Cover Artist | BREIMEN -前編-

Precision Bass®は試奏した時から“ワクワク感”が違った

実力派の5人組オルタナティヴファンクバンド“BREIMEN”から、高木祥太(Vo,Ba)、サトウカツシロ(Gt)がCover Artistに登場! インタビュー前編では、音楽的なルーツからフェンダーとの出会い、そして最近入手したAmerican Vintage IIシリーズや愛用のフェンダーについて話を聞いた。

ギターという楽器を、自分の世界で突き詰めていきたい

──音楽との出会いや楽器を始めたきっかけは前回のインタビューを参照して頂くとして、まずは影響を受けた音楽プレイヤーから教えてください。

高木祥太(以下:高木) 父がフラメンコギタリストなのですが、最近は父のアルバム制作を手伝っていて、俺がベースを弾いたりコンポーズやレコーディングも一緒にやったり。弾いている時は俺も父も変顔系だし、パッション的なところも似ているし、普通に父の影響を受けているなって。思い出したんですけど、ベースを始めて1年後の高3の時、亀田誠治さんが主催するベーシストコンテスト「亀田杯ベース選手権大会」に出たことがあってファイナリストに残ったんです。課題曲と自由曲があって、自由曲はみんなトラックを流しながら弾いているのに対して、俺はフラメンコのラスゲアード奏法みたいなものを織り交ぜた演奏を披露して。今見ると恥ずかし過ぎてヤバいんですけど、生まれてからずっと父が隣で基礎練をしているのを見てきたから、だいぶ影響を受けていると思います。ベースを始めたての頃は、ポール・ジャクソン、フリー、スチュアート・ゼンダーとかが好きだったけど、年を重ねるごとにもっと大きな視点になっていくんです。根本的に影響を受けているという意味では父なのかもしれないですね。

サトウカツシロ(以下:サトウ) 自分が影響を受けていると思うのはジェフ・ベックと、最近のプレイヤーだとセイント・ヴィンセントです。意識的に注目していたわけじゃなくて、自然と惹かれていったんです。何でだろう?と考えた時に、ジェフ・ベックって当時見ても今見ても、ギターっていう楽器を常に新しい奏法で切り開き続けている。ジェフ・ベックはギタリストだけど、ジャンルに括れないというか“ジェフ・ベックという音楽ジャンル”があると思います。そういうところが、セイント・ヴィンセントにも通じる気がする。僕はジャンルで説明できちゃう人にはあまり惹かれないんですよ。自分もそうありたいし、“どんなジャンルのギタリストなの?”って聞かれても説明できない。ギターという楽器を、自分の世界で突き詰めていきたいですね。

──お二人のフェンダーとの出会いは?

高木 今メインで使っている66年製のPrecision Bass®︎ですね。それまでフェンダーを使ったことがなくて。俺、めちゃくちゃ「借りぐらしのアリエッティ」で(笑)、いろいろな人がものを恵んでくれるんですよ。ベースもずっと人から借りたりもらったものを使っていたけど、初めて自分の意思で買いたいと思ったのが66年製のプレベです。初めてのヴィンテージで初めての三桁(価格)だけど即決でしたね。これだ!みたいな。ヴィンテージを買おうとかじゃなくて、たまたま入った楽器屋で。

サトウ “どうやったらローンの審査が通るのか?”って電話が来ました。俺にはわからないって。

高木 結局は親ローンで。5〜6年前のことだけどそのくらい衝撃的ではありました。

──今までのベースと何が一番違ったのですか?

高木 試奏した時から“ワクワク感”が全然違いましたね。解析すると、タッチの音の速さだったり味の部分だったりするんですけど、とにかくワクワク感ですね。

──サトウさんのファーストフェンダーは?

サトウ 僕は中学生の時に買ってもらった日本製のStratocaster®︎ですね。でも、どこに行ったんだろう(笑)。

──なぜストラトだったのですか?

サトウ その時はギターのことを何もわかっていないので、一番スタンダードなものが良くてフェンダーだ!と。それを中学2〜3年生の時に買ってもらい、いろいろ経て今メインで使っているJazzmaster®︎を2018年に買って、それからはそいつとひたすら向き合っている感じです。ジャズマス独特のアームを自分の表現で弾くと、“おもしろ!”って思う発見がピョコって出てきて、それからは毎日発見があります。

Acoustasonic®は完全に新しい楽器

──さて、今日は最近手に入れた2本のフェンダーについて聞かせてください。高木さんはAmerican Vintage II 1954 Precision Bass®ですね。

高木 めちゃ使っているしめちゃ好きです。“テレキャスベース”を使っている人ってスティングくらいしかわからないし、そのスティングも親指弾きがメインなのでどういう使い方がハマるのかあまりわからないけど、単純に音がすごく好きです。レコーディングでもけっこう使っている気がする。プレベの原型という立ち位置だったと思うんですけど、全然違うというか。フラットワウンド弦を張っているんですけど、いい意味で扱いにくくて個性がある。“出ないところはもう出ないよ”みたいな音をしているけど、逆に出るとこはめちゃくちゃ出るというか。出るところと出ないところの棲み分けがしっかりしているから、ここだっていう曲で使うとすげえハマる。抜けた時が説得力のある音で味があります。

──サトウさんはAmerican Vintage II 1975 Telecaster Deluxeですね。

サトウ 最近俺の手元に来て、それから速攻で使っていますね。BREIMENのライヴでも毎回使っています。

高木 何の曲で使ってるっけ?

サトウ 「あんたがたどこさ」とか。このギターの良いところが、まずテレキャスなのにラージヘッドなんです。70年代にジミ・ヘンドリックスが使っているストラトもそうですね。そのシェイプがカッコいいのと、2基のハムバッカーが載っている点ですね。クニフェ(Authentic CuNiFe Wide-Range Humbucking)っていうピックアップなんですけど、他社の一般的なハムバッカーと比べてレンジ感が全然違うんです。ローミッドのボワつきがなくてパコパコしない。ハイのキラッとした部分とカリッという枯れた部分が出るし、歪ませても必要なレンジがちゃんと出てくれる。

──さらに高木さんには、2023 Collection Made in Japan Heritage 60s Precision Bass®︎も試奏してもらいました。

高木 すごくいいベースだなと思いました。ヴィンテージって長い年月を凝縮してその状態になっているんですけど、その香りを凝縮して煮詰めた作品っていう感じがします。だからこのベースを俺が使うなら、メインの代わりとしてライヴで使えそうだなと。66年製のプレべは最近、野外で使うのは怖いなと思ってきて。梅雨時期だと湿気もすごいし。これ、日本製でハイクオリティなのにこの値段で買えるの!?みたいな。

──そして、サトウさんはAmerican Acoustasonic® Jazzmasterも所有しています。

サトウ アコスタソニックは完全に新しい楽器ですね。ライヴですごく取り回しのいいアコギの代わりになるし、使い方次第で聴いたことのない音も出る。それだけ楽曲にマッチさせるのは難しいけれど、俺はそこに惹かれていて。エレキ弦を張ってみたり、アコギ弦でもいろいろなゲージを試してみたり、ラインで鳴らすのがいいのかアンプで鳴らすのがいいのか。歪ませてみたり、まだまだ奥が深い印象ですね。

──これまでの発見は?

サトウ ピックアップポジションが5つあって、エレキとアコギの音をミックスすることができるんです。それも環境によって違って、例えばラインで鳴らすのか、逆にエレキ然とした環境でアンプで鳴らすのかでも全然違う。そこがめっちゃ面白いです。

高木 新しい音が作られそうだよね。楽器自体が新しいから探求の余地が残っている。それって面白いですよね。ジャンルや音楽自体の変化には絶対にハードウェアが関わってくるから。今はその最中にいる。

サトウ 一言で言うなら、僕らはモルモットですね(笑)。

サトウ:American Acoustasonic Jazzmaster | 高木:2023 Collection Made in Japan Heritage 60s Precision Bass

>> 後編に続く(近日公開)
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BREIMEN
5人組オルタナティブファンクバンド。2020年2月に1stアルバム『TITY』、2021年5月に2ndアルバム『Play time isn’t over』をリリースし、多くの著名人やプレイヤーから称賛を受け2022年にはASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文氏主催の「APPLE VINEGAR -Music Award- 2022」において特別賞を受賞。2022年5月9日にリリースされた岡野昭仁×井口理「MELODY(prod.by BREIMEN)」ではBa.Vo 高木祥太が作詞・作曲、BREIMENメンバーが編曲・演奏に参加。2022年7月20日には3rdアルバム『FICTION』をリリース。2023年初の新曲となる今作は、4月22日(土)スタートのテレビ朝日系土曜ナイト・ドラマ『月読くんの禁断お夜食』の主題歌となっている。
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