amplified : vol.3 | 長屋晴子(緑黄色社会)
12種類のアンプ、12種類のエフェクト、5種類のEQを備え、シンプルながらもハイクオリティなサウンドを可能にするヘッドフォンアンプ“Fender Mustang Micro”。大音量が出せない日本の住宅事情もあり、部屋での練習などに最適なコンパクトなタイプ。Bluetoothでスマートフォンに接続すれば、YouTubeなどの音源を鳴らしながらの練習もでき、さらにUSBでPCに接続すれば録音も可能だ。初心者に限らず多彩なジャンルに対応できるこのモデルについて、緑黄色社会のヴォーカル&ギターである長屋晴子に使用してみてのインプレッションを聞いた。
本当にこの小さな子が鳴らしているとは思えないくらいパワフルな音
― これまでヘッドフォンアンプを使われたことはありますか?
長屋晴子(以下:長屋) 初めてです。自宅ではLogicを使っているのですが、その中のアンプを試すくらいなので普段は使っていません。
― Mustang Microを使用してみての印象はどうですか?
長屋 バンドでの役割とか立ち位置的にあまりソロフレーズを弾くことがなくバッキングがメインなので、自分で音をいろいろと試せるのがすごく新鮮でした。自宅が防音ではないので、家で音を鳴らす機会があまりなくて。音を出したとしても曲作りでアコギを弾くくらいなので、そもそも自宅でアンプを使う概念がなかったりして、そういう意味でも新鮮でした。
― ひと通り音色を試していただきましたが、Mustang Microには大きく分けて4つのアンプタイプ、全12種類のアンプシミュレーターを内蔵しています。
長屋 いろいろとポチポチ(操作)したと思います(笑)。第一に“鳴っている音がリアルだな”と思ったのと、音の印象がすごくパワフルでした。チープさがまったくないです。本当にこの小さい子(Mustang Micro)が鳴らしているとは思えないくらい。今日は最初にStratocasterで、そのあとAmerican Acoustasonic Telecasterでも試奏したのですが、普段使わない音で鳴らしたのがすごく楽しかったです。
― どの音色で弾きましたか?
長屋 “グリーン”の’57 Twinと、かなり高い歪みの“オレンジ”のBB15 HighGainでも弾いてみました。お気に入りの“グリーン”に関しては、モニタリングしやすい音というか。例えば、楽屋で生音でエレキギターを弾いていても、このあとライヴなのにいまいち音のイメージが湧かないじゃないですか。そういうものが想像しやすい音だなって。“オレンジ”は今まで鳴らすことがない音だったし、“ギャンギャン”いっててちょっと笑っちゃいました(笑)。
― 確かに楽屋での空き時間もあるでしょうし、そういう時にMustang Microがあれば気持ちを上げられますね。
長屋 本当にそうだと思います。“オレンジ”の音は新鮮だったので、面白いと思った音を制作などで活かせるなと思いました。音によって得られるインスピレーションはやっぱり違いますから、今までにない新しいアイディアが浮かぶかもしれません。Mustang Microを使ってみて、最終的にこの子で鳴らしたい音はクリーン気味の“ホワイト”(’65 Twin + Compressor)や“ブルー”(’60s British)に落ち着きました。ヘッドフォンで聴くことで、リアルかつ臨場感たっぷりに聴けるのがすごく良かったです。
― エフェクトで言うと12種類から選択できますが、特に印象深いものやお気に入りのものを挙げるとしたら?
長屋 “ホワイト”(Large Hall Reverb)に落ち着いたんですけど、“マゼンタ”(Vintage Tremolo/Spring Reverb)のトレモロも普段は使わないんです。だから、これも曲作りにつながるかなと。いつもはアンプ側でリバーブを作るので、リバーブだけでもこんなに豊富なバリエーションを試せたのが楽しかったです。さらに、エフェクトモデルごとにパラメータの設定もできますから。もちろん実物のアンプやエフェクターとは違いますが、何となく“’57 Twinってこんな感じの音なんだ”って試せるのも勉強になりますよね。それが1万円ちょっと(フェンダーオンラインショップ価格:13,200円)で試せちゃうのがすごすぎる(笑)。初心者の方とかギターを始めたばかりの方はもちろん、ギターを長くやっている方もいろいろな使い方ができると思います。
― EQコントロールの設定もシンプルですよね。フラットな状態に対して“暗い”“明るい”などの5段階なので感覚的に操作できるかなと。
長屋 女子的なことを言うと、やっぱり機械に弱いんです(笑)。アンプにしてもDTMにしても、“何でこんなにいっぱいボタンがあるんだろう?”とか、“さっき良かった音に戻せない”と思うことがすごくあって(笑)。その点、ボタン操作だと超簡単なのと、色で覚えられるのはすごく良いですよね。たぶん私みたいなタイプの人って意外と多い気がするんです。操作性も簡単で電源を入れるだけだし、Bluetooth接続もボタンの長押しでペアリングできるので、私のように機械が苦手な方でも困ることがないと思います。
― さきほどは音源を流しながら練習していましたね。
長屋 そうですね。リョクシャカ(緑黄色社会)の曲を流しながら。この練習はよくやるんです。曲を練習する時や新曲を覚える時、よくスマホとかパソコンから音源を流すのですが、どうしてもいろいろな音色がぶつかり合って、音がリンクしなくて“気持ち悪いな”と思ったり“リアルな感じがしないな”と思うことがあったんです。あとは、AirPodsの上からヘッドフォンを被せて弾いたり。Mustang Microだと、これひとつで完結するからいろいろとラクになりますね。
― 長屋さんがMustang Microを手に入れたらどのような使い方をしますか?
長屋 まずは楽屋で使います(笑)。この間、新曲の披露があったのですが、やっぱり当日はすごく緊張するじゃないですか。直前までフレーズとかコードを確認していて、私以外のメンバーも確認をしていた時、 もっと大きな音量で鳴らしたいよね という会話をまさにしていたんです。その時に欲しかったかも“”(笑)。そのくらい素敵だと思います。カバンにポンッと入れておけば、弾こうと思った瞬間に使えますから。
― USBケーブルをPCに接続すれば録音もできます。
長屋 そうなんですよ! つい最近、遠征先でメンバーと制作をしようという話になって、ディレクターさんにオーディオインターフェースなどを準備してもらったのですが、けっこう重くてかさばるんです。そういう時にMustang Microがあれば、PCにつなげばいいだけなのですごく助かります。もともと制作をしようと思って持って行くなら良いのですが、“思い付いちゃった”という時は諦めたりボイスレコーダーなど違う手段で録ることが多いので、ツアー先で浮かんだフラッシュアイディアをすぐに記録できるのはすごく便利だと思います。
MUSTANG™ MICRO 人気のMustang™アンプシリーズの豊富なプリセットトーンをフィーチャーした、場所を選ばないポケットサイズの超小型アンプ。簡単に素晴らしいトーンを得ることができ、おうち時間の合間でも、外出先でも幅広く活躍します。
長屋晴子(緑黄色社会)
愛知県出⾝の4⼈組バンドのヴォーカル&ギター。2012年の結成以来、バンドのフロントマンとして作詞とメインコンポーザーを担当。2017年に初の全国流通インディーズ盤をタワーレコード限定でリリースすると、早耳の音楽ファンから多くの注目を集め、タワレコメン年間チャート1位に選出。全国の主要音楽フェスへの出演を果たす。透明感と力強さを兼ね備えた歌声とステージでの凛とした佇まいは、バンドシーンにおける女性ヴォーカリストの中でも強い存在感を示している。8月25日に4thシングル「LITMUS」をリリースする。
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