Cover Artist | DISH// -前編-

Stratocasterは自分のギター人生の中にずっとあるモデル

結成以来、それぞれのフィールドを横断しながら独自の表現を磨いてきたDISH//が、4名全員でFenderNewsの「Cover Artist」に登場。インタビュー前編では、北村匠海(Vo,Gt)、矢部昌暉(Cho,Gt)、橘柊生(DJ,Key)、泉大智(Dr)が、楽器を始めたきっかけや挫折、そこから音楽を自分たちの表現へと変えていった過程を振り返る。加えて、北村が試奏した75th Anniversary American Professional Classic Cabronita Telecaster、矢部が手にしたVintera III Late ’60s StratocasterとVintera III Mid ’60s Jaguarの印象からは、DISH//の現在地とフェンダーへのリアルな距離感も見えてきた。


僕にとってギターは、自分の状態を示すメーターのような存在

──まずは、皆さんが楽器を始めたきっかけを教えてもらえますか?

北村匠海(以下:北村) (泉)大智以外の3人は、最初から自分で楽器を選んだわけではなくて、DISH//が始まる時に与えられたものだったんです。だから、最初の楽器との向き合い方は、普通のバンドとはかなり違っていたと思います。もちろん最初は全然弾けないし、弦を買うお金もないような状態でした。でも、与えられたはずの楽器が、だんだん自分たちの表現手段へと変わっていった。その変化が、自分がバンドとちゃんと向き合えている実感につながっていた気がしますね。
最初は本当にギターが嫌いでしたよ(笑)。全然うまくいかないし、指も動かないし、持ち方すらよくわからなかった。ただ、中1の時にRADWIMPSさんのMVに出演させていただいたことが、バンドやロックにハマっていくきっかけになったんです。中学3年間は本当にRADばかり聴いていましたし、そこから邦ロックを聴くようになって、さらにオアシスに出会いました。そうやって新しい音楽に出会うたび“ギターを弾きたい”と思うようになっていったというか。僕にとってギターは、自分の状態を示すメーターのような存在です。

矢部昌暉(以下:矢部) 僕も楽器を始めたきっかけは同じで、“君たちはDISH//だ”“君はギターだ”と言われたところからでした。それまでは(北村)匠海とダンスヴォーカルグループをやっていて、楽器にはまったく触れてこなかったので、“何でバンドなんだろう”“何で俺がギターなんだろう”という感じでしたね。好きになるまでにはかなり時間がかかりました。
興味が湧くきっかけは、先輩方のバンドのライヴを観たことです。もともとライヴの持つパワー自体は知っていたけれど、バンドのライヴにはまた別の熱さがあって。体を使って表現してきた自分が、ギターを通して表現する面白さを感じたのもそこからでした。今は演奏しながら踊ることもやっていますが、ダンスとバンドではカウントの取り方も少し違うので、そのあたりは日々模索中ですね。

橘柊生(以下:橘) 僕は、最初はDJでした。ストリートカルチャーやヒップホップが好きで、スクラッチを教えてもらっていたんですけど、その先生との出会いが大きかったです。そこからずっとDJをやってきて、ピアノを始めたのは20歳を過ぎてから。ライヴの企画で全員で連弾することになって、“じゃあ自分だけもう一曲弾けば?”と言われたのがきっかけです。
それこそ“ド”の場所すらわからないところからスタートして。譜面も読めないしコードもわからない、最初は音というより指の形で覚えていましたね。ピアノはいまだに好きになったり嫌いになったりしますよ。家で弾いていて“これ人間にできるのか?”と思うこともあるし(笑)、手の使い方も完全に自己流なので、クラシック的な曲はやっぱり難しい。自分なりに解釈してフレーズを変えながら弾くこともあって。いろいろと試行錯誤しながら弾けた時の気持ち良さがすごく大きいから、今も続いている感じです。

泉大智(以下:泉) 僕は小4の時に、学校の音楽室にあったドラムを触ったのが最初です。面白いし派手だし、“習いたい”と思って1年くらいはやっていたんですけど、その頃は友達と遊ぶほうが楽しくて一度やめてしまったんですよ。その後、中学で今の事務所に入って、バンドを組むことになった時に“ドラムやってたならドラムでいいんじゃない?”という感じで本格的に始めました。練習でいちばん大きかったのは、やっぱり好きな音楽のコピーですね。基礎練習も大事なんですけど、僕は淡々とした反復があまり得意じゃなくて。好きなバンドに合わせて叩くほうが、自分の手癖にもなるし、結果的にいちばん上達した気がします。

──楽器を練習する中で、辛いこともたくさんあったと思います。それでも続けてこられたのは、何かコツなどありましたか?

北村 僕はずっと好きな音楽のカヴァーをやっていますね。結局はそれがいちばん大きいし、自分が好きで聴いている音楽を、自分で弾けている実感はすごく大きい。とにかく、生活から音楽を切り離さないことが大事だと思うんです。ただ、モチベーションを無理に上げようとしなくてもいいとも思っていて。楽器って“今は弾きたい” “今日は顔も見たくない”みたいな、ちょっと友達みたいな関係性なんですよね。強制されるものではないし、興味が向いた時に触れればいい。

矢部 僕も同じです。ある意味“義務”として楽器を習い始めたからこそ、うまく弾けない時期は何度も訪れました。そういう時は、下手でも思いのまま弾けばいいし、気が向かない時は弾かなくてもいい。その代わり、気持ちが乗った時は好きなだけ弾く。そんな距離感でいいんじゃないかなと。楽器は相棒でもあり、良き理解者でもあるので。

 僕もやっぱり、好きな曲のカヴァーが楽しかったんですよね。好きな曲をコード解析して、分析して、弾いてみた時に“あ、これ気持ちいい”と思えたのが大きかった。そういうコード進行に出会うと、その部分だけずっと弾いていたりするんですよ。曲のサビだけでもいいし、サントラでも何でもいい。流れているものに合わせて一緒に弾ける環境があると、すごく上達する気がします。

 僕も高校生の頃は、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのようなミクスチャー系をすごく聴いていて、ああいうビートのカッコ良さに惹かれて叩いていました。テクニックを詰めるというより、“このビートかっこいいな”という感覚で叩くことが、結果的にすごく練習になっていたと思いますね。


75th Anniversary American Professional Classic Cabronita TelecasterはUKっぽくて泥臭い曲にすごく合いそう

──では、北村さんと矢部さんが今回試奏したフェンダーギターのインプレッションを聞かせてもらえますか?

北村 僕が弾いたのは、以前からずっと気になっていた75th Anniversary American Professional Classic Cabronita Telecasterでした。ピックアップとピックガードを見た時に、“こんなTelecaster見たことないな”と思って。持ってみるとボディも削られていてすごく弾きやすいし、それなのに出てくる音はかなり独特なんです。雑味や鉄っぽさがありつつ、フェンダーらしいボディの鳴りやメイプルの質感にちゃんと包まれている。しかもネックはかなり現代的で細い。ちょっと“じゃじゃ馬”感があるというか(笑)。DISH//の曲で言うと「ブラックコーヒー」みたいな、少しUKっぽくて泥臭い曲にはすごく合いそうだなと思いました。

──ちなみに、モデル名にあるCabronitaはスペイン語のスラングで“小悪魔”とか“やんちゃな”という意味なんですよ。

北村 まさにそれ系ですよね(笑)。

矢部 僕は今回、Vintera III Late ’60s StratocasterとVintera III Mid ’60s Jaguarを試奏させてもらいました。ストラトは普段ライヴでもメインで使っているので、やっぱりすごく愛着があります。初めて買ったギターもストラトでしたし、師匠が使っていたのもストラトだったので、自分のギター人生の中にずっとあるモデルなんですよね。

Vintera III Late ’60s Stratocaster | 75th Anniversary American Professional Classic Cabronita Telecaster

>> 後編に続く(近日公開)


DISH//
北村匠海(Vo,G)、矢部昌暉(Cho,Gt)、橘柊生(DJ,Key)、泉大智(Dr)で構成される4人組バンド。結成15年目。代表曲「猫」の累計再生回数が10億回を突破し、2021年末に紅白歌合戦初出場を果たした。全員が楽曲制作に携わり精力的にリリースを続けている。近年は音楽フェスへ多数出演し、3年連続アリーナ公演で成功を収めた。4人は俳優業やソロプロジェクト、DJなど、個々でも活動を行っている。2026年4月1日に6thアルバム『aRange』をリリースした。
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