Code “F” Vol.11 | 離婚伝説

ビギナーにとって最初の難関と言えるテクニックが“F Chord”。このコードを上手く押さえられずにギターを辞めてしまう人が多いが、ミュージシャンやプレイヤー人生においても、難関を超えられずに無限大の可能性を前に挫折してしまう人が多くいる。そんな中、困難を乗り越え、音楽業界の大海原に漕ぎ出した可能性に満ちたミュージシャン/プレイヤーにスポットを当てる「Code “F”」。彼らはどうやって最初の難関を乗り越え、そして今どのような景色を見ているのだろうか。第11回目は、話題上昇中の2人組バンド“離婚伝説”から松田歩(Vo)と別府純(Gt)が登場。

小さいことは気にするなよっていうことです。挫折と思わなきゃいい

──まずは音楽や楽器に目覚めたきっかけから教えてください。

別府純(以下:別府) 中2の時にレッド・ホット・チリ・ペッパーズに出会って、エレキギターを持ってみたいという衝動がきっかけですね。そこからずっとレッチリとレディオヘッドを並行して聴いていました。二手に分かれて、レディオヘッドからはエレクトロ、レッチリからはツェッペリンなどクラシックなロックなどを掘り下げて行ったんです。そのうちにザ・ビートルズに辿り着いて、どのジャンルにでも行けるようになって、ソウルやブルースなどいろいろな音楽を取り入れられるようになりました。

──レッチリを聴いてギターを持とうと思ったのはジョン・フルシアンテに憧れて?

別府 そうですね。ジョン・フルシアンテがカッコ良くて。もしも初めにメタルとか難しいジャンルを弾くギタリストと出会っていたら、今ギターを続けていないかもしれない。ジョンの良いところって、ギターを持ってすぐに真似できるフレーズが多いところ。僕はひねくれているので、弾き倒すより、逆にそれがカッコいいと当時から思っていました。

──松田さんは?

松田歩(以下:松田) 幼少期にピアノを3年間ぐらいやっていたんです。でもピアニストになりたいとか、音楽で生きていこうという思いは芽生えず。中学の時に音楽にのめり込むきっかけになったのはヒップホップでした。いとこがヒップホップが好きで、ウェッサイ(カリフォルニア州にある都市を中心に生まれたヒップホップ音楽や文化)を教えてもらって、スヌープ・ドッグとか2パックを意味もわからず、何か「カッケェ」ってだけで聴いてて。それが入口になって洋楽を掘るようになって、高校の時に出会ったスティーヴィー・ワンダーに衝撃を受けて、彼みたいなシンガーソングライターになれたらなっていう漠然とした目標はあったんです。だけど地元が鹿児島で、その頃は音楽が東京に比べて身近になくて。学生の時に周りにバンドをやってる人もいなかったし、シンガーなんて雲の上の存在で、半分諦めていた思いもありながら18歳で上京しました。19歳の頃にヴォーカルグループに誘われて、そこで今よりもっと歌いたい思いが膨らんで歌の活動を始めて、21歳の時にバイト先で別府と出会いました。それからギターを始めたので22歳とかですね。

──ギターの練習方法は?

別府 最初はコードと押さえ方だけが載っている歌本を買ってきました。周りに音楽をやっている人がいないし、僕が友達の中では何かにつけ“一緒にやろうよ”って誘う側だったので、独学でタブ譜が読めるようになるのに5年ぐらいかかりました。ひたすらコードを覚えて流行りの曲を弾いていましたね。

──Fコードの壁にぶつかりましたか?

別府 それがですね、細かいことを気にしていなかったので、Fが弾けているとか弾けていないとかわからなくて。きっと1弦が鳴っていないとかあったんでしょうけど、楽しんでいるうちにFが押さえられるようになったタイプです。長く楽しんでいれば、Fは壁ではないと思います。

──そんなに手も大きくないですよね?

別府 手はめっちゃ小さいですよ。

──それでも挫折はなかったですか?

別府 自分の中ではないですね。別に弾けないことを苦しまなかったので挫折はないです。だから僕から言えることは、小さいことは気にするなよっていうことです。挫折と思わなきゃいい。

──松田さんは?

松田 実は高校生の時に母親のギターをちょっと触ったりしたんですけど、「手が痛え、辞めよ」って感じで。

──それで辞める人も多いと思います。

松田 そうですね。でも自分の場合は、曲を作るためにギターを手に取った部分が大きくて。あとは周りにギターの弾き方を相談できる人がたくさんいたので、挫折はなかったかな。楽しいっていう思いしかなかったですね。

別府 歩は絶対に挫折してないよね! 毎日ちょっとずつ弾いて、気づいたらもう普通に弾けるようになってた。

──ビギナーにオススメの練習法はありますか?

別府 Fで挫けるなら、 最初は全部の弦を鳴らさなくてもいいと思うんです。パワーコードでもFはFだから、最初はそういう楽しみ方をしたほうがいいのかなと思います。できないことに思い詰めるよりも、できる弾き方で楽しんだほうがいいと思います。やっぱり楽しくないと意味がないので。

松田 オススメの練習法かぁ…難しいですね。始めた当初は音が鳴る楽しさだけを感じていたから、音を感じることが大事なのかな。俺も最初はエクストリームの「モア・ザン・ワーズ」ばかり練習していましたね。好きな曲をひたすら弾いて楽しさを覚える。自分もそっちなのかな。


──さて、今日の撮影で弾いていただいたPlayer IIシリーズの印象を教えてください。

別府 僕はPlayer II Telecasterですね。大げさじゃなくて本当に素晴らしいと思いました。10万円くらいでこんなギターはなかった気がします。今はこの値段でこれが新品で買えちゃうんだって驚きでした。これからギターを始める人にすごくオススメですね。一生これでも何の問題もないかもしれないと思いました。皆さんこれをお買い求めください(笑)。

──松田さんはPlayer II Jaguarを弾いていただきましたが、いかがでしたか?

松田 良かったです。でも実は俺、新品のエレキを持つのが初めてなんです。22歳でギターを始めたのがアコギだったので、正直比較ができないんです。見た目とカラーで選ばせてもらったんですけど弾きやすかったです。うん、別府が言うんだから間違いないと思いますよ。お買い求めください(笑)。

──離婚伝説は今、ものすごく勢いがありますし注目も浴びていますが、若いバンドやプロを目指しているバンドへ言えるメッセージってありますか?

松田 自分を愛することじゃないですか。根拠のない自信を持つことが大切だと思いますけど…。

別府 そうだね。まぁ楽しくなきゃ意味がないと思うので、大前提として音楽を楽しんでほしいですね。

──バンドとしての今後の目標は?

松田 よく聞かれるんですけど、ないんですよ。このまま音楽が続けられれば、それが一番幸せだなって。

別府 僕もないですね。いつもふざけたことは言ってますけど。犬猫を集めてフェスをやりたいとか。

──(笑)。

別府 一つありました。レッチリの前座をやりたいですね。いや、対バンをやりたいです。東京ドームで。

──最後、ビギナーにメッセージやアドバイスをお願いします。

別府 興味があって手に取るものだと思うから、難しいことを考えずに楽しく弾いてほしいです。音楽って本当に楽しいものだから。不思議なことに、始めた時よりもどんどんどんどん楽しくなる。やればやるほど。

──松田さんは?

松田 お前はイケてる。頑張れ!


離婚伝説
2022年、松田歩(Vo)と別府純(Gt)で活動を開始。バンド名は、マーヴィン・ゲイが1978年にリリースした「Here, My Dear」に由来。音源、映像ともにクリエイティヴに関する部分はセルフプロデュースで制作しており、そのセンスと親しみやすさからSNSやラジオ、ライヴの口コミで瞬く間にリスナーたちの注目の的になっている。松田の甘くメロウなハイトーンボイスと、別府の縦横無尽なギタープレイで繰り広げられる独自のパフォーマンスは、出演するイベントが軒並みソールドアウトするなど、シーンの新たな”伝説”となる予兆を見せている。10月より全国ツアー〈2024 ONEMAN TOUR-そっと強く抱きしめて-〉をスタート。
https://www.rkndnsts.jp

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