Cover Artist | SILENT SIREN -前編-

Jazzmasterは自分の性格に似ている

2021年に活動を休止、その後、メンバーそれぞれが別のフィールドで活動を続けていたSILENT SIRENであるが、2023年末には高らかに活動再開を宣言。この記念すべきタイミングで、すぅ(Vo,Gt)と山内あいな(あいにゃん/Ba)から話を聞くことができた。インタビュー前編では、彼女たちの楽器との出会いやフェンダーに対する思い、そしてヴィンテージにインスパイアされたスペックを持つ新シリーズ「Vintera® II」に触れた感想などを聞いてみよう。

一人では何もできなくても、みんなでいると強くなれる

──今回はSILENT SIREN(以下:サイサイ)が再始動するタイミングですし、聞きたいことが盛りだくさんです。まずは改めて、楽器を始めた頃まで振り返ってもらいたいなと。

すぅ 小学校の頃、姉がピアノを習っていたので私も始めたんですけど、教室に通って習うのが性格的にあまり向いてなくて。そんな時に兄が聴いていたTHE BLUE HEARTSに出会って“カッコいい! 私もバンドの曲が弾きたい!”と思ってバンドスコアを買ったんですよね。で、お年玉でアンプとシールドケーブルが付いてくるような初心者セットのギターを買って、初めてTHE BLUE HEARTSの曲を弾いたんです。でも一人でやっていても前に進めないなと思っていた時に、“バンドをやったらどうだ”って高校の先生に言われて、初めてガールズバンドを組みました。それが高校1年生の時です。

──あいにゃんは?

あいにゃん 二つ上の兄が高校の時からベースを弾いていて、学園祭でライヴをしている姿がカッコ良く見えたんです。あと、自宅に兄のベースがあったから、それを弾く機会もあって。で、バンドをやりたいなって思って実際に始めたのが高校2年ぐらい。私が通っていた学校には軽音楽部がなかったので、バイト先の友達とか地元の人たちを集めてバンドサークルを作って、そこでバンドを組みました。ガールズバンドへの憧れが強くて、地元で定期的にコピーバンドをやっていましたね。

──最初に触った楽器がベースだったんですね。

あいにゃん 生まれて初めてライヴハウスに行った時、イヤホンで聴く感覚とはまったく違った重低音を体で感じたんですよね。その時に“何だこれは!?”みたいな感じで衝撃を受けて、自分が弾くならベース以外の選択肢はなかったんです。で、就活の時期にはデザイン系の道に行くか進路を迷ったりしたんですけど、そのタイミングでサイサイのメンバーに出会って。

すぅ 私は上京した当時、特にやりたいことがない状態で。そもそも音楽を仕事にしたいっていう概念すらなかったんですけど、バンドやろうぜ!ってなったときに“このメンバーとだったら何か知らないけどいけそうな気がする”っていう思いが生まれて。それが夢とか目標につながったのかな。

あいにゃん あと、ライヴをやったりみんなで演奏することが楽しいっていう気持ちが大きかったかもね。

すぅ そうそう。“何か楽しい!”みたいな気持ちしかなかった。本当に若かったし、いつか日本武道館のステージに立ちたい!みたいな野望も持ってはいたけど、それよりもまず“何か楽しいかも!”っていう感覚が先だったよね。

あいにゃん そうだよね。一人では何もできなくても、みんなでいると強くなれる感覚だったよね。

──ステージの相棒となる楽器に関しては、どのような変遷を辿ってきましたか?

すぅ まずは“好きなアーティストは何を使っているんだろう?”っていう興味が楽器を知るきっかけになりましたね。で、まだ学生だったんですけど、制服を着たまま貯めたお金を握りしめて“ギターを見させてください!”って渋谷の楽器屋さんに入って、憧れだったギターを買いました。チャットモンチーが大好きで、本当にファンすぎるので“えっちゃん”(橋本絵莉子/チャットモンチー)って呼ばせてもらいますけど(笑)、えっちゃんに憧れて初めて買ったのがフェンダーの赤いTelecasterだったんです。

あいにゃん 私の場合、最初は兄のベースを借りて弾いていたんですけど、自分の楽器を買おうと思って、実家の近くにある楽器屋さんで一目惚れしたベースがフェンダーのPrecision Bassでした。ピックガードに付いているシールも剥がさず、このシールがいい!みたいな謎のこだわりがあって(笑)。当時からフェンダーへの憧れはめちゃくちゃありました。

Vintera IIはヴィンテージと現代の楽器の良さが両立している

──今回の取材で、すぅさんが手にしたのはVintera II 50s Jazzmasterでした。このモデルに目が行ったポイントは?

すぅ まずはボディのカラー(Desert Sand)です。ゴールドのピックガードも大人っぽい感じがあって、今の自分の存在に近い楽器だなって思いました。私自身もそろそろ大人になったと思う反面、やっぱり暴れん坊な感じも残っているという(笑)。もちろんサウンドも良かったです。Jazzmasterを弾く時はリアピックアップしか使わないんですけど、スライドスイッチを活用すればマイルドなサウンドも出せることがわかったので、サウンドの幅が広がる感じがしました。ライヴではTelecasterがメインですけど、Jazzmasterを使うために音を作ることもあるんです。Jazzmasterって、少しハイが強めだけど、自分の性格に似ていると思っていて、芯があってガンガン弾ける感じが好きなんです。とにかくJazzmasterってスタイリッシュですよね。

──あいにゃんにはVintera IIの60s Precision Bassを弾いてもらいました。

あいにゃん 普段使っている63年製のPrecision Bassを手に入れた時は“一生使うぞ!”っていう気持ちが芽生えて、最近のレコーディングでもそのPrecision Bassでスラップをしたんですけど、これを使いたかったなって今思っています(笑)。このVintera IIはヴィンテージと現代の楽器の良さが両立しているところがいいですね。ヴィンテージと弾き比べしても楽しそうだなって思います。

──フェンダーと言えば、お二人はすでにシグネイチャーモデル(SILENT SIREN TelecasterとSILENT SIREN Jazz Bass)もリリースされていますね。

すぅ 少しずつお金を貯めて手に入れてくれたサイサイのファンの方もいらっしゃって、めちゃくちゃ嬉しいですね。

あいにゃん SNSのリプライでもシグネイチャーモデルで弾いた動画を送ってくれる方もいて、しかも香港とか海外の方からも反応が多くてありがたいです。

すぅ 実際、形になるまではかなり時間をかけていただいたんですよね。初心者の方にも“ギターって楽しいんだぞ”って伝えたかったし、まずは手に取ってもらいたかったから、スミレ色のFホールのモチーフを入れてもらったんです。しかもリアピックアップがハムバッキングでパワーがあるので、アンプ直でもちゃんと弾き応えのある楽器になったと思います。

あいにゃん 私はとにかく一番のお気に入りのベースになるべく近づけてくださいってリクエストしたんですけど、それが相当大変だったんじゃないかなって思います。色味とかマッチングヘッドであること、あとはピックガードの形…自分が普段使っているものに思い入れがあるので、それをシグネイチャーモデルとして形にしていただけたのがすごくありがたかったですし、愛着がすごいです。

すぅ 工場にも行かせていただいたんですよね。実際に作っている姿を知ると、こうやって実現していることがすごいって感じます。

あいにゃん 人の手で楽器が生まれているんだって感謝したし、この仕様にするのは実はとても大変だと思いましたね。アーティストに自由にさせてくれるフェンダーってやっぱりすごいなと。

すぅ 楽器を始めた当時の自分からしたらとんでもないことだよね。ありがたいですね。

すぅ:Vintera II 50s Jazzmaster | あいにゃん:Vintera II 60s Precision Bass

>> 後編に続く(近日公開)


SILENT SIREN
すぅ(Vo,Gt)、山内あいな(Ba)、黒坂優香子(Kb)の3名からなるガールズバンド。2012年11月、シングル『Sweet Pop!』でメジャーデビュー。2015年には、ガールズバンド史上最短で日本武道館単独公演を行い、2016年には横浜アリーナ公演を開催、そして、アジア・アメリカを周るワールドツアーも開催している。2017年にはデビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる武道館2days公演を成功させ、2018年に自身最多公演となる全国ツアーも大盛況の中終了した。そして、2019年5月に行われたメットライフドームでの対バンライヴも大成功。2020年にバンド結成10周年を迎え、2021年9月、1年越しにバンド結成10周年ライヴ〈SILENT SIREN きららリベンジ〜サイサイ10歳祭〜〉を日比谷野外大音楽堂にて開催した。2021年12月からは4都市5公演を巡る活動休止前ラストライヴツアー〈年末スペシャルLIVE TOUR 2021「FAMILIA」〉を開催。2024年1月31日、オリジナルとしては2年ぶりとなる新曲『Sus4』を配信リリースする。
https://silent-siren.com

Related posts