Music Plus Yourself | のん
ギターを弾いていると、無敵な気持ちになってくる。
フェンダーより発表となった新シリーズ「Player Plus」のローンチを記念し、FenderNewsでは現在の日本のミュージック&カルチャーシーンを代表する若き才能にスポットを当てたコンテンツシリーズ「Music Plus Yourself」。第3回目は、女優や“創作あーちすと”として活動する“のん”が登場。
ギターを持って弾くことで“逃げ場”にしているのは今も変わらない
― インスタグラムを見ていると、ギターの登場率が高いですね。
のん そうですね。コロナ禍で配信ライヴをするようになって、今一番ギターを弾いているかもしれないです。
― あらためて音楽に目覚めたきっかけは?
のん バンドを好きになったのがきっかけでした。それまでは流行っている音楽を友達と共有して楽しんでいたのですが、地元に“まさやん”という子供たちに楽器を貸している役場の職員さんがいて、町の大きなホール近くの倉庫にいろいろな楽器を隠し持っていて…。たぶん、役場の職員である特権を使って場所を拝借していたんだと思います(笑)。
その“基地”に、キーボードもドラムもギターもベースもマイクも全部揃っていて、バンドをやりたい町の子供たちは、そこで楽器を貸してもらってバンドをやっていたんです。私も友達に連れて行ってもらって、初めてギターを実物で見ました。その時は安易な考えで、一番派手だからギターを選びました。目立ちたがり屋だったので。それでギターを始めて、バンドをやるようになってから音楽が好きになっていきました。
― かなりのめり込んだのですか?
のん そうですね。その時期、私は長女なので夕飯のご飯当番を任されていたんです。お米を炊いて夕飯の準備をしなきゃいけなかったんですけど、それがすごく嫌で。バンド練習がないのにホールに行って個人練習をして、バンド練習をしていたからご飯作るのを忘れた…みたいな言い訳をしていました。ギターに逃げていたというか、逃げ場にもなっていましたね。
― 当時、どのくらい練習していましたか?
のん 学校が3時くらいに終わって、お菓子を買いに行って、ホールに行って、お母さんが帰ってくるのが9時くらいだから…5時間くらいですね。
― 音楽やギターと出会って何が変わりましたか?
のん 本当にバンドの存在が大きいですね。中学生の時に友達とバンドを組んだのですが、音楽を通じて“仲間感“を感じられるというか、みんなでひとつのことに向かっている熱さが楽しいなって。私はそれから女優業に打ち込むのですが、たくさんのスタッフさんがいて、ほとんど初めて会う人たちとも一緒にひとつの画面を作っていくのが楽しい。みんな違う脳みそで、違う技術と感性を持っているのに、監督の表現したいものに向かっていくその過程が面白いというか、全てが合致して気持ち良く撮影できた時の喜びはバンドの時の仲間感と似ているんです。“一緒に作る”ことが楽しくなったのはバンドのおかげだと思います。
― 共同作業の楽しさをバンドが最初に教えてくれた。
のん そうだと思います。自分の中で怒りなどの衝動が沸くと、ギターを持って弾くことで“逃げ場“にしているのは今も変わらないんです。
“のん“名義になってから本格的に音楽を始めて、(高橋)幸宏さんの〈WORLD HAPPINESS〉に呼んでいただいて、そこで初めてたくさんの人の前でステージに立ったのですが、すごく心地いいなと思いました。俳優だけをやっていた時にはなかった感覚というか。あと、大好きなチャボ(仲井戸麗市)さんとCharさんと共演したことがあって、気付いたのはミュージシャンの方たちって“自由“がベースにあるんですよね。だから、演技する時の現場とも違う。それまでは、大人になるために“子供心“とかいろいろなものを削ぎ落としていくのが嫌で、抗っている感じがありましたが、音楽の人たちと触れ合ったらみんな“え?それが普通なんだ?“って感じだったから。
― みんな子供のままですよね。
のん そうですよね(笑)。その世界を知れたのは、今の自分にとってすごく良かったなと思います。あと、まだお会いしたことないですが、布袋寅泰さんのパフォーマンスはとても自由で、研究しているギタリスト・ミュージシャンの一人です。
― 音楽活動にプラスして、ご自身の創作活動で大事にしていることは?
のん 音楽以外の活動でいうと絵は大事にしています。すごく好奇心旺盛で、やりたくなったらやる性分なんですけど、その中に絵の活動も入っていて。絵を描く時はあまり人と関わらないので孤独な作業なのですが、すごく静かな時間というか、集中力が研ぎ澄まされるので大事にしています。
初めてのフェンダーは絶対にテレキャスにしようと決めていた
― 話題は変わりますが、のんさんと言えばフェンダーのTelecasterのイメージですね。
のん 最初に買ったギターがテレキャスなんです。ただ、フェンダーではなく他社の“テレキャスタイプ”でした。12,000円とか本当に安いモデルで、知らないメーカーのピンクカラーのテレキャスタイプをお年玉で買いました。それが初めてのギターですね。
― 初めてのフェンダーは?
のん “のん”として音楽活動を始める時に手に入れた赤いテレキャスです。あれが初めてのフェンダーです。やっぱり、いつかは本物のテレキャスをゲットしたいと思っていて、初めてのフェンダーは絶対にテレキャスにしようと決めていました。
― 本物のテレキャスはいかがでしたか?
のん カッコいいしすぐに馴染んだ気がします。憧れが叶って幸せでした。
― Stratocasterもお持ちなんですよね?
のん ずっと赤いテレキャス1本だったのですが、ユウ(チリヌルヲワカ)さんとギターを選ぶ企画があってストラトをゲットしました。ミントグリーンのマット加工で見た目がかわいくて。
― 今日はまた新しいストラト(Player Plus Stratocaster® HSS)をお持ちいただきましたが、印象を教えてください。
のん めっちゃカッコいいですね! カッコいいしかわいいものが好きなので、“カッコカワイイ”感じがしてすごくいいなと思いました。グラデーションが印象的ですよね。
― サンバースト以外のグラデーションはレアなんです。
のん 素敵です。どの色も好きです。薄い青も中間の青も濃い色も、どこの色を取っても好きです。
― 衣装の色とも合っていますね!
のん リスペクトして、ギターが映える水色にしました。
― ストラトはこれで2本目になりますね。
のん はい。早くステージで弾きたいです。むちゃくちゃ映える衣装で派手にやりたいです。ブチかましたいですね。
― 楽しみです。フェンダーに対するイメージはどうですか? 他のメーカーは使っていない?
のん 使っていないです。
― そこまでフェンダーを大事にしていただいている理由は?
のん 最初に買ったギターがテレキャスタイプだったのは大きいです。中学生の頃、他の子が違うメーカーのギターを使っているのを見て、“私はフェンダーだ!いつかフェンダーを買うんだ!”という感じでした(笑)。その時の固定概念があったのかもしれないですね。“○○派”みたいに別れたのかも。中学生の時から、ライバル意識が強かったのかもしれないです。
― のんさんはフェンダー派になったと。
のん そうですね。その子は渋いギターで、それはそれでカッコ良かったんですけど、私はもっとかわいい色がいいなと思っていて。フェンダーは色もかわいいし、テレキャスもすごくかわいい。“カッコカワイイ”ギターがたくさんあるイメージです。
― 最期に、これからギターを始める人にメッセージをお願いします。
のん ギターを弾いていると、無敵な気持ちになってくる。
私はギターボーカルの曲が多いので、ハンドマイクになった時にちょっと困っちゃうんですけど。そういう相棒感というか、自分を守ってくれるものがギター。ギターがあるとストレス発散の逃げ場にもなるし、ご飯も作らなくていいので(笑)
― 家事に追われている人も、ギターを始めてエクスキューズ(言い訳)に使えば周囲も怒りにくいですもんね。
のん ええ(笑)。そういう自分も守ってくれる、強化してくれるアイテムだと思います。
PLAYER PLUS シリーズ:フェンダーのアイコニックなモデルの活気に溢れたバージョンであるPlayer Plusは、ギターの未来をあなたの手の中で確かなものにします。
のん
女優、創作あーちすと。
1993年兵庫県生まれ。2016年公開の劇場アニメ「この世界の片隅に」で主人公・すずの声を演じ、第38回ヨコハマ映画祭「審査員特別賞」を受賞、高い評価を得る。
作品は同映画祭で作品賞、第40回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞した。2020年「星屑の町」「8日で死んだ怪獣の12日の物語」出演。2017年に自ら代表を務める新レーベル『KAIWA(RE)CORD』を発足。シングル『スーパーヒーローになりたい』『RUN!!!』とアルバム『スーパーヒーローズ』を発売。
2019年6月ミニアルバム「ベビーフェイス」を発売。2020年5月よりオンラインライブ『のん
おうちで観るライブ』を毎月開催。創作あーちすととしても活動を行い、2018年自身初の展覧会『‘のん’ひとり展‐女の子は牙をむく‐』を開催。2020年ジャパンSDGsアクション推進協議会により、SDGs
People第1号に選出。SDGs認知拡大のためにキャラクター制作などを行っている。2021年9月から、「越境放送」プロジェクト『のんやろが!ちゃんねる』を開設。10月からは読売テレビにて「越境放送バリ」放送。2022年には自身が脚本、監督、主演の映画作品「Ribbon」の公開が予定されている。
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