Anly ~2ROCK祭~

シンガーソングライターのAnlyが、2023年1月22日(日)渋谷 duo MUSIC EXCHAGEにて〈Anly ~2ROCK祭~〉を開催した。毎年、誕生日の1月20日付近にイベントを行っている彼女だが、26歳となった今年は2ROCK(ニジュウ“ロック”)をコンセプトにロックチューンで固めたセットリストを披露。ライヴの全容をお届けするとともに、Fenderギターが活躍した場面を重点的にレポートする。

エネルギッシュで歯切れの良いサウンドを響かせていたClassic 69 Tele

『Fender NEXT 2022』日本代表に選出されるなど、素晴らしいギタープレイで見る者の心をつかむAnly。しかしその魅力はプレイだけではなく、活力をくれる楽曲や歌の表現力、目が釘付けとなるライヴでの立ち居振る舞いなど多様だ。

それゆえパフォーマンスも一つの型にとらわれておらず、弾き語りで歌を届けることもあれば、ループペダルで圧巻のギタープレイを見せることも。2023年4月にはオーケストラとも共演する。そしてバンド編成では、ハンドマイクならではの体全体を使った表現も見せている。今回のコンセプトはロックということで、サポートに小川翔(Gt/LAGHEADS)、生本直毅(Gt)、半田彬倫(Pf)、森光奏太(Ba/dawgss)、大津資盛(Dr/POOL ICE MOON)を迎え、1時間半に及ぶ濃密なライヴを届けた。

幕開けのナンバーは、レッド・ツェッペリン「Black Dog」のカヴァー。頭を激しく振るなどハンドマイクで全身全霊のステージングを見せつつ、パワフルかつ伸びやかに歌い上げる。そのままライヴの定番ロックチューン「Enjoy」に突入すると、観客はすかさず拳を上げてこれに応え、会場は一気にヒートアップした。

エレキギターが登場した場面では、活動初期から愛用しているフェンダーClassic 69 Tele(Red Paisley)を使用。1969年モデルを再現したギターで、69年といえばロックンロールカルチャーを語るに欠かせない年と言える。そういったバックボーンも含めて、このギターは2ROCK祭のコンセプトにピッタリな一本だ。Anlyが奏でるギターリフから始まったのは「Don’t give it up!」。激しく歪ませても音の芯がしっかりと感じられるサウンドで、3本のギターが重なる中でも存在感を発揮していた。

「今日はバンドということで、とても楽しみにしていました。いつも一人だから(笑)。去年出したアルバム(『QUARTER』)の中からもお届けしていこうかなと思っています。この曲は特にやるのを楽しみにしていました」と語ったのちに「CRAZY WORLD」を演奏。2022年12月に行われた〈Fender Workshop -Acoustic Guitars-〉でこの曲を演奏した際はAmerican Acoustasonic® Jazzmaster®とループペダルで華やかなサウンドを奏でていたが、バンドセットではよりスケールの大きなアンサンブルで会場を満たす。また、リリックに合わせて身振り手振りをしたり観客を煽ったりと、自由度の高いパフォーマンスを見せた。その後も「DAREDA」「IDENTITY」「KAKKOII」と立て続けに重厚感のあるサウンドを展開していく。

ここでAnlyは「ヘヴィな曲が続いたので、息を整えてバラードを一曲お届けしようと思います。今日はロックなセットリストになっていますけど、強い意志があればそれもロックだって、自分の中ではそう思えて。優しいけどカッコいい曲です」と述べ、「Angel voice」を披露。これまでの豪快なパフォーマンスとは打って変わって、半田の美しいピアノの音色に乗せて繊細に歌唱していたが、その歌には確かな芯の強さも感じられた。

「ここから駆け抜けていきたいと思うんですけど、みなさんついてこれますか?」と煽ると、レッド・ホット・チリ・ペッパーズver.の「Higher Ground」(原曲はスティーヴィー・ワンダー)でフロアを沸かせる。続いてはデレク・アンド・ザ・ドミノス「Layla」。エリック・クラプトンが奏でたロック史に残る名リフをClassic 69 Teleを手にしたAnlyが弾いてみせると、フロアから大きな拍手が起きる。

この曲では、小川のハムバッカーピックアップの音色がサウンドの土台となり、生本による抜けの良いギターの音色が楽曲を彩る。そしてClassic 69 Teleは、アンサンブルを底上げするようなエネルギッシュで歯切れの良いサウンドを響かせていた。

「アガってきた? もっと上げていきましょう!」と観客をさらに鼓舞したAnlyは、アコースティックギターをかき鳴らしながら「VOLTAGE」を力強く歌う。勢いそのままに「Do Do Do」へ続いたのち、「FIRE」では再びClassic 69 Teleを演奏。硬質かつ鋭いキレを持つサウンドやブリッジミュートの際のパーカシッブな音色が、彼女の歌声を後押しする。本編ラストは「Alive」を高らかに歌い、ポジティヴなエネルギーを観客に届けた。

アンコールでは、「自分が作った音楽が、より多くの人に寄り添えたら嬉しいなと思っています」と26歳の抱負を語ると、デビュー曲の「太陽に笑え」を披露する。その後、サプライズでバースデーケーキが登場し、改めてお祝いムードに。「(嬉しくて)みんなにケーキを送りつけたいくらい。でもその分、音楽でお返ししますので。本当にありがとうございます!」と喜びと感謝の気持ちを示した。

さらに「この曲は自分も歌うと元気が出るし、この曲をもっと広げたいと思う。こういう(曲の)マインドで、これからも一緒に日々を生き抜いていけたらいいなと思います」と言うと、「We’ll Never Die」を爽やかなサウンドとともに届ける。会場は温かな空気に包まれて、ライヴは幕を閉じた。

本公演ではオフィシャルファンコミュニティ「Anly SINCA」の開設と、2023年7月1日(土)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて初のホールワンマンを開催することが発表された。常に前を見据え歩み続けるAnly。新たな一歩を踏み出した彼女の、さらなる飛躍が期待される。

【SET LIST】
1. Black Dog/Led Zeppelin(cover)
2. Enjoy
3. Don’t give it up!
4. CRAZY WORLD
5. DAREDA
6. IDENTITY
7. KAKKOII
8. Angel voice
9. Higher Ground/Red Hot Chili Peppers ver
10. Layla/Eric Clapton
11. VOLTAGE
12. Do Do Do
13. FIRE
14. Alive

ENCORE
1. 太陽に笑え
2. We’ll Never Die


Anly:https://www.anly-singer.com/

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