Cover Artist | J(LUNA SEA)× MIYAVI -前編-


LUNA SEAのJとMIYAVI──唯一無二のプレイスタイルで時代を切り拓いてきた二人によるスペシャル対談が実現。Precision BassとTelecaster、それぞれ誕生75周年を迎えた“嘘のつけない楽器”との出会いと歩みを軸に、王道に対するアンチテーゼから始まり、フェンダーの懐の深さに惹かれていった共通の原体験、AI時代における楽器の存在意義、そして“音楽は手紙である”という信念まで、二人の言葉が熱く交差する。不完全さこそが人間の音であり、その音を未来へ繋いでいく使命を背負うロックスターたちの、覚悟と矜持に満ちた対話をお届けする。

Precision Bassはずっと音楽をやってきたからこそ見つけた宝石(J)

そのままの自分をどうぶつけるか。そこがテレキャスの存在意義(MIYAVI)


──まずはお二人の出会いから教えてください。

J 気がついたら出会っていたよね。

MIYAVI Jさんのソロライヴに行かせてもらったことがあって、終わってから一緒に飯食ったのを覚えています。あと、サーティー・セカンズ・トゥ・マーズのジャレッド・レトが日本に来てて演奏させてもらった時に、そこで再会したり、あとはLUNA SEAの再始動の時だったと思いますが、Last Rockstarsのメンバーで観に行かせてもらったのを覚えています。

──JさんはMIYAVIさんの存在を知ったのは、どんなタイミングだったんですか?

J 一人一人に会っていく中で、インパクトを残す人間とそうではない人はやっぱりいて。MIYAVIはインパクトが大きかったよ。明確に覚えているのは、音を聴かせてもらった時のギターフレーズ。俺ね、失礼だけどMIYAVIに直に聞いたんだよね。“これ君が弾いてるの?”って。

MIYAVI はは!

J ギタープレイがあまりにもインパクトありすぎて。あのフィンガーピッキングね。ギターなのにベースのスラップみたいな奏法をしているわけ。本当になんでそんな失礼なことを聞いたのかというと、それまでのシーンの中では、想像がついてしまうような演奏やバンドを多く見てきたから、その中からMIYAVIのような個性的なプレイヤーが出てきたのは正直驚きだったのね。それは喜びから来る質問だったんだよ。

MIYAVI ありがとうございます。嬉しいです。


──さて、今回はJさんが愛用しているPrecision BassとMIYAVIさんが愛用しているTelecasterの75周年を記念しての対談なのですが、それぞれプレベとテレキャスとの出会いについて教えてください。

J ロックミュージックを聴き始めて、そしてバンドというものに興味を持った瞬間からずっと存在していたのがフェンダーの楽器。ただ、当時は俺自身跳ねっ返りみたいなもんだったので(笑)、あえてフェンダーのベースにはいかなかったの。でもね、ベースに興味がどんどん湧いていって、音楽仲間たちに出会い、LUNA SEAというバンドを組み、長い長い時間のさまざまなドラマの中で、いい意味で何も変わらずにPrecision Bassはロックの歴史と共にずっと存在していたんだよね。自分がその音を理解していくのにこれだけ時間がかかったのは、その数々の経験が必要だったんだと思う。最終的なゴールに辿り着いた感覚がすごくあった。もちろんそれは新しいスタートでもあって、王道なものを自分色にどう染めていくのか、その歴史的なサウンドを自分なりに乗りこなしていく楽しさ、その難しさや醍醐味に挑戦したくなったよね。ベーシストとして次のステージへという意味で、シグネイチャーモデルのPrecision Bassを作ってもらったのがプレベと俺のここまでの歴史です。

──最初にPrecision Bassにハマっていくきっかけは?

J Original Precision Bass(OPB)を弾いた時の感覚が衝撃的だったんですよね。フェンダーの楽器ってオーガニックだしウォームで、弾き手の個性、感情を吸い込んでくれる余白をとても持っているんですよ。その余白が、とんでもない意味を持っているんだって初めて感じたのがOPBなんです。いい意味での音と音の隙間、弦の揺れ、そしてタッチの敏感さなど、自分の感情のすべてを音に変えてくれる。強く弾けば強い音が出る、弱く弾けば弱い音が出る。当たり前ですよね?でも、その間には何色ものグラデーションがあり、その表情を出せる楽器なんですよ。その余白こそが、自分自身が求めていたベースサウンドの行き着く場所なんじゃないかなって本当に強く感じて。そこからベーシストとしての新たな扉が開いていった気がします。

──なるほど。他の楽器を包み込む懐の深さみたいなものがプレベにあると?

J その懐の深さも実は僕がPrecision Bassに惹かれているところの一つ。発売から75年…Precision Bassには当時から変わっていない、真ん中にある芯みたいなものがしっかりと存在していて、実は変わっていったのは時代や俺たちのほうで。ずっと“どうよ、お前弾いてみろよ”っていうふうに存在してくれていたんですよね。だから例えるなら、“音楽をずっとやってきたからこそ見つけた宝石”のような感覚はありますね。

──そんなJさんのプレイスタイルをMIYAVIさんはどんなふうにご覧になっているのか、そしてJさんが弾いているプレベをMIYAVIさんはどう感じているのか、率直な意見を聞かせてください。

MIYAVI Jさんのプレイスタイルを一言で言うと、格好良いという意味で“とっぽい”ですかね。ビジュアル系シーンの中で、男を感じさせる人ってそんなに多くなかったと思うんです。男がカッコいいなって思う、男の在り方。それはもしかしたらPrecision Bassっていう楽器の在り方とも重なってるのかもしれない。硬くて、イカつくて、無骨で、むき出し。そこをずっと貫いているのがJさんだし、Precision Bassの関係性だと思っています。ギタリスト、ベーシストに限らず、結局は生き方が話し方とかプレイスタイルに出るから、それがすごく真っ直ぐな人だなという印象ですね。それはテレキャスも似てる。真っ直ぐっていうか直角。そこに惹かれるし、その“刀”感は、Jさんのプレイスタイルにかなり感じますよね。

J ありがとう。なんか褒められすぎて(笑)。でも、実際にPrecision Bassに惹かれたのも、嘘がつけない楽器っていう部分があると思う。自分自身のベーシストとしての挑戦も、プレベのシンプルさの意味を自分の力に変えていきたいといつも思っているし。実際、シンプルすぎるからこそ、それ以上に強いものがない気がしていて。“弾くか弾かないか、お前が決めていいよ。カッコいいよ、行っちゃえよ。ロックはそれでいいじゃん”って。

──だからこそ、75年前に誕生したTelecasterもPrecision Bassも大きなモデルチェンジをせずに残っているのだと思いますし、それに対して人間が格闘している様がなんとも尊いなぁと。

MIYAVI そこに、人間が人間である理由がある気がする。今は特に楽器が弾けなくても音楽を作れてしまう時代だから。今後、逆に人間の不完全さがより尊く、稀有に時代になっていく中で、採れたての野菜のような、つまり自分の人生を削って生み出した音がどれだけ新鮮か、どれだけ直球で届くかはすごく大事になってくるんだと思う。だからこそギターやベースも今もまだ求め続けられる楽器なんじゃないかなと思いますね。

──確かに。いくらでも音を加工できてしまう時代に、生身の自分がそのまま出てしまうわけですから。それは覚悟が求められるだろうし面白さですよね。

MIYAVI AIの音楽が人間の作る音楽に勝つ時は、たぶん感情や感覚すべてがデータ化された時代だと思っていて。要するに受けてもデジタル化された世界。逆に、今のようにどれだけプロセスがデジタルでも、最終的にアナログで摂取する以上は、やっぱり生み出す側も人間の出す温度感とか不完全さが大事だし、そここそが響くんだと思う。それは、さっきJさんが言ったシンプルさ。そのままの自分をどうぶつけるかにも通ずるし、楽器としてテレキャス、プレベに共通した存在意義なのかなって思います。

>> 後編に続く(近日公開)


J
小野瀬 潤 1992年、LUNA SEAのベーシストとしてメジャーデビュー。シンプルかつ骨太なプレイスタイルで日本のロックシーンを牽引し続けている。1997年のバンド活動休止を機にソロ活動をスタートし、1stアルバム『PYROMANIA』を発表。2000年の終幕、10年の再始動を経て、LUNA SEAとソロの両輪で精力的に活動中。2019年にフェンダーとエンドースメント契約を締結。2025年にはFender Custom Shopマスタービルダーのグレッグ・フェスラーが手がけた新しいシグネイチャーPrecision Bassが発表された。同年、ベース・マガジン誌の一般投票企画で#最も偉大なベーシスト1位を獲得。26年5月から全国22都市33公演のツアー〈LUNA SEA TOUR 2026 UNENDING JOURNEY -FOREVER-〉がスタート。
http://www.j-wumf.com

MIYAVI
ピックを使わずすべて指で弾く独自のスラップ奏法で世界的な注目を集めるギタリスト。“サムライギタリスト”の異名を持ち、これまでに約30カ国350公演以上のライヴと8度のワールドツアーを成功させている。アンジェリーナ・ジョリー監督映画『Unbroken』でハリウッドデビューを果たしたほか、2017年には日本人として初めてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)親善大使に就任。YOSHIKI、HYDE、SUGIZOとともにTHE LAST ROCKSTARSのメンバーとしても活動する。2020年、サスティナーやトレモロシステムを搭載した唯一無二のシグネイチャーモデルMIYAVI Telecasterをリリース。2024年には最新アルバム『LOST IN LOVE, FOUND IN PAIN』を発表した。
https://japan.miyavi.com

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