
Cover Artist | Chara -後編-
ふとしたことで誰かと共有できる。それを音楽で伝えられたらいいな
FenderNewsが毎月1組のアーティストにフォーカスする「Cover Artist」に、デビュー35周年イヤーを迎えるCharaが登場。インタビュー後編では、35年の歩みを振り返りながら、デビュー当時から歌い続けてきた“愛”との距離感、ソロアーティストとして冒険を続けてきた理由、さらに7月16日に配信リリースされる新曲「Adorable」の制作背景についても語ってもらった。
愛がすべてだと思う
──2026年9月でデビュー満35周年を迎えます。昨年にはラブソングベスト『The Love Songs of Chara “Lush Life”』もリリースされました。Charaさんはデビュー以来、ずっと“愛”を歌ってきたアーティストというイメージがありますが、ご自身ではどう感じていますか。
Chara 愛を歌おうと思って始めたわけではなかったんです。でも、こうやって聞かれるたびに“あ、そうなんだ”って思うし、否定することでもない。愛がすべてだとは本当に思うから。デビューアルバムの『Sweet』の頃はまだ独身だったし、母親になるという夢もまだ経験していなかった。だから、もう少し実験的というか、旅の途中にいる感じだったと思います。
──当時と今では、歌いたいことや鳴らしたい音像も変わりましたか?
Chara 変わったところもあると思います。子育てを経験して、無償の愛ってこういう感じなのかなと知ったりもしたから。もちろん、変わっていないところもあります。私はバンドではなくソロなので、解散するメンバーがいるわけではないし、その時々で興味のある人と一緒にやったり、セッションしたりできる。そういう冒険は変わらないかもしれないですね。
──ソロであることが、Charaさんの自由さにつながっている。
Chara そうですね。周りが全部やってくれるタイプのソロアーティストもいるかもしれないけれど、私はわりと自分でやっているのかな。そうなったのは、失敗もあったから。言葉で話しているだけでは伝わらないこともあるし、具体的に形にしたものを聴かせないと伝わらないことも多い。だからデモを作って聴かせたり、ジャケットだったら好きな写真や切り抜きを集めて“こういう感じが好きです”と見せたり。失敗もしましたよ、たくさん(笑)。でもそうやって、自分のイメージを伝える方法を覚えていきました。
──その一方で、今も新しいことに対する好奇心はすごく強いですよね。
Chara 新しいことをしているつもりはそんなにないんですけどね。でも興味があることは、できたらやってみたい。最近は種から植物を育てることにハマっていて、失敗すると“土が悪かったかな”とか勉強するんです。道具を一つ手に入れることで、うまくいくことってあるじゃないですか。料理も植物も、楽器もそう。道具が導入されることで変わる。そういうのは好きですね。
心からかわいらしいものって、大人の中にもある
──新曲「Adorable」(アドラブル)も、まさに今のCharaさんのそうした感覚が反映された曲に聴こえました。
Chara この曲はギタレレで作りました。結構前に作ったネタがあって、何かかわいいなと思ってたんですよね。ラヴァーズっぽい曲はいつかやりたかったし、シングル候補はもう1曲あったんだけど、今回はこっちかなと思って。
──「Adorable」という言葉には、かわいい、愛しい、愛でたくなるような、いろいろなニュアンスがありますよね。
Chara そうですね。ドリーン・シャファーの「Adorable You」という好きな曲があって、いつか私も“adorable”という言葉で曲を作りたいと思っていたんです。それで、その時が来たという感じ。本当に心からかわいらしいものって、子どもや動物だけじゃなく、大人の中にもあると思うんです。植物が花を咲かせた時もかわいらしいし、最近はアゲハチョウの孵化にもハマっていて。私は毛虫に触れないんだけど、動きがすごく面白いんです。それも私にとっては“adorable”。美しいものに近いんですよね。汚れのない、パワフルなもの。
──そういう“愛しいものに気づく感覚”が曲の中にもあります。
Chara それに気づけるのっていいじゃないですか。自分だけで楽しんでいてもいいけれど、ふとしたことで誰かと共有できると、すごく嬉しいし、ハッピーだし、生きていくのに大事だなと思う。それを音楽で何気なく伝えられたらいいなと思いました。だから今回、いろんな人の声を入れたかったんです。
──Charaさん以外の声もたくさん入っていて、どこかゴスペルにも通じるものを感じました。
Chara 今回、モトちゃん(モトーラ世理奈)の声を使わせてもらいたかったの。彼女はとてもかわいらしい女性だし、息子と二人でいる様子も本当に愛おしくて。ロンドンから帰ってきた日に、そのままレコーディングに来てもらって、少し歌ってもらいました。あと、姪っ子のMAHAちゃんにも参加してもらっています。
ゴスペルっぽいというのは、確かにそうかも。私は宗教心は全然なくて無神論なんだけど、昔からゴスペルシンガーの声のパワーや、祈りみたいなコード進行が好きなんですよ。もともとはアレサ・フランクリンが始まりだったと思います。中学生の頃に聴いて、そこから“この人たちは教会で歌っていたんだ”とか、だんだんルーツを知っていきました。
──サウンドはラヴァーズレゲエの心地良さがありつつ、リバーブやディレイが効いていて、とてもドリーミーです。
Chara 最近のリバーブだとシマー系も好きだし、ディレイも好き。あと、トロンボーンを入れようとなって、私は初めましてのミュージシャンだったんだけど、彼は今、日本で一番イケていると思う。お気に入りです。やっぱりテイクが大事だなって、つくづく思いました。
──これからやってみたいことはありますか?
Chara 今、3年くらい声の不具合に取り組んでいるんです。あまりわからないようにやっているけれど、取り組まないとたぶん引退になってしまう。私は歌うことが本当に好きなのか、自分でもよくわからなかったんです。でも、こうなってから“歌っていいな”と思っています。だから、ずっと歌えるように。それだけでいいです。

American Acoustasonic Telecaster
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Chara
1991年9月、シングル『Heaven』でデビュー。独特な歌声とオリジナリティ溢れる楽曲、ライフスタイルをも含めた“新しい女性像”の体現者として絶大な人気を誇る。1996年、岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』に劇中バンドYEN TOWN BANDのヴォーカルとして出演。主題歌「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」、翌1997年にリリースした5thアルバム『Junior Sweet』がともにオリコン1位を記録。収録シングル「やさしい気持ち」は世代を超えて愛される代表曲となった。デビューより一貫して気鋭のアーティストやクリエイターとのコラボレーションを重ね、2020年にはYUKIとのユニット“Chara+YUKI”名義でミニアルバム『echo』をリリース。2026年はデビュー35周年という節目を迎え、この夏には〈Chara Sweet Soul Sessions ~Mojo Popcorn Returns~〉をBillboard Liveにて開催する。また、デジタルシングル「Adorable」(アドラブル)を7月16日(ナナイロ=虹の日)に配信リリース。
https://charaweb.net/
Text_Takanori Kuroda
Art Direction_Fumiko Hirano(THROUGH.)
Photography_Masaya Tanaka(TRON)
Hair & Make-up_Shinji Konishi(band)
Styling_Yumeno Ogawa
Costume_QUIITO(Denim Jacket)/ LIVINGTONE(Overalls)/ ALM.(Loafers)

