Cover Artist | yui -前編-
フェンダーは変わらずに“いいね”と言ってもらえるギターだと思う
2021年2月24日、メジャーデビュー15周年を締めくくるセルフカバーミニアルバム『NATURAL』をリリースし、自然体でありながら純粋無垢たる歌声でリスナーを魅了したyui。赤いTelecasterをはじめ、デビュー当時よりフェンダーギターを使用してきた彼女がFenderNewsのCOVER ARTISTに登場。インタビュー前編では、初めてフェンダーギターに触れた時のエピソード、新たに入手したというAmerican Acoustasonic® Stratocaster®に対する思いなどを聞いた。
最初にカッコいいと思ったのがストラトでした
― メジャーデビュー17年目に突入、おめでとうございます!
yui ありがとうございます。
― yuiさんと言えばフェンダーの赤いTelecasterのイメージがあります。フェンダーとの出会いは?
yui 私が“テレキャスが欲しい”と言ってフェンダーさんのショウルームで選んでもらったのが赤いTelecasterでした。当時は音の具合もわからないし、何がいいのかもわからなかったのですが、その赤いTelecasterをライヴでも弾くようになって、エレキギターのことを知っていきました。
― 最初のエレキギターはテレキャスだったんですね。なぜテレキャスだったのですか?
yui 当時はテレキャスのことをカッコいいと思ったんだと思います。15歳くらいの時、楽器屋さんでメンバー募集の貼り紙を見ていたんですけど、当然楽器のことも見ていたんです。何だかわからないけれどカッコいいなって。サンバーストのストラトだったかな。だけど、フェンダーのスタッフの方に“これが似合うんじゃない?”と言われたのがテレキャスだったような記憶があります。それで、Telecasterもカッコいいなぁと思い連れて帰りました(笑)。
― 初のエレキギター、テレキャスはどうでしたか?
yui 難しかったですね。アコギ出身だったので、アタック(弾く強さ)が強かったんでしょうね。弦がバリバリ切れちゃって、アコギとエレキでは弾き方が違うので最初は苦戦しました。音色もピックや弾き方で変わっちゃうのが最初はわからなくて、ずっと“これは何だ!?”と思いながら勉強していましたね。
― アコギから入るとそうですよね。エレキギターだとStratocasterも弾いてくださっていますね。
yui はい。最初にカッコいいと思ったのがストラトだったので、ストラトも欲しくなって手に入れたんです。やっぱり好きな音でしたね。馴染みやすいというか、尖り過ぎているわけでもなくニュートラルな感じがとても良かったです。
― さらに、今回はご自身のJaguarも持ってきていただきました。
yui 最初はMustangがいいと思っていたんですよね。その時も音のことはよくわからなくて、漠然とテレキャスよりも音の粒が細かくて包み込むような音で、でも馬力を出したいと思ってMustangを買おうしたんだけど、“Mustangは扱うのが難しい”って誰かに言われて。Jazzmasterにしようとも思ったのですが、JazzmasterはピックアップがワイドシングルコイルだったのでJaguarに辿り着きました。このJaguarを手に入れた後、〈FUJI ROCK FESTIVAL〉でマイブラ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)を観て、“超カッケー!”と思ってシューゲイザーに憧れて、そのあとこのJaguarが大活躍するようになりました。
― Telecaster、Stratocaster、Jaguar以外でフェンダーのギターは持っていますか?
yui Telecaster Thinlineも持っています。
― それらの使い分けは?
yui やっぱり音ですね。キラッとした音を入れたい時はテレキャス。Jaguarはマルチに何でもできます。キラッとさせるのは少し難しいけれど、尖っている部分は少ないので。ストラトは少し控え目な子なので、ベースとして入れる時はすごくいいかな。シンラインは、大きな音鳴りをさせるためにfホールが空いているのにハウるという、その矛盾がすごく愛おしくて。正直、あまり使いこなせてはいないのですが、完全に個人的な趣味として好きなギターです。
このギター1本でアルバムが作れると感動しました
― 今回、American Acoustasonic Stratocasterを弾いていただきましたがいかがでしたか?
yui 最初は、新しいギターを手に入れたくないと思っていたんです。ギターって、弾かないとかわいそうなので。だから、悪い意味ではなく期待していなかったんです。でも、弾いてみたら“え?何かめちゃくちゃ良い音じゃん!”と思って。このギター1本でアルバムが作れるのではないかと感動しました。新しいギターってやっぱりテンションが上がるし、“この子はどういう子?”という気持ちで弾くのですが、弾き込んでいけばもっともっと鳴りそうな予感がします。アンプを通さない時の音もすごく良かったです。
― アコスタソニックは、アコギとエレキの2 in 1が便利という人と、新しいギターとして捉える人がいるのですが、yuiさんは?
yui まだ入手したばかりなのでわかりませんが、面白い音が出せそうな気がしますね。ローを足してもいいし、ハイが欲しい時はハイも足せるし。
― 色々と試してみてください。先ほど“ギターは弾かないとかわいそう”とおっしゃっていましたが、ギターは毎日弾いていますか?
yui 本当は絶対に弾いたほうがいいですが、なかなか弾けないですね。ただ、時間があれば思い立って家でも弾いたりはしますよ。
― フェンダーというブランドに対するイメージはありますか?
yui スタイリッシュというイメージがありますね。渋いギターは他にも色々とありますが、そういう意味でフェンダーは洗練されている感じ。カッコいいほうにも行けるしポップな感じにも行ける。あと、ボディーシェイプが衣装にも合わせやすいんです。そう意味でもすごくバランスが良いですね。
あと、最初に手にしたギターでもずっと使える。最初に買ったテレキャスをずっと使っていて、“わー!いいね!味が出てきたね”ってよく言ってもらえるんです。歳を取ると、マニアックなギターのほうがカッコいいと思うのでしょうけれど、フェンダーは変わらずに“いいね”と言ってもらえるギターだと思うんですよね。そういう意味でも、最初に持つギターとしてすごく良いのではないかと思います。
― 確かに、若い女性が持っていてもエリック・クラプトンのようなベテランが持っていてもカッコいいですよね。
yui そうなんです。すごく幅が広いですよね。あと、女性目線で言うと軽さがちょうどいいんですよね。昔からそうだけど、重たいギターを持っているとライヴが終わったあとに腰にくるんです(笑)。音も軽さも兼ね備えているのはありがたいですね。
― アコスタソニックはエレキよりも軽いですからね。
yui そうなんですよ! だからレコーディングでもライヴでも使いたいなぁと思います。
› 後編に続く
yui
1987年、福岡県出身。2004年、ソニーミュージックグループのSDオーディションに応募し、約2万人の応募者の中から10人の中に残る。2005年2月、「feel my soul」でメジャーデビューを果たす。2004年から2012年までシンガーソングライターとして活動し、2013年からはロックバンド“FLOWER FLOWER”のヴォーカリスト兼ギタリストとして活動。2020年11月に公開されたYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』でのパフォーマンスは、3カ月足らずで430万再生を超えるなど大きな反響を呼ぶ。2021年2月24日、デビュー15周年を記念したセルフカバーミニアルバム『NATURAL』をリリース。
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