Code "F" Vol.3 | 齋木孝平(Halo at 四畳半)

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ビギナーにとって最初の難関と言えるテクニックが“F Chord”。このコードを上手く押さえられずにギターを辞めてしまう人が多いが、ミュージシャンやプレイヤー人生においても、難関を超えられずに無限大の可能性を前に挫折してしまう人が多くいる。そんな中、困難を乗り越え、音楽業界の大海原に漕ぎ出した可能性に満ちたミュージシャン/プレイヤーにスポットを当てる『Code “F” 』。彼らはどうやって最初の難関を乗り越え、そして今どのような景色を見ているのだろうか。第3回目は、Halo at 四畳半の齋木孝平が登場。


ギターを弾くこと自体が楽しかったので
ツライという気持ちはなかった

―  ギターを始めたきっかけは?

齋木孝平(以下:齋木)  中学校の部活でバスケをやっていたんですけど、中2の時に体調を崩して、しばらく部活も学校も行けなかったんです。その時にBUMP OF CHICKENを聴くようになり、ライヴ映像をYouTubeで見て、俺もギターで弾いてみたいなと思ったんです。で、親が昔に使っていたエレキギターが家にあったので、それを弾いてみたのがきっかけですね。

―  ビギナーの最初の壁、Fコードはどうやって乗り越えましたか?

齋木  正直、Fコードの壁にはぶち当たらなかったんですよ。俺が最初にぶち当たった壁はBコードなんです(笑)。弾きたい曲の中に、Fコードよりも先にBコードが出てきて、Bコードで苦戦してすごく頑張ったのでFコードは大丈夫でした。ただしBコードの壁に関しても、ギターを弾くこと自体が楽しかったので、ツライっていう気持ちはなかったですね。

―  それ以降、ギターを弾く上での挫折はありましたか?

齋木  高校に入ると周りの先輩がヘヴィメタルをやっていて、速弾きしていたんですよ。で、“あれ?ギターってこんなにすごいんだ”ということになりまして(笑)。それまでは完全に1人で弾いていたので、ギターを弾ける人たちが集まる場所はこうなのかと敷居の高さを感じましたね。ちなみに、速弾きに関しては未だにコンプレックスがあります。

―  でも、ジャンルが違うわけですから。

齋木  ジャンルが違うから弾けなくていいという考えは嫌で。それで、『地獄のメカニカル・トレーニング』という教則本を買って練習したんですけど…全然弾けなかったです(笑)! でも、コロナの外出自粛期間中でちょっと弾けるようになってきました。

―  最終的に速弾きも克服?

齋木  正直、弾けなくてもいいやと今は思っているんです。でも、技術があることは決して悪いことではないじゃないですか? できないよりはできたほうがいい。ただ、無理して完璧に弾けるようになろうとは思っていないです。

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―  ギタリストとしての自分の持ち味はどんなところだと思いますか?

齋木  いろいろなものを取り入れるタイプで、“これが自分のスタイルです”っていうのはあまりないんです。それが自分のいいところじゃないかなと思っています。

―  今日お持ちいただいたStratocasterは?

齋木  高校に入ってcinema staffというバンドを好きになったんです。そのヴォーカルの方がJazzmasterを弾いていたので、Jazzmasterに憧れて買ってずっと使っていたんですけど…自分のプレイに合うのはJazzmasterじゃないなぁと思うようになって。それでストラトの音を聴いたらすごく好きになって。楽器屋に探しに行って、4年くらい前にこのカスタムショップ製のStratocasterを買いました。

―  Halo at 四畳半はファンを着実に増やしつつあって、今勢いを感じるバンドなのですが、どうやって可能性を切り開いてきましたか?

齋木  お客さんが10人も集まらないライヴハウス時代から、ちょっとずつお客さんをライヴで増やして、階段を一段一段上がってきたんです。2018年にメジャーデビューをさせていただいて、ここから一歩上がる階段が高くなっていると今は思っています。

―  階段を上がる中で、バンドとしての武器やアイデンティティは何ですか?

齋木  多くの人に曲を届けたいけど、多くの人を意識し過ぎない点ですかね。もちろん万人ウケしてもらいたいと考えながら曲を作っている部分もあるけど、自分たちの音楽としての表現と大衆性の境目を、ギリギリのところまで考えながら4人で曲を作ることに時間とエネルギーを費やしています。それと、どんな瞬間でも新しいことをしようというスタンスなので、作品を作る度に自分たちに磨きをかけるようにしています。実際に以前の曲を聴くと、今と思っていることがまったく違うことがわかるんです。そんな風に、新しいものを考えていくのはHalo at 四畳半の強みだと思っています。

―  今の目標は?

齋木  今はとにかく早くライヴがしたいですね。ライヴで言えばどのフェスでも一番大きなステージに立てるバンドになりたいですし、楽曲で言えば自分たちらしさを大切にしながらお茶の間にも届く曲を作りたいです。

―  最後にギターをこれから始める人、ビギナーに向けてメッセージをお願いします。

齋木  コロナ禍のこの期間は、何かを始めるにはちょうどいい時だと思います。俺みたいなやつでも続けていればちゃんと弾けるようになるので、楽しんでギターを始めてみてください。

PROFILE


Halo at 四畳半
2012年に結成された千葉県佐倉市出身の4人組ロックバンド。メンバーは、齋木孝平(Gt,Cho)、渡井翔汰(Vo,Gt)、白井將人(Ba)、片山僚(Dr,Cho)。力強さと温かさが共存する唯一無二の楽曲と、圧倒的な歌と演奏でオーディエンスを魅了する。2018年、日本コロムビア/TRIADより満を持してメジャーデビュー。2ndフルアルバム『ANATOMIES』を2020年1月29日にリリース。
› Website:http://haloat4johan.com

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