
Signature Model Interview | Rei -前編-
ブルーズをルーツとしつつも、独特のプレイスタイルとクリエイティヴな感性で注目を集めるアーティスト、Rei。そのシグネイチャーモデル「Rei Stratocaster R246」が、ついにフェンダーからリリースされる。フェンダーとのコラボレーションを通じて形になったこのギターは、24フレット仕様を備え、従来のStratocasterの美しさと革新性を兼ね備えた1本だ。インタビュー前編では、開発エピソードや細部に込められたこだわりについて彼女に話を聞いた。
シグネイチャーモデルに求めたのは、(新しいスタンダードとなるような)24フレット仕様とStratocasterらしさの両立
──念願のシグネイチャーモデルRei Stratocaster R246が完成しました。最初にこの話が来た時、どんな心境でしたか?
Rei ギターを始めた頃から“いつかエンドース契約したい”“自分の名前を冠したギターを作りたい”という夢がずっとありました。なので、この話をいただいた時は本当に感動しましたし、“ついにこの日が来た!”と、すごく光栄でしたね。
──“自分のシグネイチャーを作るなら、こんなギターにしたい”というイメージは最初からあったのでしょうか。
Rei はい。私はこれまでJazzmasterやDuo Sonic Ⅱ、Telecasterなどフェンダーの多様なモデルを愛用してきました。中でもLead IIのネックとStratocasterのボディを組み合わせたモデルが特に気に入っていました。そんな、私のルーツでもあるStratocasterの魅力をしっかり活かしながら、自分らしさを詰め込んだ1本にしたいという想いがありました。
──実際に開発を進める上でのこだわりを教えてください。
Rei 私がシグネイチャーモデルに求めたのは、24フレット仕様とStratocasterらしさの両立です。フェンダーには22フレットのモデルが多い中、24フレットに挑戦するのは試行錯誤が必要でした。特にカッタウェイを深くしないと24フレット仕様は実現できないため、Stratocaster特有の美しいプロポーションを損なわないような工夫をしています。
──具体的にはどのような工夫をされたのでしょうか。
Rei Made in Japan Junior Collectionという、通常のモデルよりコンパクトなサイズにしたシリーズがフェンダーにはあります。その手法を応用し、レギュラースケールを保ちながらボディとヘッドを小型化することで、見た目の美しさと演奏性を両立することができました。コンパクトにしたぶん軽くなるため、ヘッド落ちしないよう物理的なバランスにも細心の注意を払いました。
──Stratocasterなのに24フレット、コンパクトにしたボディとヘッドなど、フェンダーの“伝統と革新”を両立する姿勢が、このギターにも反映されていますね。
Rei ありがとうございます。フェンダーは、歴史のあるブランドでありながら常に挑戦を続けています。定番のモデルをリリースし続ける一方で、AcoustasonicやParallel Universeなどの新モデル、縦型サンバーストフィニッシュの取り入れなど革新的で魅力的なモデルを開発されている。私がずっとフェンダーに惹かれるのも、そうした精神性があるからです。同じようにRei Stratocaster R246も、ヴィンテージ仕様の良さをしっかり受け継ぎつつ、新しい要素を取り入れたハイブリッドなモデルにしたいと思いました。
──音質面でのこだわりも教えてもらえますか?
Rei 今回採用したVintage Noiselessは私が以前から愛用しているピックアップですが、どんな音楽スタイルにも柔軟に対応できる懐の深さが魅力です。ブルーズやオールドスクールなロックにも自然に馴染みますし、モダンなネオソウルでも癖が出すぎない。軽量ボディなので音の厚みが心配でしたが、このピックアップがその部分をしっかり支えてくれていると感じます。
──カラーリングもとてもインパクトがあり魅力的です。
Rei ボディカラーは、私のデビュー作『BLU』のジャケットカラーがモチーフです。少しだけ黒が入った深みのある水色を、フェンダーのビルダーさんが見事に再現してくださいました。また、ピックガードにはパーチメントという少しくすんだヴィンテージホワイトを選び、全体を統一感のあるデザインに仕上げています。

──「R246」という名前にも意味が込められているのですよね?
Rei そうなんです。この名前には、いくつかの意味があります。一つは、私の楽曲「Route 246」に由来していること。東京で生まれたモデルという意味でも、国道246にちなんだこの数字はふさわしいと思いました。そしてもちろん、“R=Reiが作った24フレットの6弦ギター”という特徴も表しています。
──ヘッド裏に刻まれたロゴデザインも、とてもスタイリッシュですね。
Rei 70年代のStratocasterで使われていたフォントをベースにしています。このボールドな字体が好きで、フェンダーロゴで使われているゴールドと組み合わせました。また、24フレットにちなみ、ロゴにドットを4つ配置しています。細部まで意味を込めたデザインにも注目して欲しいですね。
──完成したRei Stratocaster R246を手にしてみて、どんな思いを抱いていますか?
Rei とても満足しています。まだ発売前ですが、情報解禁してすぐアメリカの『Guitar World』など海外のメディアにも取り上げてもらえました。私を知らない方が、スペックだけを見て“これなら欲しい”と言ってくれる声を聞いて、ものづくりの喜びを実感しています。このギターが誰かの“大切な1本”になることを願っていますね。
──どんな人に弾いてもらいたいですか?
Rei ギターを(これから)始める方に、ぜひ手に取ってほしいです。以前、エドワード・コールさん(代表取締役社長兼アジアパシフィック統括)とお話をさせていただいた時、彼が“フェンダーは本物だ”と仰っていたことが今でも印象に残っています。最初の1本が本物であることは、その後のプレイヤー人生の基準になる。私自身も幼い頃にフェンダーを手にしたおかげで、音楽の基礎がしっかり身についたと感じています。しかもRei Stratocaster R246は軽量なので、キッズや女性、体の小さい方にもぴったり。デザインもおしゃれで、きっと手にしただけでテンションが上がると思います。
【公演情報】
Reiny Friday -Rei & Friends-
日時:7/11(金)Vol.16 8/22(金)Vol.17 9/12(金)Vol.18
会場:東京キネマ倶楽部
チケット情報:https://eplus.jp/rei/
>> 後編に続く(近日公開)
Rei
卓越したギタープレイと歌唱力を持つ、シンガー・ソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1st Mini Album『BLU』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SXSW Music Festival、Les Eurockéennes、Heineken Jazzaldiaなどの国内外のフェスに多数出演。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる「TED NYC」でライヴパフォーマンスを行った。2021年2月26日 1st Album『REI』のInternational Editionが、米国レーベルVerve Forecastより全世界配信。2022年4月 コラボレーションアルバム“QUILT” をリリース。細野晴臣、渡辺香津美、山崎まさよし、Cory Wongを始めとする親交のあるミュージシャンと共に作品を彩る。2022年8月にはForbes JAPAN誌が発表した「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出される。2023年、楽器メーカーFenderとパートナーシップ契約を結ぶ。2024年、フェンダー・ストラトキャスター70周年を記念したスペシャル動画「Voodoo Child: Forever Ahead of Its Time」にナイル・ロジャースをはじめとした各国のアーティストと共演。
https://guitarei.com