。Reiのメロディと、それを彩る小田のコーラスが印象的だ。タイトな伊藤のドラムの上でドライブする、歪みまくった真船のベースと鮮やかなコントラストを描くような、クランチ気味のギターサウンドも胸をざわつかせる。

“Are you ready to have some fun?(楽しむ準備はできてる?)”と満面の笑みでフロアに呼びかけ、2016年のミニアルバム『UNO』から人気曲「JUMP」を経て「COCOA」では、ピンクのJazz masterに持ち替えエッジの効いたファンキーなカッティングで宙を切り裂いていく。


「今日は皆さん、お忙しい中来ていただき本当にありがとうございます。今回は私1人で大丈夫かな…? ポール・マッカートニーをゲストに招待しないと会場が埋まらないかな…なんて心配していたけど(笑)、蓋を開けてみたらこんなにたくさんの人に来てもらえて。本当に嬉しいです」とユーモアを交えた感謝の言葉に、客席は笑いと拍手で包まれる。

ここでReiはエレキギターからアコースティックギターに持ち替え、飼っていたウサギが天国へ旅立った時に作ったという「eutopia」、自分とスタッフ、そして支えてくれているファンのことを思いながら書いた「We」、そして“名前は自分のアイデンティティでもあり、呼ばれると嬉しいもの。私はいつも、皆さん一人ひとりの名前を呼びたいなあと思いながらここに立っています”と話してからの「Call My Name」と、アコギを主軸にアレンジした楽曲を続けて演奏した。ギタリストとしての側面をフィーチャーされがちな彼女だが、美しいメロディを書く“シンガーソングライター”としての彼女の実力を、改めて感じさせる一幕だった。

また、Reiの作品にはしばしば印象的なインストナンバーが挿入されているが、ここでミニアルバム『SEVEN』から「Tourbillon」、『UNO』から「Soleil」という2曲のインストをメドレー形式で披露。深夜から朝にかけて徐々に空が明るくなっていく、そんな美しいイメージが頭の中に広がっていくようだった。

再びR246を手にしたRei。披露したのは2020年リリースのシングルで、アルバム『HONEY』にも収録された「Categorizing Me」。《女の子ってだけで弱虫扱い》《君がみせた一瞬のめつき 鼻で笑い 軽蔑した時 見逃せたらよかったのにな》と歌うこの曲は、属性で人をジャッジすることへの痛烈なメッセージであるとともに、自身の表現スタイルを安易にカテゴライズされてしまうことへの葛藤を歌った切実な歌詞が心に響く。切なくメロウな前半から一転、エンディングではそれまで溜め込んでいた感情を一気に放出するような長いギターソロ。会場からは、割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響いた。

気づけばライヴは早くも後半へ。情感のこもったアカペラヴォーカルから始まるジャジーな「Tumblin’」を演奏し、“そろそろ皆さんの声が聞きたいです。一緒に歌ってくれますか?”と呼びかけるRei。アコギをかき鳴らしながらコール&レスポンスをした「DANCE DANCE」、イントロのギターリフが鳴り響いた瞬間に歓声が上がり、サビではオーディエンスがこぶしを突き上げた「New Days」と畳み掛ける。そして、R246のために書いたという「GUITARHOLIC」では、ヘヴィなギターリフが鳴り響いた瞬間に会場の熱気がさらに高まり、ソロでは超ハイトーンのフレーズが宙を舞う。R246のポテンシャルを限界まで引き出すような圧巻のプレイに、客席からはこの日一番の歓声が巻き起こった。


「伝統を引き継ぎながら、さらに、常に挑戦を続けているフェンダー。子供の頃からずっと憧れていたそんなギターブランドから、自分の名前が入ったシグネイチャーモデルを出せるなんて夢のようです」と、この記念すべき日に自身のシグネイチャーモデルを発売できた喜びを伝えると、再び会場は温かい拍手に包まれた。

“渋谷、まだまだいけますかー!”そう叫び、「Lonely Dance Club」「What Do You Want?」と畳み掛けて本編は終了。アンコールでは“せっかくだから、このシグネイチャーモデルと同じ名前の曲をやりますね”と言って「Route246」を演奏したあと、間髪入れずにライヴの鉄板曲「BLACK BANANA」を披露。鳴り止まぬアンコールに応えて再び登場したReiは、クラシックギターの独奏でインスト曲「Before Sunrise」を演奏し、この日のライヴを締め括った。

「私はBig Dreamerなので、私を応援してくれたらきっといいことがあると思います(笑)。たくさんのいい景色を皆さんに見せられるよう、これからも頑張ります」とMCで語っていたRei。コンスタントに作品を作り続け、着実に進化してきた10年の歩みを振り返りつつ、それを通過点としてさらに前へ進もうとするReiの姿が心に深く刻まれた一夜だった。

All photo by Kyohei Hattori

【SET LIST】
1. My Name is Rei
2. Heaven
3. JUMP
4. COCOA
5. eutopia
6. We
7. Call My Name
8. Tourbillon
9. Soleil
10. Categorizing Me
11. Tumblin’
12. DANCE DANCE
13. New Days
14. GUITARHOLIC
15. Lonely Dance Club
16. What Do You Want?

ENCORE
1. Route246
2. BLACK BANANA

ENCORE 2
3. Before Sunrise


Rei:https://guitarei.com

【公演情報】
Reiny Friday -Rei & Friends-
日時:7/11(金)Vol.16 8/22(金)Vol.17 9/12(金)Vol.18
会場:東京キネマ倶楽部
チケット情報:https://eplus.jp/rei/

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