Cover Artist | JESSE、T$UYO$HI(The BONEZ)-前編-
フェンダーは時代やその時のニーズに合わせて変化している
今回、FenderNewsのCOVER ARTISTに登場してくれたのは、およそ2年ぶりに新曲「We are The BONEZ」をリリースしたThe BONEZのJESSE(Vo,Gt)とT$UYO$HI(Ba)。インタビュー前編では、2人が始めて楽器に触れた時のエピソードや、フェンダーに対する熱い思いなどをじっくりと語り合ってもらった。
ダイムバッグ・ダレルのギターソロを聴いていると“女”の気持ちになるんです(笑)
─ お二人が楽器を始めたきっかけは?
JESSE 僕は中学校の時の友達の影響ですね。父親がギタリストだからこそ、“俺は絶対にギターは触らない”と決めていたんですけど(笑)、バンドブームになってスマパン(スマッシング・パンプキンズ)やストーン・テンプル・パイロッツあたりに夢中になって。ギターをちゃんとやり始めたのは中2か中3くらいだから、けっこう遅いんです。RIZEを始めたのと、ギターを始めたのって同じくらいなんですよね。
T$UYO$HI 俺も中2くらいかな。ずっとバレーボールをやっていたんですけど、腰を怪我してしまって“このまま続けたら歩けなくなる”と言われてしまったんですよ。他にやりたいこともなく、でも普通じゃないことをしたいという気持ちがどこかにあって。そんな時、たまたまテレビを観ていたらBUCK-TICKが出ていて衝撃を受けました。“俺もバンドを組んでギターを弾きたい!”と。なので、最初はギターから始めて、20歳くらいでベースに転向したんですよね。
─ ベースを始めたのはどんなきっかけだったのですか?
T$UYO$HI 最初は年上の人たちがやっているバンドに加入したんです。ライヴハウスに出演する方法など、そこでいろいろなことを学んだあとに、いざ友人たちとバンドを組もうと思った時にベースがいなくて(笑)。ちょうどその頃、DEEPという日本のバンドのライヴを観に行って、“あ、何かベースってカッコいいな”と思ったのと、ヒップホップが台頭してきてリズムに興味が湧いてきたことが重なって、自分的にもベースを弾きたい気持ちが高まっていったんですよね。
─ 特に影響を受けたギターヒーロー、ベースヒーローというと?
JESSE 僕はギタリストよりもベーシストのほうが影響を受けているかもしれない。“このベーシストがいるから、このバンドはカッコいい”みたいな存在に惹かれるんですよ。Kornもジョナサン・デイヴィスはあんなにナードなのに(笑)、フィールディ(レジナルド・アーヴィツ)のストリート感覚というか、ヒップホップ的なセンスがあるからこそミクスチャーバンドになると思う。レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)も、アンソニー・キーディスの魅力を引き立てているのはフリーのベースだと思うんですよ。
─ 確かにそうですね。
JESSE ギタリストで、めちゃくちゃコピーしまくったとかあまりないし、ギターヒーローと唯一言えるのは、パンテラのダイムバッグ・ダレルくらいかな。彼のギターソロを聴いていると、“女”の気持ちになるんですよ(笑)。すごくセクシーというか、あんな速弾きしているのにスローモーションがかかったように見えるのは、彼の色気のせいだと思うんですよね。あと、シルヴァーチェアーのダニエル・ジョーンズ。同世代である上に、彼らもトリオバンドだし。ギターを弾きながら歌うという意味で、俺が目指す立ち位置に一番近い存在だったかもしれないですね。そういう意味ではインミーにも共感します。
T$UYO$HI 俺も最初にギターから入ったこともあり、ベースヒーローとまで言える人はいないですね。JESSEと同じように、特定のプレイヤーというよりもバンド単位で好きになることが多いかもしれない。ただ、コーンのフィールディにはルックスも込みで夢中になりましたね。例えば、フェンダーのプレベと言えば、それまではシド・ヴィシャス(セックス・ピストルズ)のイメージが強かったと思うんですよ。みんな細くてタイトな格好をして、ベースは腰よりも下に持って弾くのがカッコいいみたいな美学があったじゃないですか。それをぶち壊したのがフィールディだと思っているんですよ。ダブダブのジャージやディッキーズのパンツを履いて、ベースを立てて弾く、新しいカッコ良さを提示してくれたというか。
ベースを買うならフェンダー、一択でしょ
─ では、お二人のフェンダーとの出会いについて教えてください。
JESSE もちろん、家には親父のフェンダーがそこら中にあったんですけど(笑)、自分でお金を貯めて初めて買ったのは、昔スマパンのビリー・コーガンが使っていたのと同じ、フェンダーのシルバーのStratocaster。それは今でもRIZEで使っていますね。
T$UYO$HI 俺は確か黒いジャズベを最初に買ったと思うんですよね。それも選んで買ったというよりは、“ベースを買うならフェンダー、一択でしょ”みたいな感じでした。当時はあまりベースのこともよくわからなかったけど、どうやらジャズベとプレベが双璧をなしているようだ、と(笑)。しかも、ジャズベのほうがネックが細くて弾きやすいと聞いて、“だったらジャズベだろう”みたいな感じで選んだ記憶があります。音の違いもその頃はよくわからなかったし、“どうせ歪ませるからいいや”って。とにかく弾きやすさで選びました。
─ フェンダーの良さはどこにあると思いますか?
T$UYO$HI 老舗のメーカーだし、頑固なイメージが昔は多少あったと思うんですけど、最近のフェンダーは時代のニーズに合わせて変化している感じがすごくある。しかも、90年代以降いろいろな楽器メーカーが台頭してきましたけど、今やフェンダーが独走している感がありますね。海外のバンドとか見ていても、大抵フェンダーを使っていますよね。
─ では、今回使用したニューモデルの印象は? JESSEさんはAmerican Acoustasonic Jazzmasterを、T$UYO$HIさんはAmerican Professional II Precision Bassを弾いていただきました。
JESSE 今までずっとアコギで弾いていた曲も、“ちょっとここのセクションだけ重くしたいな”と思った時とか、すぐにエレキのサウンドに切り替えたりできるのは嬉しいですね。最近は弾き語りのライヴをやることが多いので、アコースティックだけどエレキのサウンドも出せるのは面白そう。これまでの使い方とはまったく違ってくるけど、そこに挑戦してみたいし、そうすると作るものも変わってくるだろうなと思います。
これからギターを始めてみたい、でもどのギターを買ったらいいのか“最初の一本”に迷っている人がいたら、ぜひおすすめします。初心者にもぴったりだと思うし、もし自分の表現、スタイルを広げたいと思っている中級者/上級者がいたら、その人たちも重宝するんじゃないかな。ぜひ一度、試してみてもらいたいです。
T$UYO$HI 今回のジャズベとプレベを弾き比べさせてもらって、“こんなに音が違うんだ!”と驚きました。ジャズベはきっと、これからベースを始める人とか、手が小さい人にもすごく弾きやすいし、プレベはある程度、楽器を弾く体力というか、楽器に自分を合わせていく必要があるのかなと。自分の特性や、やりたい音楽に合った楽器を見つけて、末長く音楽を楽しんでほしいですね。
› 後編はこちら
The BONEZ
RIZE、PTPという肩書きはもはや不要。We are “The BONEZ” JESSE(Vo.Gt.) / T$UYO$HI(Ba.) ZAX(Dr.)からなるパンクスピリッツ溢れるオルタナティブロックバンド。
2018年、3rd FULL ALBUM『WOKE』をリリースしオリコン7位を記録、30公演に及ぶリリースツアーは即日完売、プレミアムチケット化し話題騒然となった。2020年には猪苗代湖よりライブ配信、2021年には『We are The BONEZ』ツアーを開催。5月29日(土)Zepp Tokyoにて追加公演が決定した。
› Website:https://thebonez.com