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Cover Artist | ゲスの極み乙女。 -前編-

Jazzmasterを買うならやっぱりフェンダーだなと

予測不能な展開を見せる卓越した演奏と、プログレやヒップホップを基調としつつあらゆる音楽を貪欲に飲み込むスタイルで、2022年に結成10周年を迎える4人組バンド“ゲスの極み乙女。”がFenderNewsのCover Artistに登場。インタビューの前編では、楽器を始めたきっかけやフェンダーとの出会いを中心に話を聞いた。

失恋して、ギターが上手くならない自分に嫌気が差した

― まずは、ギターとベースを始めたきっかけを教えてください。

休日課長(以下:課長) 中学3年生の時、さいたまスーパーアリーナで展示していたジョン・レノン・ミュージアムで、ジョン・レノンが使っていたギターを見た時に“うわぁ!カッコいい!”と思ってギターを始めたのがきっかけです。ベースへの転向は大学生時代で、失恋して、ギターが上手くならない自分に嫌気が差したんです。で、ベースだったら合うかもしれないと思って始めました。

― 失恋がなかったらそのままギターをやっていた?

課長 そうだと思いますね。失恋して号泣しながらレッド・ホット・チリ・ペッパーズの『ライヴ・アット・スレイン・キャッスル』を見て、ベースを始めようと思いました(笑)。

― 映画みたいですね(笑)。川谷さんがギターを始めたきっかけは?

川谷絵音(以下:川谷) ずっとサッカーをやっていたんですけど、高校生の時に肺気胸になってサッカーを辞めたんです。それまでずっとバンドをやってみたかったんですけど、ギターも弾けなかったので、ギターを持っている友達に鼻歌で歌ったフレーズをギターに変換してもらっていました。サッカーを辞めたタイミングでバンドを始めようとしたんですけど、ギターを弾けない俺だけがクビになり、ギターを弾いていた友達がヴォーカルを務めることになって。すごく悔しくて、それで東京の大学へ行って軽音楽部に入ろうと思ってギターを買いました。

― ずっとバンドをやりたかったということですが、好きなバンドは?

川谷 めちゃくちゃ移り変わっているのですが、最初にコピーしたのはACIDMANでした。友達がコピーしていて、コードがお洒落だなと思って。上京してからはゆらゆら帝国の坂本慎太郎さんのギターとレディオヘッドにはまって、それからそういうのばかりコピーするようになりました。特に影響を受けたギタリストは、坂本慎太郎さんとジャック・ホワイト、レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドですね。あと、ミューズのマシュー・ベラミーがめちゃくちゃ好きで同じギターを買いました。

― 休日課長さんがベースを始めた頃、憧れていたベーシストは?

課長 レッチリのフリー、イエスのクリス・スクワイアが二大巨頭です。

― 当時の練習方法は?

川谷 軽音楽部に入った時からコピーバンドだったので、スコアを見てひたすらコピーをしていました。

― つまずきはなかったですか?

川谷 つまずきというか、あまり考えたことがなかったので(笑)。大学生の時にthe band apartをコピーしていたんですけど、あれでけっこう鍛えられたかもしれないですね。耳コピしなきゃいけなかったので、ニコ動でコピーしている人の演奏をよく見ていました。

課長 僕は部室でしこしこクリック練習していたのは覚えています。派手な演奏ができる同期がいたので、逆に丁寧方向で行こうと考えて、クリック練習をやっていた記憶があります。

― 休日課長さんは技巧派ベーシストとして評価されていますが、そのスキルはどうやって身につけていったのですか?

課長 めちゃ恥ずかしいですね。川谷プロデューサーの指導の賜物ですよ(笑)。

川谷 わりと課長を目立たせるようにしていたので、難しいフレーズを振ったんです。で、課長がそれをどんどんカタチにしてくれて。

課長 確かに! 川谷からの最初のオーダーは口ベースで来るんですけど、どうやって弾いたらいいか想像がつかないようなフレーズなんですよ。マジでどうやって弾こう?みたいな(笑)。

川谷 それで親指の奏法になったりしたし、いろいろと生まれたよね。

課長 そう。演奏で表現できなさそうなオーダーを、カタチにするためにいろいろと開発できたというか。けっこう幅が広がった感じがしますね。

― それぞれ、フェンダーとの出会いは?

川谷 最初に買ったフェンダーが、日本製のフェンダーのJazzmaster®︎だった気がします。

― フェンダーはどんなイメージでしたか?

川谷 王道ですかね。好きなミュージシャンがフェンダーを使っていたので。最初はその王道に反発して違うギターメーカーばかり使っていたんですけど、途中でやっぱりJazzmasterに憧れて。オルタナバンドを聴いていたので、Jaguar®︎かJazzmasterだと思って、Jazzmasterを買うならやっぱりフェンダーだなと。ジャズマスのあとに買ったのがStratocaster®︎ですね。あ、でも同じ頃にTelecaster®︎も買ったかな。

― ジャズマス、テレキャス、ストラトの使い分けは?

川谷 基本的にP90(ピックアップ)が好きなのでジャズマスが多いんです。ストラトは、カッティングと、音を“いなたく”したい時に使う感じです。近年、テレキャスは使っていなかったんですけど、今日出会った新しいテレキャス(Made in Japan Junior Collection Telecaster®︎)はいいなと思って。

― 今日ピックアップしていただいたMade in Japan Junior Collection Telecasterはショートスケールですが、ショートスケールは使いますか?

川谷 いままで弾いた事なかったですし、持っていないですね。

― 通常のTelecasterと比べていかがですか?

川谷 普通のテレキャスに比べてちょっと優しいというか、クリーンな感じです。最近はクリーントーンでカッティングを弾くことも多いので、あまり歪ませないのですが、この音は持っていないなと。“ジャキ”じゃなくて“シャキ”というか、それが今のモードに合っているからめちゃ使えるなって。こういう、どクリーンの音でレコーディングしたかったので、Made in Japan Junior Collection Telecasterをゲットしようと思いました。

― 実戦で使うことをイメージして?

川谷 そうですね。ショートスケールって、カッティングするにはめちゃいいですね。ショートスケールのギターに対して、今まで別に何かを思ったことがなかったんですけど、これは弾きやすくていいなって。ちょうどいい音がするんですよね。けっこう独特の音がするから、これはこれでかなり使いどころがあるなと。

― ネックが短くなったぶん弦の張力が若干緩くなったので、今までのTelecasterとはちょっと違う、柔らかい音が出る楽器が誕生しました。

川谷 なるほど。いい意味でテレキャスっぽくない感じがしていて、レコーディングでもめちゃくちゃ使えるなと思いました。軽いからライヴでも使いたいですね。軽さはけっこう僕の中では重要で。メインギターがセミアコで軽いので、たまに重いギターを持つと本当に死にそうになるんです。

― 休日課長さんのフェンダーとの出会いは?

課長 最初に買ったフェンダーは65年製のJazz Bass®︎ですね。単純に、ヴィンテージのジャズベが欲しいなと思って。それまで持っているベースとはまったく違うずっしり感というか、芯のある感じにビビッときて買ったのがきっかけですね。

― そこからフェンダーのベースは?

課長 Mustang Bass®︎とCustom ShopのPrecision Bass®︎を購入しました。Mustang Bassがたぶん一番使っていますね。クセがあるのが気に入っています。あとはMustang Bassってローがしっかりしているので、音数が少ない楽曲でも音を伸ばしただけで存在感がある。あの子でしか出ない音があります。

― 今回はPlayer Plus Active Meteora Bass®︎をピックアップしていただきましたが、選んだポイントは?

課長 まずは、音を出した時にしっくりきたのが大きいです。スムースな、安定感のあるどっしりとした音なんだけど、ちょっとコリっとしたクセのあるミドルがいいなと。Mustang Bassの印象と近かったですね。見た目とは逆に、音が詰まる感じもなくて伸びやかです。

― 見た目はヘヴィですが、ファンク系などセッションにもいける音を出せます。

課長 3バンドアクティブEQも、だいたい僕はいつもフラットにしちゃうんですけど、これは今後も使えますね。ハイも“カチッ”と止まるような感じで上がるものも多いんですけど、これは伸びやかな感じで。ハイが伸びるのでEQも使える。好きですね。

― どんな場面で使ってみたいですか?

課長 EQで微調整ができるので、普通にライヴでも使えるなって。ロー感もしっかりと出るからいいなと思ったし、ミドルテンポの曲にもすごく合いそうだなと。偏った音しか出なさそうなんですけど、実はオールマイティだなという印象でしたね。で、ちゃんとこの子でしか出せない“ひとクセ”があって良かったです。

後編に続く

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休日課長:Player Plus Active Meteora® Bass|川谷絵音:Made in Japan Junior Collection Telecaster®


ゲスの極み乙女。

2012年5月、indigo la Endのヴォーカルでもある川谷絵音を中心に結成。プログレ、ヒップホップを基調とし、独自のポップメロディを奏でる4人組バンド。メンバーは、川谷絵音(Vo,Gt)、休日課長(Ba)、ちゃんMARI(Kb)、ほな・いこか(Dr)。2014年4月、3rdミニアルバム『みんなノーマル』でunBORDEからメジャーデビューを果たす。2022年5月11日、アルバム『丸』をリリース。6月18日には幕張メッセ幕張イベントホールにて〈ゲスの極み乙女。結成10周年記念公演「解体」〉を開催。
https://gesuotome.com/

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