Cover Artist | 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN )-後編-
コードを一発鳴らした時の華やかさが、僕が求めているものにすごく近かった
今年、メジャーデビュー10年を迎えるUNISON SQUARE GARDEN(以下:USG)。3ピースながら楽曲も演奏もずば抜けて素晴らしく、人気、実力共に備わった、今最も勢いのあるバンドの一つだ。そのフロントマン、ヴォーカル&ギターの斎藤宏介を徹底解剖。後編では斎藤宏介のFenderコレクション、そしてUSGにおけるギターをテーマに話を聞いた。
一番感じの良かったテレキャスを買いました
― このTelecasterを手に入れたのは?。
斎藤宏介(以下:斎藤) 2009年のクリスマスに買いました。そして、このテレキャスが“マイ・ファースト・フェンダー”です。ギターを始めた頃、ハムバッカーのギターが好きだったんですけど、いざ自分が歌うとなった時に、声との相性や歌いやすさを求めていったらシングルコイルのギターだなと思って。シングルコイルのギターを探していくうちに、今僕がライヴで使っているギターと出会ったんです。そのギターはライヴで歌いながら弾くにはいいのですが、いざレコーディングとなるともう少し音の幅がほしいなと思って。その時にこのテレキャスと出会いました。
― どのように出会ったのですか?
斎藤 まず、テレキャスがいいなと。次は色で探そうと思い、クリスマスに買いたかったので、ネットで探していたらクリスマスカラーのカッコいいギターがあって“あ、これだ!”と。で、そのギターを置いている都内のお店を全部周って、全部試奏して、一番感じの良かったこのテレキャスを買いました。
― Stratocasterを手に入れた経緯は?
斎藤 確か2012年だったと思います。レンジの広いストラトを探していて、フェンダーのショールームにお邪魔させていただいて3本ほどストラトをお借りしたんです。バンドで合わせた時に、ギターとしての役割を完璧に全うしてくれたのがこれでした。僕が持っている唯一のメイプルネックのギターですね。ネックから鳴る生音がすごくデカいんです。
― 最後にマイケル・ランドゥ・モデルを手にしたのは?
斎藤 ギターマニアの僕らのディレクターが持っていたんです。僕はマイケル・ランドゥのシグネイチャーモデルだとは知らずに弾いていたのですが、すごく音が良かったんです。シングル2曲のレコーディングで使ったので、借り物じゃなくてちゃんと自分で持っておくべきだなと思ってフェンダーのショールームに連絡したのですが、手元にストックがないとのことだったのでネットで調べて売っているお店まで行って購入しました。
― このモデルの何にハマったんですか?
斎藤 レコーディング専用のアンプとの相性がものすごく良かったんです。コードを一発鳴らした時の華やかさが、僕が求めているものにすごく近かったんですね。あと、フロントピックアップの音がすごくいいんですよね。フロントにした時に太さと味わいがある。それと、6本の弦の分離がすごくいいですね。
― 普通のヴィンテージタイプのストラトよりも少しファットなピックアップが載っていて、中域がギュッと押されるあたりがマーシャルとの相性の良さなのかもしれません。
斎藤 なるほど。あと、見た目がすごくいいんですよね! 見た目もギターを選ぶ大事な要素なので。
― USGの楽曲は3ピースバンドとは思えないほど、ギターの音数も歌詞の言葉数も多いですよね。このサウンドスタイルは結成当初からですか?
斎藤 違うんです。当初僕がイメージしていたのは、僕が好きなバンド、syrup16g、GRAPEVINE、ACIDMANといったいわゆるギターロックバンドの楽曲だったんです。でも曲は僕じゃなくてベースの田淵がほぼ全曲作るので、田淵の作る曲の世界観と、僕や貴雄(Dr,Cho)の好きな世界観との融合に落ち着いて今のスタイルになったんです。
― 田淵さんが作ってきた曲に対して、ギタリストとしてのアプローチはどういう風に?
斎藤 まず、曲として成り立たせることを最低限やります。でも、僕の理想は単音でソロを弾けるギター&ヴォーカリストなので、そこも満たしつつ、3人だけだとアクセントをつけないとどうしても楽曲的につまらないところが出てしまうので、“歌っているから”という言い訳をできるだけせずに頑張って弾いています。
― 言い訳どころか、ヴォーカル&ギターとしては極限なほどギターを弾いてますよ!
斎藤 はははは。負けず嫌いなんで。できないっていうのが嫌いな性格なんです。
― 最初からギターを弾きながらうまく歌えました?
斎藤 いいえ。というかバンド組んだ頃はギターも下手だったので、CD付きの教則本を学校に行っている時間以外はずっと練習していましたね。今でも覚えているんですけど、駅から小走りで家に帰ってました。早くギターを弾くために(笑)。
― 昔は練習熱心だったんですね(笑)。
斎藤 というより、ギターが上手じゃない3ピースバンドのギター&ヴォーカリストはダサいと思っていたんです。自分がそれになりたくはなかったので。あと、ギターが上手く弾けないと気持ち良く歌えないですからね。そこは表裏一体で、どちらかだけというのはなかったです。で、当初はギターが下手だったのでギターを練習してました。
― 最近は3人の音だけに留まらず、オーケストラやブラスセクションの音も入っていますね。
斎藤 はい。なので、他の楽器と混ざった時に気持ち悪くならないようなチューニングとかコードを最近は意識しています。インディーズとメジャー初期は、3人だけでやっている感を大事にしていたんです。でも、そこからどんどんインフレを起こして、ピアノ、ストリングス、ホーンを入れた4枚目のアルバム「CIDER ROAD」まではインフレモードでした。4枚目以降はトラック数が多くても、3人で演奏している画が浮かぶものにまた戻りつつあります。でも音は重ねたいので、ギターだけでも隠し味がたくさん入っている感じなんです。
― そうしたギターをライヴで再現するのは大変そうですが。
斎藤 そこはライヴでは再現はしないですね(笑)。ライヴと音源は別モノだと思っています。音の良し悪しには相当こだわっているんですけど、それがミュージシャンのエゴにならなきゃいいなと思っていて。ライヴで1曲1曲の曲間を空けて、ギターを持ち替えてチューニングを変えて、お客さんを置いてけぼりにしてまでこだわるものではないと思っているんです。レコーディングは最後の最後まで時間をかけて音にこだわるんですけど、ライヴではそれよりも大事にすべきことがたくさんあると思っていて。それでギターチェンジはほとんどせず、曲間を作らずに演奏する今のUSGのスタイルがあるんです。
― ライヴと言えば、6月13日には横浜アリーナが控えていますが、最後に意気込みを聞かせてください。
斎藤 どのライヴも大事なので、意気込みは特にないんです。バンドのモットーとして、ライヴは一期一会だと思っているので、どの会場もその日できるマックスのライヴができたらいいなと思っています。
› 前編はこちら
Fender Custom Shop (左)
TIME MACHINE SERIES 1963 TELECASTER NOS
使用曲:「フライデイノベルス」「Micro Paradiso!」 etc.
Fender Custom Shop
Michael Landau Signature 1963 RELIC STRATOCASTER (中)
使用曲:「夢が覚めたら(at that river)」 guitar solo
Fender Custom Shop
2012 Closet Classic STRATOCASTER PRO (右)
使用曲:「harmonized finale」「ラディアルナイトチェイサー」 etc.
UNISON SQUARE GARDEN
斎藤宏介(Vo,Gt)、田淵智也(Ba)、鈴木貴雄(Dr)からなる3ピースロックバンド。透明感に溢れながらも個性的なトゲを持つ斎藤宏介のヴォーカルと、エッジが効いたコンビネーション抜群のバンドアンサンブルが共鳴、共存するROCK / POPの新世界。キャッチーなメロディーラインとアンバランスな3人の個性が織りなす鮮烈なライヴパフォーマンスで、右肩上がりにセールスと動員を延ばし続けている。テレビアニメ「TIGER & BUNNY」オープニングテーマ等、活躍の場を広げている。現在、全国ツアー『UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2018「MODE MOOD MODE」』を開催中。
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