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B x B | ウエノコウジ(the HIATUS、Radio Caroline)× わかざえもん -前編-

プレベはダメなところがたくさんある。それが好きなのかなって最近は思う

日本を代表するベーシスト同士による対談企画「B×B」。今回は、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTやthe HIATUSなどでロックシーンを牽引し続けるウエノコウジと、若手ベーシストとして頭角を表している“わかざえもん”が登場。高校の時に初めて演奏した曲がTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「Get Up Lucy」だったというわかざえもん。世代を超えたトークからベースの普遍的な魅力が垣間見れる。対談の前編では、ベースを始めたきっかけやPrecision Bassの魅力について語ってもらった。

俺にはベースが性に合っていると思った(ウエノコウジ)

― お二人は初対面ですか?

わかざえもん はい。ウエノさんが演奏しているバンドは大好きでずっとチェックしているのですが、お会いするのは初めてです。ウエノさんはベースを弾く立ち姿が唯一無二だと思っていまして、憧れの存在です。the HIATUSの「The Flare」って曲の映像では、ただピックを取るだけでカッコいいんですよ。“こんなにカッコいい人もいるんだな”とずっと思っていて。でもなかなかお会いする機会がなくて、この企画で対談したい人は誰ですか?ということで“ウエノコウジさん!”と即答させていただきました。

ウエノコウジ(以下:ウエノ) ありがとう。はじめましてですが、よろしくお願いします。

― まずは、お二人がベースを始めたきっかけから教えてください。

ウエノ 最初はギターを弾いていたんです。中学生の時にギターを買ってね。よくあるパターンで、バンドにベースがいなくて始めたのが大学生の時だね。俺にはベースが性に合っていると思った。ベースの支える感じ、転がす感じ。分かれば分かるほど面白く、奧が深い感じが良かったね。基本的にはリズム楽器だけど、メロディー楽器にもなり得るじゃない? いろいろな音があるし、エフェクターがなくてもいけちゃうしね。

― ウエノさんはエフェクターをあまり使わないスタイルですが、なぜですか?

ウエノ 自分が好きな竿(ベース)があって、好きなアンプがあって、つないだら気持ちいい音が出るからだよ。

わかざえもん カッケー!

ウエノ わかざえもんはどうしてベースを始めたの?

わかざえもん 私は単純にロックバンドのベーシストに憧れて、ネットでベースを注文しました。それからずっとベースを弾いています。それが中学校3年生くらいです。

ウエノ 何でギターじゃなくてベースだったの?

わかざえもん 初めからベースが良くて。音が好きだったのかもしれないです。で、高校2年生でバンドを組んで、初めて演奏した曲がTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「Get Up Lucy」でした。そこで初めてアンサンブルを経験して、“うわ!何て楽しいんだ!”と感動して、それからずっとベースを弾いて今に至ります。

ウエノ 「Get Up Lucy」は昔すぎてあまり覚えてない(笑)。でも、ありがたいね。バンド、やってみるもんだね。

わかざえもん 「Get Up Lucy」ってベースのフレーズが曲を埋めていて、ベースがアンサンブルを集約している感じがすごくあって。ベースって、その場の雰囲気や楽曲の方向性を決めるんだということを教えてくれたんです。

ウエノ ミッシェルはリフがメインの曲が多かったけど、あの曲に関してはギターもリフだし、ベースもリフだもんね。

わかざえもん そうですね。みんなで一緒に“やってる感”がすごく楽しい曲なんです。

ウエノ うん。何となく思い出してきた。今弾けと言われてもたぶん無理だと思うけど(笑)。

ヴォーカリストが歌いやすいベースを演奏する難しさに気づいた(わかざえもん)

― ウエノさんのベーシスト歴は何年ですか?

ウエノ 18〜19歳からだと考えると35年くらい。

― ベーシストとしての転機はありましたか?

ウエノ ミッシェルがなくなって、いろいろな人と弾くようになったのが大きいかな。バンドをやっていると、そのバンドの中でどう曲を作るか、どうライヴをするか、どう魅せるか、それだけで良かったんだけど、いろいろな人とやると、求められることも広がっていくからね。

― 今やセッションベーシストとしても大活躍です。

ウエノ だけど、基本的にはバンドをやりたいんだよね。ミッシェルがなくなったあとも、バンドに誘われたらやってきたから。あと、例えば吉川(晃司)さんに呼ばれて行く時も、セッションプレイヤーというよりは“吉川バンド”と捉えているし。わかざえもんのパーマネントなバンドは?

わかざえもん コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)がありますが、自分たちでライブハウスに出るとかそういうバンドはなくて。フェスシーズンにホルモン本店の行けない場所や日程に出演する、っていう活動なんです。

― わかざえもんさんはウエノさんとは対照的で、YouTubeの“弾いてみた動画”から火がついて、今やさまざまなアーティストのサポートベーシストとしても活躍なさっていますが、転機を挙げるとすると?

わかざえもん 初めてお仕事でツアーを廻らせてもらった時、人に求められることを演奏する難しさや、ヴォーカリストが歌いやすいベースを演奏する難しさに気づいたんです。それが転機でした。

ウエノ サポートの場合、歌う人とかドラマーのクセとか、どういうところに音符を置いたら一番転がるのかがわかってくると面白いもんね。だってバンドってさ、当然だけどずっと同じ人とやるものだから、メンバーのクセもわかり切っている。それがバンドの強みでもあるんだけど。

わかざえもん 本当にそうですよね。そもそもバンドの場合、音源を一緒に作っているわけですけど、サポートの場合、音源は別の人が弾いているわけですし。

ウエノ そうそう。自分が弾いていない音源をコピーするじゃない? クセってわかざえもんにも俺にもあって、そのクセをある程度理解したほうがいいのか、ゴリ押しでいったほうがいいのか、それも歌う人次第だと思うんだよね。いずれにしても、人のクセをコピーするのは難しいんだよ。

わかざえもん 難しいです。どこの音に行っているのかわからないこともあります。私はジャズを通っていないので、ジャズ出身でポップスをやっているベーシストの方の音源だと、経過音の耳馴染みがなさすぎて。

ウエノ わかる。この音、俺は絶対に使わないなっていうのもあるよね。

わかざえもん でも、歌っている方はその音を目印にして歌っているので、そこもコピーしなきゃいけないし。

ウエノ そうだね。いわゆるゴーストノート、音が鳴っていない“カッ”という音も含めて、その人のクセをコピーしたほうがいいのか、それとも俺のクセを出したほうがいいのか、いつも悩みながらリハで決めていくね。でも結局は傷跡を残さないと意味がないので、どこかしら“ウエノコウジ風味”にはしているけど。

わかざえもん 私も初めは全部暗記して、ベーシストのクセをコピーするのがいいと思っていたんです。だけど最近は、与えられている楽曲のコード進行の中で、自分ならどうレコーディングするか?のほうが、呼ばれた意味があるのかなと思っています。

ウエノ 歌う人も、それを求めている場合が多いからね。

わかざえもん 特にライヴのテンションの上がり方を求めていると思うので、その方向に進化できるように日々頑張っています。

ウエノ そのほうが楽しいしね。

弾けもしないのにまずはストラップの長さをポール・シムノンと同じにした(ウエノコウジ)

― さて、最後はPrecision Bassについてです。ウエノさんと言えばプレベですが、そもそもプレベを選ぶ理由は?

ウエノ 俺はパンクが好きだったので、プレベってパンクのイメージが強いからね。中でも、ザ・クラッシュのポール・シムノンが好きで。プレシジョンを買ってきてさ、最初に何をやったかって、弾けもしないのにまずはストラップの長さをポール・シムノンと同じにしたからね。「ロック・ザ・カスバ」のMVを見て、体に対してベースの位置をまずは完コピ。コスプレですよ。

― 使っていくうちにプレベの魅力はどう感じましたか?

ウエノ 勝手な俺の印象だけど、ジャズベは優等生なのよ。でもプレベは、要らないローとかダメなところがたくさんある。それが好きなのかなって最近は思うね。優等生じゃなくて、ちょっとヘンなほうが俺は好き。

― プレベのほうがスペックも含めてロックな感じがする?

ウエノ うん。今日弾かせてもらうAmerican Professional IIは新色なの?

― はい、マーキュリーという色になります。

ウエノ (試奏しながら)いいじゃない。弾き込みたくなるね。

― ぜひ実戦でも弾いてみてください。わかざえもんさんはプレベは?

わかざえもん 80年製の国産のPrecision Bassを1本持っています。私はずっとジャズベを弾いているのですが、ジャズベもリアを絞ってプレベライクな音で弾くのが好きなんです。音で言うとプレベの音が好き。たぶんそれは、ウエノさんも含めてプレベを弾くベーシストの方を聴いてきたからだと思います。気付いたら音作りはプレベに寄っていますね。

― メインをプレベにしない理由は?

わかざえもん スラップもするので、それを考えるとジャズベはバランスがいいんですよね。けど、使えるところではプレベを使っています。やっぱり“この曲にはプレベが合う”というのは必ずあるので。

ウエノ レコーディングだとどっちを使ってもいいもんね。

わかざえもん そうなんです。そこは曲によって使い分けています。

― ライヴでプレベは?

わかざえもん まだなくて。プレベを買ったのがわりと最近で、“あれ?私プレベ好きなんじゃないかな?”と気付いてしまって(笑)。

ウエノ ジャズベのほうがネックが細いから、女子にはジャズベのほうが弾きやすいのもあるよね。俺は機能性とかまったく関係なくルックスだから。最初はプレベとジャズベの違いなんてわかっていなかったし、格好良いと思っただけなんだよ。あと、プレベのほうがコントロールのツマミが少ないので、単純なのかなと思って。

わかざえもん ウエノさん、想像通りのカッコ良さです。

› 後編に続く(近日公開予定)


American Professional II Precision Bass®

American Professional II Precision Bass® 定番の’63 P Bassシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Precision Bass Split-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Precision Bassならではの圧巻のローエンドを提供します。

American Professional II Jazz Bass®

American Professional II Jazz Bass® 人気のSlim Cシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Jazz Bass Single-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Jazz Bassならではのパンチとクラリティを提供します。(レフトハンドモデルもご用意しています。)

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ウエノコウジ

91年よりTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのベーシストとして活動。2003年、Radio Carolineを結成。2008年、武藤昭平 with ウエノコウジの活動を開始。2009年からはthe HIATUSのメンバーとして活動。

また、加山雄三が結成したバンド“THE King ALL STARS”、吉川晃司のツアーサポートを務めるなど、幅広いフィールドで活躍している。
› Website : http://ueno-koji.com


わかざえもん

数々のバンド、アーティストのサポートを経て、マキシマム ザ ホルモン2号店としてホルモンの楽曲を自由にアレンジして活動できる公式フランチャイズバンド“コロナナモレモモ”に加入。現在は様々なアーティストのサポートベーシストとしても活躍中。
› Twitter:@waka_lh
› YouTube : https://t.co/j2GkzcPNZX?amp=1

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