Meet the Players | 山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

Meet the Players

Fender Custom Shopマスター・ビルダーの紹介コンテンツMeet the buildersに続き、実際にFender Custom Shop製ギター・ベースを愛用するアーティストを紹介するMeet the Players – Fender Custom Shop – をお届けします。最高峰の技術を持ち合わせたビルダー達によって製作されるFender Custom Shop製ギター・ベース。その魅力や愛器に関わるエピソード、自身の音楽活動での使用から得たインプレッションを語ります。


Fender Custom Shopとの出会いはJazz BassからPrecision Bassに変えるタイミングでした。
 

大学生の頃、最初に手に入れたフェンダーはレギュラーラインのUSA製 Jazz Bassでした。当時新品で購入したものは2本あって、学生時代からメジャーデビュー以降、2004年くらいまで使用していました。2本とも今はあまり見かけないスタックノブタイプのモデルで使い勝手も良かったのですが、大きな会場でライヴをするようになってから特に音響関係や楽器のスタッフさんからPrecision Bassに変えた方が良いのではという話しが出始めました。バンドの音圧に対してJazz Bassのサウンドだと少し細いんじゃないかということだったと思います。Custom Shopというワードを初めて耳にしたのもその頃でした。いざPrecision Bassを一度弾いてみようという時に試奏させてもらったのがCustom Shopのカタログモデルだったので、Precision Bassに変えるタイミングでFender Custom Shopの存在を知り、選んだということですね。弾いた感じはJazz Bassに比べるとミッドの出方が顕著に違っていて、バンドの中だと骨太感が増す印象だったので、メンバーやスタッフさんからも良いのではと、バンドの中ではこういう音が必要なんだというところで、そのまま最初に購入したのがCustom Shop製1959 PRECISION BASS CLOSET CLASSIC 3-COLOR SUNBURSTでした。これがFender Custom Shopとの出会いです。

そして、サブも同じくPrecision Bassの方が良いということで探して買ったのが白のベースですね。当時そこまで詳しくなくて、のちにアッシュ材という今まで所有していたベースとは材質が違うことを知ったんですけど、それもあって白の方は音がより引き締まった印象でした。サブのつもりで購入しましたが、しばらくその1959 PRECISION BASS RELIC VINTAGE BLONDEがメインとなった時期もあります。背負った時の重みはアルダー材とはやっぱりちょっと感触が違いますね。レリック仕様なので見た目もカッコ良く気に入って、Precision Bass 2本でしばらくツアーを廻っていました。

そこからMasterbuilt Seriesへ行き着く訳ですが、Custom Shop凄いなと思い始めると同時に楽器欲も増してきて、その頃足を運んだ楽器店でデニス・ガルスカ製作のPrecision Bassを見つけました。それを試奏した時に結構な衝撃を受けたんですよ。今までとひと味違う感覚というか。普通は試奏してみてもバンドで演奏しないと音の抜け具合とか解らなかったりするじゃないですか。でもその時は1発目の音で間違いないなと。直感的に響きの気持ち良さを感じてしまったので、結構値は張りましたが思い切って購入しました。1962 PRECISION BASS NOS DARK LAKE PLACID BLUE MASTERBUILT DENNIS GALUSZKAです。この色はあまり見たことがなく、元々青系の色が好きだったのでそのクールさにも一目惚れ。即買いした一本ですね。

このデニス・ガルスカ製作の1本でMasterbuiltってやっぱり凄いんだなと、これまでと違うなと思えたので、今度はそれに近いサブが欲しくなり、マッチングヘッドの1960 NOS DARK LAKE PLACID BLUE MASTERBUILT DENNIS GALUSZKAに辿り着きました。これは自分でネットで探して、普段のスタジオの環境で鳴らしてみたかったのでスタッフに協力をお願いし、お借りして試奏させていただいたんです。その前に購入したデニス・ガルスカ製作のベースよりも、重さ含め自分の体へフィット感があったのと、音の塩梅の良さというか、プレベのストレートさと、良い意味での荒々しさが絶妙なバランスでこちらもすぐに購入を決めました。そのままもう、一生に一度出会えるかどうかの一本という感じで気に入ってしまい、結局かれこれ10年近くメインで使っています。安定感がありつつ、ロックバンドのアンサンブルにもぴったりマッチする感覚ってなかなか味わえないので、ライヴもレコーディングもほとんどこれに頼ってしまってますね。現在、サブとしては主に白のベースをひかえています。チューニングを下げてもボトムが引き締まって聴こえるので、ライブで半音下げチューニングの曲を演奏する時に使用しています。両方とも、ピックアップ等の仕様は変更してませんが、最近はドロップDを使うことが増えたので、ペグにヒップショットチューナーを付けています。


アンサンブルの中で埋もれず存在感を発揮させることにも繋がる。そこが自分にとって大きい。Custom Shopを使う意味として。
 

Fender Custom Shopの凄さとしては、鳴らした瞬間の音の艶やかさみたいなものがやっぱり違うなと。自分がデニス・ガルスカのMasterbuiltを最初に弾いた時に受けたインパクトが強いかな。それまで細かな音の違いってあまり気にしてないところもあったのですが、音のハリやコシってちゃんとあるものにはあるんだなって、はっきりと体感できたので、それってアンサンブルの中でちゃんと埋もれないで存在感を発揮させることにも繋がるし、そこがやっぱり自分にとって大きいです、Custom Shopを使う意味としては。いい音がする楽器に出会うと自然と楽しくなるし、結果上達することにも繋がる。一度それを経験すると、楽器を選ぶ時は奮発してでも良いものを手にした方がいいなって思えるし、そういう点でも自信を持って勧められるシリーズだと思います。特にプレベ、エレクトリック・ベースはフェンダーの開発があってこその今なので、その風格においても唯一無二であるし、その頂点に立つCustom Shopは、これから手に取るユーザーの要望にも色々応えてくれる可能性をまだまだ秘めてるんじゃないかと思っています。

最近はベースの機材も段々ラインナップが豊かになってきていますね。ベース専用に開発されるものもすごく増えているので、そういう機材探しも楽しいです。プリアンプや歪み系、コンプとかは新しいものが出ていないかいつもチェックしたりしています。普段はEQやコンプが内蔵されているベース用のプリアンプを通してアンプに接続、曲によっては歪み系を踏んだりします。気になって新しく買ってみたものもあるのですが、今はリハーサルができず色々試せていない状況で沸々としているところです。

ここまでお話ししたCustom Shop製ベース4本はライヴやレコーディング用なので、テックさんに預けて保管されています。そして自宅用にもCustom Shopが1本あります。1963 PRECISION BASS HEAVY RELIC LAKE PLACID BASS MASTERBUILT JASON SMITH。もちろん音は良く、デモ作りや練習用に使ったりと、実は一番触っているベースかもしれません。ネックが太めで弾くのが少し大変な分、トレーニングにもなっています。ピックアップなどの仕様や音の鳴りが、所有している他のCustom Shop製とちょっと違う部分があって、ライヴで音を出したことは無いのですが、家だけでお世話になっている贅沢な一本です。

タフな日々を過ごされている方もたくさんいらっしゃると思いますが、今まで当たり前だったもののありがたさを身に染みて感じられたりする期間でもあると思います。自分自身も在宅時間が増えた分、改めて音楽だったり、ベースという楽器そのものとじっくり向き合う機会が得られていて、決して無駄な時間ではなかったりしています。その分、またステージで演奏できる日が待ち遠しくて仕方ないという思いも高まっているので、ライヴが再開できる未来が少しでも早く訪れることを願いつつ、その時には皆さんにも是非会場に足を運んでいただいて、一緒に楽しめたら最高です!

Meet the Players

FENDER CUSTOM SHOP 1960 PRECISION BASS® NOS DARK LAKE PLACID BLUE MASTERBUILT DENNIS GALUSZKA

山田貴洋が10年近くメインとして信頼を寄せるデニス・ガルスカ製作のPrecision Bass。ボディと同色のマッチングヘッドカラーが特徴のNew Old Stock仕様。


Meet the Players

FENDER CUSTOM SHOP 1959 PRECISION BASS® RELIC VINTAGE BLONDE

アッシュボディによる引き締まったボトムサウンドが特徴の59年仕様Precision Bass、Relic加工が施されている。

 

PROFILE


山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
1996年結成、2003年メジャーデビュー、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのベーシスト。 日本語で鳴らすロックの代名詞的存在。多大な影響力で支持を得ており、 感情を昇華させたストレートなロックサウンドでシーンを牽引し続けている。 2020年9月19日SUPERSONIC東京、20日SUPERSONIC大阪に出演予定。 10月〜11月は全国ツアー 「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2020 酔杯2 ~The Song of Apple ~」開催予定。

› Website:https://www.asiankung-fu.com/

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