Cover Artist | ACIDMAN -後編-

Telecasterじゃなかったら作れなかった曲も山ほどある

FenderNewsが毎月1組のアーティストにフォーカスする「Cover Artist」に、今なおチャレンジを続けるACIDMANが登場。インタビュー後編ではフェンダーの魅力に加え、2025年10月の日本武道館公演を収録したライヴBlu-ray『This is ACIDMAN 2025 in 日本武道館』の見どころや〈ACIDMAN LIVE TOUR “光学”〉の意気込みも聞いた。


フェンダーさんのベージュ使いが僕は好き

──大木さんと佐藤さんにフェンダー遍歴をお聞きしたいのですが、お二人が初めて手にしたフェンダーのギター、ベースから教えていただけますか?

大木伸夫(以下:大木) 兄貴が弾いていたTelecasterがフェンダー製なら、それなんですけど、プロになってからだったら、キレイな音でカッティングしたいと思っていた時にローディのKOTTY(小谷高志)が、持ってきてくれたTelecasterです。それを弾いた時、こんなにいい音でカッティングできるんだと衝撃を受けました。ちゃんとフェンダーのギターだということを意識したという意味では、それが出会いですね。

佐藤雅俊(以下:佐藤) 僕は大学2年生の時にバイトして買ったAmerican Vintageシリーズの1962年モデルのJazz Bassです。プロになってからもずっとメインで使ってました。

──なぜJazz Bassだったんですか?

佐藤 当時は音の違いなんてそんなにわかってなかったので、単純に見た目で選びました。あの見た目が好きだったんです。

──その後、どんなフェンダーのギター、ベースを手にしてきましたか?

大木 さっき言ったKOTTYのTelecasterを弾かせてもらってから、ずっとTelecasterを探していたのですが、ピンと来るものがないまま借りてました。その間、Jazzmasterも購入したけど、そんなにハマらなくて。そんなある日、フェンダーさんでCustom Shop製のTelecasterを試奏させてもらって、ようやく自分の相棒と言えるギターに出会えました。その時、何本か弾き比べさせてもらって、一番しっくり来たものを選びました。

──なぜ、そこまでTelecasterにこだわりが?

大木 やっぱり最初に弾いたKOTTYのTelecasterの印象が強かったんです。ジャッキジャッキのキレッキレで。僕のもう1本のメインのギターとはある意味対極にあるというか、そのキレの良さと弾きやすさと、あとフェンダーのブランド力もあると思うんですけど、絶対、Telecasterがいいと思っていました。

──大木さんにとってもはや欠かせない楽器だ、と。

大木 僕はギターはメインの2本しか使ってないんです。もちろん、サブのギターも持ってますけど、2本のギターでいろいろな曲を作ってきました。Telecasterじゃなかったら作れなかった曲も山ほどあります。

──そのTelecasterが今年、75周年を迎えました。

大木 フェンダーが創業80年でしたっけ。80年ってもちろんすごいと思いましたけど、もっと昔からあるような気がしていたので、意外と早いうちから僕らはフェンダーの楽器を手にしていたんだなと思いました。そして、Telecasterが生まれてから75年。いろいろ進化してディテールは変わっているんだろうけど、今なお人気で言ったらTelecasterかStratocasterじゃないですか。すごいことだと思います。もちろん、そもそもフェンダーがなかったら、僕の音楽だって生まれてないわけだからリスペクトしかないです。

──佐藤さんは1962年モデルのJazz Bass以降は?

佐藤 そのJazz Bassをストラップを下げて、ピックでガシガシと弾いてたんです。そしたら周りから、「Jazz BassをPrecision Bassのように弾くね」と言われたので、だったらPrecision Bassのほうがいいんじゃないかと思って、KOTTYと一緒に探しに行ったんです。その時、ヴィンテージが欲しいと思っていたのですが、たまたま見つけた1974年製のPrecision Bassの状態が良かったんで買ったら、白いガムテープに“チューリップ宮城”って書いてありました。チューリップの宮城伸一郎さんがそのお店に委託してたみたいで、それをもう20年ぐらいメインで使っていたのですが、最近またJazz Bassも使うようになって、今はその2本をずっと使ってます。

大木 ウエノコウジさんの影響もあるんでしょ?

佐藤 そうそう。学生の頃からずっとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが好きで、ウエノさんもずっとPrecision Bassを使われてるので、それもあってPrecision Bassを探そうと思いました。以前、フェスでウエノさんに会った時、その話をしたら“プレベと言えば、やっぱりワシやろ”って笑ってました。

──今現在はPrecision BassとJazz Bassの2本を使っているとおっしゃっていましたが、その2本の使い勝手がいいということですよね?

佐藤 意見はいろいろあると思うんですけど、その2本があれば他に要らないんですよ。初めてエレキベースを作ったのはフェンダーさんですよね?

──そうです。それがPrecision Bassです。

佐藤 元祖の2本だと思うから、ほんとそれだけでいいんじゃないかって思います。

──そのPrecision Bassが75周年を迎えました。

佐藤 それまでウッドベースが主流だったところにデカい音が出るベースが必要ってことで、Precision Bassができたわけじゃないですか。それがなかったら、これだけいろいろな音楽も生まれなかったと思うから、その元祖という意味ではリスペクトしかないです。おめでとうございます。

──浦山さんは、大木さんと佐藤さんがフェンダーをプレイしている姿をずっと見てきたわけですが。

浦山 もう30年近く間近で見てますからね。これがデフォルトっていうか、大木はもう1本のギターが赤色でアンプがオレンジだから、サンバーストのTelecasterが似合うと思います。

佐藤 Telecasterのギュンってえぐるような音は、そばで聴いていても気持ちいいですよ。

──フェンダー全体の魅力についてはどんなふうに考えていらっしゃいますか?

大木 コロナ禍の巣ごもり需要もあったと思うんですけど、楽器の売り上げもまた上がってきているそうですね。それは大きな旗艦店を作ることも含め、フェンダーさんの企業努力というかブランディングだと思います。あと、細かくて申し訳ないんですけど、僕はフェンダーさんのベージュ使いが好きなんです(笑)。今使っているアンプ(Super-Sonic)は、音はもちろん、あのベージュの感じも好きで決めました。今回試奏させてもらったTelecasterも、サイドのベージュの使い方がいいなと思います。

佐藤 フェンダーのギター、ベースってボディとかヘッドとかのフォルムもずっと変わらないけど、すごく秀逸だと思うんですよ。そういう王道のデフォルトを作ったのは、すごいと思います。長く愛される形を作ったっていうのは大リスペクトですね。

言葉以外で自分の心を表現できるって素晴らしい

──バンドの直近の活動についても聞かせてほしいのですが、昨年10月26日の日本武道館公演を収録したライヴBlu-ray『This is ACIDMAN 2025 in 日本武道館』がリリースされたばかりなので、まずその見どころを聞かせてください。

大木 本編の武道館公演が3時間、加えてツアーのドキュメンタリーが1時間20分という長い作品なんですけど、改めてバラエティに富んだ曲を作ってきたと思うし、どの曲にもカタルシスがあって、熱狂が渦巻く感覚も表現できている。こんなバンドは他にはいないって、見ながら客観的に思いました。そういう意味で、バンドとしてあるべき姿が伝わる作品になっていると思います。

佐藤 それに尽きると思います。そういうバンドが日本武道館を7回も埋められるってほんとにすごいことだと思うし、映像も含め、素晴らしい演出も盛りだくさんなので、いろいろな方に見てほしいです。

浦山 大木のMCも含め、音楽以上の感動を得られるライヴになっているので、そこまで味わっていただけたらなと思いますね。

──昨年リリースした13thアルバム『光学』のツアー〈ACIDMAN LIVE TOUR “光学”〉が始まりますね。

大木 タイトルはちょっと敷居が高そうですけど、決してそんなことはないってことをまず伝えて、シンプルに楽しんでほしいと思っています。長いこと聴いてきてくれた人には、聴き続けてきて良かったと思っていただきたいし、初めて来た方には“なぜこんなにいいバンドを今まで知らなかったんだ”って思っていただきたい。その上で、皆さんの生きるヒントやエネルギーになるようなツアーにしたいと思っています。ツアーファイナルは幕張メッセです。去年の武道館でもそうでしたが、今回の幕張メッセも席ありです。座席があることでお客さんの自由度も上がると思うし、実際に武道館では座ってじっくり聴いていただく時間を設けましたが、それがとても好評でした。18年ぶりの幕張メッセは僕らにとっても勝負なので、そこに向けても悔いのないツアーにしたいです。

浦山 今はリハーサルの真っ最中なんですけど、『光学』ってメッセージもエネルギーも込められた、すげえ曲ばかりなんですよ。それをライヴでちゃんとプレイできるように頑張っていくわけなんですけど、必ずいいライヴにできると思うので、楽しみに待っていただけたらと思います。

──最後に楽器のビギナーにメッセージをお願いします。

大木 今は僕らの時代よりもめちゃめちゃ練習しやすい環境だと思います。YouTubeをはじめ、すぐに上手くなるヒントがあるので、怯えずに、あっという間に弾けるようになるって信じてやってみてほしい。そしたら数週間、早い人だったら数日でそれなりに弾けるようになると思います。音楽って聴くだけでももちろんいいんだけど、プレイすることが表現方法の一つとして使えるようになるから、ぜひ続けてほしいです。プロになる、ならないはさておき、言葉以外で自分の心を表現できるって素晴らしいし、生きる意味としてとても美しいものだと思うから、ぜひ楽しんでやってほしいと思います。

佐藤 うまく弾けなくてイヤになることもあるかもしれないけど、まずは楽しんでほしい。それである程度弾けるようになったら、ちゃんと周りの音も聴いてください。

大木 それはベーシストあるあるだよね(笑)。

佐藤 そうそう。低音に酔いしれず、周りの意見もちゃんと聞きながらバンドの屋台骨を支えてください。

浦山 ドラムはとても楽しい、素晴らしい楽器だと思うんですけど、誰かと一緒にやるとその楽しさが10倍にも20倍にもなるんですよ。自分が叩いたリズムに合わせて、みんなが演奏したり、歌ったりしてくれるのもドラムの魅力の一つなので、コピーバンドでもいいから、誰かと一緒にやることをオススメします。それが一番楽しいと思います。

75th Anniversary American Vintage II 1951 Precision Bass | 75th Anniversary American Professional II Custom Telecaster

>> 前編はこちら


ACIDMAN
1997年、埼玉県私立西武学園文理高校の軽音楽部で出会った大木伸夫(Vo,Gt)、佐藤雅俊(Ba)、浦山一悟(Dr)を中心に結成。1999年に現在のスリーピース編成となり、下北沢を拠点に活動を開始する。2002年、1stアルバム『創』でメジャーデビュー。第17回日本ゴールドディスク大賞「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」を獲得。“生命”と“宇宙”をテーマに据えた壮大な詩世界と、“静”と“動”を行き来するダイナミックなサウンドで、3ピースの可能性を拡張し続ける唯一無二のバンドである。日本武道館では通算7度のワンマン公演を成功させ、ライヴバンドとしての求心力はキャリアを重ねるほどに増している。さいたまスーパーアリーナにてロックフェス「SAI」を主催し、2022年は2日間で約4万人を動員。2023年、自身の楽曲「ALMA」が、国際天文学連合主催・アジア太平洋地域の天文学に関する国際会議「APRIM2023」にて世界初のテーマソングに決定。手塚治虫原作「火の鳥」とのコラボレーション、宇宙航空分野の専門家との対談、坂本龍一氏による楽曲参加など、各分野で注目され高い評価を得ている。2025年10月、13thアルバム『光学』をリリース。同年の武道館公演を収録したライブBlu-ray『This is ACIDMAN 2025 in 日本武道館』を2026年4月に発表した。現在は全国ツアー〈ACIDMAN LIVE TOUR “光学”〉を敢行中。6月27日のツアーファイナルは、約18年ぶりとなる幕張メッセでのワンマン公演を迎える。
https://acidman.jp/

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