Cover Artist | SCANDAL -後編-
3人らしくて今までにない楽器ができた
L to R:TOMOMI PRECISION BASS® 150,000yen(税別) | HARUNA TELECASTER® 167,500yen(税別)| MAMI STRATOCASTER® 150,000yen(税別) 全て12月下旬発売予定
SCANDALが監修を行ったフェンダーシグネイチャーモデルは、現在の彼女たちの音楽性と同様に、より大人っぽく個性的で、幅広いユーザーにも対応するものになった。今回のモデルには、彼女たちのどんなこだわりが詰まっているのか? 後編では、レコーディングにライブにと、今後の活動でメインの愛機となっていくであろう今回のシグネイチャーモデルについて。そして、4人のアンサンブルを支え続けるフェンダーギターについて語ってくれた。
― シグネイチャーモデル自体は2度目になりますが、今回のモデルはどんな部分にこだわりましたか?
HARUNA 私は基本リズムギターなので、歪みをかけて弾くことが多いのですが、今までは渋めの歪みだったと言うか。それをより華やかな感じにしたいと思って作りました。見た目の話からすると、長く使えるものにしたいと思ったんです。前のシグネイチャーモデルはスカルのデザインでキラキラしたものだったので、今回はクラシックなデザインです。真っ白なボディにピックアップやペグをすべてゴールドにしたので、高級感も出ていると思います。
― 大人のプレイヤーが持っても、格好良くキマりそうですね。
HARUNA そうですね。そういう意味では、幅広い年代の方に使っていただけると思います。音作りもそのデザインに見合った、華やかで広がりのあるものにしたいと思って、フロントはシングルだけどパワフルなピックアップ、リアはハムバッカーを載せています。
RINA 今回のHARUNAのシグネイチャーモデルは、私でも音の違いがはっきり分かります。リハで一発ジャーンと鳴らしただけで、パワー感も音の広がりも、今までのHARUNAとは違って。自分の印象としては、MAMIのギターが2本いるみたいな感覚です。
― MAMIさんのモデルは?
MAMI 音も見た目もMAMIモデルだと実感してもらえるものになったらいいなと。ボディの色味は、ヴィンテージにあるようなチェリーレッドで、ベタ塗りではなく木目が見える透け感を希望して。ネックもメイプルにしているので、長く使っていくことで、色褪せていったり自分の手にフィットしていったりする感覚を楽しんでもらえると思います。
― 使えば使うほど味の出る革製品みたいな。
MAMI そうですね。陽に焼けていった感じも格好いいし、傷がついたり剥げたりしても、それが味になっていくような感じです。音は単純にシングルコイルのストラトが欲しかったという希望を叶えていただきました。レコーディングでシンプルな音を出したいときはJazzmasterを使いがちでしたが、ライブでの使用回数はそんなに多くなくて。そこでレコーディングでもライブでも、メインでたくさん使えるものがいいと思って。
― 音源と同じ音を出せるのは、コピバンをやっている子たちには嬉しいですね。
MAMI そうだったら嬉しいです。最近はシンプルな楽曲も増えて、オープンコードやバレーコードで1弦から6弦まで全部鳴らすスタイルの曲も増えたし、HARUNAのギターとの棲み分けもつきやすくなったと思います。
― ベースはいかがですか?
TOMOMI 前回は青でインパクトが強い分、合う衣装が限られてしまったので、今回はどんな衣装を着ても映えるデザインというのが第一にありました。音は今メインで使っているアンプ、フェンダーのBassman 100に合う音が出るように、丸みがあるヴィンテージっぽい音が出るものをと思って、ブリッジとピックアップはアメリカンヴィンテージの60’sを付けてもらっています。 プレベのパッシブピックアップもいいよなぁと思うようになったのは、自分も少しは大人になったのかなって思います。
― 今回は見た目以上に、音に対する要望が多かったようですね。
TOMOMI どんどんシンプルになった気がします。より素に近いものをというか、削ぎ落とされてきた感がありますね。
RINA 私はデザイン案を見ていなかったので、どういうものを3人が作ってくるのかすごく楽しみにしていました。リハスタで初めて見たときは、すごく3人らしくて今までにない楽器ができたなと思いました。今回はより楽曲ありきで楽器を作ったと思うので、早く新曲をやりたいです。
― RINAさんは、ご自身が作詞作曲した「おやすみ」という曲でギター&ボーカルを務めていたこともありましたが、もしもRINAモデルを作るとしたら?
RINA 光栄ではありますけど、私モデルのギターって要ります(笑)? でも実はそのとき、フェンダーの真っ白なテレキャスを1本買ったんです。そのときのインスピレーションで、真っ白がカワイイと思って。
MAMI 白のテレキャスってあまり見ないよねっていう話をしていた覚えがあります。HARUの今回のシグネイチャーモデルも白ですけど、かわいくて女の子が持つとすごく似合う色ですよね。
― 今の自分たちの中で、楽器というものはどういう存在ですか?
HARUNA 私はちょっと前まで、歌とギターって自分の中でセパレートされていたんですけど、最近は自分の中で歌うことがより楽しくなって、それと同じようにギターもめちゃめちゃ楽しいと感じていて。歌で遊ぶと、ギターも一緒に遊べる感じがあります。以前はギターがなくても歌えるという感覚でしたけど、最近はギターを弾いていたほうが、抑揚がついたり歌い方で遊べたりするので、より歌える感覚ですね。
MAMI 僕はちょっとしたライバルじゃないけど、そういう感じに近い存在かなと思います。以前は作曲家さんや編曲家さんが考えたものを演奏して、それによって自分たちの演奏レベルが進化してきたのですが、今はそれを自分たちの中で行っている感覚です。自分たちの楽器の上達レベルや成長は、止めちゃいけないと思っていて。だから新しい楽曲を作るときは、今の自分のレベルよりもちょっと難しいフレーズを編み出して形にするということを必ず念頭に置いています。
RINA ギターに煽られながらやるみたいな。さすがストイックギタリスト!
― 楽器から刺激を受けて、上手くなったり新しいアイディアが生まれたりもするわけですね。
MAMI もちろん、いろんな音楽やいろんなことから影響を受けて、自分たちの楽曲に反映されているし、今までのSCANDALの楽曲からも少なからず影響を受けています。フレーズやコードの引き出しを増やす作業は、絶やさないようにしたいと思っているので、そのために、楽器の面でもちょっとずつ自分たちを超えていきたいと思っています。
TOMOMI 私は、ベースを持つと最強の自分に変身できる感覚があって、それは今でも変わらないです。SCANDALのTOMOMIになるための武器と言うか、セーラームーンのコンパクトミラーみたいな感覚です。ベースがないと手持ちぶさたになるし、楽器を常に持っていることが、それだけ当たり前になっているということだと思います。
― フェンダーというブランドに対して、どんなイメージを持っていますか?
MAMI ギターにはいろんな形があるけど、最初はフェンダーのストラトの形しかないと思っていました(笑)。だから最初にギターを買ったとき、1万円の初心者セットだったけど形はストラトシェイプでした。そのくらい定着しているというイメージです。
TOMOMI 私は初心者用ベースのあとに、楽器を勧めてくれた先生からフェンダーのジャズベを借りて、しばらくそれでストリートライブなどをやっていました。デビューして東京に行くことになって、返しに行ったのですが「それはもうお前のものだ」と。それ以来ずっと私の中では、フェンダーがスタンダードになっています。先生にいただいたそのジャズベは、今も家で練習するときに使っています。調整とかしていないから、フレットが擦り減っていますけど。
― それだけ練習したということですね。
HARUNA 私が最初にフェンダーを使ったのは、TOMOと同じ先生から、エリック・クラプトンのモデルを借りたのが最初です。SCANDALを結成後はしばらく借りていて、初めてのアメリカツアーもそのギターと一緒でした。その経験と、そのときにフェンダーの音を気に入ったことで、今の私があると思っています。ちなみにそのギターは先生に返して、最近まで後輩のガールズバンドでGIRLFRIENDのメンバーが使っていました。
RINA 長く不動の人気を得ているのには、それだけの理由が必ずあります。ドラマーである私でも、すごく間口を広く開けてミュージシャンを待ってくれているメーカーだという印象です。フェンダーからスタートするのもいいし、10年以上のキャリアがある人のファーストギターにもなる。知識がない人でもフェンダーに行けば間違いないし、いろんなギターやベースをさんざん触った上で、またここに戻って来られる場所でもあります。前回のシグネイチャーモデルは約4年前で、そのとき私は参加していなくて。だから今回もお休みだと思っていたのですが、私も参加できてめっちゃ嬉しいです!
› 前編はこちら
› FenderからSCANDALシグネイチャーモデル発売。日本人女性アーティスト初となる、エンドース契約も締結
SCANDAL
2006年、大阪にて結成。メンバーはHARUNA(Vo, Gt)、MAMI(Gt, Vo)、TOMOMI(Ba, Vo)、RINA(Dr, Vo)。2008年、シングル「DOLL」でデビュー。翌年にリリースされた「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞。2012年、異例の早さで日本武道館公演を達成。2013年には夢であった大阪城ホール公演を5分で即完させる。2015年、世界9カ国41公演を廻る単独ワールドツアーを大盛況に収め、初の東名阪アリーナツアーでは4万人を動員。2016年8月に結成10周年を迎え、結成地である大阪にて1万人を動員した野外コンサートを開催。2017年、ベストアルバム『SCANDAL』をリリース。10月に初の配信限定シングル「恋するユニバース」をリリース。
› SCANDAL:https://www.scandal-4.com