B x B | 日野”JINO”賢二 x あいにゃん(SILENT SIREN)-後編-
フェンダーにしか出せない音がある。それはパイオニアだから
日本を代表するベーシスト同士による対談企画「B×B」。ベースを始めたきっかけ、ベースという楽器が自分に与えてくれたもの、ベーシストとして常に心に描いている目標など、アーティストとしての内面に迫りつつ、Precision BassやJazz Bassの魅力、そして現在のフェンダーを代表する最新モデル“American Professional IIシリーズ”のインプレッションについてトークを展開。第1回目は、スーパーベーシストのJINOとSILENT SIRENのあいにゃんが登場。後編はJazz Bassの魅力について語ってもらった。
心地いい、気持ちいい、弾きやすいって、まずは大事なこと(JINO)
― インタビュー後編ではJazz Bassについてお聞かせください。お二人ともシグネイチャーモデルがJazz Bassですが、その魅力を言葉にすると?
あいにゃん 女性目線になってしまうのですが、女性が初めて弾くのにすごく弾きやすいネックですし、サウンドもエフェクターなどの機材とのバランスが取りやすいと思います。私が使用しているエフェクターとの相性もすごく良くて、初心者さんにはすごく向いているベースがジャズベなのかなと。
JINO 女性のほうが手が小さい場合が多いからね。その女性が弾きやすいって、これはお金に代えられないことだよね。心地いい、気持ちいい、弾きやすいって、まずは大事なこと。いくら何百万円のベースを作っても、そうじゃなかったら誰も買わないじゃん。
― その通りだと思います。さて、今回の“American Professional IIシリーズ”のJazz Bassのインプレッションはいかがでしたか?
あいにゃん メインで使っているベースにすごく雰囲気が似ていて、スラップがパーン!と弾ける感じも含めて弾いていて気持ちいいなと思いました。あと、カラーも素敵です。今、メタリックカラーが流行っているんですか?
― そうですね。
あいにゃん メタリックってすごく新しいイメージあったんですけど、一周回ってのカッコ良さもあってすごく好きです。JINOさんもAmerican Professional IIのジャズベを弾いてみてください。
JINO OK! 弾かせてみて! うん、鳴ってる。あと軽い!
あいにゃん スラップがはずんで聴こえます。ジャズベのほうがプレベよりも軽やかですよね。
JINO あと、ネックのサテンフィニッシュがいいね。
あいにゃん はい。手触りがサラサラです。
JINO だから弾きやすいのよ。弦は何を使ってるの? ニッケル? ステンレス?
あいにゃん ニッケルです。
JINO 同じだ! ステンレスのほうが長持ちするんだけど、俺はステンレスの弦だとキュって(運指が)止まっちゃうの。弟子から“JINOさんは指先に汗をかかないからニッケルが合う”って言われた。汗をかく人は滑りやすいから、ステンレスでも止まらないみたい。だから俺はずっとニッケルが好き。ステンレスよりは長持ちしないけど、新しい弦を張った時にピッと止まらないから好き。
あいにゃん 一緒の弦っていうのも何だか嬉しいですね。
JINO あとね、ジャズベのほうがプレベよりもヘッドが厚いよね。見てごらん。プレベと比べて厚さが違うでしょ?
あいにゃん 本当ですね。ヘッドの厚さの違いで音も太くなるんですか?
JINO 音が厚くなるのと、やっぱりサステインがあるんじゃないのかな。ただ、これは自分の考え方で、そういう風に感じるだけかもしれないけど。
― でも、プレイヤーがそう思うって大事なことですからね。
JINO うん。それと、フェンダーのベースについてこれだけは言っておきたいの。色々なメーカーがフェンダーのベースと同じようなものを真似して作っている。どうしてかわからないけど、フェンダーだけは倍音が出るの。Aを弾いた時にCも聴こえるし、EもGも聴こえる。何なのこれ?って。それがピックアップのコイルなのか、アルニコの成分の違いなのかわからないんだよね。倍音もそうだし、フェンダーにしか出せない音があるの。それはパイオニアだから。他の会社もやっているけど、みんなダメ。はっきり言って100万円出して買いたいと思わない。他の会社からも“JINOさん、持つだけでいいんです。そうしたら数百万のベースをあげますから”って。違うんだよ。お金じゃないんだよ。いい楽器を作っていたら、俺は買ってるから。そこなんだよ、やっぱり。だから、今日のAmerican Professional IIも“幾ら?”って聞きたいの。だって欲しいんだもん。アンプに入れて(つないで)いなくても、いいなと思うベースだからね。
あの頃の自分に言いたいですね。夢叶ったぞ!って(あいにゃん)
― ありがとうございます。あいにゃんさんが思うフェンダーベースの魅力は?
あいにゃん 私も他のメーカーさんを弾いたり、“ぜひ弾いてみてください”と言っていただけたり、PAさんに“この楽器も弾いてみてほしい”と勧めてもらって試奏するのですが、やっぱり馴染みが良かったり色々な曲にマッチするのはフェンダーなんですよね。レコーディングの時も、フェンダーのジャズベが採用されることが多いのですが、そういった意味でも自分も好きだし、周りも良いと言ってくれるベースがフェンダーなんです。完全にフェンダーが大好きですね。
― 最後、今後について聞かせてください。ベーシストとして、未来にどんな絵を描いていますか?
JINO でもさ、あいにゃんはすごいよね。フェンダーと契約して自分のモデルを出すなんてさ。
あいにゃん まさにそれが学生の頃の自分からしたら考えもしなかった夢のようなことです。しかも、私モデルのピックも発売させてもらってすごく光栄ですし、あの頃の自分に言いたいですね。夢叶ったぞ!って。
JINO レコード会社と契約する前の若い頃はモニター契約する前は、お金を貯めて、弦を買ってアンプを買ってケーブルを買ってさ、それだけで大変だった。
あいにゃん 本当に。今はありがたい環境に置かせてもらっているなと思っています。今回も、素敵な対談をやらせてもらえてとても嬉しいです。ベーシストとしてはまだまだ未熟だと思っているので、色々と教えてもらいながらもっと自分らしいプレイとか、さまざまなステージに立ちたいなと思っています。自分らしいベースをこれからも弾いていきたいです。
JINO 俺たちはさ、音楽ファンでさ、楽器が好きで音楽を好きになったのに、お金がついて来るじゃない。そうしたら、面倒臭いことも色々とある。だからさ、俺はそこは絶対に誰にも入らせないようにしているの。家族であろうと他のメーカーであろうとレコード会社であろうと、“いや、俺はフェンダーが好きだから。俺はこれだ”って言い切ってるの。それで文句を言うんだったら、俺は仕事できないからって断るの。俺は好きなことしかやらなくて、音楽の神から“心から思っていることをやれ”って言われて、そうしたらお金がついて来た人間だから。お金のためじゃないから。やっぱり音楽が好きで、その“好き”をやってきただけ。で、あなたたちがいいものを作るんだったら、音楽ファンだったら買うかもしれないよって。それだけ。絶対にここなんだよね。だって、必ずフェンダーに戻って来るもん。やっぱりフェンダーなんだよね。
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American Professional II Jazz Bass® 人気のSlim Cシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Jazz Bass Single-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Jazz Bassならではのパンチとクラリティを提供します。
American Professional II Precision Bass® 定番の’63 P Bassシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Precision Bass Split-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Precision Bassならではの圧巻のローエンドを提供します。
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日野”JINO”賢二
幼少の時、父とともにNYに移住。9歳よりトランペットを始め、16歳でベースに転向。17歳の時、ジャコ・パストリアスに師事する。19歳よりプレイヤーのみならずミュージックディレクターとしてプロ活動を開始。89年にはアポロシアターのハウスバンドの一員として出演。その後、父や叔父のアルバムに参加、NYブルーノートなどのライブハウスを中心にベーシストとして活動。2003年、アルバム『WONDERLAND』でのデビューを機に本拠地を日本に移して活動。Bob Marley, Deborah Harry, Jeff Mills, Keith Richards, Marcus Miller Band, MISIA, 西野カナとの共演など、数々のライヴサポートやレコーディングワークと共に、エレクトロニック・ジャズ・カルテット SPIRAL DELUXEでの活動や、ジャズ、ファンク、R&Bをクロスオーバーさせた自身のプロジェクトJINO JAMなど、国籍・ジャンルを超えた世界の音楽シーンで活躍するスーパーベーシスト。
› https://www.jinobass.com
SILENT SIREN
すぅ(Vo,Gt)、ひなんちゅ(Dr)、あいにゃん(Ba)、ゆかるん(Kb)からなるガールズバンド。 2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。 2015年、ガールズバンド史上最短で日本武道館単独公演を行い、翌年には横浜アリーナ公演、2016年からはアジア・アメリカを廻るワールドツアーも開催。 2016年年末、ユニバーサルミュージック / EMI Recordsへの移籍を発表。 同時にロゴ、バンド名表記を全大文字へと一新。 2017年には、デビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる日本武道館2days公演を成功させ、2018年、自身最多公演となる全国ツアーも開催。2018年からは全国ラーメンチェーン『天下一品』のイメージキャラクターも務め、テーマソングも提供し同CMに出演中。2020年、バンド結成10周年を迎えた。
› https://silent-siren.com