
Signature Model Interview | J(LUNA SEA) -後編-
手の中に何かが確かに宿る感覚──あなたの中にも、きっと火がつくはずです
細やかなフレーズを際立たせ、どんな会場でも埋もれない音を届ける──。LUNA SEAの35周年ツアーや自身のソロ活動を経て、Jが改めて実感したのはベースという楽器の“芯の在り方”。そこに応える形で生まれたのが、Limited Edition Masterbuilt J PRECISION BASS® King’s Red SparkleとLimited Edition Masterbuilt J PRECISION BASS® PJ, King’s Red Sparkleだった。
どんな会場でも“埋もれずにきちんと届かせる”ことが、すごく重要だった
──最近、PJモデルの使用頻度が増えてきたと伺いました。サウンド面での変化や、考え方に影響はありましたか?
J 昨年はLUNA SEAの35周年ツアーを1年かけて回り、ファイナルの東京ドームまで一気に駆け抜けたのですが、その中で改めて感じたのが、バンド内でのベースの役割です。特に僕がLUNA SEAで書いているベースラインは、手数も多くてフレーズが細かい。だからこそ、どんな会場でも“埋もれずにきちんと届かせる”ことが、曲にとってすごく重要だったんです。その点で、PJモデル──特にJazz Bassのピックアップを搭載した仕様は、本当に心強かった。ピックアップの特性によって、繊細なニュアンスやフレーズ感が前に出てきてくれるので、大規模な会場でも再現性が非常に高かったですね。実際、ツアー中はこのPJモデルを使う機会がかなり多かったです。自分のプレイスタイルとの相性も含めて、現場での信頼度が一気に高まりました。
──ライヴやレコーディングではBlack Gold、Champagne Gold、そしてKing’s Red Sparkle、それぞれのモデルをどう使い分けているのでしょうか?
J Black Goldは、いわば自分の定番サウンドを支える基本の一本。エイトビートや疾走感のある楽曲にぴったりで、もっともナチュラルにフィットしてくれます。Champagne Goldは、それよりも少しファットで粘りのあるサウンドが特徴です。スローテンポの曲やバラード系にとても相性が良くて、僕の中では“バラード好きなベース”って呼んでるくらい(笑)、表情豊かに鳴ってくれます。
King’s Red Sparkleは、その二本の“いいとこ取り”をしつつ、さらにワイルドさと独特な歪み感を持った新しい個性のモデルです。まさに“三本目の柱”として、サウンドに新たな幅を加えてくれました。特にPJモデルは、僕にとって初めてJazz Bassのピックアップも搭載したシグネイチャーモデルで、非常に特別な存在。アリーナクラスの会場ではベースという楽器の音は埋もれがちなんですが、このPJモデルは輪郭がしっかりしていて、バンド全体に対して“優しく、でも芯のある音”で支えてくれる。そういう意味で、すごく使える一本ですね。ベーシストにとって、本当に頼もしい楽器だと思います。
──同じスペックでも、モデルごとにまったく異なる個性を感じられるのも面白いですね。
J そうなんですよ。もし形やサイズが違えば、“そりゃ音も変わるよね”と納得できると思うんですが、今回はスペックがまったく同じなのに、ここまで違う。そのことにまず驚かされました。だからこそ、それぞれのモデルが持っている凄みや個性が、より一層際立って感じられるんですよね。“やられたな…”って(笑)。ぜひ、皆さんにもその違いを体感してほしいです。僕自身、これまで散々ヴィンテージの楽器も探求してきましたが、その目線で見ても間違いないと胸を張って言えるクオリティです。

人生の中で、こんなにも素晴らしい楽器に出会える機会って、そう何度もあるものじゃない
──マスタービルダー、グレッグ・フェスラーとのものづくりは、もう長いお付き合いですよね。
J 彼の作品がフェンダーというブランドへの印象を大きく変えるきっかけにもなりました。伝統あるサウンドに、自然と引き寄せられていった感じです。今でも、表には出していないグレッグ製のベースを何本も所有していて、レコーディングでも使っています。完全にグレッグ・フェスラーのファン。実は、いまだに直接お会いしたことはないんですが、感覚としては遠距離恋愛みたいなものですね(笑)。
──(笑)。長い関係の中で、グレッグへの信頼や印象に変化はありましたか?
J 間違いなくあります。楽器って、弾き込むことで自分に馴染んでいくものだと思いますが、グレッグのベースは届いた瞬間からすでにそのプロセスが始まっているような感覚なんです。Black Gold、Champagne Gold、そして今回のKing’s Red Sparkleもそうでしたが、“もうこれで充分”と思っていても、そこからさらに上の答えが返ってくるんです。“お前、まだわかった気になっているだけだよ”と、グレッグの楽器から言われているような気分になります(笑)。毎回、その音に打ちのめされる。その刺激が、僕にとっては本当に大きいんです。そういう楽器と出会えること自体が、ミュージシャンとしては何よりの幸せ。グレッグの楽器から受け取ったインスピレーションを、自分の体に刻み込みながら、これからも刺激的なベーシストとして存在していきたいと思っています。
──今年、そしてこれからの活動について、今どんな状況でしょうか?
J 今年は2月にLUNA SEAの東京ドーム公演があり、その後すぐにソロで全国ツアーを回りました。夏には自身のライヴ、そして秋にも再びツアーが予定されています。そして11月には、LUNA SEA主催の〈LUNATIC FEST.〉というビッグイベントも控えています。35周年という大きな節目を経て、今は自分たちが本当に求めている場所へ向かって、改めて走り出している──そんな感覚がありますね。僕自身も、バンドやソロの活動を通じて得た刺激を、自分の中にしっかり燃やし続けながら、これからも“とんでもないベーシスト”として存在し続けたいと思っています。そのためにも、こうした個性的な楽器たちとともに、自分が思い描く場所で、音を鳴らしていきたいですね。
──最後に、このKing’s Red Sparkleに興味を持っているベーシストや、Jさんのファンの方々にメッセージをお願いします。
J 最高の楽器を手にできたという感動を、ぜひみんなにも味わってほしいです。人生の中で、こんなにも素晴らしい楽器に出会える機会って、そう何度もあるものじゃない。それくらい、このKing’s Red Sparkleは僕にとって逸品と呼べる一本になりました。もし少しでも興味を持ってくれているなら、ぜひ一度、実際に手に取ってみてください。きっとその瞬間に、この楽器のすごさがわかると思います。その手の中に何かが確かに宿る感覚──あなたの中にも、きっと火がつくはずです。

Limited Edition Masterbuilt J PRECISION BASS, King’s Red Sparkle | Limited Edition Masterbuilt J PRECISION BASS PJ, King’s Red Sparkle
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J
小野瀬 潤 1992年にLUNA SEAのベーシストとしてメジャーデビュー。「ROSIER」「TRUE BLUE」「STORM」などの原作者として数々のヒットを生み出し、ベーシストとしても孤高の存在感を放ち、自身のモデルベースは世界のアーティストモデルの中でも1位の売り上げを誇る。1997年にはLUNA SEAの一時活動休止を機にソロ名義での活動をスタートし、1st アルバム『PYROMANIA』を発表。2000年のLUNA SEA終幕を経て2001年にソロ活動を再開すると、海外から多数のアーティストを招き開催したライヴ・イベント“FIRE WIRE”、アリーナをオールスタンディングにして開催した史上初の日本武道館公演など、他に類のない独自のスタイルでライヴ活動を展開。2019年5月にはLUNA SEA結成30周年を迎えた節目に、世界的楽器メーカーであるフェンダーとのワールドワイドなエンドースメント契約を発表。2025年1月発行のベースマガジンで企画された「プロ・ベーシストが選んだ偉大なるベーシスト100人」では、世界中の錚々たるベーシストが名を連ねる中、第10位を獲得。また、一般アンケート投票(#最も偉大なベーシスト2025)においては、堂々の1位に輝いている。2025年はLUNA SEA結成35周年ツアーのグランドファイナルとして、東京ドーム公演を開催。LUNA SEAとしても確固たるその存在を世に示した。現在も、日本のロック・ベーシストとして唯一無二のスタイルを提示し続け、LUNA SEA、ソロの両方で活躍中。
http://www.j-wumf.com