Cover Artist | ホリエアツシ(ストレイテナー)-後編-
暴れるサウンドが欲しい時にTelecasterを使っています
4人組オルタナティヴロックバンドの“ストレイテナー”から、ほぼすべての楽曲の作詞作曲を手掛けているホリエアツシがCOVER ARTISTに登場。インタビュー後編では、ギターにまつわる話を中心に聞いた。
― ギターを始めた当初、憧れのギタリストは誰でしたか?
ホリエアツシ(以下:ホリエ) 僕はヴォーカル&ギターだったので、ヴォーカル&ギターとして憧れたのはグリーン・デイのフロントマン、ビリー・ジョー・アームストロングですね。ギターが弾けなかった頃、ビリー・ジョーの真似をしてとりあえずパワーコードを覚えてガシガシ弾いて曲を作ってました。
― 最初からバンドを組んでのスタートだったのですか?
ホリエ 高校時代にバンドを組んで、高2くらいからライヴをやっていました。コピーバンドではなく最初からオリジナル曲でライブをやっていたんですけど、オリジナル曲だけだとライヴが盛り上がらないから、グリーン・デイやクーラ・シェイカーをカヴァーしました。クーラ・シェイカーのクリスピアン・ミルズ(Gt,Vo)はジミヘン的というか、めちゃくちゃギターを弾くヴォーカルで、僕はコードしか弾けなかったんで、クーラ・シェイカーみたいなギターはまったく弾けないままですけど(笑)。
― バンドを組む前からギターは弾いていたんですか?
ホリエ いや、バンドを始めてからですね。僕は鍵盤から入って、鍵盤で曲を作っていたんです。高校時代に最初に組んだバンドにはギタリストが別にいたので、最初は鍵盤を弾きながら歌ってたんですが、やっぱギターが弾きたいなと思ってギターを始めたんです。
― 鍵盤からギターへ。ギターならではの魅力とは?
ホリエ ギターは何よりも立ち姿がカッコいいですよね。あと、こういうことを言っていいのかわからないですけど、適当に弾いてても何とかなるんです(笑)。オリジナル曲のバンドだから、曲も自分が知っているコードをアレンジして作って、何とかなるっていう。すごい楽器です。
― フェンダーとの出会いは?
ホリエ ギターを始めた当初は、別メーカーのコピーモデルを弾いていました。フェンダーとの出会いは…『Immortal』っていうミニアルバムあたりから弾いていましたね。
― 何がきっかけだったのですか?
ホリエ ストラトっていいなと思っていたんですけど、なかなか手を出せずにいて、2007年頃からやっとライヴのスタッフとしてギターテックを起用するようになって、テックがいろいろなギターを持ってきてくれて。借りて弾いてたときにできた新曲をレコーディングしたんです。それからですね。
― 何という曲ですか?
ホリエ 「FREE」っていう曲です。それがきっかけで『Immortal』の中では急激にストラトを多用してます。
― というと?
ホリエ ジャキジャキのシングルコイルの音が気に入って。それまではビリー・ジョーの影響からピックアップがハムバッカーじゃないと不安だったんですよね。歪ませてコードを鳴らしたときにレンジが広くて埋まるハムバッカーの音に慣れていたので、シングルコイルが心許なく思っていて。でも、はじめに借りて弾いたStratocasterの音がけっこう暴れていて。1980年代のストラトだったのですが、ミドルが強くて歪むギターで、クリーンで弾いてもピッキングで歪むんですよ。その頃は、そのストラトで何曲か荒々しい曲を作りました。のちに自分でストラトを買ったストラトは、逆にすごくキレイな音でしたね。
― 買ったストラトはどうやってチョイスを?
ホリエ フェンダーの25周年記念モデルなのですが、何でそのストラトに行き着いたのかは覚えていなくて…。知り合いの楽器屋さんに連絡して、弾いてみたいと店に行って弾いて、“完璧だコレ!”と思って買って帰りました。一昨年あたりからはTelecasterも使っています。
― ストラトとテレキャスの使い分けは?
ホリエ どちらかと言うとテレキャスのほうが暴れるので、暴れるサウンドが欲しい時にTelecasterを使っています。バッキングをしたりストロークでガシガシ弾いた時に、エッジーな音を鳴らしてくれるギターですね。なので、最初に借りて弾いていたストラトにちょっと近いかもしれないですね。ピッキングで歪むというか。
― それに対して、キレイなトーンでいきたい時にストラトを?
ホリエ そうですね。歪ませてジャッキジャキの音を鳴らしたい時はテレキャス。最近はテレキャスが多いんですよ。
― インタビュー前編で話していた、コロナ禍に書いた曲たちが入った次のアルバムはTelecasterの使用頻度が高い?
ホリエ そうですね。曲ごとに合った音を選ぶんで、結果、今持っているギターを全部使ってはいます。
― さて、今年も残りわずかですが、2020年はコロナでライヴとフェスがほとんどなかったわけですが、音楽シーンにどのような影響が出ると思いますか?
ホリエ 日本のロックシーンって、フェスに支えられてるんだけど、その弊害もあると思っていて。フェスに出るバンドを満遍なく知ってはいるけど、1〜2曲有名な曲を知っておけばいいやっていうフェスオンリーのファンが多すぎる気がするんです。バンドのスピリットとか、他のバンドにはない音楽的な個性にまでは目を向けていないんじゃないかって。なので、こんな機会だけど、それぞれの作品をしっかり聴き込んで知ってもらえたらいいなと。フェスで盛り上がるだけじゃなくて、本当にそのバンドが好きか嫌いか。取捨選択してほしいと思います。“世代でつながっているから全部聴こう”みたいな乗りもいいけど、よく聴いたらこのバンドは全然好きじゃないと思うかもしれないですよ。それはそれでいいじゃんって思います。
― コロナの影響で楽器を始める人や、久し振りに楽器を持った人も多いようですが、ビギナーがカヴァーをするのにオススメのストレイテナーの曲を挙げるとすると?
ホリエ 僕のギターはまったく難しくないですよ。歌は難しいけど。カラオケで歌おうとしたら全然歌えないっていうクレームがよく来るので(笑)。ギターは、4つくらいコードを知っておけば弾ける曲もある。ファンが選んだ代表曲「REMINDER」という曲なんかはほとんど4コードのループで、アルペジオもコードも簡単なので。ちなみにチューニングは半音下げにしてます。開放弦を存分に使っていて、“ザ・ストレイテナー!”というコードが鳴っています。
― 最後に、新しく楽器を始める人にメッセージをお願いします。
ホリエ ギターって一番手に取りやすいんですけど、そのぶんすぐに挫折したって話をよく聞くんです。まずは、とにかく好きな曲のコードを覚えて弾いてみれば良いと思います。難しかったら曲を変えてみてもいいし、壁にぶつかることはあると思うけど、最初は押さえられなかったコードも、気が付いたら押さえられるようになっているので。最初はできなくても、やり続ければ動けるようになる。スポーツも楽器も一緒で、まずは体が順応していかないとダメなんです。弾けなくても弾いてみるってところから徐々に楽しくなっていくと思います。誰もが通る道ですので、安心して続けてください。
› 前編はこちら
ホリエアツシ 使用機材
AMERICAN ORIGINAL ’60S TELECASTER®
音楽の「エレクトリック化」が世界を席巻した60年代に名を刻んだ当時のテレキャスターモデルの伝説的なスタイリングとトーンに加え、モダンなプレイヤビリティとスイッチング・オプションを提供。
PROFILE
ストレイテナー
1998年始動。メンバーは、ホリエアツシ(Vo,Gt,Piano)、ナカヤマシンペイ(Dr)、日向秀和(Ba)、大山純(Gt)。2000年にシングル「戦士の屍のマーチ」でデビュー。2004年1月、メジャー1stアルバム『LOST WORLD’S ANTHOLOGY」をリリース。2009年3月より全国ツアー〈Nexus Tour〉を敢行。ファイナルを初の日本武道館で行う。バンド結成20周年となる2018年の10月に、人気投票1~25位の楽曲+メンバーセレクト4曲+新曲「Braver」の合計30曲を15曲ずつ分けて収録したベストアルバム『BEST of U -side DAY-』『BEST of U -side NIGHT-』をリリース。2019年10月19日、バンド史上初の野外ワンマンライヴ〈Fessy〉を日比谷野外音楽堂にて開催。2020年9月5日、2ndアルバム『TITLE』発売15周年の節目に、現体制で披露する再現スタジオ配信ライヴ〈TITLE COMEBACK SHOW〉を開催。
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