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SESSIONS in TOKYO | 高木祥太、サトウカツシロ、So Kanno(BREIMEN)

フォーマットを一度捨てる感覚。
すべてのことに飽きない工夫をすることが大事

フェンダーを愛する個性的なアーティストたちが繰り広げる、セッションにフィーチャーした「Fender SESSIONS in TOKYO」。ギター/ベースを通してさまざまなスタイルで対話するアーティストの魅力を、彼らが語る機材のインプレッションとともにお楽しみください。第1回目は、若き実力派の5人組ミクスチャーファンクバンド“BREIMEN”から高木祥太(Vo,Ba)、サトウカツシロ(Gt)、So Kanno(Dr)が登場。


どういう人生を歩んできたのか、
どういうことを考えてきたのかがすべて

― 音楽に目覚めたきっかけを教えてください。

サトウカツシロ(以下:サトウ) 3つ年上の音楽好きの兄貴の影響で、兄貴が聴いている音楽を好きになって。特にRIP SLYMEが好きで、RIP SLYMEが『ミュージックステーション』に出演しているのを観ていたら、布袋寅泰さんとのフィーチャリング曲「BATTLE FUNKASTIC」をパフォーマンスする日だったんです。それまでギターのことを全然知らなかったのですが、そのパフォーマンスを見た時に布袋さんがめちゃカッコ良くて、“俺もギターをやりたいな”とかじゃなくて、“俺の人生はこれだな”と確信して。

― ドラマみたいですね。

サトウ これ、マジなんです。それまでは勉強もできないし運動もできない、何も取り柄がなかったんですけど、“絶対に俺はギターを一生やっていくんだ”と思ったのが小学校5年生か6年生ぐらい。でも、家がマンションだったので楽器を買ってもらえなくて。中学校1年生くらいの時、一軒家に引っ越すタイミングでようやくギターを買ってもらったんです。ギターのことは何もわからないから、BONNIE PINKモデルの5千円くらいのミニアコースティックギターを買って。

高木祥太(以下:高木) それまだ持ってるの?

サトウ 持ってないね。最後はビー玉入れになってた(笑)。アコギとエレキの違いもわからないし、どうすればいろいろな音を出せるのか、旋律を弾けるのかがわからなくて、ただ開放弦でひたすらライヴの締めみたいにジャーン!って弾いていました。その日に弦が切れて、弦って切れるんだと。教則本を買っていたので、悪戦苦闘した結果最終的に張れなくて弦が指に刺さって血がバーって出て、何だこの教則本!とムカつきすぎてその血で教則本に“死ね”って書いて(笑)。

高木 わはは!

サトウ それから1年くらいギターはやめていたんですけど、中2の時、仲間で“バンドやろうぜ”って話になったんですよ。俺ちょっと見栄っ張りなので、“バンド? 俺ギターやってるよ”って言って。でも、その時はもちろん壊れたBONNIE PINKモデルしかなくて、“エレキ持ってんの? じゃあ文化祭でバンドやろうぜ”という流れになって、家に帰って“頼む! マジでエレキを買わなきゃヤバイ!”と言って買ってもらいました。その時はちょっと賢くなっていたので、音の出し方はわかっていたんだけど、譜面は読めないしコードもわからなかったので、1週間くらいかけてアンパンマンのマーチをマスターしました。いまだにオカンに言われるんですよ。“あんた、アンパンマンのマーチしか弾けなかったね”って。近所にアンパンマンのマーチが響き渡っていました(笑)。というわけで、ギターを始めたキッカケは布袋さんですね。

― そのバンドではどんな音楽をやっていたんですか?

サトウ ASIAN KUNG-FU GENERATIONを弾いていました。最初の文化祭でヴォーカルをやらせてもらったんです。ギター&ヴォーカルです。

高木 マジで? 初めて聞いたんだけど。

サトウ 2年目から外されたけど(笑)。文化祭ではアジカンの「ループ&ループ」を歌いました。

高木 お前よくカラオケで歌うよね。そういうことか。

― ファンクだったり、BREIMENの今のスタイルが出てこないんですけど…。

サトウ “影響を受けた音楽は何?”とか“好きなギタリストは誰?”とかたくさん聞かれるんですけど、聴いてきた音楽はいろいろあるし、それがきっと血肉になっていると思うんです。だけど根幹的な部分は、結局はその人の“人間性”だと思っていて。その人がどういう人生を歩んできたのか、どういうことを考えてきたのかがすべてだと思う。ギターの練習は全然しないんですけど、自分が人間的に何かに直面した時やそれを乗り越えた時に、ギタープレイがガラッと変わるんですよね。

― プレイスタイルは人生のドキュメントなんですね。高木さんが音楽と楽器に目覚めたきっかけは?

高木 うちは音楽一家で、父がフラメンコギタリストで、母がフルート奏者、さらに叔父がアレンジャーなんですが、高校2年生まではサッカーしかやっていませんでした。楽器はずっと家にあるし、両親は楽器をずっと練習しているんだけど、別に英才教育とかはされていなくて。音楽は好きだったし興味がないわけじゃないけど、楽器はほとんどやっていませんでした。何回かサックスやドラムをやってみたいと思って、ドラムは習いに行ったんだけど、何か違うなと思ってすぐに辞めちゃって。本当にサッカーしかやっていなかったんだけど、高2くらいの時にサッカーに飽きちゃって、スケボーを始めたりダンス同好会に入ったりしたけど、どれも違うなと。そう言えば、家に楽器があるじゃんって。家の地下室にスタジオがあって、赤いベースと黒いギターが置いてあったんです。音楽が近くにあったのに、ベースとギターの違いがわからないくらい疎くて、赤が好きだからベースを選んだんです。衝動に駆られてとか、何かキッカケがあったわけじゃなくて、辿り着いた感じですね。もしもギターが赤だったら、ギターを選んでいたと思います。

サトウ そうしたら俺と出会っていなかったね。

高木 そうだね。お前とライバルになっていたかもしれない(笑)。

高木祥太(Vo,Ba)

Player Plusシリーズは
挑戦や気概を感じられる楽器

― 今回弾いていただいたフェンダーPlayer Plusシリーズの感想を聞かせてください。

サトウ 既に3ヶ月くらい使っていてスタジオにも持って行っていますが、大前提として良い楽器です。プレイヤーや他の機材が、意図しているものをちゃんとアウトプットしてくれる。で、この価格帯でフェンダーの音や感触を手にできるのはすごくいいなと思いますね。TelecasterのDNAをしっかりと受け継ぎつつ、これからどう歴史を作っていくのか?という挑戦や気概を感じられる楽器だと思います。フェンダーの最近の楽器って、“うわ! 面白い! どんな音がするんだろう?”と興味をそそられる楽器が多いですよね。そこに対する熱量がちゃんとPlayer Plus Telecasterに表れている。そして、しっかりとしたクオリティを出せているのがやっぱりすごいです。言うなれば、フェンダーのネクストステージを象徴する1本ですね。これからギターを始める人も、2本目に何を買おうか迷っている人も、ずっとギターを弾いている人も、このPlayer Plusシリーズに一回触ってみてほしいなと思います。

― Player Plus Jazz Bassはいかがですか?

高木 今日初めて弾かせてもらいました。Player Plusということで“プラス”なんですけど、実はマスタートーンがついていない。つまり、ただ単にプラスしているわけじゃなく、トーンがなくてもちゃんと成立するように作られているなと。と言っても、普段からジャズベをそんなに弾いているわけじゃないから、他の現行品のジャズベとの差に関してパッと言えないんですが、まず俺の好みの音だし、めちゃくちゃ扱いやすいんですよ。あと、このまますぐに使えるなっていう印象がしましたね。レコーディングではまだ使っていないから、今日弾いてみた体感でしかないですけどね。

― Player Plusシリーズということで、2人が音楽以外で“プラス”していることは?

サトウ 音楽以外というか、結果それは音楽に結びつくんですけどユーモアですね。人が“え!?”って思うようなこととか、笑っちゃうようなことしか考えていなくて。俺はたぶん超右脳人間で、そういう瞬発力とか、アンテナみたいなものを大事にしています。

高木 音楽以外で大事にしていることって聞かれると難しいけど、好きなことをやっているからには、自分自身に飽きないようにしたいと思っていて。例えば、自分のプレイに飽きたら本当に終わりだと思うから。音楽的な広がりを見せたいのは、成り上がりたいためじゃなくて、本当に自分に飽きないためにやっているんだと思います。それは別に音楽に限らず。俺、すごく飽き性なんですよね。それを自覚しているからこそ、なるべく飽きない工夫をする。俺の飽きる速度で言うと、BREIMENはもう7〜8年やっているから飽きてもおかしくない頃なんだけど、飽きていないのはそういう工夫をずっとしてきたから。何かいい感じの曲ができたと思っても、そのフォーマットを一度捨てるくらいの感覚でやっているし。だから、すべてのことに飽きない工夫をすることが大事ですね。

サトウカツシロ(Gt)

― 最後に、ビギナーへメッセージやアドバイスをお願いします。

高木 俺の価値観ですけど、聞く耳は持たないほうがいいかなって(笑)。だって俺、後輩にアドバイスを求められた時、本当に何も言えないんですよ。算数だったら正解があるけれど、誰かに教わることじゃないから。何か言ってくる奴って、たぶんしょうもない人が多い(笑)。あくまで俺の経験上ね。だから、基本的に聞く耳を持たないでやったほうがいいと思いますね。

― カツシロさんはどうですか?

サトウ まずは、人間として“何かを感じること”が大切だと思います。教わることじゃないと思うので。自分の人生とギターを照らし合わせていく。抽象的な話ですけど、俺は初めてギターを持って2音弾いたらアンパンマンのマーチが見えたんですよ。

― え!?

サトウ そういうことだと思うんです。つまり、楽器を持った自分に何かを感じてほしいし、そういう感覚がないと楽しくなくて辞めちゃうと思うんですよね。やっぱり楽器は表現するためのツールなので。

高木 俺も付け加えると、師匠の受け売りですけど、楽器ってプリンターなんですよ。プリンターの性能にもいろいろとあって、例えばモノクロの良さもあるし。

サトウ それね。俺が話すわ。

高木 俺に話させろ(笑)。カラーがあったりいろいろな性能があるけど、結局そこから出るものって、自分の絵でしかないわけで。だから、“何を描くのか”が一番大事なんですよね。

サトウ 何かを感じて次のステージに行く前って、めちゃザワザワするんですよ。落ち着かないし“何か来る”気がするんです。祥太の師匠と話していて、“そろそろ次のステージに行きそうな気がするんですけど、何をすれば行けますかね?”って聞いたら、“カツシロ君はギターがなくなった時に何が残るの?”って言われて。

高木 え? その話知らないよ。めっちゃ良い話じゃん。

サトウ そこで“自分には何もない”と思ったら、楽器をやってもしょうがないから辞めたほうがいいって言われて。その時に俺は“ユーモアです”って言ったんですよ。何も考えていない状態で楽器を持ったとき、楽器から何かを感じ取ることはあると思うんです。でも楽器って、やっぱり何かを表現するツールだったり自分自身の声だと思うんですよね。だから、素敵な人生を歩んでくださいってアドバイスを送りたいですね。

高木 本当にそれは言えるね。俺がギターを弾いてもドラムを叩いても、出てくる音は俺の音でしかなくて。ギターもドラムも練習していないから、プリンターとしての精度は低いけど。

サトウ あなたが素敵な人生を歩もうとするのであれば、それに楽器は応えてくれます。

高木 それ、俺が言ったことにして(笑)。


music-plus-yourself-product

PLAYER PLUS シリーズ:フェンダーのアイコニックなモデルの活気に溢れたバージョンであるPlayer Plusは、ギターの未来をあなたの手の中で確かなものにします。


BREIMEN

高木祥太(Vo,Ba)、サトウカツシロ(Gt)、Kanno so(Dr)、池田優太(Kb)、林洋輔(Sax)からなるミクスチャーファンクバンド。メンバー各々が数多くのアーティストのサポートアクトを務めており、独特な歌詞の世界観と、セッションを軸としたサウンドセンスのギャップに熱烈なファンを獲得。2020年2月に1stアルバム『TITY』、2021年5月に2ndアルバム『Play time isn’t over』をリリースし、多くの著名人やプレイヤーから熱い支持を獲得。数多くのストリーミングサービスの主要プレイリストや、“いま聴くべき”アーティストとしてメディアにピックアップされるなど、“ネクストブレイクアーティスト”として注目を浴びている。2022年1月26日にニューシングル『あんたがたどこさ』をリリース。
https://brei.men

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