Cover Artist | Rei -後編-

私が音楽から離れることがあっても、音楽が私から離れることはない

ブルーズやクラシックロックを基軸としながら、現在進行形のロックミュージックを鳴らすシンガーソングライター / ギタリストのRei。インタビュー後編では、Acoustasonic® Player Telecaster®のインプレッション、藤原さくらや長岡亮介(ペトロールズ)、東京ゲゲゲイら豪華ゲストが参加する彼女主催イベント〈Reiny Friday -Rei & Friends- Vol. 14 “with QUILT friends”〉への意気込み、そしてこれからギターを始めるビギナーへのメッセージなどを熱く語ってもらった。

いろいろな音色をスムーズに越境できるのはうれしい

──Acoustasonic Player Telecasterを試奏した感想も聞かせてください。

Rei 前回、American Acoustasonic®︎ Jazzmaster®︎を弾かせていただいた時と同様、今回もモデルとなっているテレキャスターらしさをうまく反映させていると思いました。シングルピックアップの、リップスティックっぽいデザインもかわいいですし、ヘッドのフェンダーロゴがデカールではなく刻印になっているところにもこだわりを感じます。ピックアップは数多くのエレアコメーカーとコラボしてきたフィッシュマンとの共同開発で、そうした技術の高さも活かされているなと思いました。

──今回、メキシコの新しい工場で製作されたことで価格帯がグッと下がりました。

Rei プロだけでなく、趣味でギターを弾いている人が買い求めやすい価格になったのは素晴らしいことだと思います。あと、これ1本持っているだけで、エレキの音もアコギの音も出せるのでライヴの時は重宝しそうです。例えば曲作りの時など、毎回音色別でギターを持ち替えたりセットアップを変えたりすると、自分のインスピレーションが断絶されてしまうこともあるので、いろいろな音色を、特にアコースティック、エレクトリックでスムーズに越境できるのはうれしいポイントだと思いました。
今はエレキの弦を張って弾いていますが、例えばアコギの弦に張り替えてみるだけでも音色が変わりますし、アコギとエレキ、どっち寄りのプレイヤーかによって弦の種類を変えるのも楽しいと思います。

──初めてアコスタを試奏した時の印象を改めて聞かせてもらえますか?

Rei 最初にアコスタを見た時は、まるで別の星からやって来たエイリアンみたいだなと思ったのを覚えています(笑)。ミュージシャン界隈でも、“あの不思議なギターは一体何だ?”と衝撃が走りました。でも考えてみれば、どの楽器でも最初に登場した時は違和感があったと思うんです。そのうちミュージシャンが使い出して、その様子を見たアマチュアの人たちがスタンダードとして受け入れるようになっていく歴史があったわけですよね。徐々にアコスタも浸透してきているのだなということを感じています。ミュージシャン仲間でも、普段使いしている方をよく見かけるようになりました。

人と共生することの大切さについて考える時間が増えました

──さて、9月23日にはReiさんが主宰するイベント〈Reiny Friday -Rei & Friends- Vol. 14 “with QUILT friends”〉が開催されますが、こちらはどんな内容ですか?

Rei 4月13日にコラボレーション・アルバム『QUILT』をリリースしました。このアルバムには細野晴臣さん、長岡亮介さん、渡辺香津美さん、CHAIなど、ギターを弾いているアーティストも含めてたくさんの方に参加してもらったバラエティ豊かな作品です。そのアルバムのコンセプトに基づいた大きなライヴをやろうということで、今回のイベントを開催することとなりました。
今は、世界中を見渡しても“平和”というものが当たり前ではない状況が続いています。そんな中、私自身は人と共生することの大切さについて考える時間が増えました。“仲良しってなんだろう?”って。人の数だけ価値観があり、当たり前にむかつく人も嫌いな人も、仕事をしていれば出くわすこともある。いろんなコミュニティや対人関係で、折り合いをつけなければいけない状況は誰しもあると思うんです。そんな中でも、相手のことを否定せず、別に好きと言わなくてもいいけど、お互いの考え方や生き方を尊重しながら共存することは可能なのではないかな、と。

──確かにそうですね。

Rei なので、ただアルバムに参加したお友達がたくさん遊びに来てくれるお祭りというだけでなく、“仲良く生きること”について何かメッセージを伝えることができたらと思ったんです。

──アルバムに参加しているアーティストが、それこそ性別も国境も年代、そしてジャンルもさまざまなのは、そういう想いがあったからなのですね。いろいろな立場の人と関わることで、自分自身の輪郭が見えてくることってありませんか?

Rei 今回は特にギタリストが多かったので、ギタリストとしての自分はどうなんだろう?ということを考える場面はとても多かったです。例えば長岡亮介さんはカントリーやブルーグラスがルーツにあるので、ギャロップピッキングや、開放弦を交えて指板を広く使うスケールの弾き方を勉強させてもらったし、コリー・ウォン(ヴルフペック)はバキバキにコンプをかけてストラトでカッティングするのですが、右手を広く振るコツなど、シックとか一緒に弾きながら学ばせてもらいましたね(笑)。

──イベントに先駆け、9月21日にはコラボレーションアルバム『QUILT -the Complete Edition-』がリリースされます。

Rei 通常盤ではダイジェスト映像だった、大久保拓朗監督によるレコーディングドキュメンタリー映像作品「MUSIC FILM #5 “WHITE CHAIRS” the Complete Edition」を収録しました。こちらはインタビューなども大幅に追加したリッチな内容となっています。また、ボーナスディスクとして本編のインストゥルメンタルバージョンが入っているので、楽曲のアンサンブルをじっくり聴いていただけると思います。

──デビュー当時から、音楽だけでなくファッションやアートなどさまざまな部分にこだわった表現をされてきたReiさんですが、今特に関心があること、新たに挑戦したいことは?

Rei 最近、ダンスを始めようと思っているんです。ダンスってやっぱり拍の取り方など楽器とはまた違う醍醐味があると思うんですよね。ギターを一つの小道具として、ポールダンサーにとってのポールのように捉えて踊ってみたらどうなるか考えていて(笑)。

──へえ! 面白そうですね。

Rei 例えばダックウォークとかウィンドミルとか、いろいろあるじゃないですか。例えばギターを持たされて“Reiのものまね、どうぞ!”って言われた人たちがやれるようなシグネチャーアクション見たいなものが開発できたらいいなあって思っています(笑)。

──では最後に、これからギターを始める初心者にメッセージをお願いします。

Rei “私が音楽から離れることがあっても、音楽が私から離れることはない”という言葉を私はとても大切にしていて、落ち込んだりやる気をなくしたりした時に心の中で唱えるようにしています。人間のお友達だったら、仲違いすれば疎遠になってしまったりすることも、仕事仲間だったら仕事が終われば関係が終わることもあるけど、音楽が私から離れることはない。音楽はいつもそこにいてくれるし、自分が成長すればそれに応えてくれる。そんな最高の相棒、友達にギターはなってくれると思いますよ。

› 前編はこちら

Acoustasonic Player Telecaster


Rei
卓越したギタープレイとヴォーカルを持つシンガーソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターを始め、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1stミニアルバム『BLU』をリリース。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる「TED NYC」でライヴパフォーマンスを行った。2021年2月26日、1stアルバム『REI』のInternational Editionが、US/Verve Forecastレーベルより全世界配信。同年10月よりコラボレーションプロジェクト“QUILT(キルト)”を始動。2022年9月23日(金)LINE CUBE SHIBUYAにて主宰イベント〈Reiny Friday -Rei & Friends- Vol. 14 “with QUILT friends”〉を開催。
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