Turning Point of Performer Vol.7 | 金井政人(BIGMAMA)

TURNING POINT OF PERFORMER

自分や仲間だけで演奏している“プレイヤー”から、オーディエンスを相手にして演奏する“パフォーマー”。同じ演奏だが、何かが違うはずだ。日本のロックシーンを熱くしているパフォーマーたちは、どうやって“プレイヤー”から“パフォーマー”へとステップアップし、また、パフォーマーであることにどんな魅力を感じているのか。TURNING POINT OF PERFORMERと題したシリーズ第7回目は、BIGMAMAの金井政人(Vo,Gt)が登場。

ライヴの記憶はすべて平等に思い出せなくて、苦い思い出ばかりなんです
 

― まずは楽器を始めたきっかけから教えてください。

金井政人(以下:金井)  性格的にはカラオケに行く感じでもなく、自分が人前でヴォーカルをやるなんて想像していなかったぐらいです。中学生の時、野球部だったんですけど、中3の夏の大会で負けちゃって、秋は野球をやらずに仲間の何人かで「バンドをやって学園祭に出ようぜ!」ってなったんです。ギターがいてベースがいてドラムがいて、「政人は何するの?」って言われて、「いいよ俺、照明やるよ」って。で、中学校の学祭で仲間がバンドをやっている時、俺は体育館の上から照明でステージを照らしていたんですよ。でも本当はその時、羨ましかったんです。彼らがすごくキラキラ見えたりもして。遠慮する性格だったので、「俺はバンドはやらなくていいよ。大丈夫だよ」って言ったけど、本音を言うとバンドをやりたかったんだと思うんです。漠然とした憧れみたいなものがバンドにあって。 で、進んだ高校がマンモス校で、野球部とかサッカー部は本気な活動をしてて、24時間、3年間クラブ活動と心中しないとダメな感じだったんです。それは嫌だなぁって思っていたら、隣のクラスにドラムの上手いヤツがいて、楽器をやろうって誘ってくれたんです。彼と一緒に楽器を演奏したりライヴを観に行ったりするようになったのが、音楽を始めたきっかけです。

― なるほど。

金井  だから、僕自身ミュージシャンとしてかなり特殊なんです。つまり、元々ミュージシャンになりたくてなったわけじゃないので。楽器を弾くようになって、しかもその高校の先輩にTOTALFATがいて、学校でバンドがカッコいいものだったんですよ。野球とかサッカーに辟易していた自分が、皆が部活をやっているのと同じ感覚で何となくバンドを始めたんです。その時僕は、一番簡単そうだからという理由だけでベースを選びました。高1の時はただ楽器を弾ける人を集めたバンドでしたが、後にYellowcardの影響で、「ヴァイオリニストのいるロックバンドをコピーでやろうぜ」ってなって、ヴァイオリンを弾いていた同級生をメンバーに誘って高3の学祭で披露したんです。でも、それで終わらなかった。先ほど言った通り、TOTALFATが同じ学校の先輩にいたので、自分で曲を作るのが当たり前になっていたんですよ。“バンドをやるんだったらいつかCDを出してツアーを廻るっしょ!”みたいな、すごくクオリティの高い常識をTOTALFAT先輩が植え付けて卒業していったので。

― 確かにすごい常識ですね(笑)。

金井  それで、ヴァイオリニストがいるバンドで曲を作ろうと曲を作っていくまま、僕らはたまたまエスカレーター式でそのまま大学へ上がったんですね。4年もあったので曲が溜まっていって、いつの間にかスカウトされていたんです。でも、マインドが部活でプロフェッショナルじゃないから、上手くいかないんですよ。

― でもプロの道を進んだ?

金井  大学3年生の時に、就職活動をする、しないでバンド内で仲違いが起きたんですよ。趣味にしましょう、仕事しながら遊びにしましょうと。でも、自分が作詞作曲で携わって、自分が作ったものをCDとして出して、いいと言ってもらえることが仕事になるのが嬉しくて。だって、地元でも何でもない北海道に行っても、自分たちのライヴに人が来てくれるんですよ? あとはCDショップに自分たちのCDが並んでいたり。そういうことがすごい喜びだったんですよ。僕の中で、スーツを着て就職活動に行けなかった理由がそれでした。でも、就職するかどうかの時にメンバーが抜けて、バンドとしてはクオリティを上げるために、“きちんとしたベーシストが必要だ。政人は明日からセカンドギターだ”ということになって、ベースの俺を差し置いてベーシストを見つけてきて(苦笑)。でもバンドは続けたかったので、ギター&ヴォーカルになったんです。

― 学生デビューなわけですが、やはりプロでライヴをやるのは学祭でのライヴとは違いましたか?

金井  そもそも、どのライヴも上手く思い出せないんです。死ぬほど緊張して震えながらステージに立ってギターを弾いたこともあるだろうし…ライヴの記憶はすべて平等に思い出せなくて、思い出せるのは間違えた記憶とか、すごく大事なところで舌を噛んだ記憶とか、苦い思い出ばかりなんです。

TURNING POINT OF PERFORMER

TURNING POINT OF PERFORMER

BIGMAMA初期のライブ写真

 

― そうなんですね。でも、最初に学祭で演奏した時のことは覚えていません?

金井  あまり覚えていないのですが、ハイスタ(Hi-STANDARD)の曲を歪まないギターで弾いたのを覚えています。その時点で破綻しているんですけど(笑)。その時はヴォーカルだったのですが、ギターを弾いた記憶はないです。それを目撃していた柿沼(広也)いわく「ギターを背負っているだけで、ほぼ弾いていなかった」と。そもそも学生の頃は、バンドをやっていてもライヴをやっていても甘えていましたね。失敗しても何とかなるでしょって。母親と25歳でバンドを辞めると約束していたので、親が黙るくらいの結果を出さなきゃいけないって就職を蹴ってからは必死でしたね。

― 数奇な運命でプロまで辿り着いた金井さんですが、プロとしてステージに立ち続けるのは楽しいからですか?

金井  僕の中では“100%の楽しい”ではないです。楽しいに辿り着くまでにいろいろありますから。楽曲を作って出来上がるまでに、バンドの中でも心の殴り合いみたいなことをいろいろと経ていたりするので(笑)。

― でも、たくさんの娯楽の選択肢があるこの時代に、BIGMAMAのライヴに大勢の人が集まるのは嬉しくないですか?

金井  そうですね。そこにミッキーマウスはいないし美味しい料理も出ませんから。何か時間を世の中の全員が奪い合っているとも思えます。最近思うのは、美しく孤立したいなって。つまり、ピラミッドの二列目三列目にはならないというか。そもそも、ヴァイオリニストのいるロックバンドでカッコいいことをやるっていうフォーマットに自信がありますから。自分たちが誇らしいと思うことを定型としてできていると思うので、それをきちんといい形で孤立させることが、今自分の中で魅力的な部分ではあるかなと。一番きれいなフォームで、どんどん美しくなっていく様が、BIGMAMAとして魅力的なことだと思っています。

― なるほど。では最後に、今バンドをやっている若い人たちにアドバイスをお願いします。

金井  最初は誰か好きな人の真似をしていくうちに育っていくと思うんですけど、真似をしたくなくなったらプロになったほうがいいなと思います。真似では物足りなくなったら、それはプロフェッショナルになる必要条件だと思います。あ、それで…。

― それで?

金井  さっきの質問に戻るんですけど、プロとしてステージに立っているのは楽しいか?という質問です。ステージに立っていて良かったかどうかってわからないんです。ステージに立っていない自分を知らないので。自己紹介をするならCDを渡したほうが早いし、自分のことを知ってほしかったらライヴに来てもらったほうが早いんです。自分を理解してもらう上ではそれが最短です。しかも、それがその人にとっての喜びになるかもしれないんです。あと、ライヴハウスで演奏したりCDを作るようになると友達が増えると思います。ライヴハウスに集まる人や、CDを買ってくれる人たちって基本的に同じ気持ちを持っているから。好きなものを好きって言える、好きなことをやれる場所、居心地がいい場所が増えると思います。ただやっぱり、人間はほっとくと頑張らないですから、締め切りを決めるといいと思います。ここまでにこうしてみるとか。楽器を買ったら、披露する日を決めないと絶対に上手くならない。だから勝手に締め切りを決めるか、誰かに決めてもらうといいんです。恥ずかしい思いをしたくないと思えば頑張ると思うので。僕から言えるのはそれくらいです。だって僕なんか、高校生の皆が弾けるコードばかりで武道館に立ったので(笑)。

― (笑)。

金井  ただし、“いい相方を見つけたら”っていうオチがちゃんとつくんですけどね。


AMERICAN PERFORMER JAZZMASTER®

TURNING POINT OF PERFORMER

カリフォルニア州のコロナ工場で製造されるAmerican Performer Jazzmasterは、USA製フェンダーならではのオーセンティックなトーンとフィーリングを提供し、パフォーマンスにインスピレーションを与えるモダンスペックを随所にフィーチャーしています。

 

PROFILE


BIGMAMA
ヴァイオリンを擁する5人編成のロックバンド。メンバーは、金井政人(Vo,Gt)、柿沼広也(Gt,Vo)、安井英人(Ba)、東出真緒(Violin,Kb,Cho)。2006年にミニアルバム「short films」をRX-RECORDS / UK.PROJECTから発売しデビュー。2007年より現メンバーで本格的に活動開始。ヴァイオリンを生かし、ロックとクラシックを融合させたコンセプトアルバム「Roclassick」を発表するなど、日本のロック界に新たな革命を起こす。現メンバーとなって10周年となった2017年、3月にアルバム「Fabula Fibula」を発売。9月にはキャリア初となるベストアルバム「BESTMAMA」を発売し、10月15日に開催された初の日本武道館公演はソールドアウト。2018年、ユニバーサルミュージックとパートナーシップを組み、3月7日にメジャー1stシングル「Strawberry Feels」、10月31日にメジャー1stアルバム「-11℃」を発売。
› Website:http://bigmama-web.com

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