BREIMEN 2DAYS LIVE in TOKYO -1・2・3・4・5-

メジャー移籍以降も型にはまらない活動を続けるオルタナファンクバンド、BREIMENが2日間にわたってワンマンライヴを開催。リリースに紐づかない今回はいつも以上にチャレンジングなライヴになったが、サプライズで新曲も披露した。DAY-1の熱演を、高木祥太(Vo, Ba)とサトウカツシロ(Gt)の機材に注目しながらレポートする。

新曲「BALLOON」も解禁!
BREIMENにしか成せない公開済みセットリストと至福のジャムセッションで挑んだ2Days

BREIMENが6月13日(金)と14日(土)の2日間、東京・渋谷Spotify O-EASTで〈BREIMEN 2DAYS LIVE in TOKYO -1・2・3・4・5-〉と題したワンマンライヴを開催した。“1 MAN LIVE / 2 DAYS / 3 STAGE / 4 THE PEOPLE / 5 PLAYERS”というコンセプトを掲げ、13日の深夜には.ENDRECHERI.をはじめ、40名を超えるゲストを迎えたオールナイトセッションも繰り広げるなど、今回の2デイズワンマンライヴは極めてチャレンジングなものとなったが、バンドのチャレンジを物語っていたものがもう一つある。それはDAY-1、DAY-2ともにバンドのウェブサイトやライヴ当日、観客に配ったフライヤーにおいて、あらかじめセットリストを今風に言えばネタバレした上でライヴに臨んだことだった。なるほど。それでも観客を楽しませることはできるという自信があったというわけだ。

それもそのはずで、“Singin’!! I wanna be your lover. 1・2・3・4・5!”と高木が繰り返して、観客の気持ちをかき立てた1曲目の「IWBYL」になだれこむ前にSo Kanno(Dr)のドラムソロから長めのジャムセッションを繰り広げると、ステージの5人はそれ以降もMCを挟む以外は、曲と曲の間はもちろん、場合によっては曲中にも長尺のジャムセッションを加えながら、全15曲からなるセットリストをシームレスにつなげ、今現在のBREIMENが持つライヴバンドとしてのポテンシャルを存分に見せつけていった。当然、アレンジも含め、曲の印象は音源とは一味違うライヴならではのものになるのだから、セトリのネタバレが観客を退屈させることは一瞬もなかったはずだ(しかも、DAY-1とDAY-2のセトリはかなり違うものになっていた)。

「IWBYL」から高木がフェンダーとともにPJ化した新井和輝のシグネイチャーモデル、Deluxe Jazz Bass V Kazuki Arai Edition(以下:Deluxe Jazz Bass V)のソリッドなスラップを鳴らして、間髪入れずに演奏になだれこんだ「乱痴気」から、曲ごとに異なるBREIMEN流のファンクの解釈を楽しませる「LUCKY STRIKE」「Bowling Star」「A・T・M」をつなげ、序盤からグルーヴをうねらせていく。観客をコール&レスポンスに巻き込みながら一気に盛り上げた「乱痴気」では、サトウがフルカスタムされたAmerican Vintage II 1957 Stratocasterで絶妙な歪みをかけながらストロークしたコードバッキングが、バンドアンサンブルにエッジを加える。いけだゆうた(Kb)が奏でたイントロに観客が沸いた「A・T・M」では、サトウがFender Custom ShopのJazzmaster Journeyman Relic(以下:Jazzmaster)に持ち替え、ワウとリバーブを組み合わせたカッティングの軽やかな音色と、歪ませたブリッジミュートのソリッドな響きを使い分けると、メンバー全員が渾身の演奏を繰り広げるインプロになだれこみ、観客に声を上げさせる。

この日、サトウは複数本のギターを使いながら、大半の曲でJazzmasterをプレイした。ボディに貼られたステッカーがサトウの愛着を物語るが、長年、メインとして愛用している同ギターのポテンシャルに改めて意識的になった印象も。アーバンともジャジーとも言えるバラードの「yonaki」では、ムーディな曲の魅力を引き立てる単音フレーズをクランチしたサウンドでトゥワンギーに奏で、ジョージ林(Sax)のサックスソロをフィーチャーしながら長尺のジャムセッションを繰り広げた「チャプター」ではワウを踏んだカッティングに加え、歪ませたコードストロークやビブラートも織り混ぜ、Jazzmasterの汎用性を存分に使いこなしてみせる。

一方、前述したDeluxe Jazz Bass Vと、塗装の剥げたボディの見た目がクールな1966年製のCandy Apple RedのPrecision Bassの2本を使い分けていた高木は、もう1本2023年に入手したAmerican Vintage II 1954 Precision Bassもこの日初披露したポップファンクな新曲「BALLOON」でプレイした。

木目がうっすらと浮かぶVintage Blondeの落ち着いた色調は1966年製Precision BassとDeluxe Jazz Bass VのCandy Apple Redと比べるとちょっと意外にも思えるが、入手直後のインタビューで「単純に音がすごく好き」と高木が語っていたことを考えると、American Vintage II 1954 Precision Bassが再現したヴィンテージフェンダーのトーンが高木の音作りやプレイをアップデートするきっかけになったんじゃないかと想像が膨らむ。

サトウによるダイナミックなギタープレイも聴きどころだった「BALLOON」からつなげたバラードの「noise」は、高木による、まるでギターをプレイしているようなDeluxe Jazz Bass Vの弾き語りからバンドイン。続くラテンファンクな「あんたがたどこさ」では、Jazzmasterでグランジーなリフやトレブリーなソロを轟かせるサトウに負けじと高木がDeluxe Jazz Bass Vで重低音を響かせる。Deluxe Jazz Bass Vならではのレンジの広さを証明してみせたとも言える「noise」から「あんたがたどこさ」という展開は、Deluxe Jazz Bass Vにおけるこの日の見どころだったと言ってもいい。

いや、それを言うなら、ファンキーなサウンドに落とし込んだノスタルジックなメロディが夏の到来を告げた「スプモーニ」の指弾きで、アップテンポの8ビートを刻んだ時のDeluxe Jazz Bass Vの音の粒立ちの良さも忘れちゃいけない。歪みにリバーブをかけ、サトウがJazzmasterで鳴らした80’sを彷彿とさせるサウンドも印象に残っている。

そして、ポップな「棒人間」とゴスペルのニュアンスも感じられたバラード「赤裸々」という人気曲で作ってきた終盤の盛り上がりをダメ押しするようにさらに大きなものにしたのが、最後に演奏したエモいロックナンバー「Play time isn’t over」だった。サトウがJazzmasterでコードを、エッジーかつトレブリーにかき鳴らす一方で、American Vintage II 1954 Precision Bassから1966年製Precision Bassに持ち替えた高木はリズムを刻みながら、サステインを効かせ、バンドアンサンブルのグルーヴを支えたうねるような低音の存在感をアピールしていった。

「俺ら、前の形から数えると、今年ちょうど10年目になるんですね。こんな感じで遊びみたいに音楽をやってますけど、いまだに俺は音楽を仕事と言ったことはない。俺たちの遊びに付き合ってくれてありがとうございます!」

「Play time isn’t over」を演奏する前に語った高木は続けて、「遊んでたら、10年経ってた。これからも遊んでいきましょう!」とこれからも変わらぬスタンスで活動していくことを宣言。

アンコールはなし。この後のオールナイトセッション、そしてDAY-2と今回のライヴはまだまだ続いていくのだから、アンコールにはまだ早いと考えたのか。そんなところにも型にはまらない活動を続けるBREIMENのこだわりがうかがえた。

Photo by Goku Noguchi

【SET LIST】2025.06.13
1. IWBYL
2. 乱痴気
3. LUCKY STRIKE
4. Bowling Star
5. A・T・M
6. yonaki
7. チャプター
8. BALLOON
9. noise
10. あんたがたどこさ
11. 棒人間
12. スプモーニ
13. 赤裸々
14. Rolling Stone
15. Play time isn’t over


BREIMEN:https://www.brei.men/

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