Stratocaster 70th Anniversary Special Event with Souichiro Yamauchi × Kosuke Saito

フジファブリックの山内総一郎とUNISON SQUARE GARDEN、XIIXの斎藤宏介が、4月1日に行われた〈Stratocaster 70th Anniversary Special Event with Souichiro Yamauchi × Kosuke Saito〉に登場。今年70周年を迎えたStratocasterを祝う、公開トークイベントの模様をレポートする。

ギターはただそこにいて寄り添ってくれる、めっちゃくちゃいい友人だと思う

今年70周年を迎えたStratocasterをセレブレートするイベントが、アメリカだけでなく日本でも開催。その第二弾イベント〈Stratocaster 70th Anniversary Special Event with Souichiro Yamauchi × Kosuke Saito〉が開催された。

日本のバンドシーンを牽引する2バンドのフロントマンにしてStratocaster弾きの二人の対談、さらに70周年記念コレクションモデルを使用してのライヴということで、Fender Flagship Tokyoの地下1階は開演前から熱気に溢れていた。

定刻の18時。山内総一郎と斎藤宏介が登場すると歓声とともに大きな拍手が湧き上がる。普段のライヴでは考えられないぐらいオーディエンスとの距離が近い空間だが、プライベートでも交流があるという二人はリラックスしている様子。


山内が「山斎(さんさい)です。山内の“山”と斎藤の“斎”で山斎。4月末に初のワンマンライヴ(SMA 50th Anniversary presents 山内総一郎×斎藤宏介セッションライブ 山斎-SANSAI-)をEXシアターでやるんです」と嬉しそうに話すと、斎藤が「継続してやろうねって話しているんです」と続ける。ソニー・ミュージックアーティスツ創立50周年を記念しての50thキックオフライヴであったこのワンマンは、即完だったため見逃した方も多いと思うが、今後の活動に期待できそうだ。

二人のトークの掛け合いはテンポよくユーモラスで、会場のオーディエンスも常に笑顔。Stratocaster70周年を祝福するにはピッタリの空気だ。ちなみに、斎藤がFender Flagship Tokyoを訪れたのはこの日が初めて。感想を聞かれると「本当にすごいですね! 銀座に宝石を買いに来たかのような錯覚を起こしますね」と答えると、山内が「あはは。宝石買いに行ったことないでしょ!(笑)」と突っ込まれ会場から笑いが起こる。

和やかな空気の中、MCが「あなたにとってストラトとは?」というド直球な質問を二人にぶつける。山内は「僕にとってStratocasterは魂です。ギターを始めた時、初めて買ったストラトでドレミファソラシドも弾けないような時に、こりゃ楽しいやろなと思ってヘッドの裏に漢字で“魂”って書いたんです。未だにそのギターはライヴで使っていますよ。自分にとってStratocasterは“これ(音楽)で生きていくんだ”と決めた魂ですし、魂を込める行為には一番ぴったりだなって」と素敵なエピソードで表現してくれた。

続いては斎藤。「ギターに詳しくない方にも、ギターの絵を描いてくださいと言ったらストラトの形を描くような気がしていて。そういう意味では、Stratocasterはギターそのものだと思います。僕の場合、ギターは肌身離さず近くにあるもの。ギターが弾きたくてしょうがないから、駅から家まで走って帰った時もありました。一緒にいる時間が長ければ長いほど、ギターが意志を持って寄り添ってくれると思う瞬間があります。それは長い年月を共にして、想う時間が長いから応えてくれるものだと思うと、相棒みたいなものなのかなって思いますね」と“相棒”と表現してくれた。

“魂”と“相棒”。ともに一心同体の存在だ。ストラトとの出会いはいつだったのだろうか?

斎藤「僕は最初、別メーカーのハムバッカーを載せたギターを使っていたんです。そんな時、お世話になっていたライヴハウスの店長から“お前は絶対にストラトだからこれを使え”って、私物のストラトを渡されたんです。弾いたら確かに周りからの評判もいいし、自分的にもしっくりきました。それはたぶんUNISON SQUARE GARDENを結成して2〜3年目ぐらいだったと思います。ストラトとかテレキャスを弾いている人が多かったので、自分は違う個性を出そうと無理に“外し”ていたんですけど、やっぱり正解はストラトでした」

山内「最初に買ったギターがストラトだったんです。大阪の近所の楽器屋さんに行って、最初はアコースティックギターを弾こうと思ったんですけど…そのうちエレキが欲しくなるじゃないですか。で、青いストラトを楽器屋で見て“これだ!”って一目惚れしたんです」

それ以来、ストラトを愛用している二人。この日は、二人とも普段愛用しているAmerican Acoustasonic Stratocasterを色違いで持参してくれて、アコスタとの関係を語り始める。

「僕は絶対にライヴに持っていく。楽屋に入ってまず弾くのがこれなんです」と山内。斎藤は「僕は曲作りやフレーズ作りの時に使うことが多くて。ピックアップを真ん中にすると、打楽器みたいに叩く音がすごくカッコ良く録れるんですよ。リズムとベースラインを弾いて、それをずっとループして繰り返しながら、どういう音を重ねていこうかと考えています」と教えてくれた。しばしアコスタを弾き、その音をオーディエンスに伝える二人。ギターを弾いている二人は本当に楽しそうで幸せそうだ。

少しすると、山内がステージに置いてある70th Anniversary American Professional II Stratocasterを、斎藤も70th Anniversary Player Stratocasterに持ち替え、音を出しながらストラトの魅力を語る。


山内「コンターというボディのくぼみ。これが自分の体にすごく合うんですよ。ギターと一体化しやすいボディシェイプだと思いますね」

斎藤「僕は音が好きです。例えば絵を描くとしたら、ストラトは色鉛筆のような感じがあって。シャシャッといくらでも描き込める感じが、自分の歌声っぽいなと思います」


70周年記念モデルのストラトと、持参したアコスタを使ってのスペシャルライヴでは計2曲が披露され、オーディエンスからの拍手が鳴り止まない。演奏後、改めて70周年記念モデルのストラトの魅力を聞く。

山内「フェンダーがすごいと思うのは、クオリティが上がり続けていて音が全部キレイなんです。すごく反応が速いしダイナミック。小さい音から大きい音までの差がしっかり出るのが、僕はすごく気に入りました」

斎藤「まずは見た目がカッコいいんですよ。まるで星空のような見た目をしていますね。そして、弾いてから音が出るまでが速いですね。あと、ふくよかな感じがします。この70th Anniversary Player Stratocasterは広い会場に合いそう。一発、バーン!って弾いた時の感じが気持ち良さそうです」


二人はずっと70周年記念モデルのストラトを嬉しそうに弾きながら堪能しているし、その音を間近で聴いているオーディエンスも幸せそうだ。最後に、これからギターを始める人へメッセージをもらった。

斎藤「必ずしも、僕らみたいにギターを好きでいられるわけじゃないと思うんです。継続したほうがいいとは思うけど、昔、親にピアノを習わされて嫌いになったとか、そういった話はよく聞くじゃないですか。そうならないためにはどうしたらいいか。僕の場合は、昔から自分が一番の自分のファンなんですよね。自分が出す音をめちゃくちゃカッコいいと思っているし、すげぇ浸っているし、家でギターを弾いてその音で酒が飲めるんですよ。そのくらい勘違いしてギターと付き合っていけたら、楽しく過ごせるんじゃないかなって思います」

山内「内面的な話になるかもしれないけど、音楽やギターは始めるとか辞めるとか、そういうものじゃないと思っているんです。ギターを始めたら、一生あなたはギタリストだと思うんですよね。だから別にギターを置いてもいい。今日は体がしんどい、仕事や学校が大変だっていう日は弾かなくてもいい。それはあなたの自由なんです。でも、ギターはただそこにいて寄り添ってくれる、めっちゃくちゃいい友人だと思うので。だからギターを始める人に言えることは、そばに置いてあげるだけでいいんじゃないかなと思います」

最後までギターを弾きながら語る二人の姿、その笑顔がとても素敵だった。

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