Evolving Dreams | 黒川侑司、古閑翔平、田中雄大(ユアネス)
新たな時代を切り開く若きアーティストたち。進化し続ける彼らは、これまでどのような道を辿り、今どのような夢を抱き、そしてこれから何をクリエイトしていくのか。今後の音楽シーンを彩っていくであろう、等身大の表現者たちからのメッセージを、セッションを交えながらお届けする新コンテンツ“Evolving Dreams”。第3回目は、福岡で結成された4人組ロックバンド“ユアネス”が登場。
楽器を演奏できるってひとつの言語を獲得したようなものだと思う
― まず、コロナ禍での音楽活動はいかがでしたか?
古閑翔平(以下:古閑) コロナの影響で特にライヴができないからこそ、SNSを使わなきゃいけないなと明確に捉えていました。公開できる情報をたくさん作るようにしたし、水面下にならないような活動にしようと心がけていました。具体的にはメンバー各自がYouTubeやTikTokをやって、これからどういう活動をしていけばさらに上に上がっていけるかを考えました。ライヴをしなくても音楽を広められる時代でもあるので、僕らの強みとして生かしていきたいなと。そもそも僕らはSNSからバンドを結成したので、そこは得意なんです。
― 出会いがSNS?
古閑 そうなんですよ。一人ひとりネットで誘惑したんです(笑)。なので“ユアネスってSNSも活発だな”と思って頂きたくて、アニメーション作品を作ったり、海外向けに字幕をつけたりしました。
― なるほど。では改めて楽器を始めたきっかけから教えてください。
黒川侑司(以下:黒川) 正直、ギターに興味がなかったんですけど、マキシマム ザ ホルモンを聴いた時に“何かめっちゃカッコいい音の人がおる!”と思って。それがベースの上ちゃんだったので、最初に買ったのがベースでした。それから楽器に触れるようになったんですけど、本当に趣味くらいでした。このバンドに誘われた時、楽器が弾けなかったので最初はハンドマイクでヴォーカルをやっていたのですが、曲の振り幅的にギター&ヴォーカルをやってほしいと古閑に言われたのがきっかけでギターを始めました。それが19歳の頃、今から6〜7年前ですね。
― なるほど。黒川さんのギターの先生は古閑さんですか?
黒川 そうなんです。専門学校のホワイトボードに、コードの押さえ方を書いて教えてもらっていました。
― そんな古閑さんがギターを始めたきっかけは?
古閑 高校生の頃、音ゲーが流行っていたのですが『DrumMania』が好きで。その中で“ギラギラメガネ団”というアーティストがいて、「繚乱ヒットチャート」という楽曲があったんです。ギターイントロから入る楽曲で、それを聴いた時に“やばい!これはギターを始めよう”と思ってギターを買ったのがスタートです。
田中雄大(以下:田中) 僕は楽器をやっていた姉に中学生くらいまで“楽器をやればモテる”と言われていたのですが、モテるために楽器を始めるのはカッコ悪いと思ってやらなかったんです。だけど、家に楽器があると興味が湧いてきて、最初はギターを持っていたのですが、ギターを持った自分を姿見で見た時にめちゃくちゃ似合わなかったんですよ(笑)。僕は体も大きかったので、大きいボディのベースにしたんです。でも“これベースって言うんだ”というレベルで、その時ちょうどYouTubeが普及し始めた時だったので、動画を見ながら練習をしていましたね。
― フェンダーというブランドに対するイメージは?
古閑 “スタンダード”ですね。ギターを始める時に絶対に名前が挙がるブランドのイメージがありましたし、サウンド面でも“フェンダーがスタンダード”というイメージでした。
田中 だいたい自分が魅了される音はフェンダーのベースでしたね。
黒川 実は以前、フェンダーの白色のStratocasterを使っていた時期があって。それまではどこのメーカーかもわからないギターを使ってライヴをしていたのですが、PAさんから“ヘンな音がする”と言われて。地元の友達がフェンダーのストラトを持っていたので、見た目もカッコいいからそれを借りてライヴで使った時に“音がめちゃ良くなったね”と褒められて、まさにスタンダートでカッコいい音が出るギターだなと思いました。
― 今回は古閑さんと田中さんにMade in Japan Hybrid IIを弾いていただきました。改めて感想を教えてください。
古閑 Stratocaster、Telecaster、Jazzmasterと弾かせてもらったのですが、想像よりもさらに広い音が出たのが一番印象です。
― 特にテレキャスは弾くたびにびっくりしていましたね。
古閑 驚きました。“あれ?俺のテレキャスのイメージじゃないぞ”って。テレキャスって音がパリッと鳴ってくれるイメージですが、そこからさらに欲しかった太い部分が追加されていて。しかも、ピックアップセレクターが4つあるこのモデルにはヤラレましたね。本当にいい音でした。
― ベースはいかがでしたか?
田中 僕はMade in Japan Hybridの最初のシリーズの5弦ベースを使っていて。温かみのある音も狙えるし、一方でソリッドにもガッと弾ける。しかもめちゃくちゃ弾きやすくて、いろいろな人に使ってもらえるシリーズだと思うんです。今はビギナーの方でもパソコンにつなぐだけで音が録れて、すぐに発表もできる時代になっていて。それだけに出したい音に辿り着くまでにエフェクターだったり調整するものができるだけ少ないほうがわかりやすくていいと思うんです。今回、Made in Japan Hybrid IIを弾かせてもらって、“これはインターフェースにそのまま差せば使えそうだな”と思いました。今日はアンプで鳴らしたんですが、ハイからローまでいろいろな帯域を弾いてもしっかりと鳴ってくれるから、余計な補正が要らないなと思いました。
― 黒川さんにも試奏してもらいましたが、いかがですか?
黒川 僕は正直、ギターを見た目で買っちゃうタイプなんです。青が好きだから、今日もTelecasterのベタ塗りの感じがすごくいいなと思っていました。結果このシリーズのギター3本弾いてみて、最後のJazzmasterを弾いた時に音がカッコ良すぎて。音が見た目の上を行ったなと。初めての実感でしたね。
古閑 あと、全体を通じて楽器を始めたての人たちの壁が消えている気がします。特に楽器を続けることに特化していますね。ライヴと宅録に対応する、今の時代に対応しているモデルだと思います。
田中雄大: Made in Japan Hybrid II Precision Bass®、黒川侑司: Made in Japan Hybrid II Jazzmaster®、古閑翔平: Made in Japan Hybrid II Telecaster®
― このインタビューのテーマが“Evolving Dreams”となっています。皆さんの夢を教えてください。
古閑 ユアネスというバンドをもっともっと日本中に広げていきたいけど、楽曲を作る身として、国外の人にも届けたいと思っていて。コロナ禍が始まった時くらいにアニメ『イエスタデイをうたって』の主題歌を書き下ろさせて頂いたのですが、海外からのアクションがすごかったんですね。今まではずっとバンドを続けていくことが目標だったけど、世界を見たいという夢が僕の中で大きくなってきました。そのために、いろいろな方々とコラボをしたり楽曲提供をできるように勉強して、ここ2〜3年で力をつけて30歳前には実現したいです。
田中 楽器のプレイヤーをやっているんだったら、外国語が話せなくても楽器を通じて海外のミュージシャンと一緒に演奏することもできるわけです。つまり、楽器を演奏できるってひとつの言語を獲得したようなものだと思うので、それを最大限に活用して人の役に立ちたいなと思います。
黒川 僕は小さい頃からずっと、外の世界を遮断して一人で黙々と生活していたんです。音楽をやってこなければこんなにたくさんの人とも会えなかったし、今いる場所にも絶対に来られなかったと思います。コロナ禍になり、人との接触を遮断された上で自分の限界がすごくわかって、それを助けてくれるのは身近な人だと感じられたので、もっと人と積極的に関わって多くの人に求められたいなと思いました。
― 最後に、ビギナーの皆さんにアドバイスをお願いします。
黒川 ギターのことがわからない人でも、カッコいい音って出せると思うんです。フェンダーなら。新たに始める人にはすごく長く楽しめるギターですよね。
古閑 嫌なことは絶対にしなくていいと思います。例えばケーブルにつなぐのが面倒くさいのなら、そこで面倒くさいと思うよりも先に弾いたほうが絶対に早い。例えば初心者の人に、“クロマチックの練習をしなさいと教則本に書いてあったけど続けたほうがいい?”と聞かれた時も、それが嫌だったらコードの練習とか自分が好きな曲を弾き語る練習をすればいいと答えています。
田中 まずは本当に好きなアーティストさんの曲を、ひとつ完コピする気持ちで楽しんで弾くのが大事だと思います。そして、それを誇りに思ってほしいです。この曲を弾けるようになった、昨日より今日のほうがカッコいいという気持ちで楽器を弾いていたら、いつの間にか弾けるようになっていると思うので。
ユアネス
福岡で結成された4人組ロックバンド。メンバーは、黒川侑司(Vo,Gt)、古閑翔平(Gt)、田中雄大(Ba)、小野貴寛(Dr)。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、詞世界を含め一つの物語りを織りなすような楽曲を展開。重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるライヴパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。
› Website:https://yourness.jp