Cover Artist | SILENT SIREN -前編-

か弱い女の子に見えても、実は力強い部分も持っている

SIRENT SIREN

読者モデルを中心に結成された、4人組ガールズバンドSILENT SIRENが、レーベルを移籍して初のアルバムとなる『GIRLS POWER』をリリースする。単に「GIRLS POWER=女子力」という意味だけでなく、女性のか弱い部分からたくましい部分まで、さまざまな側面を描いたという本作は、彼女たちの“底力”が詰まった意欲作だ。結成以来、一歩一歩着実に実力を身につけてきた彼女たち。今回は、ボーカル&ギターの“すぅ”と、ベースの“あいにゃん”に話を聞いた。

これまで以上にポップだったり、カッコ良かったりする楽曲が多い
 

―  ニューアルバム『GIRLS POWER』は、はじめにコンセプトやテーマがあって作り始めたのですか?

すぅ   いえ、最初から決めてはいなくて。まず、自分たちがやりたい曲というのを3曲くらい選び、そこにシングルカットされている曲などを足して、それでアルバム半分くらいの楽曲が決まったんです。それを大体、ツアーの始まる6月くらいからレコーディングし始めました。そのときは割と余裕だったんですけど、結局はいろんなことがあってギリギリになってしまいました(笑)。

―  おそらくアルバムタイトルが本作を貫くテーマだと思うのですが、いつくらいに決まったのですか?

すぅ   レコーディング中盤くらいに「タイトルどうしよう?」という話になって、それでいろいろ考えていく中で出てきたのがこのフレーズでした。“女子力”と直訳するのではなく、“女子の底力”というか。か弱い女の子に見えても、実は力強い部分も持っているし、女性っていろいろな面があると思うんですよね。そういう私たちの持つ“パワー”が、アルバムを通じて伝わったらいいなと。

―  世の女性に向けてのエールという部分も大きい?

すぅ   もともと私たちは読者モデルをやっていたから、若い女の子のファンが多かったんです。考えてみれば、世の中のさまざまな流行を作っているのって、10代の女の子が中心だったりするじゃないですか。そういう子たちの共感を得るものにしたいという気持ちは確かにありました。曲自体、とても振り幅が大きくて。これまで以上にポップだったり、カッコ良かったりする楽曲が多いと思います。

あいにゃん   “男らしさ”のほうが強いんじゃないかと思うくらい、力強い曲が多いですね。「私たちは女の子だけど、こんな音だって出せるんだよ?」って主張しているような。演奏面でもいろいろと挑戦し、ツアー中に新曲をやって、そこでアレンジをブラッシュアップした部分もあるので、かなりライブ映えする楽曲が並んだんじゃないかなと思っています。

―  演奏面での新しい挑戦というのは?

あいにゃん   激しめの楽曲の場合、ベースの音色にもこだわりました。レーベルを移籍して「フジヤマディスコ」をリリースしたくらいからは、スラップも積極的に取り入れたりしていているんですよ。

―  曲作りはいつもどのように行われるのですか?

あいにゃん   まずは、サウンドプロデューサーのクボナオキくんが、1コーラス分のデモをたくさん送ってきてくれるんです。それに、すぅを中心にメンバーたちが歌詞をつけていく。誰が歌詞を書くかは特に決めていなくて、クボくんが送ってくれたメロディーに対して何かしら浮かんだ人が手を挙げるという感じですね。で、本チャンのレコーディング前に、デモを聴き込みつつ自分たちなりのフレーズを考えるなど、各々の個人練が始まります。私だったらドラマーと一緒にスタジオに入って、レコーディング前のプリプロという感じで録音してみたり。そうやって、ちょっとずつカタチにしていきますね。

すぅ   歌詞は、大体は実体験に基づいて書くことが多いです。でも、100パーセント実体験というわけではなくて。どこかで共感してもらえるような言葉を使いつつ、自分が本当に思っていることを入れるようにしています。あとは、映画を観たりマンガを読んだり。8割くらいが恋愛ソングなので、やっぱり切なくてキュンとくるようなストーリーが多い、少女マンガからインスパイアされることが多いかな。それと、何かひとつのモノを決めて、それについての架空のコマーシャルソングを作るということも、たまにやっています。例えば、スポーツドリンクのCM曲をオファーされたと仮定してみたり(笑)。

あいにゃん   私は頭の中に映像を浮かべながらひとつの物語を作って、そこから歌詞に落とし込んでいくことが多いですね。実体験もあります。例えば、今作に入っている「KNiFE」という曲の歌詞は、過去にあった出来事が基になっているんです。思い出したくないようなことを、あえて思い出して書きましたね。

―  「KNiFE」はかなりダークな歌詞ですけど、実体験も含まれていたのですね。

あいにゃん   そうなんです。けっこう言葉の選び方とかも考えましたね。こんなに悩みながら書いたことはなかったかもしれない。レーベルを移籍してから、新しいディレクターの方が音楽についていろいろ聞いてくださる方なんですよ。歌詞についても、「こういう状況だったら、こう思うのは少し違うんじゃない?」みたいな感じで指摘してくれて(笑)。それが、今まで自分では思いつかなかったような発想を引き出してくれたところもあって。自分だけだと、なかなか到達し得ないところまで導いてもらったように思いますね。

―  すぅさんの歌詞は、「フジヤマディスコ」や「パパヤパヤパ」「ジャストミート」「フユメグ」など、タイトルも含めて語感の面白さを追求したものが多いですよね。

すぅ   “タイトル被りしないように”と思って考えることが多いですね。「チェリボム」とかもそうだったんですけど、略しがちみたいな(笑)。略したときの響きも含めてサイサイっぽいのかもしれないですね。それと、カタカナが好きなんです。見やすいし、ローマ字だとパッと見わからないことが多いじゃないですか。目で見てパッと言葉で言えるタイトルというのは意識しているかもしれないです。検索で一番上に来るようにとか。「フユメグ」で検索したら、多分サイサイの歌が最初に来ると思うし。

―  なるほど。では、今作の中で特に印象に残っている曲は?

すぅ   「ODOREmotion」は、すごく難しかったですね。テンポが速すぎて、本チャンのレコーディング直前にちょっと落としたんです。ギターも難しかったし、言葉がすごく詰まっていたので「歌えない!」と思って(笑)。聴感上はそれほどわからないくらいのテンポダウンだったんですが、おかげで息継ぎも少しだけ長くできるようになりました。サウンド面では、メンバーそれぞれの見せ場もあって、カッコいいが故にレコーディングは緊張しました(笑)。かなり速いギターのカッティングが入る箇所があって、そこがマジ追いつかなくて何度もやり直したのはキツかった!

あいにゃん   どれも印象深いですけど、私はボーナストラックの曲ですかね。4人でブースに入って、“せーの”でレコーディングする、いわゆる“一発録り”というのを今回初めてやったんですよ。ずっとやりたかったことだったので、すごく新鮮だったし、一発録りが出来るくらいバンドとしてまとまってきたことが嬉しかったです。「バンドっていいなあ」と改めて思えたレコーディングでした。

› 後編に続く


SIRENT SIREN

すぅの使用ギター
すぅがTelecaster Thinlineとともに、メインで使っているのがこのJazzmasterである。元々サイサイにはサポートギタリストがいたが、メンバー4人でライブをやることとなり、パワーのあるギターを探している中で本モデルに出会った。形も音も、弾き心地もすべて気に入っているという。アンプはフェンダーのSuper-Sonicと組み合わせることが多いそうだ。

あいにゃんの使用ベース
元はAmerican Standard Jazz Bass(ブラック)だったが、80年代前半のStandard Jazz Bassの雰囲気を意識して大改造したのが本モデル。特注カラーのダフネブルーに塗り替え、それに合わせてマッチングヘッドを交換、さらにピックガードとコントロールパネルを一体型にした上、レリック加工も施している。音の抜けが良くなり、スラップ奏法も映えるようになったそうだ。


SILENT SIREN
すぅ(Vo,Gt)、ひなんちゅ(Dr)、あいにゃん(Ba)、ゆかるん(Kb)からなるガールズバンド。2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。全員が読者モデル出身。2013年にリリースした「ビーサン」から、シングル/アルバムを合わせてオリコンウィークリーチャート10位以内を12作連続で獲得中。2014年には初となる海外進出公演を果たし、2015年には香港以外にも台湾、インドネシアでのワンマンライブも開催し、海外でもファンを獲得。2015年1月17日、ガールズバンドとしてはデビュー史上最速での日本武道館でのワンマンライブを開催。2016年からはアジアをはじめアメリカ2カ所も含むワールドツアーを開催。ユニバーサルミュージックEMI Recordsへのレーベル移籍を発表し、さらに過去最大規模の全国ツアー「5th ANNIVERSARY SILENT SIREN LIVE TOUR 2017 『新世界』」と、移籍第一弾シングル「フジヤマディスコ」リリースを同時に発表。ツアーファイナルはサイサイ初となる日本武道館2Days。12月27日には移籍後初となるアルバム『GIRLS POWER」』をリリース。3月より「SILENT SIREN LIVE TOUR 2018 〜”Girls will be Bears”TOUR〜」を開催。

› SIRENT SIREN:http://silent-siren.com/

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