Evolving Dreams | かずき

2018年にYouTubeチャンネルを立ち上げ、現在ではギターの教則本が異例のヒットを記録するなど大活躍中のかずきが、2024 Collection Made in Japan Hybrid IIシリーズを用いたライヴ&トークイベントを開催。その模様をレポートする。


フェンダーは過去の栄光にすがることなく常に“今風”のイメージを刷新している

──まずは音楽やギターに目覚めたきっかけを教えてください。

かずき 音楽が好きでギターを始めたパターンが多いと思うんですけど、僕は逆で、ギターを始めてからいろいろな音楽を聴くようになったタイプなんです。ギターでいろいろな曲を弾きたいから、音楽を好きになっていったパターンですね。

──では、ギターを始めきっかけは?

かずき 中学生になったらみんな部活に入るじゃないですか。僕もみんなと同じように入ったほうがいいのかなと思って入ったのですが、もうびっくりするぐらい馴染めなくて、部活動が自分に向いていないなと感じたんです。そんな時、仲の良かった友達がギターを始めたんですよね。たぶんオアシスとかロックバンドに憧れて始めたと思うんですけど、それを見てギターってカッコ良さそうだし、家で一人で黙々とできるのがいいなと思って始めました。全然ドラマチックじゃない始まりです。


──気になるのが練習方法です。YouTubeに練習方法をたくさんアップされていますが、一番のオススメがあれば教えてください。

かずき ギターの練習と言っても、初心者の頃は好きな曲をとにかく弾きたかったんですよ。だから特別な練習方法ではなくて、ただひたすら好きな曲のフレーズを覚えて6時間とかずっと弾いていましたね。練習がなかなか上手くいかない人は、流れ作業みたいな感じで、例えば休符が織り混ざっているフレーズもただ音と音をつなげて弾いちゃうんです。そうじゃなくて、初めはゆっくりのスピードで、メトロノームというか曲のテンポを意識しながら、どこに休符が入っているのかを感じながら練習するのが一番のポイントだと思っています。まずはちゃんと休符を演奏する意識を身につけると安定して弾けると思いますね。

──休符を演奏する、感じると。ギターを始めた頃に演奏していた曲は何でしたか?

かずき 印象に残っているのがRADWIMPSの「おしゃかしゃま」という曲です。初心者にはリードギターっぽくて難しい曲ですけど、いけそうだなと思ったら何時間も繰り返し練習していました。ただ、毎日それをやっていたかというとそうではなくて、弾けないフレーズがあったら集中して練習はするんですけど、弾けない時や疲れたら一回辞めるんです。で、数日後に弾いてみると意外と練習の成果が現れて弾けるようになって、やっぱりギターは楽しいなって思ったり。ストイックにやる時と、何も考えず楽しむ時で緩急をつけたら、楽しみながらずっと続けられるのかなと思いました。

──初めてフェンダーを手に入れたのはいつですか?

かずき 中学1年生の頃にギターを始めたんですけど、高校に上がるタイミングで、記念にこれまでもらったお年玉を全部はたいて“もうフェンダーいっちゃうか!”って感じで買いました。その時に買ったのがAmerican Standard Stratocasterです。

──なぜそれを購入したのですか?

かずき 一番の理由は、レッチリのジョン・フルシアンテに憧れて。サンバーストのストラトはマストで考えていたんですよ。だから、好きなギタリストに憧れてってやつですね(笑)。

──初めてのフェンダーはどうでしたか?

かずき アメリカ製なので、これまで使っていたギターよりも指板の幅が広く感じたりちょっと違和感もあったんですけど、それ以上に満足感! “うわ、フェンダーのストラトだ!”っていう満足感が大きすぎました! ネックも練習していくうちに自分にとってピッタリになっていきましたね。

──フェンダーというブランドの印象は?

かずき フェンダーは50年代初期から一貫して革新的で、その時代に合わせたものを出しているブランドだなってすごく思っています。このあと、皆さんの前で弾く2024 Collection Made in Japan Hybrid IIも、今の僕とかもっと下の若い世代にも刺さるカラーリングやスペックだと思っていて。過去の栄光にすがることなく常に“今風”のイメージを刷新しながら、フェンダーらしさも残しているのがすごいです。

──そんなフェンダーのカリフォルニア・コロナ工場に先日行ったそうですね。

かずき そうなんです。もうめちゃくちゃ楽しかったです。僕のYouTubeに動画がアップされますのでぜひ見てください。動画内でも話してるんですけど、規模感がすごかったんですよね。一日に何百本もギターを作る工場って、言葉で言い表せないですね。


──さて、2024 Collection Made in Japan Hybrid IIについてお話を聞かせていただこうと思います。試奏をしていただいた感想を聞かせてください。まずは2024 Collection, Made in Japan Hybrid II Stratocaster HSSですね。

かずき ストラトを弾いていて感じるのがネックの触り心地で、ストラトが一番好きです。普段はCustom Shop製のストラトを使っていますが、それから持ち替えても何の違和感もないネック形状をしていて、すごく弾きやすいのが印象的でした。ネックはサテンフィニッシュなので、ローポジションも弾きやすいけど、段々高いポジションにいっても弾きやすい。指板がサラサラなので指の移動がすごくスムーズなんですよ。出音も今はクリーンとかクランチで弾いているんですけど、パワーがあるしすべての弦のバランスがちょうどいい。だからコードとかアルペジオを弾いてもいいし、ディストーションかけても音が太いからすごく使いやすいと思います。

──なるほど。

かずき 僕はフロントの音が好きで、そこだけでもオールマイティに使えるのに、リアピックアップにハムバッカーが載っているんです。このおかげで今みたいなしっかりとしたロックサウンドにも使えるので、オールマイティに使えるギターですね。あと、めちゃくちゃ色が気に入っています。もともとポップでかわいい色も好きなんですけど、昔のアメ車みたいなフェンダーらしい色で、そういう意味でもこのストラトはすごく気に入っていますね。


──続いては2024 Collection, Made in Japan Hybrid II Telecaster

かずき やっぱりテレキャスを持って思うのが、いい意味で“板感”があるんですよね。木の板を持ってるみたいな(笑)。だから演奏面でも、すごくロックっぽいガンガンかき鳴らすタイプの曲が弾きやすいなと。リアでジャキジャキ弾くのも好きなんですけど、フロントとリアを混ぜたミックスポジションがすごく好きで。ギターの音が飴でコーティングされたような音がするんです。これでボカロ系のかわいい曲を弾くのに、やっぱりテレキャスはすごく合うなと思っています。あとはピックアップが二つなのに、レバースイッチが4ウェイなんですよ。手元だけでいろいろな音色が出せるのもいいですよね。


──次は2024 Collection, Made in Japan Hybrid II Jazzmasterです。

かずき 最近、めっちゃジャズマスを欲しいなと思ってて。持った瞬間からこういうのを弾きたいなってわくわくしてます。

──なぜジャズマスを欲しいと思っていたんですか?

かずき 見た目です(笑)。でも、前提として音自体が好きなんですよ。フロントとリアのミックスにした時に、ストラトやテレとはまた違う独特の鋭さのあるカッティングが弾けるので。もちろん色も気に入っていますし、大きめのボディとこのピックアップとか、すべてのバランスが僕的に一番整っているギターだと思っているけど一回も所有したことはなく(笑)。これが初のジャズマスになるかもしれないです!

──どんなシーンで使ってみたいですか?

かずき ジャズマスってすごくシューゲイザーのイメージがあって。だから、ファズを踏んでとにかく歪ませて飽和感を出して、さらにディレイもかけてコードをかき鳴らす、そういうのが弾きたくなりますね。

──3モデルを比較してどんな人にオススメですか?

かずき ジャズマスはチャキチャキした感じがあるので、それよりももうちょっと太めの音だったりカッティングしたり、リードギターもしっかり弾きたい人はテレャスかなと思います。ストラトは優しく甘いトーンでアルペジオをしたり、リードギターで弾きたい人とか、そういうイメージを僕は持っていますね。

──YouTube『かずきのギターチャンネル』についても聞かせてください。動画を制作するにあたって一番気を付けている部分やこだわりは何ですか?

かずき ギターを渋い趣味だと思われないことを一番大事にしていて。ギターは難しそうな機材の知識が必要なのかなとか、渋めの音楽を弾くものっていうイメージがつきがちなんですけど、おしゃれにカッティングしたり、家でちょっとつま弾くだけでも楽しいとか、今まで発信されてきたようなギターのイメージを今風に変えていきたいんです。そういうコンテンツになるように、背景も含め意識していますね。


──今後の予定は?

かずき “ギターのある生活をもっと楽しく”というコンセプトで、シンプルにギターが生活に馴染んでいけば人生がすごく豊かになる雰囲気を伝えていきたいんです。それを実現するために、ギター本体というよりも生活にまつわるようなものを作っていきたいと思っていて、今はそれに一番注力していて具体的に進んでいます。

──ご自身の夢とか目標は?

かずき ギター業界を一緒に盛り上げる企業として、ゆくゆくは僕のブランドとフェンダーさんとコラボができたら嬉しいなと思っています。

──では、ここで会場のオーディエンスからの質問を。“小学生の息子がかずきさんの動画を見て練習してるのですが、オススメの練習曲があれば教えてください”。

かずき 僕も中学生の初めの頃に練習していたんですけど、 けいおん!の「ふわふわ時間」という曲。ほぼパワーコードとブリッジミュートで弾けるので、まずはワンコーラス、最初からサビまで弾いてみるとか、そういうところからスタートすると楽しめるんじゃないかなと思います。

──では最後に、ビギナーの方に向けてメッセージ、アドバイスをお願いします。

かずき 自分の感覚を大事にして、ギターを楽しんでほしいなと思っていて。SNSを見ていると、ある程度フォロワーがいたり影響力のある人の意見が強くて、自分もそれぐらい弾けて当たり前なのかなとか、そういうイメージで練習に取り組まないといけないとか、そういう練習方法が正しいと思いがちなんです。でも結局、表に出ている情報はほんの一部だし、それが自分に合うのかどうかはわからない。好きな人の発信を見ることは大事ですけど、それよりもそれが自分に本当に合っているのか確認しながら練習すると、ギターを楽しみながら続けられるので、ぜひ自分の感性を大事にしてください。


かずき
2018年、YouTubeで「かずきのギターチャンネル」として活動を開始。
「ギターのある生活を、もっと楽しく」をコンセプトに、日々の生活とギターを溶け込ませた、今の時代ならではのギターとの向き合い方を発信している。2021年10月には自身初の教則本『世界一わかりやすいエレキギターの教科書』(KADOKAWA)を出版し、教則本としては異例のヒットに。2023年にLINKIN PARKのMike Shinoda氏と共演、同年には2作目の教則本を発売するなど、精力的に活動中。
https://www.youtube.com/@NagomiBright

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