Cover Artist | BLUE ENCOUNT -後編-
フェンダーって原点でもあり、頂点でもあるんです
メジャーデビューから5年。破竹の勢いでロックシーンを駆け上がっているBLUE ENCOUNT。そのフロントマンである田邊駿一(Vo,Gt)と辻村勇太(Ba)がFenderNewsに登場。後編ではフェンダーギター/ベース、そしてバンドとしての夢について語ってくれた。
やっぱりフェンダーだった
― 田邊さんは最近、フェンダーのMade In Japan Modern Telecasterを使い始めていますよね?
田邊駿一(以下:田邊) はい。この前、広島でリハーサルの時に弾かせてもらいました。自分のアンプにそのままの設定でつないだんですけど、本当に力強いですね。“あれ? これ11月のZeppシリーズで使える?”って思うくらい良くて、そんなことをPAさんたちとも話していました。もう少し具体的に言うと、まずはリアの音がすごく力強いんです。で、センター時のクリーンも温かい感じで、ちゃんとフェンダーイズムが生きている。フェンダーの味を出しつつも、リアにした時の力強さはいい意味で“あれ? これフェンダーっぽくないな”みたいな。BLUE ENCOUNTのサウンドって、アップテンポをすごくゴリゴリしつつも、バラードの曲はとことん繊細に作っているんです。
辻村勇太(以下:辻村) レンジ広めでね。
田邊 そう。で、今回は小箱ツアーなので割とミッドの音を出すようしてたんですけど、Zeppシリーズでどういう音を出そうかなとちょうど模索してた時にMODERNシリーズを手に入れて。パワーもあるし繊細なクリーントーンも出るので、僕の中では11月から始まるZeppシリーズで鳴らさせていけたらなと思っています。
― それは楽しみです。
田邊 僕も楽しみです。しかも音だけではなく、色味もかなり攻めてますよね。すべて真っ黒というこのエモい感じが好きです。それにしても、フォルムだけを見たらSiMとかエモ系のアーティストが使っていそうで、“エモくていいな。しかもこれフェンダーなんだ”っていう意外な感じも好きです。あと、軽さ(重量)もちょうどいいんですよ。しっかりとパフォーマンスについてきてくれる重量感がある。
― ちなみに、田邊さんの理想のギタリストは?
田邊 ギター&ヴォーカルで言うとUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介さん(Vo,Gt)ですね。3ピースバンドなのにフレーズも吹っ飛んでるじゃないですか。それでいて芯がある音で、今のロックバンドっぽい音にもなるんですよね。それがすごいなと。僕もいずれは単音弾きだけで存在感を出せるようになりたいなと思ってます。
― 斎藤さんもフェンダーですよね。田邊さんが思うフェンダーギターの魅力とは?
田邊 いろいろな国内メーカーも試させていただいたんですけど、1周回って今のBLUE ENCOUNTのフェーズは、パフォーマンス力があるからこそグルーヴをきちんと作っていきたいんです。もちろん、ベースとドラムのグルーヴに絡んでいきたいんですけど、僕らは同世代の中でも歌心を大事にしてるバンドだと思うし、そういうヴォーカルになりたいと思うようになったので、ちゃんと自分のギターと歌のグルーヴで引っ張っていきたいなと思っているんです。そう考えた時に、テレキャスないしストラトの力を借りたい。それで今は、家でもそういうカッティングを勉強しています。
― カッティングを極めるとなると、自ずとフェンダーに行き着きますよね。
田邊 その通りなんです。あとは、自分のマインドやパフォーマンスに合うTelecasterかStratocasterなのかを選べばいい。だから今は、答えがすごくシンプルになってきています。歪みでがっつりやるぜ!というフェーズより、1人1人の音で戦う感じになってきたので。
辻村 で、このタイミングでギターの江口もフェンダーを使いたいって言い出したんだよな。
田邊 言ってたね。だから本当に1周した感じなんですよ。インディーズの最初の頃は、江口がストラトで僕がフェンダーのUSAだったんです。というのも、僕が初めて学生のときに熊本で買ったギターがフェンダーだったんです。懐かしいなぁ。親父に内緒でフリーローンを組んで。でも結局は家に届くからバレるっていう(笑)。親父に大目玉喰らいましたよ。
― フェンダーにした理由は?
田邊 俺の好きなバンドのヴォーカルと言えば、やっぱりフェンダーだったんですよね。上京する前後だったので、flumpoolやNICO Touches the Walls先輩が流行っていて、みんなフェンダーを使っていましたし、WRONG SCALEの人も使っていたからカッコいいなと思ったり。LITEのギターもずっとフェンダーを使っていて、ギターロック界隈や自分の好きな人たちがみんな使っていたので、俺もそこの門を叩くかと思って。で、熊本の島村楽器に置いてあったのがフェンダーのUSAだったんです。メンバーに相談したら“USAがいいんじゃない”ってことですぐに買いました。だから、インディーズ最初のミュージックビデオで使っているのはフェンダーUSAです。今も実家にあって、オカンが大事に保管してくれています。
メンタルでもお世話になっています
― 辻村さんはフェンダーのJazz Bassをメインに使っているんですよね?
辻村 はい、62年製のヴィンテージです。それこそ僕の楽器歴もフェンダーに始まっているんです。最初に初心者セットを買った時もフェンダーですし、他のベースも経由しましたけど、田邊がインディーズの時にフェンダーを使ってた時、僕はカスタムショップ製のJazz Bassを使っていました。そこから進化するにはどうしたらいいんだろう?って時に、マスタービルダーかヴィンテージの2択だったんです。
田邊 ただ、買った後はしばらくはカップラーメン生活でしたけどね(笑)。でも、自分の歌を支えてくれている感じで、めちゃくちゃ歌いやすくなりましたね。
― 62年製のジャズベ以外にも、American EliteシリーズのJazz Bassも使用してくれているんですよね?
辻村 はい、American Eliteと同じようにアクティヴプリアンプ搭載のFenderベースは以前から使用していて、インディーズ時代を支えてくれた一本でもあり、バキバキに改造しちゃってます。僕、けっこうスラップも多用するんですけど、スラップの反応がすごく速いんですよね。American Eliteシリーズは、60〜70年の間というイメージです。70年のメイプルアッシュほどバキバキではないし、60年のモダンな丸い音ではないちょうど中間のいい音です。スラップなど、いろんなことに対応できる優れた1本です。アクティヴなのですが、フェンダーのアクティヴって僕はすごいなと思っていて。いろいろなアクティヴサーキットを入れて試したんですけど、やっぱり優しいんですよねフェンダーって。他のメーカーはちょっと暴力的というか(笑)、耳が痛くてハイを全開にはできないんです。でも、American Eliteはフルテンでもフェンダーの優しい音がするんです。やっぱりそれがフェンダーの良さだと思いますし、どんな環境に対してもフェンダーの音でマッチする。あとは自分の腕次第だと思うんです。そういう意味では、ベースにこだわりない人が弾いたら面白くないと思われるかもしれないけど、だからこそ無限大の可能性ありますし、歴史的なベースヒーローって絶対にフェンダーを通っているので。それを見てみんなフェンダーを買って、そこからいろんな音楽が発生している。だからフェンダーって、原点でもあり頂点でもあるんです。
田邊 辻村! そのワードはマジで大事にしたほうがいい!!
辻村 だって初心者セットを買った時の原点はフェンダーだし、今でもやっぱり頂点はフェンダーなので(笑)。
― 原点ということで言えば、ブルエンを観て楽器を始める人もいると思うんですが、ビギナーがコピーするのにおすすめしたい曲を1曲ずつ挙げていただけますか?
田邊 ギター&ヴォーカルとしては「もっと光を」ですね。
辻村 あれは歌ってほしいよね。
田邊 思いっきり歌ってほしいね。でも、ちょっとギターを間違えるとニュアンスで歌が引っ張られることがあるんです。特に2番のBメロは譜割りが難しいので、意外と弾けない人が多いんですよ。ぜひチャレンジしてみてください。
― ベーシスト的には?
辻村 「灯せ」っていう曲が一番シンプルなのでおすすめですね。この曲、メンバーみんなが同じことをやっているんですよね。ベーシストはアンサンブルが大事だと思っていて、“我”はあっていいと思うんですけど、周りを見る力がすごく大事なんです。自分のプレイがどれだけ周りに溶け込めているのかも大事です。そういう面で「灯せ」はみんなが同じ姿勢で大きく奏でる曲なので、ベーシストとして通ってほしいなと思います。
― 抽象的な質問ですが…あなたにとってギター/ベースとは?
田邊 僕にとっては歌うための安定剤ですね。これがないともう…。曲によってハンドマイクで歌う曲もあるんですけど、なぜか小っ恥ずかしさがあるんです。あとは自分でギターを弾いていることで、中音の耳を保てているんだなって思ったりもします。もともと弾き語りというか森山直太朗さんで音楽を始めた人間としては、身体の前にギターがいないと歌えない感じはすごくありますね。だからそういう意味では、メンタルでもお世話になってる。それがギターですね。
辻村 僕はベースのことを“嫁”って呼んでるんです。“いいくびれしてるな、うちの嫁”みたいな(笑)。でもまぁ、一言で言えば身体の一部ですかね。ベースがなかったら生きていけないと思うし、気づいたら一緒に寝てる時もありますし。自分の想いがダイレクトに音として出てくるわけですよ。優しく弾いたら優しい音になるし、脳みそで考えていることが音に出てくるとも思っています。だから、いいメンタルの状態でいないといい音が出せない。じゃあ、そのためにはどういう生活をして、どういう考え方をしたら人に幸せを与えられる音になるんだろうってところまで考えているので、やっぱり身体の一部だなってあらためて思いますね。
― さて、最後の質問です。これからのさらなる活躍が楽しみですが、あらためてバンドとしての夢は?
田邊 国内の大きな会場、またアリーナとかでやりたいなと思いつつも、メンバーで話していたことは、アリーナをゴールにするのはもう違うねと。じゃあドーム公演がゴールになっても、それはバンドとして良くないと考えると、僕らはアニメのタイアップが多かったりして海外の人からもすごく注目してもらっているので、だとしたらやっぱり海外でライヴをしたいと思っています。特にアメリカで1回、ちゃんとライヴをしたいです。“有名な曲があるからアメリカでやりましょう”じゃなくて、むしろ有名曲をやらずに、グルーヴだけでどこまでアメリカで通用するのか挑戦したいです。辻村も何回もアメリカに行って自分の腕を試してきたりしてるし。
辻村 うん。僕、ニューヨークのストリートで何回か演奏したんです。1人でビクビクしながら。ループだけ持っていって、地下鉄でやらせてもらったことがあるんですけど、その時にやっぱりフェンダーってワールドクラスの音なんだなって実感したんですよ。“フェンダー使ってるの?”って聞かれて、その時はフェンダーを使っていなかったので“ノー”と答えたら“えー!”みたいな感じで引かれました。そういう時に感じたこともいっぱいありましたし、これがバンドでだったらどうなるのか気になりましたね。今のメンバーにとって何が刺激なのかを考えたら、海外への挑戦はひとつのきっかけとしてバンドの目標に入れています。
田邊 海外の大きな会場でやれるようになるには、どうするすべきかを考えています。僕は小学校の時から映画が好きなんですけど、いずれはハリウッド映画の主題歌になったらカッコいいだろうなって思いながら。英詞も歌うバンドなので、そこに関してはしっかりやっていきたいですし、むしろ英詞を歌っているのに海外でライヴをやらない理由って何?っていう話なので。
辻村 これを機に田邊ももっと英詞が上手くなるかもしれない。無謀な夢だからこそBLUE ENCOUNTなのかなっていう原点にも今なってますね。
― バンドも原点にして頂点を目指すと。
辻村 まさにそうですね(笑)。
田邊 これ、これからのブルエンのホットワードでいきたいと思います(笑)。
› 前編はこちら
田邊駿一:Made in Japan Modern Telecaster® HH(左)
辻村勇太:American Elite Jazzbass(右)
PROFILE
BLUE ENCOUNT
熊本発、都内在住4人組。熱く激しくオーディエンスと一体になり、ダイレクトに感情をぶつける熱血なパフォーマンスが話題のエモーショナルロックバンド。メンバーは、田邊駿一(Vo,Gt)、江口雄也(Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)。2014年9月にEP「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年1月にリリースした1stシングル「もっと光を」は、新人ながら全国35局でのパワープレイを獲得。2016年10月には日本武道館ワンマン公演、<LIVER’S 武道館>も大成功に収める。メジャーデビュー5周年、バンド結成15周年となる2019年、6月からバンド史上初のホールツアー<BLUE ENCOUNT TOUR 2019 apartment of SICK(S)>を開催、ミニアルバム「SICK(S)」リリース、9月には日本テレビ系ドラマ「ボイス 110緊急指令室」主題歌「バッドパラドックス」シングルリリース、11月には読売テレビ・日本テレビ系アニメ「僕のヒーローアカデミア」第4期オープニングテーマ「ポラリス」を発売予定。常に全力のパフォーマンスとシンプルで熱いメッセージを伝え続ける彼らの姿勢が音楽ファンの大きな共感を呼んでいる。
› Website:https://blueencount.jp
RELEASE INFORMATION
NEW SINGLE
ポラリス
【初回生産限定盤(CD+DVD)】¥2,200+税
【通常盤(CD)】¥1,100+税
【期間生産限定盤(CD+DVD)】¥1,500+税
Ki/oon Music
2019/11/20 Release