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Cover Artist | JESSE、T$UYO$HI(The BONEZ)-後編-

メンバー全員が輝く曲じゃないと意味がないと思った

今回、FenderNewsのCOVER ARTISTに登場してくれたのは、The BONEZのJESSE(Vo,Gt)とT$UYO$HI(Ba)。およそ2年ぶりにリリースした彼らの新曲「We are The BONEZ」は、ライヴ前にメンバーが円陣を組み、士気を高めるために口にしているフレーズをタイトルに掲げているという。インタビュー後編では、その新曲に込めた想いについて語ってもらった。

俺らにとって〈re:BIRTH〉ツアーがなくなったことは、普段のツアーがなくなるのとは意味合いが違った

─ The BONEZの2年ぶりとなる新曲「We are The BONEZ」は、ステージ上でメンバーが円陣を組み、士気を高めるために口にするフレーズをタイトルにしたそうですね。そこにはどんな思いを込めたのでしょうか。

JESSE コロナ禍で今、音楽業界全体がとても大きなダメージを食らっていますよね。ライヴハウスはもちろん、それに関わる人たちも、思うようにライヴができないことによってみんなが困っている。ステイホームが続き、自宅にこもって曲作りをしたり、レコーディングをしたりすることができると思っていた人たちも、実は人前で演奏することが曲作りのためのとても大きなインスピレーションになっていたことに気付く人も多かったと思います。

─ 確かにそうですね。

JESSE The BONEZも、去年は〈re:BIRTH〉と銘打ってのツアーを全国各地で行う予定でした。僕自身、事件を起こしたあとだったし、ツアーを通じて地方のイベンターさんや、ライヴハウスでお世話になった店長さん、オーナーさんに“心配かけてごめんね”と言いにいくつもりで気合を入れて臨んでましたが、結果〈re:BIRTH〉は中止になりました。今回、特にニューアルバムがあったわけではなく、2019年のツアーでやった楽曲を再び携えての〈re:BIRTH〉でしたが、俺らにとってこのツアーがなくなったことは、普段のツアーがなくなるのとは意味合いが違ったんですよね。

 ただ、最初は本当に悔しかったし、つらかったし残念だったけど、もうプラス思考に考えるしかないし、“きっとこれが俺たちにとって良かったんだよ”と頑張って言い聞かせていました。その期間にメンバー同士、仲間としてたくさん会って話せたことも、今考えると良かったなと思えます。ツアーの予定もないのに“週一でリハをやろう”と言って、スタジオに入って曲を作ったりしていたんですよ(笑)。

─ 積極的に動いていたわけですね。

JESSE しかも、去年はギタリストまで脱退するという、漫画みたいな出来事が立て続けに起きていたんです。本当に大変だったのですが、幸いサポートギターも1人決まって。去年のクリスマスの時かな、こういう時だからこそ円陣を組んで、“点を取られても取り返す、We are The BONEZ!”という掛け声で気合いを入れることにしたんです。なので、自分たちのバンド名は入っているけど、それはあくまでも象徴する言葉であって、そこには今言ったような思いがすべて込められているんです。

─ その〈We are The BONEZ Tour 2021〉を開催するにあたって、考えていたのはどんなことでしたか?

JESSE コロナ禍でライヴを経験した多くのミュージシャン仲間たちが、口を揃えて言っていたのが“お客さんがみんな声も出せないし暴れられないから、会場の雰囲気に合わせて曲調を変えている”ということだったんですよ。シンガロングとモッシュができないなら、ハンドクラップとか他の方法でお客さんが参加できるようにしたり、少し静かめのアレンジにしてみたり。俺もそっちでいこう、アコースティックセットを増やしていこうと最初は思っていたのだけど、友人たちからそういう話を聞けば聞くほど、“何か違うな”と思うようになってきて。最終的に、今回の〈We are The BONEZツアー〉は、これまで通りのスタイルで今まで以上に本気で挑もうという話になりました。

 これまでは、お客さんが盛り上がっていないと自分もそれに影響を受けてテンションが下がってしまうところがあったんですよ。自分の気持ちが乗らなかったり、動けないお客さんにばっかり気を取られてしまったりして。でも、今回はみんなが暴れられないのは前提だから、そこで“どれだけこちら側が自分自身を奮い立たせられるか”にかかっていると思ったんです。

“自分を奮い立たせる”というふうにステージへの挑み方の根本を変えた

─ 実際にやってみて、お客さんの反応や自分たちの手応えはいかがですか?

JESSE MCでも言ったんだけど、ツアーが始まる前に“実はやるのが恐怖だ”とメンバーに伝えていたんです。ライヴでお客さんを煽って客席にダイブして…という光景が、今回はもう絶対に見ることができず、これまでのステージを超えるものになるはずがないとわかっていて挑むステージだから。お客さんも、大好きなバンドを見ていて暴れられなくて“何これ、全然面白くないな”と思うかもしれない。大好きなバンドに覚めてしまう恐怖って、そうそうないと思うんですよ。お互い恐怖なんじゃないかなと。しかも、1〜2回のライヴならともかく、それをツアーで何本もやるわけじゃないですか。

─ 確かにそうですね。

JESSE でも、さっき話したように“自分を奮い立たせる”というふうにステージへの挑み方の根本を変えてみたら、それが想像以上に上手くいきました。今までに感じたことのないような熱気がこちらにまでグワーッと伝わってきて。もしこれで、モッシュもダイブもOKになったらとんでもないことになるんじゃないか?と。もちろん、自分で自分を奮い立たせるのは口で言うほど容易いことじゃなくて、ものすごく集中力も要りますし、無我の境地になる必要がある。もう、坊さんの領域ですよね(笑)。

─ なるほど(笑)。

JESSE ただ、これも俺らのことを見に来てくれたお客さんの前だから上手くいっているのかもしれない。もしフェスに出て、俺らに興味がないお客さんの前に出て、無我の境地になっている姿を見せた時に、“おぉ、やべえ!”と思わせられるかどうか、現時点ではわからない。そこが今後の課題になりますね。

─ 「We are The BONEZ」の作曲はT$UYO$HIさんですが、どんな曲にしようと思いましたか?

T$UYO$HI 今回は特に、メンバー全員が輝く曲じゃないと意味がないと思ったんです。ドラムはZAXが叩いていてカッコいい姿を想像しながらビートを組み立てたし、ヴォーカルはこういうテンポ感だったらJESSEが絶対に映えるはず。しかも、こういう曲調は今までJESSEは歌ってきていないけど、実はハマるんじゃないか?とか。基本的に、ライヴバンドとしてのThe BONEZがカッコ良く見える姿を想像しながら作っていきましたね。

─ サポートメンバーのKOKIさんのことも歌詞の中で紹介していますし、ミュージックビデオにも登場されています。今後、正式メンバーになる予定ですか?

JESSE いや、そこは未定ですね(笑)。ツアーもしたことないやつを、どんなに仲が良くてもいきなり正式メンバーに入れられないですから。メンバーになるっていうのは、歌詞にも書いたけど“ファミリー”になるということですから、そんな簡単に決められるものじゃないですよ。もちろんKOKIの気持ちもあるわけだし、時間をかけてお互いに判断すべきだよね?としか言えないです、今のところはね。

› 前編はこちら


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T$UYO$HI(左):American Professional II Precision Bass®
JESSE(右): American Acoustasonic® Jazzmaster®

The BONEZ

RIZE、PTPという肩書きはもはや不要。We are “The BONEZ” JESSE(Vo.Gt.) / T$UYO$HI(Ba.) ZAX(Dr.)からなるパンクスピリッツ溢れるオルタナティブロックバンド。
2018年、3rd FULL ALBUM『WOKE』をリリースしオリコン7位を記録、30公演に及ぶリリースツアーは即日完売、プレミアムチケット化し話題騒然となった。2020年には猪苗代湖よりライブ配信、2021年には『We are The BONEZ』ツアーを開催。5月29日(土)Zepp Tokyoにて追加公演が決定した。
› Website:https://thebonez.com

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