Cover Artist | [ALEXANDROS] -前編-

“どっちもできるんです”っていう 世界を狙うための僕らなりの答え

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ユニバーサルミュージックと2014年にグローバル契約を交わし、ニューアルバム「Sleepless in Brooklyn」はニューヨークにてレコーディングを敢行。名実ともに世界進出に踏み出した[ALEXANDROS]へのインタビュー。前半はニューアルバム「Sleepless in Brooklyn」について、川上洋平(Vo,Gt)、磯部寛之(Ba,Cho)、白井眞輝(Gt)の3人に話を聞いた。

海外のレコーディングは直感的 それが新鮮だったし刺激になった
 

―  ニューアルバム「Sleepless in Brooklyn」は、ニューヨークでのレコーディングだったわけですが、なぜ海外でレコーディングを?

川上洋平(以下:川上) 今回のアルバムはじっくり時間をかけて作りたいと思っていて、どうせなら海外に行こうと。それもただ海外でレコーディングをするんじゃなくて、向こうに住みながらプリプロからやりたいなと思って海外でのレコーディングに至ったんです。でもその理由は特になく、単純に海外に行きたいというのが始まりです。

―  どれくらい滞在したのですか?

川上 トータルで約半年ですね。その間、ニューヨーク・ブルックリンで4人暮らしをしました。半年だけですけど、なるべく地元民の感覚を吸収しながら曲を作りたいねって、自分たちで食材を買いに行ったり、洗濯機が足りないので歩いて1分くらいのコインランドリーに行って、黒人のおばちゃんと仲良くなったりして。帰る頃にはブルックリンに根付いていたなっていう感覚でしたね。

―  実際に海外でレコーディングをしてみて、日本と何が大きく違いました?

川上 改めて思うといろいろあり過ぎるんですけど、明らかに違うのは遅刻しすぎ(笑)。みんな本当に時間にルーズですね。というか、日本人ってやっぱりちゃんとしてるんだなって(笑)。

磯部寛之(以下:磯部) 彼らが山手線の時刻表を見たらたぶん吐くと思いますよ(笑)。

川上 でも、そういう彼らの大らかな感じが音楽に出てますよね。いろいろとどんぶり勘定なんですよ。どんぶりミックスだったり(笑)。あと、日本のレコーディングは計画的なのに対して海外は直感的ですよね。でも、それが新鮮だったし刺激になりました。だから、あまり考えすぎるのも良くないなって。

―  白井さんは何に違いを感じました?

白井眞輝(以下:白井) 2人は元々帰国子女ですけど、僕は海外生活は初だったんです。強く感じたのは発想の違いですね。レコーディングで3〜4人でガッとした感じのコーラスを録ろうということになり、それなら響く感じがいいからって言うわけです。で、マイクのセッティングができたよって言われてみんなで行ったら、非常階段にマイクがあって(笑)。“え? ここで録るの?”って言ったら“だってここのほうが自然にリバーブがかかるじゃん”って。その発想はなかったし、何でもいいんだなって(笑)。

磯部 俺も感じたのはそういうところですね。それと、今回の現場だとエレキなどの電子音に関しては効率を重視していました。一方で、太鼓とか声といった空気振動系の録りはめっちゃこだわっていた気がします。あと、日本だと普段いいテイクを早い段階で録ってOKを目指すんですけど、向こうはいいテイクが録れたと思っても、もう1回やるんですよ。“最高だぜ!”って褒めてくれるから、“Thank You!”って返すと“じゃぁもう1回!”って(笑)。

川上 そうだったね。「Mosquito Bite」という曲は100回くらい録ってましたよね。俺、声が枯れかけましたから(笑)。


自分と楽器、つまり最低限ギターがあれば 表現ってできるものだって思えました
 

―  今回のレコーディングでは、日頃のメインとは違う楽器を使用したこともチャレンジだったかと思いますが、プリプロやレコーディングでも使ったんですか?

川上 僕はプリプロでは全曲でAmerican OriginalのJazzmasterを使いましたね。

磯部 俺もレコーディングも基本的にはAmerican Original 50s Precision Bassで演奏したんですけど、さっきも言ったように何度も何度も演奏して、気づいた時にはレコーディングが終わっていたので、正直どの曲でどのベースを弾いたかがわからなくて(笑)。

川上 レコーディングは確かにそうだね。僕も、正確に覚えてなくて。ただ、「Mosquito Bite」「MILK」ではそのJazzmasterを弾いています。

―  それぞれ弾いたフェンダーの感想は?

磯部 プレベはすごく弾きやすかったです。音も素直に抜けてくるような感じがして、とても良かったですね。

川上 日本ではコードで曲を作ることが最近は多かったんですけど、「Mosquito Bite」や「MILK」はリフから作っていったんです。それはもしかして楽器からそういう発想になったのかな?と今になって思いますね。

―  白井さんはどうでした?いつもと違う楽器、さらに言うと現行製品ということですが。

白井 日本にいた時は何か抵抗があったんですよ。でも、ずっと現地にあったAmerican Original 50s Stratocasterで演奏していたら、こだわりが段々となくなっていきました。それは楽器に対してのこだわりがなくなったわけではなく、“自分の楽器じゃないと弾けないんだよ俺は”っていうヘンな意固地が剥がれた感じです。自分と楽器、つまり最低限ギターがあれば表現ってできるものだって思えましたね。

―  なるほど。弾いた現行のストラトはいかがでしたか?

白井 普段は64年のヴィンテージのストラトを使っているんです。で、今回弾いたのが50年代のリイシューモデルだったのですが、タッチ的な部分はほとんど同じで、すごく弾きやすかったですね。音に関しても、現代的なものとヴィンテージへの敬意がミックスされていて。現代のレコーディングはライン録りも多いのですが、ちゃんと芯のある音が出てすごく良かったです。

―  素晴らしい曲と素晴らしい音に満ちたニューアルバムですが、完全に世界で活躍することを意識して作ってますよね?

川上 はい。特に「Mosquito Bite」は世界のどこで演奏しても、すごく強いロックソングだと思うんです。歌詞も英語だし。この曲は、世界で[ALEXANDROS]の名刺代わりになる曲を作ろうと書いてます。「LAST MINUTE」や他の日本語の曲も最初は英語で作っていたんですけど、レコーディングで自然と日本語が出てきたんです。今までの日本語歌詞って、英語で歌っていたメロディーの譜割りをそのまま日本語に変えていたんです。でも今回はそうじゃなくて、メロディー自体を日本語にしようと思って書いた時に、メロディーが全部変わっちゃったんです。しかもその日本語がすごくシンプルで。はっぴいえんどの曲みたいに、外国人のファンの方も歌える歌詞とメロデイーラインができたんです。それは、日本人のバンドが海外でやっていく上で、日本語でやろうとしたらどうなるのかな?っていうことを意識したからかもしれないです。日本、海外のどっちかに偏るんじゃなくて、“どっちもできるんです”っていう僕らなりの世界を狙うための答えなんです。

› 後編に続く


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川上洋平:American Original 60s Jazzmster
「日本ではコードで曲を作ることが最近は多かったんですけど、『Mosquito Bite』や『MILK』はリフから作っていったんです。それはもしかして楽器(Jazzmaster)からそういう発想になったのかな?と今になって思いますね」(川上)

白井眞輝:American Original 50s Stratocaster
「すごく弾きやすいです。音に関しても、現代的なものとヴィンテージへの敬意がミックスされている。現代のレコーディングはライン録りも多いのですが、ちゃんと芯のある音が出てすごく良かったです」(白井)

磯部寛之:American Original 50s Prescision Bass
「すごく弾きやすいです。音も素直に抜けてくるような感じがして、とても良かったですね」(磯部)

PROFILE


[ALEXANDROS]
2007年、本格始動。メンバーは川上洋平(Vo,Gt)、磯部寛之(Ba,Cho)、白井眞輝(Gt)、庄村聡泰(Dr)。2015年よりユニバーサルミュージックとグローバル契約を結び、アルバム「EXIST!」はオリコンウィークリーチャートで初登場1位を獲得する。国内のロックフェスティバルに数多く出演しヘッドライナーを務め、TVドラマや映画・CMなど多岐にわたる楽曲提供を行うなど、幅広い層に支持されている。11月21日には待望のニューアルバム「Sleepless in Brooklyn」をリリース。12月からは自身最大規模となるライヴハウス&アリーナツアーを行うなど、目が離せない注目のロックバンドである。
› Website:https://alexandros.jp

New Album
Sleepless in Brooklyn
【通常盤】¥3,240(tax in)
【初回限定盤A】¥7,344(tax in)
【初回限定盤B】¥6,264(tax in)
【完全生産限定盤】¥9,504(tax in)
ユニバーサルJ
2018/11/21 Release

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