Cover Artist | のん -後編-

自分の弱みを見せられるようなアルバムになったらいいなと思ったんです

女優、音楽、映画製作、アートなど、ボーダーレスなフィールドでその才能を開花させている創作あーちすと、“のん”がCover Artistに登場! インタビュー後編では、6月28日にリリースされる2ndアルバム『PURSUE』について、本作を引っ提げて7月に開催されるツアー〈PURSUE TOUR – 最強なんだ!!! -〉について話を聞いた。

私のヒーロー像は“完璧なヒーロー像じゃない”ってところ

──待望の2ndアルバム『PURSUE』が6月28日にリリースされますが、ずばりアルバムの聴きどころを教えてください。

のん 全部いい曲、名曲揃いです。めちゃくちゃ満足しています。アルバムタイトルの『PURSUE』は“追求する”という意味があって。自分自身、音楽でどうやって驚かせようとか、どういう音楽を見せていこうとか、そういうことをずっと追求してきたし、これからも高みを追い求めて行くぞという決意表明として『PURSUE』というタイトルをつけました。一生懸命で力強い意味合いがあるんだけど、『PURSUE』という柔らかくてかわいい響きがすごく良いなと思ったんですよね。フニャっと柔らかくかわしているんだけど、ヒーローとしての強さがあるところを見せられたらなと思います。
今までは、音楽をやっていても、役者としても、アートを創っていても、自分のポジティヴなところや明るいところだけを見せたいと思って活動してきたんですけど、『PURSUE』は自分の弱みを見せられるようなアルバムになったらいいなと思ったんです。“どんなことがあってもこたえない”という姿を見せたくてやってきたんだけど、みんなと同じように落ち込んだり挫けたりするし、それでも前を向いて歩けるんだっていう姿を見せたくて、そういう曲たちが揃ったと思います。たくさんの方にこの曲たちを歌ってもらって、落ち込んだり悔しい思いをした日々が歌になるんだと感じてほしいです。

──アルバムの中でのんさんがギターを弾いている曲と、ギターの機種がわかれば教えてください。

のん 私がギターを弾いている曲は「Beautiful Stars」「Oh! Oh! Oh!」「こっちを見てる」「薄っぺらいな」で、全部フェンダーの赤いテレキャスで弾きました。

──レコーディングは大変でしたか?

のん 大変だったのかな…。もう記憶がないんですよ。作っちゃうと“いいのできた!”で、記憶が全部なくなっちゃうんです。

──収録曲はバリエーションが豊かで、歌うのも弾くのも大変だったと思います。特に高橋幸宏さんがコーラスで参加されている「KNOCK KNOCK」はテンポ感からしてかなり難しいですよね。

のん 難しいです。「KNOCK KNOCK」は録音してあったけど、いつ出そうかと温存していた曲だったんですね。幸宏さんのコーラスが本当に素晴らしいので、『PURSUE』のボーナストラックとして出せたらいいなと思って。私は幸宏さんのおかげで音楽を切り開けたと感じているので、すごく恩義を感じていて。だから、本当にびっくりしました…。幸宏さんが亡くなってしまって。

──幸宏さんがキュレーターを務める野外フェス〈WORLD HAPPINESS〉に、音楽活動を始めてすぐののんさんがご出演なさった縁ですよね。そして、のんさんが作詞・作曲を手掛けている曲が3曲あります。

のん はい。「こっちを見てる」と「むしゃくしゃ」はすでにライヴで披露してきた曲で、「薄っぺらいな」は新曲になります。「薄っぺらいな」は、ストックの中から別々の曲のAメロを合体させました。編曲のひぐちけいさんに、“この曲のAメロとこの曲のサビを合体させてくれ”とお願いして手術しました(笑)。“薄っぺらいな”というサビがもともとあって、気に入っていたのでレコーディングしたいなとずっと願っていたんです。歌詞もブラッシュアップして、今回のアルバムにとても合う音源に仕上がったと思います。

──曲は期間を決めて制作するのですか? それとも普段から書き溜めて?

のん 普段からですね。思いついたら書き留めたり、ギターを弾いて歌ったものを録音したり、コード進行と歌詞だけをメモしておく感じです。

──ご自身で作詞・作曲をした曲以外にも、作詞・作曲が後藤正文、演奏がASIAN KUNG-FU GENERATIONの「Beautiful Stars」や、作詞がノマアキコ、作曲がユウ(チリヌルヲワカ)の「ナマイキにスカート」など、素敵なコラボが満載ですよね。

のん はい。コラボというと、ジャケットビジュアルはYOSHIROTTENさんというグラフィックアーティストの方に作っていただいたんです。YOSHIROTTENさんは世界的に活躍されている有名なアーティストで、グラフィックアーティストの方とコラボするのも自分としてはすごい挑戦、追求した部分なので、みんなに見てほしいです。昼なのに月が出ているのがポイントです。

──素敵です。そして、アルバム発売を記念したツアーもあります。どんなライヴになりそうですか?

のん 今までに増して自分がすごくパワーアップしているのを感じているので、歌も演奏も力強さと繊細さが合わさったステージになると思っています。あと、1stアルバム『スーパーヒーローズ』でも「スーパーヒーローになりたい」という曲を出していますが、私はヒーロー願望が強くて、“のんのヒーロー像ってどんなだろう?”とすごく追求してきて、やっと『PURSUE』のツアーで答えが出せるんじゃないかなと思っています。私のヒーロー像は“完璧なヒーロー像じゃない”ってところ。マーベルで言うと、キャプテンアメリカじゃなくてアイアンマンやスパイダーマンがいい! 拙くて情けないところを持っている。そういう部分をしっかり見せて、みんなで楽しめるようにしたいなって思います。

いつか弾けるようになると信じて続けてほしい

──フェンダーの話に戻りますが、6月30日に世界初のフラッグシップストア「FENDER FLAGSHIP TOKYO」がオープンになりますが、感想を聞かせてください。

のん フラッグシップストア、おめでとうございます! 完成のイメージ画も見ましたが素敵ですね。カッコいい!

──場所もラフォーレ原宿の近くということで、初めて楽器屋さんに入る人も多いと思うんです。新しくギターを始めるきっかけになってもらえばいいなと思っています。

のん カッコ良くて派手で丸見えのところにギターがあって、ギターを弾くのってこんなに楽しいんだとか、ギターってカッコいいんだよってことがたくさんの人の目に触れるのは素敵だと思いました。みんながギターを始めて、カッコいいギタリストがたくさん増えたらいいなって思います。

──原宿というファッションの街で、ギターのことを知らない人にも触れてもらうチャンスを作るのって大事ですよね。

のん そうですね。弾かなくても、“ギターってカッコいいよ”ってことが伝わればいいですよね。曲を聴く時も“あ、このギターカッコいい”とか、そういうふうに聴いてもらいたいなって思います。

──普段、曲を聴く時もギターに耳がいってしまいますか?

のん ついついギターに耳がいっちゃう(笑)! ベースもドラムもキーボードも全部カッコいいんだけど、やっぱり先にギターに耳がいっちゃいますね。

──これからギターを始める方に、メッセージやアドバイスをお願いします。

のん どんなに難しくても、練習しているうちに弾けるようになります。テレビを見ながらとか、サラサラサラーって弾いたり、逃げ道というか挫折しない方法を見つけて、いつか弾けるようになると信じて続けてほしいなと思います。弾けるようになったら本当に気持ちいいから。

American Vintage II 1972 Telecaster Thinline(Aged Natural)

>> 前編はこちら


のん
1993年、兵庫県生まれ。女優にとどまらず、音楽、映画製作、アートなど幅広いジャンルで活動。
2022年、自身が脚本・監督・主演の初の劇場映画作品『Ribbon』を公開。本作品は上海国際映画祭、トロント映画祭、ニューヨーク・アジアン映画祭に参加、上映。同年、さかなクンの半生を演じた映画『さかなのこ』、『天間荘の三姉妹』に主演。同年、自身がプロデュースするアップサイクルブランド「OUI OU(ウィ・ユー)」を展開し、RCサクセションの仲井戸“chabo”麗市、忌野清志郎(ベイビィズ)とコラボレーション。
https://nondesu.jp

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