Fender Flagship Tokyo First Anniversary Special Event with Chojudai

Fender Flagship Tokyoのオープン1周年を記念して開催された〈Fender Flagship Tokyo First Anniversary Special Event with Chojudai〉。幅広いジャンルで活躍しているティーンエイジャーが集まり、多彩な活動を繰り広げている「超十代」からこのイベントに参加したのは、百瀬拓実、実熊瑠琉、沢田京海(トメィトゥ)、もか、まほこ──通称「超十代ギター部」。昨年末からギターの猛練習を重ねてきた5人が、成果を発表してくれた。スペシャルゲストのシンガーソングライター井上苑子も加わり、爽やかなサウンドを響かせたイベントの模様をレポートする。

音楽とギターの素晴らしさをまっすぐに伝えた「超十代ギター部」

最初にステージに登場したのは、プロギタリストとして活躍している坂本夏樹先生。「超十代ギター部」の講師を昨年末から務めている彼が、百瀬拓実、実熊瑠琉、沢田京海、もか、まほこを紹介してイベントはスタート。百瀬はVintera II 70s Jaguar、実熊はHighway Series Parlor、沢田はVintera II 60s Stratocaster、もかはHighway Series Parlor、まほこはVintera II 60s Telecaster。各々がフェンダーギターをさっそく手にした。百瀬、実熊以外の3人は、もともとは完全にギター初心者だったが、ネックを握って構える姿がとても様になっている。今にも極上のサウンドを響かせそうな佇まいが、このあとに控えている演奏への期待を高めてくれた。

続いてステージに登場したのは、スペシャルゲストのシンガーソングライター井上苑子。2016年に初開催された〈超十代 – ULTRA TEENS FES〉に出演した時、彼女は高校生だった。「超十代ギター部の皆さんとは、初めましてです。すごくかわいくて、どうしよう。私もこれくらいの年齢やったはずなのに、あっという間(笑)」と語った彼女は、ギターの初心者だった頃のことにも触れてくれた。「ギターを弾き始めたのは小6だった11歳。“歌手になるぞ”と思って路上ライヴをしていたんです。Fとかバレーコードがない曲ばかり作って、Fが出てこない曲をカバーしていました(笑)。逃げまくっていたんですけど、“とうとうやらなあかんな”っていう時に頑張りました」と、微笑ましいエピソードが観客を和ませた。


Highway Series Parlorを手にした井上が弾き語りで届けてくれたのは、2015年7月1日にリリースされたメジャーデビュー作『#17』に収録されていた「大切な君へ」。リリースからちょうど9周年という記念すべき日を迎えたこの曲を、観客の手拍子が祝福していた。弾き語りは1曲の予定だったのだが、「Meet Sauce」も披露されて、ますます高まった手拍子。ギターを弾きながら伸び伸びと歌う井上の姿を、百瀬、実熊、沢田、もか、まほこは憧れの眼差しで見つめていた。

井上の弾き語りのあとは「超十代ギター部」の出番。井上と坂本先生のほか、プロミュージシャンの花村智志(Ba)、関口孝夫(Dr)も加わって演奏を始める直前、5人は目に見えて緊張していた。「できなくてもいい。楽しければいいんです。楽しい気持ちさえあれば、ほんまにずっと音楽を好きでいられると思います」と言って励ました井上の言葉は、十代の頃から活躍してきた先輩ならではの素敵なアドバイスだった。


そして、シンバルのカウントを合図にスタートした井上のオリジナル曲「線香花火」。音を交わし合う喜びにどんどん満ち溢れていく様が、本当に心地良かった。コードバッキングでアンサンブル全体をしっかりと支えていた実熊、もか。ラストのサビに突入する直前の印象的なキメのフレーズを見事に奏でた、まほこ。イントロとアウトロでツインギターによるハモリを響かせた百瀬、沢田。互いに支え合いながら輝くことができるバンドの醍醐味も示した演奏だった。

「ギターが7本で豪華だし、気持ちが盛り上がって演奏できたので、1人で弾き語りをする時よりも安心感がものすごかったです。皆さん、ほんまに素敵でした!」と井上から賞賛された5人は、感想を語った。

「本当に緊張で、心臓が飛び出るんじゃないかと思ったんです(笑)。でも、弾き始めたら、“まだ終わってほしくない!”と思いました。苑子さんと一緒にできたのも貴重な体験で、とても楽しかったです」(もか)。

「いつもライヴ配信とかでギターを弾いていましたけど、皆さんの前で弾くのは初めてだったので、“こんなに緊張するんだ”ってなりました。でも、弾き始めたら笑顔になって、過去イチの演奏ができたと思います」(実熊)。

「めちゃくちゃ楽しかったですし、細かいミスもみんなの音でチャラになりました(笑)。すごく楽しかったです。ありがとうございました」(百瀬)

「初めて皆さんの前でギターを弾いたのですごく緊張しました。練習の時は難しいので真顔になっちゃうことが多かったんですけど、今日は皆さんの手拍子もあって本当に楽しかったです。笑顔になっちゃいました」(まほこ)

「けっこうミスしてたの、聴こえました(笑)? 百瀬くんとのハモりは2人とも不安だったんです。手が冷たくなって緊張したんですけど、みんなが一緒に弾いてくれたおかげでカバーできました」(沢田)


約半年間にわたって彼らにギターを教えてきた坂本先生は、とても嬉しそうだった。「上手い演奏と良い演奏は別なんです。今日僕は、良い演奏で盛り上げてもらうというのを改めて体感しました。久しぶりの出来事です。みんなと一緒に演奏できたことをすごく嬉しく思う。ここまで練習してくれてありがとう!」という言葉は、最大級の賛辞として5人の胸に響いたはずだ。音楽とギターの素晴らしさをまっすぐに伝えてくれたこのイベントは、Fender Flagship Tokyoオープン1周年記念のステージに相応しいものとなった。


>> 2023年12月に初めて開催された〈超十代ギター教室〉の様子はこちら

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