Cover Artist | 平井 大 -後編-

ギターを弾いている時は、一番自然体でいられます

平井 大

ポピュラリティ溢れるメロディと倍音豊かな歌で、サーフロック界を牽引する生粋のシンガーソングライター“平井 大”がCover Artistに登場。後編ではフェンダーとの出会いから、現在彼が愛用している2本のストラト、STEVIE RAY VAUGHAN STRATOCASTER®と2019 LIMITED ROASTED TOMATILLO STRAT® II JOURNEYMAN RELIC®について中心に話を聞いた。

SRVモデルはパワフルだし
繊細なフレーズまで表現してくれる
 

― フェンダーギターと出会ったのはいつですか?

平井 大(以下:平井) ここ2〜3年ですね。以前は別のメーカーを使っていたんですけど、フェンダーのギターは繊細な音が出るのですごくいいなと実感しています。

― どういうきっかけでフェンダーを手にすることに?

平井 フェンダーってカッコいいじゃないですか。それで欲しいなと思って買ったんです(笑)。大好きなクラプトンさんもフェンダーだし、みんないいって言うし弾いてみようと思って。

― 今使用しているストラト2本のうち、STEVIE RAY VAUGHAN STRATOCASTERはどういう経緯で購入を?

平井 単純な理由で、カッコいいなと思って。“SRV”って書いてあるし。レイ・ヴォーンが大好きだから、コレからいこうっていう感じですね。それが約3年前。

― 使ってみてどうですか?

平井 すごくいいですよ。パワフルですし、繊細なフレーズまで表現してくれるので。このSRVモデルが今のメインギターです。本当に重宝しています。

― もう1本がFENDER CUSTOM SHOP製2019 LIMITED TOMATILLO STRATOCASTER。Telecasterにはいかず、こちらを購入した理由は?

平井 SVRモデルに何の不満もなかったのですが、ピンクのギターもあったら最強かなぁと。茶系とピンクを持っていればだいたいどの衣装にも合いますし。と、そんなシンプルな理由です。

― 去年11月の横浜アリーナ公演でも両方のギターを弾かれていましたが、どういう使い分けをしているんですか?

平井 レイ・ヴォーンモデルのほうがパワーがあるから、激しくソロを弾いたり弾き倒したい時はこっちですね。繊細なカッティングとか、もうちょっと細かいところまで出したい時は2019 LIMITED TOMATILLO STRATOCASTERを使っています。

― 去年にリリースしたアルバム「THE GIFT」のレコーディングでは?

平井 どちらも使っていますね。ライヴと同じような使い分けで、2019 LIMITED TOMATILLO STRATOCASTERでカッティングを弾いてSRVでソロを弾いて。もっと欲しいんですけどね、本当は。

― どんなギターを狙っているんですか?

平井 今はアコギのほうが欲しいんですよ。というのも、うちのバンドに遠藤(慎一)っていうギタリストがいるんですけど、彼のアコギを借りパクしているんです(笑)。そろそろ返さないと怒られるんじゃないかと思って、まずはアコギを買おうかなと。でも、一昨年くらいから、買おうと思って結局ストラトを買っちゃってるから、またストラトを買っちゃうんじゃないかなと思っています(笑)。

やっぱりギターは身体の一部なのかな
歌って意識しないと歌えないですから
 

― さて2020年が始まりましたが、どんな年にしたいですか?

平井 表現したいものが、もっとポピュラリティのあるものになっていけばいいなと思いますね。やっぱり聴いてくれる方が多ければ多いほど、自分の存在意義が高まっていきますから。そういう1年になればいいなと思います。

― ライヴもさらに大きな会場で?

平井 キャパが大きいのか、ホールの本数が多いのかはわからないですけど、もっと多くの人に音楽を届けたいですね。ただそれは、今年に限らずですけど。あとは躊躇せずに、いろいろなものに挑戦していくのもいいかなと思っています。とは言え具体的なアイディアはないんですけど(笑)、その時々に挑戦したいなと思うことに躊躇なくやってみる、そんな年になればいいなと思います。

― 具体的にレコーディングをする日程は見えているんですか?

平井 全然見えていないですね。でもさっきスタッフが打ち合わせをしていたみたいで、何か決まりつつあるのかもしれないですが(笑)。

― のんびりしていられるのは今だけですね。

平井 でも楽しいですよ、レコーディング。実はレコーディング大好きなので。

― レコーディングとライヴ、どちらが好きですか?

平井 全然違うんですよね、楽しみが。ライヴは快感というかエクスタシーに近いんですけど、レコーディングは緻密な作業です。僕、数学とか科学が大好きなんですよ。レコーディングは数学的な楽しみに近いですね。

― 数学、科学好きには見えないです(笑)。

平井 でも大好きなんです。知らないことを知るのって一番楽しいなと思うんです。

― レコーディングが始まるのも苦痛じゃないんですね。

平井 全然苦痛じゃないですね。ただ唯一、歌詞を書くのだけは難しいですよね。言葉で表現できないから楽器をやっているのに、歌詞を書かなきゃいけないとなると後回しになりがちで。

― 作詞で締め切りが苦しくなる?

平井 ええ。去年の「THE GIFT」の時もだいぶスタッフを焦らせちゃいましたもんね。“もうリリースできないですよ”ってかなり焦ってました。じゃあ延期しようって思いましたけど(笑)。

― ははは(笑)。まぁ海外だったらそれでいいんでしょうけど。

平井 でも、僕のこういうスタンスを理解してくれているスタッフさんが集まってくれているので、すごくやりやすいですよね。

― ちなみに家でもギターは弾くんですか?

平井 もちろん、家でもずっとギターを弾いてますね。最近は家だと2019 LIMITED TOMATILLO STRATOCASTERを弾いてます。この間、購入したフェンダーのMUSTANG LT25アンプで! そのアンプがまたすごくいいんですよ。アンプシミュレーターが付いてて、すごく楽しくてずっと弾いてます。

― 曲作りでも練習でもなく弾くんですか?

平井 そうですね。そもそも僕の中では練習という意識があまりないんですよね。練習しようと思って弾くことはなかなかなくて。ずっと触っている感じですね。だから楽屋でもずっとギターを弾いてます。

― 食事の時も?

平井 食事の時もずっとギターを持っていて、たまたま弾いたフレーズが“これいいな”とか。ベッドで弾くこともありますね。まったく弾かない日もあります。そういう気分じゃなくて、海に行こうとか散歩しようとか。

― 自然体が一番ということですね。平井さんご自身が自然体で憧れます。

平井 ありがとうございます。だからギター好きだなと思っている人は、すごく楽しくギターを弾けばいいと思いますし。ちょっと抵抗感がある人は、もっと合っているものがあると思うから、また新しい旅に出たらいいし。

― そうやって人生いろんなことをやっているうちに、何に興味が出るかわからないですもんね。

平井 そうですよね。僕も来年はまったく違うことをやっているかもしれない(笑)。

― 役者とか?

平井 役者はどうかなぁ。あまり興味が湧かないですね。僕は演じるのが苦手なんですよね。思っていることを表現するのが好きだから。

― 逆に言うと、ギターは思っていることが全部出ちゃいませんか?

平井 そうそう。音は嘘つけない。だから好きなんです。

― セッションしててもわかりますか? 相手の考えていることや相手の状態とか。

平井 そこまではわからないですね(笑)。

― 少なくとも自分のことは音に出てしまっている?

平井 それが伝わっているかどうかはわからないですけど、自分の考えてることだったり、その日の気分はたぶん音に現れているんじゃないかなと思いますね。

― でもそれって恥ずかしいような気もします。

平井 でも、ギターを持っている時は何も恥ずかしくないんですよ。歌っている時は恥ずかしいですけど。

― 不思議ですね。どうしてだと思います?

平井 何だろうな。やっぱりギターは身体の一部なのかな。歌って意識しないと歌えないですから。ピッチを合わせないといけないし、こういう声を出したいなとか。ギターは無意識でもずっと弾いていられるんです。だから家で弾いてても、ステージでもあまり変わらないんでしょうね。ギターを弾いている時は、一番自然体でいられますね。


› 前編はこちら



平井 大

› STEVIE RAY VAUGHAN STRATOCASTER®(左) 製品情報
› 2019 LIMITED ROASTED TOMATILLO STRAT® II JOURNEYMAN RELIC® SUPER FADED AGED SHELL PINK(右)

PROFILE


平井 大
91年5月3日、東京都出身。ギターとサーフィンが趣味の父の影響で幼少の頃より海に親しみ、3歳の時に祖母からもらったウクレレがきっかけで音楽に興味を持つ。印象的な耳に残る優しい歌声と歌詞、キャッチーなメロディーラインは聴く人の気持ちを癒し、穏やかにしてくれる。2013年7月、ミニアルバム「Dream」でメジャーデビュー。2019年2月、『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の主題歌に抜擢され、シングル「THE GIFT」をリリース。7月31日には「後世に伝え残したい」をテーマに言葉と音を一枚に詰め込んだ、愛溢れるメッセージアルバム「THE GIFT」をリリース。

› Website:http://hiraidai.com

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