Cover Artist | go!go!vanillas -後編-

フェンダーは長い歴史を持つブランドだけど過去の栄光にすがらない

2025年は国内のみならず、国外の活動にも意欲的に取り組み、自身の“サイシンサイコウ”をアップデートし続けているgo!go!vanillasが5年ぶりにCOVER ARTISTに登場。インタビューの後編では、全5曲中2曲をロンドンでレコーディングした最新EP『SCARY MONSTERS』における挑戦を振り返りつつ、3月から始まる〈go!go!vanillas SCARY MONSTERS TOUR 2025-2026〉アリーナツアーの意気込みを聞かせてもらった。


フェンダーのギターってマジで壊れない

──フェンダーというブランドに対してどんな印象を持っていますか?

牧達弥(以下:牧) 僕は今、American Ultra Luxe VintageシリーズのストラトとAmerican Vintage IIシリーズのテレキャスがメインなんですけど、むちゃくちゃいいですよ。結局、音の良し悪しって、弾く人が良い音だと思えればそれでいいと俺は思うんです。ただ、良いか悪いかの判断すらできないものもあったから、自分が目指す音を求めるとヴィンテージが多かったんですけど、弾かせてもらったAmerican Professional Classicシリーズも含め、最近のフェンダーはどのモデルもいい。それはすごいことだと思います。長い歴史を持つブランドだけど過去の栄光にすがらないというか、ちゃんと間口を広げている。それは音楽を愛しているからこそだと思うんですけど、PCを使って1人で音楽を作る時代から、アンプから音を出して、みんなで音を合わせる楽しさみたいなところにまた戻ってきている気がしていて。そこも敏感に感じ取って準備をしていたんだなって、フェンダーの最近の動きを見ながら思うんです。そういう意味でも、とても信頼できるブランドだと常に思っています。

柳沢進太郎(以下:柳沢) どれを持っても良い音がしますよね。それは本当にすごいと思います。個体差が最小限ってところに生産力の高さをめちゃめちゃ感じます。

 あと、フェンダーのギターってマジで壊れない。どんな落し方をしてもって言ったらさすがに言い過ぎだけど、ギターが壊れたらイヤじゃないですか。壊したらイヤだからってビクビク弾くよりも、もうブワーって思いっきりやって、万が一、勢い余って投げちゃったとしても大丈夫、壊れないからって信頼感はやっぱり大事ですよね。

──リズム隊のお二人はいかがですか?

長谷川プリティ敬祐(以下:長谷川) 音とまったく関係ない話ですけど、原宿のFender Flagship Tokyoの店員さんがめちゃくちゃ優しいです。

ジェットセイヤ(以下:セイヤ) それを言ったら、地下のカフェにはよく行かせてもらってます。原宿って人が多いじゃないですか。でも、あそこは穴場なんですよ。原宿に行った時は、いつもあそこでマンゴージュースを飲んでます。


言葉の壁を越えて伝えるには演奏の熱量とパッションしかない

──さて、2026年の抱負を聞かせていただく前に、バニラズにとって2025年はどんな1年だったのか振り返らせてください。かなり精力的に活動していた印象があるのですが。

 そうですね。ライヴをしっかりやりながらリリースもしてっていう、かなりガツガツと行った感じもありましたけど、このタイミングで新たに進化したバンドの一面を、ライヴの見せ方も含めしっかりと伝えられたんじゃないかなって思いますね。

──9月にリリースした最新EP『SCARY MONSTERS』はロンドンで制作したそうですね。

 ミックスは日本でやったんですけど、レコーディングはロンドンでもやりました。最初にライヴをブライントンのフェスで2日間やって、その後、フランスのフェスに呼んでもらって、パリのライヴハウスでやってっていうその合間にレコーディングもしました。2023年にもロンドンでレコーディングしているんですけど、同じメトロポリススタジオってところでやりました。

──2025年はライブでめちゃめちゃ忙しかったと思うんですけど、いつ曲を作っていたんだろうって。

 いや、もうライヴの合間合間に鶴の恩返しみたいに作ってましたね(笑)。でも、ありがたいことにこの歳になって、海外でライヴさせてもらったわけですけど、やっぱり国によってオーディエンスの反応って全然違うんですよ。そういうオーディエンスを前にライヴをやったことで、改めて自信をもらえたというか、EPにはそれも反映されていると思います。

──例えば、どんなところに反映されていますか?

 例えば、「ダンデライオン」は日本国内のみならず、世界でも同時配信された『SAKAMOTO DAYS』というアニメのエンディング・テーマだったんですけど、今現在のアニメの人気とか、アニメで使われる曲とかって海外においてもすごく大事というか。最初にイギリスに行った時も思ったんですけど、ロンドンのソーホーのクラブなんかがあるところを、飯を食ったあと歩いてたら、クラブに遊びに来ている女の子がアニメのタトゥーを入れていて。昔、アニメとかマンガはもっと閉鎖的なカルチャーだったと思うんですけど、すごくイケてるものとして若い子たちに浸透しているんですよね。だから、ただアニソンとしてではなくて、ノーボーダーでちゃんと聴いてもらえるような曲を作ろうってところで「ダンデライオン」は作りました。逆に「SCARY MONSTER」にはイギリスでライヴした時の経験が反映されているというか、クラブツアーってこともあって、機材面も含め、普段、日本でやっているような準備ができなかったんですよ。その中で言葉の壁を越えて伝えるには演奏の熱量とパッションしかないと思って、思いっきりやってみた時、バンドの強みってそこだよなって改めて感じて。「SCARY MONSTER」では、細かいことを考えずにバコーンって音を鳴らしたその時のエネルギーの塊を出したいと思いました。

──「正体」は柳沢さんの作詞・作曲・歌ですね。

柳沢 この曲は2000年代のUKギターロックのニュアンスを出したいと思いながら作りました。生ドラムがなくなるパートをはじめ、実験的なことも混ぜつつ作ったんですけど、自分としてはギターリフを前面に押し出した楽曲ということで、ギターリフを聴いて盛り上がってほしいです。一番盛り上がってほしいポイントは曲の最後、リフをエンドレスで繰り返すところ。そういう曲がめちゃめちゃ好きなんですよ。それをできたことと、イギリスでリズム録りをできたことは、自分の中で特別な経験になりました。

──リズム隊のお二人はどんな挑戦がありましたか?

長谷川 「正体」のベースはかなりシビアにというか、しっかりグルーヴを作ることを意識しました。跳ねつつリズムはカチカチしすぎずに、浮遊感のあるものにしたいってところで悩みながら作ってました。悩んだ甲斐あって、今はやっていてすごく楽しいです。

──セイヤさんは?

セイヤ 5曲すべてビート感が違うんですよ。それぞれの曲の聴かせたいところを、バンドとしてしっかり表現できるようになったのは成長だと思います。主役になれる5曲が揃ってるんで、現在、ワンマンツアー中なんですけど、間にフェスとかイベントとかもあって、この5曲があればいつ呼ばれてもどこにでも行けるって感じです。中でも一番、初期衝動に近いのが「SCARY MONSTER」で、シンプルな直線的な8ビートを叩いていると10代の頃を思い出すんですよ。フェンダーのギターを弾きながら、ぜひコピーしてもらいたいです。

──2026年は〈SCARY MONSTERS TOUR 2025-2026〉のホール編が2月に終わると、3月からアリーナ編が始まりますが、アリーナツアーの意気込みを聞かせてください。

 ホールとアリーナだけでライヴハウスがないツアーってバニラズとしては初めてなんですよ。今のところ本当にいいライヴができているので、アリーナではそれをさらに大きなものにしたい。サックス、トランペット、ピアノ、キーボード、フィドルのアディショナルメンバーにも加わってもらって、総勢9人のお祭りをやろうと思ってるんで。EPの最後に「生きもの」って曲が入っているんですけど、アリーナではものすごい生きものの塊を見せます。

American Professional Classic

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go!go!vanillas
牧達弥(Vo,Gt)、柳沢 進太郎(Gt)、長谷川プリティ敬祐(Ba)、ジェットセイヤ(Dr)からなる4ピースバンド。2013年のデビュー以降、ガレージやファンク、R&Bからカントリーまで、様々なジャンルを貪欲に取り込みながら自らのサウンドをアップデートし続けてきた。音楽ルーツへの深いリスペクトを持ちながらも変化を恐れず、柔軟なクロスオーバーのスピリットで生み出される楽曲の数々は、多くのリスナーを魅了。4人の異なる個性がぶつかり合い、強烈なグルーヴを生み出すライヴも醍醐味。2026年3月から〈SCARY MONSTERS TOUR〉アリーナ編を開催。5月5日には〈READY STEADY go!go! vol.11〉を開催。
https://gogovanillas.com/

Text_Tomoo Yamaguchi
Photo_Nobuko Baba

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